同志社大学 全学部文系 | 2018年大学入試数学
●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は同志社大学(全学部文系)です。
※入試シーズン中は、コメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。
2018年大学入試(私大)シリーズ。
同志社大学(全学部文系)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
同志社大学(全学部文系)
(試験時間75分、3問、ハイブリッド型)
※ハイブリッド型とは、穴埋め型と記述式の混合型のことです。
1.全体総評~小問2つは継続。今年も時間的に厳しい~
小問が2つ+穴埋め10個の形式は継続。第2問のベクトルはかなり原則にあてはめにくく、第3問は文字が乱立し、うまく処理していかないと半分程度。時間的にもやはり75分をオーバーしそうです。
試験時間75分に対し、
標準回答時間は103分【90分】(←穴埋め考慮)
2017年は113分【98分】(←穴埋め考慮)
2016年は110分【91分】(←穴埋め考慮)
2015年は101分【85分】(←穴埋め考慮)
2.合格ライン
第1問は昨年よりは取れるのではないかと。(1)の5個はパターン。(2)も落ち着いて合計8個ほしい。
第2問は原則をあてはめにくく、情報もすくなめで厳しいベクトルの問題。(2)までで。
第3問は単純だが文字が乱立し、計算量も多い。(2)まではなんとか。(3)以降は厳しい。
第1問でいかに落とさないかがキーとなりそう。数学では60%程度でしょうか。
3.各問の難易度
☆第1問(1)・・・【微積分総合】放物線と2接線、交点、面積(B、18分【10分】、Lv2)
典型的な放物線と2接線のパターンです。原則も使いやすく、セット全体を考えるとこれは落とせません。
P,Qにける接線の交点までは、接線を作って連立すればOK。「ウ」までこれで確保。なお、交点(x座標)は2接点の真ん中です。
(拙著シリーズ(白) 数学II 積分 p.34-37) ※図は省略
面積については放物線と接線が絡むので、こちらの原則をおもいっきり使えます。穴埋めなので、結果を知っているとなおラッキー^^
(拙著シリーズ(白) 数学II 積分 p.34-37)
式は相加平均・相乗平均の関係が見え見えですね^^
(拙著シリーズ(白) 数学II 式と証明 p.19) ※他のパターンは省略
☆第1問(2)・・・【数列+指数・対数】連立漸化式、指数・対数計算(B、15分【10分】、Lv.2)
ガウス記号があったり、漸化式が複雑だったりと特殊ですが、入れる数値はかなり具体的なので、素直に計算すればOKです。
最初は、972=18・18・3 ですから、log 18・18+log 3 とすれば、整数部分が2、小数部分log 3と分かります。この小数部分の逆数がa_2 です。log_p qとlog_q p が逆数であると覚えておくと、簡単に逆数が取れます。
指数に対数が入っている場合は、こちらの原則に従いましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学II 指数関数・対数関数 p.16-17)
今回は底があっています。指数の底も対数の底も3なので、真数をそのまま書けばOK。
後半は次はただのルート計算です。bn=・・・とありますが、とても一般項が出せる形とは思えませんので、定数だと予想が付けばやりやすい。最後は少し発想が必要ですが、a_nもずっと初項「α」のままかも、と予想が付けば簡単に解けます。なお、αはフィボナッチ数列の隣り合う項の比の極限であると分かります。
※KATSUYAは合計10分で解いています。
第2問・・・【平面ベクトル】内積式の値、垂直の証明(C、30分、Lv.3)
今年のベクトルは平面です。昨年とは打って変わって今年は条件がシンプルすぎて、出来ることが見つからずに諦めた受験生が大半ではないでしょうか。変に粘ると時間だけ持ってかれそうです。
(1)はただの内分公式、(2)の与えれた式は始点をCに合わせつつ、条件式CE・DE=0もCE(CE-CD)=0などとしておき、CE・CD=CE・CE まで持ってきておくといけます。CE・CEは結果的に消えます。始点を合わせるという最も基本的な原則に忠実に従ったことになります。
