共通テスト 数学I・A【2021年】の難易度、傾向は?

      2022/08/31

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このエントリーでは、2021年に行われた共通テストの数学I・AをKATSUYAが解き、その感想や難易度などをアップしていきます。

評価指標のみかた

1.難易度 A(易)~E(難)

2.解答するまでの標準的な時間

 

の2点を中心に、各問題ごとにコメントしていきたいと思います。

 

※あくまで、KATSUYA個人の見解に基づく評価ですので、ご了承ください。

 

2021年共通テスト数学Ⅰ・A(70分)

 

1.全体評価~計算量は減、文章量が増~

2回行われた試行調査のようなスタイルよりは、これまでのセンター試験に近い形式で、難易度的にも昨年とそこまで大差はなかったように思われます。

計算量だけがセンターより少し減ったかな、とは思いますが、文章が長いものが多いので、センターより簡単、とまではいかなかったのではないでしょうか。

第1問は、[1]数の計算、[2]三角比 の構成。必要・十分系の問題は出題なし。

第2問は[1]2次関数、[2]データの分析 です。2次関数は文章題になり、軸分け等のタイプはないが、文章理解力は問われます。データも計算はほぼ出題なし。考察力を問う問題がメインです。

第3問の確率と場合の数は全体的に数値計算多め。文章題は長いが、流れをつかめばさら読みで可能。条件付き確率を深く理解してないと、計算に時間がかかるのでは。

第4問の整数は頻出の1次不定方程式から。前半まではごく普通の1次方程式を解くだけ。(3)は文章の内容を、数値的な動きに関連づけることが出来ないと苦しい。

第5問の平面幾何は普段よりは誘導が丁寧な気がしますが、最後は方べき利用に気づかないと苦しい。

 

※時短テクなどについてYouTube動画で紹介しています。こちらもよければどうぞ^^

2.各大問の難易度

※緑色の表記は、数学を解き進める上でかかせない原則を表しています。

※青色の表記は、数学における超基本的な心構えを表しています。

また、今年より「8割難易度」と「満点難易度」を記載することにしました。途中までなら簡単だが、最後だけが非常に時間がかかったりするものや、後半ぐらいから結構メンドウなものなど、いろいろなタイプがありますので、目安にしてください。

第1問 [1](数と式:2次方程式、根号計算、整数部分、整数解条件、AB、7分【5分】)

8割難易度・・・易  満点難易度・・・やや易

定数入り2次方程式の問題です。c=1、c=2を代入するところはとっとと計算します。「シ」までは確実にとりたいところです。

最後は2次試験などでもよくあるタイプ。有理数なら実数なので、まずは実数解条件でDを計算します。理系ならノーヒントで行きたい。今回は会話に大ヒントがありますし、ちゃんと読めば取れるはず。

KATSUYAの感想

今んところセンター試験寄りかな?解答時間3分。

 

第1問[2] (三角比:相互関係、面積、正弦定理、余弦定理、B、昨年比やや難、10分【7分】)

8割難易度・・・やや難  満点難易度・・・やや難

今年はここに三角比が出ました。選択式の部分がいくつかあります。前半以外は数値が与えられなく、一般的な考察をする必要性があるので、テクニックだけに頼っていると厳しいかもしれません。(2)までで終わった人も多そうです。

(1)は計算するだけです。相互関係と面積公式でいけます。AIDを計算するときに、∠IAD=180°ーA ということに気づくと、面積が同じだと分かります。

同様に考えればBEFやCGHだって同じはずなので、これがそのまま(3)に活かされます。考察力が問われます。

 

(2)は三平方の定理もどきを、言い方を変えて聞いているだけです。高校入試のときなど、三平方の定理の証明で似たような図をみたことがあると、気づきやすいですね。

そうするとあとは(4)だけです。

IAD=180-Aを利用して、余弦定理の式を考えると、

BC^2=b^2+c^2ー2bc・cosA

ID^2=b^2+c^2ー2bc・cos(180-A)

