名古屋工業大学| 2018年度大学入試数学
2018/03/13
●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は名古屋工業大学です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^ 2018年大学入試数学の評価も、無事に(?)終わりを迎えつつあります。
入試シーズン中はコメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。
2018年大学入試(国公立)シリーズ。
名古屋工業大学です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
名古屋工業大学
(全4問、記述式、120分)
1.全体総評~BIIIセットは相変わらずだが、時間的に余裕はある~
難易度は昨年並みです。今年は数学IIIの割合は4問中3問で、他がベクトルという、BIII(ビーサン)セットで、このセットも名工大ではよく見かけます。ただし、計算量はめちゃくちゃ多いわけではなく、120分であれば時間内にしっかり解ききれると思います。
制限時間120分に対し、目標解答時間は105分。
2017年:105分
2016年:110分
2015年:135分
2.合格ライン
1番は典型パターンなのでおさえたい。
2番も典型パターンなのでおさえたい。(3)の評価は出来が分かれそう。
3番は(3)までは取れる。(4)は(3)を利用するが、難しいか。
4番は空間ベクトルの創作問題だが、キー問題。(3)(4)あたりは差がつきそうか。
昨年同様、2完2半の65%ぐらいがボーダーでしょう。
3.各問の難易度
☆第1問・・・【複素数平面】実数条件、距離の最小値(B,20分、Lv.2)
複素数平面からの出題で、ドモアブルの利用や図形絡みなど、ちょくちょくいろいろやります。
(1)はまず解いてしまいます。解は2つありますが、どちらの場合もz^100+1/z^100 は同じ値になります。Zzバー=1の利用は効果を発揮しますね^^
(拙著シリーズ(白) 数学III 複素数平面 p.7-8)
(2)もかなり頻出の式で、原則通りです。実数条件といわれたら、バーをとりましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学III 複素数平面 p.10-11)
(3)は、zが直線上にある場合と、円周上にある場合で分けて考えることになります。いずれにしても、wが円周上の点なので、その中心を基準に考えましょう。
(拙著シリーズ(白) 数IIB 原則のみ)
※KATSUYAの解答時間8分。詰まることなく終了です。
第2問・・・【数列+極限】一般鋼不明の漸化式の極限(B、20分、Lv.2)
一般項不明の漸化式の問題です。典型的な問題で、流れも原則通りです。
(拙著シリーズ(白) 数学III 極限 pp.16-17)
(1)はnに関する証明なので帰納法になります。最初の準備ですね。
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 pp.50-57)
(2)で等比数列的不等式を作りますが、この際、α=√2α+1 に変形してから計算すると、a_n+1ーα=f(a_n)ーf(α)となり、同じf(●)の形にできます。これで a_n-α が何らかの形で出せることが期待できます。ルートが入っているので、今回は分子の有理化です。
(3)は(2)が出来れば、おまけですね^^
※KATSUYAの解答時間8分。こちらも典型パターンでざっと見渡して詰まることなく終了。流れ的に、αの値は最初に出しておいたほうがいいと判断しました。
☆第3問・・・【微積分総合】絶対値付き定積分関数の最小値、逆関数(BC、35分、Lv.2)
絶対値付き定積分関数が題材ですが、少しひねりあがります。逆関数がもとの関数と同じであることを(4)にいかせるかどうか。
(1)は微分するまでもないです。分数関数なので、k/x-p+q の標準形にすればグラフは書けます。(2)も直接計算して出しましょう。
(3)は、「なんでこの問題?」と思うかもしれませんが、(4)に行かせます。逆関数がもとの関数と同じといいうことが、大きいです。
(4)では、もちろん絶対値の中身の符号が変わるところで区間を分けます。この原則は使えます。
(拙著シリーズ(白) 数学II 積分法 p.17-21)
ただし、これで式を書き換えるには、f(x)=t となるx=f^(-1)(t) (逆関数)を用いる必要があります。ここで(3)が利用できます。逆関数はもとの関数と同じなので、f^(-1)(t)=f(t) でもいいわけですね。
また、(3)によって、f(f(t))=t も使えます。これらを駆使していくと、 g’(t)がかなり単純になってきます。計算方法次第ですが、この計算が本セット最難関といえそうです。
※K塾さんの解法はかなりうまく計算をさぼっていますね。これが本番で思いつけば、勝ちを確信するでしょう。
※KATSUYAの解答時間16分。(3)の結果を(4)に使うことを思いつくのに少しかかりましたが、その後はうまく式変形して、計算はかなりサボれたと思います。
☆第4問・・・【ベクトル】二等分線、平面に垂直なベクトル、最短経路など(BC、30分、Lv.2)
空間ベクトルの問題です。設定などは創作的で、うまく練られた問題です。
(1)は二等分線の処理ですので、辺の比が内分比になることを利用します。これでOGは出せますし、ついでにOEも出せます。
(2)は単独問題ですが、CEの方向ベクトルですね(具体的に使わないですが)。2ベクトルに垂直なベクトルは教科書レベルですね。
(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.61-62)
(3)から残りの情報が一気に必要となります。まず、折れ線CPDの最短経路なので、対称点をとります。「折れ線は伸ばして対称点」ですね^^
(拙著シリーズ(白) 数学II 図形と式 p.21-22 ※大意を変えずに表現を一部変更しています)
Cの平面に関する対称点をC'とでもおけば、DPC'が一直線上になることと、DF:C’E=1:2 であることから、PがDC’を1:2に内分する点であることがわかります。
CやDは定まることはなく、(2)のベクトルの実数倍を表すための文字が1つ必要です。しかし、点Pを求める過程でその文字は無事に消えます。従って、(2)のベクトル自体をまともに使うことはないです。pベクトルとでも置いておくと計算も減りましたね。
(4)は三角形の内部にある条件なので、係数>0、係数の和<1 で出せばOK。「内部=周は含まない」と考えますので、等号はなしで。
※KATSUYAの解答時間18分。詰まることはありませんでしたが、(2)などはミスする可能性もあるので、慎重に計算していきました。
4.対策~数IIIの計算を重点的に演習~
名工大は普段、数学IIIが全問題で絡んできます。新課程になってから3題、2題と減ってきていますが、さすがにこれ以上は減らしてこないでしょう。
IIIだけが出るという意味ではなく、例えば極限には数列の漸化式が絡んだりしますので、IAIIBも適度に演習しておく必要があります。空間が好きなので、空間ベクトルのツールは使いこなせるようになっておいたほうがいいでしょう。
量をこなす演習:じっくり演習=7:3でOK。
以上です^^
■他年度の、本大学の入試数学■
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■関連する拙著シリーズ■
★ 数学B 数列 (第2問)
★ 数学B ベクトル (第4問)
★ 数学III 複素数平面 (第1問)
★ 数学III 極限 (第2問)
★ 数学III 微分法の応用 (第3問)
★ 数学III 積分法 (第3問)
★ 計算0.9【IAIIB】 (計算練習帳です^^)