(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.12-13)
なお、正射影ベクトルを使えば、CF(→)・DE(→)=DE・DF になります。これだとかなり早いです。
(3)はCを始点にしたままでは、途中で詰まってしまいます。垂直を利用するときは、AC(→)-AB(→)=BC(→)のような逆の読み替えも必要なことがあります。これを利用することに気づかないとここから先は厳しいです。
Cのままだと、CFは(1)を利用して直したとしても、どこかで詰まってしまします。DBでくくって、最初からDB・DFと変形するのが一番良かったと思います。これは難しいですね。
なお、ここから先もまあまあ苦戦を強いられます。言葉では言いにくいので、予備校の解答などを参照してください(すみません)。
(4)は始点を合わせるだけでできますが、(2)、(3)をともに利用することに気づかないととAB⊥CD(DB⊥CD)までたどり着かないでしょう。
※KATSUYAは18分かかりました。やはり(3)で苦戦しました。
第3問・・・【微積分総合】4次関数の極値、グラフ、2次関数の決定、面積など(B、40分、Lv.2)
4次関数を題材とした微積分総合問題です。いろいろとやらされますが、やること自体は、条件式をいかに的確に立てて、正しく文字を消していけるか、です。、微積分の能力を聞かれているようには・・・・^^;
(1)は、グラフを書くだけです。極値の値は汚いので次数下げがいいと思います。ただ、分数ではないので、直接計算してもそこまで苦労はしません。
(拙著シリーズ(白) 数学II 微分(1冊目) p.24)
(2)は、g(x)=kx^2+mx+n とかおいて、f(x)ーg(x)=0がα、β、γを解に持つということです。あと1個あるはずなので、δとでもおきましょう。
するとf(x)ーg(x)=(x-α)(x-β)(x-γ)(x-δ) になりますが、4(x-α)(x-β)(x-γ)=f'(x) となっていることに気づけば、f(x)-g(x)=1/4・f'(x)(x-δ) となります。p、qは使っていい文字なので、未知数はk,m,n,δの4文字。4次以外の係数を比較して式4つ。バッチリですね^^
未知数の数と式の数の意識は超重要!!
(拙著シリーズ(白) 数学II 式と証明 p.4)
(3)は、まずf(γ)=0ならg(γ)=0 となります。これでγはすぐ出ますが、ゼロでないかどうかなどの細かい点に注意。γがゼロだとα+β+γ<0となり、f'(x)=0の解と係数の関係と矛盾します。ここは結構採点の対象にされるかと。
γがpとqで表されましたので、それをこんどはf(γ)に入れてしまえば。、pとqの関係式も出ます。ここでも、qはプラスかマイナスかの議論が必要です。マイナスだと、一緒に出せるγも負となり、上と同じ理由で矛盾します。
あとはαとβについて、2次方程式の解と係数の関係に帰着させるだけですね^^
最後はこれにp=4を入れて、ただ面積を出すだけです。f(x)のグラフは(1)と同じ。g(x)との交点、上下関係を意識して求めれればOK。
4.対策~数学Bを中心にまんべんなく対策を~
分野はまんべんなく、幅広くです。あまり絞らないほうがいいでしょう。微積を筆頭に、数B、確率(場合の数が多い?)は割と出ます。問題のレベルは標準~応用といったところですが、文系だからといって舐めていると痛い目に合うタイプの問題です。パターン問題が単問で解けるレベルでは少し足りません。融合された模試タイプの問題に対応できるようになっておきましょう。
文系ですが、きちんと点数を確保したいのであれば、入試標準演習の段階までやったほうがいいでしょう。入試問題を通して、難しいタイプのものを、誘導できざんで解いていく練習をする必要があります。
量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいですね。
以上です^^
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(※本サイト内検索(右サイドの一番下)で同志社と検索するとみつけやすいです^^)
■関連する拙著シリーズ■
★ 数学B 数列 (第1問(2))
★ 数学II 指数関数・対数関数 (第1問(2))
★ 数学II 微分 (第1問(1)、第3問)
★ 数学II 積分 (第1問(1)、第3問)
★ 数学B ベクトル (第2問)
★ 計算0.9【IAIIB】 (計算練習帳です^^)