です。Aが鋭角なら、cosA>0、cos(180-A)<0になりますから、IDの方が長いと分かりますね^^ さらに、

AIDの外接円の半径=ID/2sin(180-A)

ABCの外接円の半径は=BC/2sinA

分母は同じ値なので、IDとBCの大小関係がそのまま適用されます。

最後は、それを応用してます。すべて鋭角なら、ID>BC、EF>AC、GH>CAなので、外の三角形の外接円はどれもABCより大きいはずです。よってABCの外接円が一番小さいです。

鈍角Cがある場合、前半の余弦定理の考察からGH<CAとなるので、CGHだけはABCの外接円より小さく、他は大きいはずです。従って、CGHの外接円が一番小さくなります。

一般化がすぐに見えた人には計算もたいして必要ではない問題ですが、それが見えないと(4)はちょっとしんどそうですね。

 

KATSUYAの感想

なんか三平方の定理のときの図。面積等はさくっと出す。(2)は、、、こりゃ三平方だわ^^; (3)も(1)で気づいていたのでさくっと。(4)前半余弦の式を頭に思い浮かべ、符号を考えて解決。後半も落ち着いて大小を判断して終了。計算いらんけど、考察力はいるな。

 

 

第2問[1]  (2次関数:文章題、最大値、1次関数、AB、例年比並、12分【10分】)

8割難易度・・・並  満点難易度・・・並

今年の2次関数は共通試験タイプに近いのかなと思いました。実用的な話題と絡めた文章題です。値段と売れる個数の文章題とか、よくワークにありますけど、あのタイプですね。文章がちょっと長めなので、少し時間を持ってかれるかもしれません。

最初の「ア」の選択肢で詰まるとほぼ全滅です。文章で書いてある分数式を掛け合わせれば、100/タイム となりますので、これが速度です。

題材的に2次関数なのは間違いなく、後半でzがxの1次関数になっています。その時点で②か⑤でしょう。2で割る意味もよくわからないので、そう考えても②でしょう。

次はxとzの線形関係を出す問題。表や文章中段あたりからも、傾きがー2であることは明白。z=-2x+bとでも置き、適当なx、zの組み合わせを入れればbも出ます。これが出れば「ク」まで余裕。

そもそも3点も与えられていますので、適当な2点で連立してもOK。(←ここだけなら中2でも出来る!)

最後は2次関数の最大値の問題です。ただ平方完成するだけですね。最大値M=242/25に対し、100÷Mの計算が最後に入りまずので、少々メンドウ。

 

 

 

 

 

KATSUYAの感想

2次関数っぽいかな。文章が長いけど、かければ距離÷タイムなので速度になる。ストライド、ピッチ、、、最初からxとzで置いてほしい^^;  把握した後は誘導に従って計算するだけ。考察させるなら軸分けの方がいい気もするけどな^^;

 

第2問 [2]  (データ分析:ヒストグラム、箱ひげ図、相関関係、A、例年比並、10分【10分】)

8割難易度・・・並  満点難易度・・・やや難

今年のデータも、昨年に引き続き計算という計算はほぼ出題されず。相関係数なども意味を理解しているかどうかを問う問題でした。最後はちょっと考察が必要。また、センターの時と同様にページ数は多いので、点数の割には時間かかります。

最初の箱ひげは、落ち着いてみていけばカンタンかと思います。0番は怪しいですが、他に明らかに違うものがありますので

次のヒストグラムとの対応は、練習量がものをいいそう。常に頭に入れておきたいこととして、箱ひげ図では、大したことは分からん、ってことです。はっきりしているのは、Q1~Q3と最大・最小ぐらいです。

最大・最小を見れば、85年1次産業で見ても、①か③です。あとは3次産業の最小値で確定です。もう片方は80年でしょう。

95年も同様。1次産業で②か④。3次産業は最大・最小だけではムリで、Q1の場所を考えると、50~55に12,3個ぐらいデータがないとマズイですね。(もう片方は90年)

