慶應大学 薬学部 | 2020年大学入試数学

   

●2020年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は慶応大学(薬学部)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2020年 大学入試数学の評価を書いていきます。



2020年大学入試(私大)シリーズ。

慶応大学(薬学部)です。

早慶が始まりましたので、ここからしばらく早慶ラッシュとなりそうです。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。



慶応大学(薬学部)
(試験時間80分、3問、穴埋め型)

1.全体総評~大問構成、難易度ともに昨年のまま~

昨年に書きました通り、以下の構成から変化はありませんでした。(2018年からはこの構成です)

1.穴埋めが桁指定ではなくなりました。

2.大問が4問から3問へと、第1問の小問の数。今年は15個→11個に減少

2020年の第1問(小問7つ):64分【42分】

2019年の第1問(小問7つ):66分【41分】

2018年の第1問(小問8つ):73分【49分】

2017年の第1問(小問4つ):73分【46分】

2018年以降は第1問にかかる時間が減少しています。

試験時間80分に対し、
標準回答時間は116分【74分】(←穴埋め考慮) 

2018年は106分【71分】(←穴埋め考慮)

2017年は163分【110分】(←穴埋め考慮)

2016年は149分【97分】(←穴埋め考慮)

2015年は123分【82分】(←穴埋め考慮)

2.合格ライン

第1問:差がつくのは(2)(3)(4)あたりかと。あとは取りたい。11個中7個以上がボーダーか。
第2問:キー問題。計算量が膨れる問題ではあるが、(1)が出来れば「チ」までは出来るはず。最初に因数分解が出来ないとアウトなので、差が最も付くとしたら間違いなくここ。

第3問:データ分析は穴場か。これも(3)は差が出る。こちらは出来れば安泰。



第1問で7/11、第2問は最後以外で6/7、第3問も前半二つは取れて2/4。合計15/22で70%ぐらいがボーダーか。

3.各問の難易度

第1問(1)・・・【積分】定積分方程式(A、 5分【3分】、Lv.1)

教科書レベルの問題。定積分は定数ですので、aとおきましょう。

 

 

☆第1問(2)・・・【対数関数】対数不等式(AB、 7分【5分】、Lv.2)

少し目新しい対数不等式。対数と整式が混じった場合は、式変形によって解くのはムリです。(指数と整式、三角と整式なども同様)算数的にあてはめるしかありません。自然数を聞いていることからも、それに気づいたかどうか。

(2次関数)<(対数関数)という感じになりますが、対数関数のほうが大きくなるスピードは圧倒的に遅いので、「xはあんまり大きくはなれないな」と思えるかどうかですね。

 

 

☆第1問(3)・・・【確率】円順列と確率(A、5分【3分】、Lv.1)

円形のテーブルに並ぶ問題の確率で、少し前に早稲田の人間科学部(やったっけかな?)でも出た気がします。円順列は非常に差がつきやすいタイプです。

最初は、①に座る人を選ぶ方法は全事象は15C5です。A,Bが決まっていれば13C3になるので、これで出ます。意外とあっさりしてますが、詰まる人が多い印象です。。。円形かどうかはあまり関係ありません。

(2)では、Aがどの席に座っていようが、Bは残り14個のうちどれに座るかは同様に確からしいハズですから、両隣の2個を選んだ場合です。殆ど計算不要です。3つのテーブルとかはあまり関係ありません。

 

 

☆第1問(4)・・・【平面図形】平面図形総合(B、18分【12分】、Lv.2)

数Aの平面図形からで、このタイプは気づかないと全く手がつきません。

最初は、長さの情報から、CRQとCBPが相似だと気づけるかどうか。あるいは、CR・CP=CQ・CB(=144)だから方べきでPBQRはBR直径の円周上にあると気づけるかどうかです。私は後者で気づきました。BR^2=117 となり、∠CPBも90°なのでPB=√117-49 となります。なお、この前半のRは垂心です。

