千葉大学 全学部 | 2018年度大学入試数学

      2018/03/15

●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は千葉大学です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^ 2018年前期の大学入試数学の評価になります。

※入試シーズンは、コメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。

 

2018年大学入試(国公立)シリーズ。
千葉大学です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。



また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





千葉大学
(全12問、試験時間・解答問題は学部による)



時間、解答問題が学部によりますので、総評および合格ラインについては、なしとします。ご了承ください。各学部および、指定された問題は下記のとおりです。

【数学IA】・・・1、2、3、4 で90分
【数学IAIIB】・・・2、4、5、6で90分または2、3、4、5、6、8で150分
【数学IAIIBIII(上記2つ以外)】・・・5、7、8、9、10で120分
【数学IAIIBIII(理学部数学科)】・・・5、7、8、10、11、12で180分
【数学IAIIBIII(医学部)】・・・7、8、10、11、12で120分

1.各問の難易度

☆第1問(IA型)・・・【2次関数】実数解条件、不等式の証明(AB,10分、Lv.1)

2次関数の実数解条件を問う、基本的な問題です。昨年より簡単ですね。

2次関数として解くのであれば、(1)はxの2次式として、(2)はaの2次式として見るという意図だと思います。(1)は判別式≧0を解くだけ。

 

(2)は、aについての2次式とみて判別式をもう一度計算します。xの式になります。x=2+√5のとき、判別式が負であれば常にグラフが上方にありますね^^

 

Principle Piece I-30 

 制限なしの不等式成立条件はDで解決

(拙著シリーズ(白) 数学I 2次関数 p.38)

 

数IAにこだわる必要はないと思いますので、普通はx=2+√5 を素直に代入した式が正であることを示せばOKです(正確には数IIの式と証明の範囲となります)。aは「どんな値でも」ということなので、平方完成すればOKです。

 

Principle Piece II-7 

 不等式の証明2 条件なしなら平方完成へ

(拙著シリーズ(白) 数学II 式と証明 p.17)

 

※KATSUYAの解答時間4分。(2)は平方完成で行きました。結構ギリギリの数値。

 

第2問(IA,IIB型)・・・【三角比】三角形の面積の最小値、三角方程式(AB、15分、Lv.1)

2番は三角比のことが多いですが、今年も三角比。こちらも昨年よりは簡単です。

立方体の設定は大げさで、√3、√3、2の三角形の等辺上にP、QをとったときのOPQの最大値です。∠POQは固定なので、OP・OQの最大値が分かればOKで、こちらも2次関数に帰着されます。

AP=x とおくかと思いますが、AP、OQともに0~√3の間にあります。xの定義域に十分注意しましょう。

※KATSUYAの解答時間7分。しょっぱなからルートの計算多い^^;

 

☆第3問(IA,IIB型)・・・【整数】n^2018+2が6の倍数になる条件(B、20分、Lv.2)

3番も今年は整数ですが、昨年並みのレベルです。6の倍数に関する問題ですので、6で割ったあまりで分類すれば解決します。

6通りあるように見えますが、奇偶判定でただちにnは偶数だと分かり、n自体が6の倍数だとマズイので、6k+2.6k+4のときだけを調べればOK。指数が大きいので、合同式利用が便利ですね^^

 

Principle Piece A-60

 ●^nの余り 合同式を用いる

(拙著シリーズ 数学A 整数 p.31)


例えば、n=6k+2のとき、n≡2 なので、2^2018 を6で割った余りを考えます。周期2であまり2、4、2、4、・・・を繰り返すので、2018乗なら4ですね^^

6k+2、6k+4のとき両方OKですので、2018、2020、2022はダメで、2024となります。

※KATSUYAの解答時間8分。6k+2、6k+4で上記の通り合同式で解決しました。

 

☆第4問(IA,IIB型)・・・【確率】k回目に始めて100点を超える確率(B、25分、Lv.2)