次の(3)は相関関係の意味が分かっていれば楽勝です。なお、「相関が強くなる=相関係数の絶対値が大きくなる」と問題文にもかいてありますので、きちんと読みましょう。

最後は意外とてこずりそうですが、資料考察力と文章の内容の理解力さえあれば、小学生でも解ける人はいると思います。横軸変えずに縦軸を100-yに変えるんですから、上下にペロンってひっくり返した感じになるはずです。右はじ2つ、左はじ3つあたりだけ見ても、②で確定でしょう。

 

KATSUYAの感想

相変わらず問題文長いんよな、この単元。今年も計算ほとんどなし。公式使えばOKみたいな問題にしたくないことには賛成やけど、共通テストでこういうのを出すんなら、こういう問題を学校用の問題集や教科書に多く収録すべきなのではないかと。

 

第3問 (確率:反復試行、条件付き確率、AB、例年比やや難、12分【8分】)

8割難易度・・・並  満点難易度・・・やや難

最初は反復試行です。反復試行では、1回あたりの確率を整理して計算しましょう。(あたり1/3、はずれ2/3、全3回中1回あたり)

この程度なら、一気に式が書けることが望ましいです。

次は不良品の問題のタイプです。当たったとき、それがどっちの箱からだったの?ってことです。当然、当たりやすさの比がそのまま条件付き確率の比になります。問題をたくさんこなして一般的に理解している人にはどうってことのない事実でしょう。

比が27:32なので、そのまま27/27+32などと計算しても、全く問題ありませんということを、事実(※)でいいたいわけですね。

それ利用し、箱が3つ、4つの場合とやってほしいわけですが、次の確率の計算は計算がやや複雑。通分しないと比もでないので、慎重に合わせられたかどうか。

最後は大小比較。通分は、さっきの場合に加えて、分母125が加わったのでかなりキツイです。大小だけですので、割り算して小数にするのが手っ取り早かったと思います。臨機応変にできるかどうかですね。

3/8や4/9ぐらいは暗算可能で、最後の48/125も0.008=1/125を知っていれば簡単に出ます。実質割り算が必要なのは、27÷64ぐらいです。

 

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こちらで演習していれば、本問の文章の意図すぐに気づけたと思いますので、ほぼ文章はスルー出来たと思います^^
計算時間の短縮は試験だけでなく、普段の勉強の質に差が出ます。

 

KATSUYAの感想

最初は反復試行。次は、、、ああ、不良品のタイプね。箱選択の確率は平等なので、そのまま比でいいや。と思ったらその事実を選ぶ問題があんのかい^^; 共通試験ってこんな感じの多いな。箱が増えても同じ様になればいいよってことね。同じことを計算する。3つでもメンドウやな。最後・・・4つかよ!もっとメンドウやん。125とかはいってるし、通分もいややなぁ。大小だけやし、小数にすると判断して終了。感覚的にも妥当。

 

 

第4問 (整数:1次不定方程式、AB、例年比並、12分【9分】)

8割難易度・・・やや易  満点難易度・・・やや難

今年の整数問題は頻出の1次不定方程式でしたが、頂点移動とも絡んでおり、最後は考察力も問われ、計算による具体的な調査も必要です。

最初は5x-3y=1の解を見つけます。すぐにx=2,y=3が見つかります。全部で5回なので、数えてもたいしたことはありません。

次は5x-3y=8の解ですが、(1)の具体的な解を8倍すれば1つ見つかります。あとは辺々引くだけですね。k=-4とすればx=4、y=4が見つかります。

 

(3)から少しメンドウに。いいたいことは、図形的には15回まわってくれば同じ点なので、xやyだけをずらしても、図形的には同じ点に回ってくるになる、ということです。

例えば、xは3減らせば15頂点回りますので、元に戻ります。なので、x=4⇒1、y=4でも同じ、ということです。

同じ様に考えて、最も回数が少ないのはどれかを考察しますが、全部確かめるとなると計算量は多めです。1つだけやっておきます。答えのP13の場合です。

5x-3y=13となるx=2、y=-1を見つけ、x=2、y=-1⇒4 (yを5増やしても図形的には同じ)