後半も道のりは長い。まず、前半でもう少しABCの情報を出しておかないと、Rの位置を動かされると分からなくなります。そこで△BPCと直線AQでメネラウスを使うと、AB=90/√17 と出せます。ここから、AQが80/√17 と分かります

これで後半の情報にうつります。再び△ABQと直線CPでメネラウスを使うと、QR:RA=1:9と出ます。従って、AQの0.9倍となりますね。

これは全滅もありえそうです。

第1問(5)・・・【図形と式】重心の軌跡(AB、7分【5分】、Lv.1)

重心の軌跡の問題です。文章がここまで短い割には比較的しっかりした問題かと思われますが、やることは明確かと。

Aのx座標をsとでも置くと、OAの傾きがsなので、Bの方は座標が-1/sと分かればこっちの勝ち。あとは重心のx座標にはsー1/sの形が、y座標にはs^2+1/s^2の形がありますので、対称式的な変形が見えます。

 

 

第1問(6)・・・【数列】群数列(AB、10分【7分】、Lv.1)

ちょっと変な規則の群数列ですが、区切られれば分かると思います。(区切られないとちょっと考えそう^^;)

最初は、厳密には問題としては不適切な気がします。極端にいえば、問題文に書かれている第6群の途中までなら、一般項はst^2+(s-1)(s-2)(s-3)(s-4)(s-5)(s-6)とかでもいいですからね。常識の範囲で考えて、ということなのでしょう。

それはいいとして、真ん中は77が第何群かです。群数列では、第k群に何個入っているかを確かめ、その和をとって最初から何番目かを出します。第s群はs個ですので、1+2+3+・・・+12=78 ですから、その1個前。12群の11番目となります。

最後はs群の和を出します。sは前に出し、sΣt^2 となります。これが5s^3以上になるsを求めればOK。整理すると(s+1)(2s+1)≧30s となりまが、群数列における不等式は、おおざっぱに評価して計算するのが原則です。

 

左辺は大体2s^2ですから、s=15あたりだと見当をつけましょう。

 

第1問(7)・・・【三角関数】点の回転(AB、8分【5分】、Lv.2)

点の回転の問題で、教科書では三角関数の発展の項目にある内容です。数IIIの知識がある人は、複素数平面でやってもOK。複素数平面は回転に非常に強いツールです。

三角関数でやるなら、加法定理の出番ですが、15°の値を知らないと、そもそもここに加法定理が必要です。穴埋めの形式の大学を受験するなら、15°系は必須と考えた方がいいでしょう。

やり方は教科書等で確認してください。原点中心ではありませんが、平行移動でQを原点に持ってきてから回転し、あとでまた平行移動して戻せばOK。

 

複素数平面であれば、P’を表す複素数は (6+2i)(cos15°+i sin15°)+3+i です。これの実部を答えればOK。

 

※KATSUYAは計19分で終了しています。昨年より短くなったので、さらに量は減ったかな。でも平面図形はたまたま気づいたからよかったものの、詰まったら考えてしまいそう。

 

☆第2問・・・【図形と式+微積分総合】領域、接線、共有点条件、面積など(B、35分【24分】、Lv.2)

かなりいろいろ混ざった関数系の問題で、KO薬学部の特徴である計算の煩雑さがあります。それでも昔に比べると数値きれいですけどね。なお、最初の不等式の左辺が因数分解できないと全滅です。

最初は、x、yの2次式の因数分解です。高校数学最初の関門である、2段階のたすきがけパターンです。境界が2直線だと言っていますので、x、yの1次式に因数分解できるんだと思えるはず。正解してほしい!!