第9問と題材が共通です。第9問をご覧ください。

こちらは、数値が具体的に入っているだけです。(1)(2)(3)でうまくパターンが分かれています。流れが読めればコツコツ計算するだけです。

第9問を初めて見ると結構だるいと思いますね^^;

※KATSUYAの解答時間12分。さすがに展開は必要なしと判断しました。途中結果まで第9問に使わせてもらいました。

 

☆第5問(IIB,III型)・・・【微積分】2つの接線等で囲まれる部分の面積の最大値(C、45分、Lv.2)

今年は5番が微積分です。単純な設定ですが、接線が2本とも動く上に文字aも最後までつきまとうため、数式処理はかなり長いものとなっています。昨年がパターンすぎたことで、反発難化しました(苦笑)

(1)はいいでしょう。接線を出して、軸との交点を出せばOKです。(2)は微分して増減を調べます。ここまではいけるでしょう。

(3)はマラソンでしょうか。まず、D(t)UD(s)の部分の面積を表す必要があります。(1)の三角形に、もう一つ三角形が上にできます。このはみでた三角形の式が、D(t)の形と同じ形をしていることに着目したいところ。(※S台さんの解答がキレイだと思います。)

さらに2変数関数であることから、1文字固定の発想が出れば、かなりゴールに近づきます。

 ULTIMATE Principle Piece 

 2つが動く → 1文字固定する

 

「t」を固定すると、(2)の結果が利用できます。設定がうまいです。この後、今度は0≦s<t でsの3次関数とみて再び微分すればOK。s=t のときを外していますが、この時の最大値は(2)です。この値より大きいことを確認して、満点GETですね^^

 

※KATSUYAの解答時間30分。(3)の面積計算については、実はもっとメンドウな方法をとってしまっていましたが、無事に答えにたどり着きました。確かに、上の三角形足したほうが早いわ^^; 千葉大の微積分(数II)は、なんか頭一つ抜けて難易度高い。

 

第6問(IIB型)・・・【数列】2つの数列の共通項、和集合からなる数列(B,25分、Lv.2)

7番と共通題材です。7番をご覧ください。6番は算数チックに解けそうですが、7番はちょっとキツイ。


※KATSUYAの解答時間10分。dの一般項の結果まで7番で使わせてもらいました。

☆第7問(III型)・・・【数列】2つの数列の共通項、和集合からなる数列(B,30分、Lv.2)

6番と同じ問題で、{dn}の一般項、和も出す形になります。

(1)は共通項の一般項ですが、「最初に7、あとは12おきだから」でもいいと思います。これで減点されても文句は言えませんが(ルールブックはあくまで大学側なので)、私なら減点しません。本学受験者なら、本来は6n-5=4mー1として一般解を出すことぐらい分かっているはずです。

 

(2)も、最初の1、3、は置いておいて、7以上19未満(C1以上C2未満)のグループで考えると7、11、13、15の4つが入るので、1、3、7、11から考えて、あとは12おきに増えていくとすればいいでしょう。

6番の(2)は1000、1001項目です。4で割った余りに着目するといいでしょう。

 

(3)は{d_n}の和ですので、やはり4で割った余りに着目します。l=4k とした式など4つが得られますが、最終的に「l」に直しましょう。 k=l/4 として代入しましょう。

 

 

※KATSUYAの解答時間8分。(6番の時間は除く)。(3)の計算は4回もk→lに直すのでメンドウ^^;

☆第8問(IIB、III型)・・・【平面べクトル】正方形内部の点Pなど(BC,25分、Lv.2)

設定は単純ですが、意外と難しい平面ベクトルの問題です。

αの値をどう生かしていくかですが、辺の比ですので、三角比→どこかの角のタンジェントと判断出来れば、∠PAB=θとおく発想が生まれます。このθを使って議論が進みそうです。