5x-3y=n となる解は、x=0,1,2の中に必ずあります。なので、xから探すと簡単に見つかるハズです。この考え方を身につけていると、計算量はかなり減ると思います。

 

なお、x=2、y=4が見つかった時点で終了で、MAX確定です。x=0,1,2の中にあり、yも図形的に考えて5ずつ増減させれば、必ず0,1,2,3,4のどれかに出来るためです。

 

KATSUYAの感想

今年は1次不定方程式やから比較的みんな取れそうか。(2)までは典型的。(3)は意味と数値の変化を結びつけられるかかな。算数に強いと出来そう。やっぱり整数は算数力がものを言うような気がする。

 

第5問 (平面図形:角の2等分線、相似、方べき、内接円 例年比並、AB、14分【9分】)

8割難易度・・・並  満点難易度・・・やや難

今年の平面図形は得意不得意で分かれそうで、難易度の判定が微妙なところです。図形に慣れている人には簡単だったと思いますが、経験が浅いとAEやAPで詰まってしまう可能性もあります。

最初は角の二等分線なので、線分比3:5を利用します。

次のAEは差が出そうです。ABDとAECが相似で(二等分線と、B、Eが直角で2角相等)あることに気づけば、AE:EC=AB:BD=2:1を利用して行けますが。ABCの外接円はACが直径となること、直径の円周角なので直角であることなども、普段からどれだけアンテナ張ってるかで差がでそうですね。

次のAPも、AHPが1:2:√5の直角三角形であることなどを利用していきます。相似は意外と盲点なので、このあたりで詰まる人も増えそうですね。接点から中心結んでいるPFはそのままOの中心も通るので、PGは直径です。方べきはAP・PE=PD・PGでやりましょう。

最後は内接円。直角三角形に内接円を作った場合は、接点などで出来る正方形に着目すると図形的な様子がすぐ分かります。内接円の半径といえば面積媒介ですので、S=1/2r(a+b+c)で出しましょう。

AQは半径の√5倍で、AHはHP=rの2倍です。いずれも、ABDと相似の、1:2:√5の直角三角形の利用が早いと思います。

最後はHの位置に関する正誤問題。AHやAQなど、Aからの長さをこれだけ出しています。方べきの値を計算して確かめなさい、ということでしょう。これに気づけば、最後まで取れますが、気づけたかどうか。

(a)はAH・ABとAQ・ADを計算

(b)はAH・ABとAQ・AEを計算

ですね^^ 上が正しい時点で、下は間違い確定です。

 

 

KATSUYAの感想

上記の通りです。直角三角形ということもあって、個人的にはやりやすかった。でも人によってはキツイかも。

 

> 共通テスト2021年 本試IIB 難易度評価 

 

共通テスト2021年について、時短テクを紹介した動画をUPしています。こちらもご覧ください^^

3.対策

※新テストになりますので、形式や傾向等、常に最新の動向をチェックするようにしてください。(文科省や予備校のページの情報など)

今年は、試行調査の傾向に比べると今までのセンター寄りですが、大まかな流れとしては、テクニックを駆使するタイプの問題ではなく、比較的目新しい題材を見て内容を把握し、自分の知識と合わせて数学的に考察させるタイプに変わりつつあるようです。

「あ、これ軸分けの問題ね、はいはい!」のようなタイプは今後減っていくのかな、という感じがします。(2次ではもちろん必要なテクニックですよ!!)

また、三角比の問題のように、数値を具体的に計算しない代わりに、一般化した場合にどのようになると思われるかを考察する問題も今後出てくるようになるでしょう。

今年はコロナによる学習の遅れも考慮されて、大幅な変更は控えたと考えることもできます。今後は、試行調査のようなタイプが割合的に増えていくのではないかと思います。

ただし、2次試験の傾向がこれに追随するとは考えにくいので、2次でばりばり数学がいる人でも、共通テストのような傾向の問題に触れておく必要があると思います。センターよりもあなどれなくなってしまいましたね。

→ 分野別のセンター用参考書はこちらから

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