(2)は接線の公式で接線を出し、y=-kx+10と見比べれば出来ます。

(3)も連立して判別式です。ただの計算問題。

(4)はtanθが傾きと結びつきますので、ここでkもすぐ分かります。最後の面積がメンドウ。問題文からCはL2の方とは接しているとのことなので、L1の方が共有点を持つはずです。

このC1とLの連立が、k=3/4という数値のせいで意外と煩雑です。解がキレイに出ますので、あとは放物線と直線ですから、6分の公式を使えばOK。

最後の係数の1/2、忘れた人。めちゃくちゃ勿体ないです!!6分の公式を使う時は、2次の係数には常にアンテナを張っておきましょう。本番でこのミスした受験生の皆さん、まだ国立が残っているなら、2度とこのミスはしないようにと、今ここで心に誓ってください。

 

KATSUYAは20分で解答しています。(4)が煩雑すぎて解もめっちゃ汚いのでやり直し。なんかβの計算ミスってた^^; 修正して計算するも、やはり煩雑。また間違えたかなぁ。。。(- -;)と思いテンションもスピードもダウンしつつも、判別式が平方数になったので「まじか、じゃああってるやろ!」と判断し、交点出して面積出して終了。

 

☆第3問・・・【データ分析】箱ひげ図、平均と分散の計算(B、25分【18分】、Lv.2)

最後はデータ分析です。虚を突かれた感じかもしれませんが、(2)まで出せれば(もちろんそれまでの出来にもよりますが)とりあえずOKでしょう。

(1)は平均からx+y=169、分散の情報から(x-84)^2+(y-84)^2=113 です。x-84=X、y-84=Yとして、こっちを主役にすると見やすいです。データ分析ではこの手の計算が頻出ですから、このテクニックを身につけておきましょう。 

X+Y=1、X^2+Y^2=113 ですね。連立してもいいですが、整数ですから、2乗和が113になるようにあてはめ調査でX=+8、Y=-7と分かります。これが出れば(2)まで出来ます。

(3)は経験がないと難しいです。まず平均の情報から抜けた人とKさんの点数差は10点であることは分かります。問題は文さんの情報をどう使うかです。平均値が変化しているので、偏差の比較は難しいです。平均値が変化している場合は、分散のもう一つの公式を利用するのがベターです。2乗の平均ー平均の2乗の方です。これを用いると、次のように出来ます。

最初の10人の2乗和:84×84+53=7109→71090

Kさんの入った10人:83×83+62=6951→69510

Kさんと、抜けた人の点数の2乗の差が、上記2つの差の1580点ということです。z^2-(zー10)^2=1580を解けばOKですね。

※KATSUYAは12分で解答しています。(1)はコツコツ計算。算数のような計算を強いられるな^^; (3)は、、、2乗和使った方が比べやすいので2乗和で。うーん、やっぱりデータやから計算ばっかやな^^; てか、データの数値がでかいし。10点満点でやってほしいわ。

 

4.対策~パターン問題を瞬時に見ぬき、素早く計算を~

出題分野ですが、数学Bは何らかの形で全部出る傾向にあるようです。数学IIも微積を筆頭に、ほぼ全分野にわたって出題があります。あとは場合の数・確率と整数が絡みます。数Iからも、絶対値付き2次関数がよく顔を出します。

計算量が非常に多く、分量に無理のある年が多いですが、これを見ている志望者は、間違いなく計算練習をしてくるでしょう。レベル的には、原則習得には青チャートで十分でしょうが、レベルの高い重要例題でもすぐに方針が立つぐらいやり込んでおくべきです。ここ数年は大幅に易化していますが、対策は難しい年のも含めて、「この難易度になる可能性もある」と思ってやっておいた方がいいでしょう。

最終段階は入試標準レベルまで欲しいですが、ここが第一志望の場合は、穴埋め形式のつもりでとにかく素早く計算し、途中式はともかく答えをかちっと合わせる練習をしましょう。

変な難問が出るわけではない(出ても捨てて問題なし)なので、Iの絶対値付き2次関数、A・II・Bを中心にまんべんなく量をこなしましょう。

量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいですね。

以上です^^

 

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