PCベクトル=PBベクトル+BCベクトルですが、このBCベクトルがHPベクトルの実数倍になることを用います。

PHベクトルはAB上なので、内分比で行けます。直角三角形から垂線を引きますので、こちらの原則を頭に入れておけば簡単に比は出せますね。

 

Principle Piece I-54

 直角三角形から垂線を引くときは、相似を考える

(拙著シリーズ 数学I 三角比 p.42)

 

θを導入したり、sinやcosも全てαに直していったりと、ベクトル以外の部分で苦労しそうで、これは正答率が下がりそうです。

 

(1)が出来れば(2)は相加平均・相乗平均の関係です。バレバレの式ですね。

 

※KATSUYAの解答時間14分。直角三角形の相似利用など、流れが見えたが、比がα、1辺も不明なので文字でおくことになり(実は1でもよかった)、答案として書くのに時間がかかった。

 

第9問(III型)・・・【確率】k回目に始めて100点を超える確率(B、30分、Lv.2)

4番の難化バージョンです。4番のような前置きはなく、いきなり一般化して答えなさい、とのこと。

これを見て感じましたが、III受験者は、易化バージョンがもっと前にないかどうか確認することで、ヒントが得られるかもしれません。

実際、私も4番を見ていたので9番がすんなり思いつきました(やるのメンドイな、と思いました)。

点数が絡むのは金、銀を引いた場合です。(金、銀)=(2、0)、(1、5)、(0、10)です。

2回以上5回以内の場合は(2、0)のみ、6回以上9回以内は(2、0)と(1、5)が、それ以上は全ての場合を考慮することになります。

余った回数は全部白で吸収すればいいです。(1、5)のときだけ、●●・・・●金、と●●・・・●銀の場合がありますので、さらに分けて計算します。

 

なお、k≧10だと、式がめっさ長いです。ということで、空気を読んで「C」の記号使ってもOKでしょう。

 

※KATSUYAの解答時間15分。4番あっての9番なので方針はすぐ立ったが、ツライ。数III対象者は9番初見やから、手詰まり出そう?てか、式流すぎ。このあたりは考慮が欲しいところ。

 

☆第10問(III型)・・・【極限+積分法】定積分関数と極限(B,20分、Lv.2)

t、xを含む定積分です。積分は「t」ですので、e^(-x)を前に出すとラクです。三角×指数なので、相方を持ち出して微分から考えたほうが計算がラク。

 

Principle Piece III-52

 e^●x sin▲x の積分 相方e^●x cos▲x を持ち出して同時に微分して逆に計算

(拙著シリーズ 数学III 積分法 p.19-20 ※大意は変えずに表現変更)

 

(2)は、微分係数の定義に従って計算する方法が思いつけば、これが最もラクです。f(0)=0もすぐにわかりますので、求めたい極限は微分係数f'(0)となります。

そうでない場合は、e^-xの部分は放っておきつつ、三角関数の部分で下記の形をつくることを目標にします。

 

Principle Piece III-18

 「sin●xとx」、「1-cos●xとx^2」をセットに

(拙著シリーズ 数学III 積分法 p.19-20 ※大意は変えずに表現変更)

sinxや1-cosxなどは、ペアが欲しい寂しがり屋です。それ以外(cosxの単項式など)は独りでいても問題ないので、この子たちもほうっておき、ペアが必要な子たちに、x、x^2を分母にあてながら調整していくことになります。

 

※KATSUYAの解答時間11分。いつもの積分よりは簡単かな。

☆第11問(III型)・・・【確率+数列】上部のカードを移動させる(C,40分、Lv.3)

やや難易度の高い確率の問題です。漸化式を作れそうな表現に見えますが、その漸化式を解くのはまあまあキツイ。

(1)は地道に頑張ります。1回目で、C1が「上のまま」、「l番目」、「l+1番目」にあるときで場合分けが必要です。2回行っても、1/nのままです。

(2)(1)から、実はずっと1/nのままなのではないかと思いつくかどうかです。3回目もやってみれば、(1)ほぼ同じ計算になり、帰納的にこのプロセスが使えるとわかります。思いつけば一瞬ですが、どうでしょうか。

 

(3)は、(2)のP(k,L)も使いつつ、再び漸化式を作ります。作り方が難しいですが、最初に着目しましょう。

最初にC1を上においたままなら、あとkー1回で起こさないとダメですので、そのままQ(k-1、L)です。最初にC1を上に置かなかったら、C2が上に来ます。ここからあとk-1回でL番目にしますから、これは(2)の結果から1/nです。C2が一番上にあるなら、C1と同じ扱いです。

出来た漸化式はややこしく見えますが、本問ではnは定数なので、ただの4型です。見にくいですね~^^;

 

Principle Piece B-12

 cとおく型 → 特性方程式で等比型へ

(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.33)

 

※KATSUYAの解答時間20分。(2)は漸化式を立てて解けないと判断し、しばらく手詰まり。(1)の過程から常に1/nになるのでは、となんとか予想にたどり着きました。(3)は(2)を利用できました。

☆第12問(III型)・・・【三角関数+複素数平面】三角関数を解に持つ3次方程式(C,35分、Lv.3)

複素数平面っぽい三角関数の問題です。極形式で表されているので、最初だけ複素数平面って感じですかね。

最初だけ使う複素数平面の原則は、こちらです。

 

Principle Piece III-103

 方程式における活用式 z^n=z^(n-k)バー など

(拙著シリーズ(白) 数学III 複素数平面 p.33-34 ※一覧は省略)

これでαはただちに共役複素数との和で、2cos40°という実数であるとわかります。3次方程式をつくること、および3倍すると120°になって有名角になること、そしてこちらの原則が頭にあれば、3倍角で3次式にできそうだとわかります。

Principle Piece II-67

 角度と次数はトレードオフ

(拙著シリーズ(白) 数学III 複素数平面 p.36-37)

2cos120°を2cos40°の3次式で表せばOKということですね。

(2)は経験がないと難しいかと思いますが、2cos3θ=ー1 となるθが40°以外に80°、160°があります。これらは全て異なりますので、(1)の方程式の解はこの3つです。あとはこれらを2cos40°で表せばOK。80°は2倍角なので2次式に、160°はさらにその倍なので4次式になりますが、方程式から次数下げできます。


※KATSUYAの解答時間14分。

 

2.対策~癖のある表現、全調査タイプ、定数入りの計算に対する耐性を~

千葉大の問題は標準的な問題が多いですが、後半になると癖が強く、対策してきても数学的センスがないと、効果が出せないようなタイプの問題が出ます。また、全調査をすることを厭わない忍耐や、定数が入ってもいつもどおりの解法が遂行出来ることが必須となります。

青チャートなどで手法を身につけたら早めに入試演習に入りましょう。表現をひねってくる問題も多いので、国立系の入試問題集(Canpassなど)がいいです。その際、複数の解き方を試みて、いろんな視点から問題を眺められるようにしておくといいです。(式で見るのか、図形で見るのかなど)過去問はなるべく多く確保しておきましょう。

量をこなす演習:じっくり演習=8:2でOK。 医学部や理学部志望の方は、夏あたりから7:3、6:4に切り替えていきましょう。

以上です^^

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■関連する拙著シリーズ■

★ 数学I 2次関数 (第1問)

★ 数学I 三角比 (第2問)

★ 数学A 確率 (第4問、第9問、第11問)

★ 数学A 整数 (第3問)

★ 数学II 三角関数 (第12問)

★ 数学II 微分 (第5問)

★ 数学B ベクトル (第8問)

★ 数学B 数列 (第6、7問)

★ 数学III 極限 (第11問)

★ 数学III 積分法 (第11問)

★ 数学III 複素数平面 (第12問)

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