早稲田大学 教育学部 | 2021年大学入試数学

      2022/02/22

●2021年度大学入試数学評価を書いていきます。今回早稲田大学(教育学部)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2021年 大学入試数学の評価を書いていきます。


2021年大学入試(私大)シリーズ。
早稲田大学(教育学部:理系)です。





問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。


また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





早稲田大学(教育学部:理系)
(試験時間120分、4問、記述式、一部答えのみ)

1.全体総評~小問集合が穏やかで点は取りやすい~

今年はやや易化し、質量ともにバランスのとれたセットの印象です。

第1問の小問集合は今年は比較的手が付きやすいと思います。第2問以降の大問はどれも適度に差が付きやすい問題設定で、思考力と計算力の両方を聞いている良問セットの印象です。昨年よりは得点に結びつきやすいと思われます。



試験時間120分に対し、
標準回答時間は137分【124分】(←答えのみを考慮)

2020年:152分【128分】 

2019年:148分【134分】

2018年:174分【142分】

2017年:152分【131分】

2016年:128分【117分】

2015年:127分【107分】(答えのみを考慮)

2014年:165分

2.合格ライン

第1問は今年は比較的楽なので出来れば全問正解したい。最低でも3問。
第2問は方針力も計算処理力がも問われ、難しめ。
第3問は通過領域の問題で、本学受験者であれば比較的易しめでおさえたい。

第4問はキー問題。
(2)までは取れると思われるが、(3)ができるかどうか。

第1問、第3問と第4問の(2)まで残り時間で第2問と第4問(3)を粘りたい。第2問をまるまる捨てても65%ぐらいは欲しいところ。

3.各問の難易度

第1問(1) 【複素数と方程式】4方程式の解(AB,8分【5分】、Lv.1)

4次方程式の実数解をすべて求める問題です。

虚数解が1つ与えられていますので、共役複素数も解に持ちますから、その2つを解に持つ2次方程式を考えて割り算すれば、残りの2次式を見て解を出せばOKです。

 

☆第1問(2) 【積分】z回転体の体積(B,12分【8分】、Lv.2)

線分をz軸で回転する際の体積を求める問題です。過去にも東大・京大などで出題があります。パターンレベルとしては高めですが、本学受験者であれば正解したいです。

z軸回転体は、回転する前に切ります。回転体の切断面=切断面(線)の回転体です。

まず、平面z=tで切り、その平面の原点(0,0,t)との距離を考えます。また同時に、線分AB上の点は1-t、tの係数を用いて書けます。z座標がtになるようにすると、OA→の係数をtにすればいいと分かります。

あとは(0,0,t)との距離を求めれば(実質平面上の距離です)それが半径の円となりますので、t=0~1で積分しましょう。

 

☆第1問(3) 【微分法】共通接線(AB,12分【8分】、Lv.2)

2曲線が接する条件を求める問題で、こちらも典型的なパターンです。入試基礎演習に最適なレベル。

まず、接する問題ではまず接点を置きます。次に、置いた接点x=pに対し、2曲線が接するならf(p=g(p)、f'(p)=g'(p)の連立ですね。

このタイプの連立方程式では、e^●を消去すると多項式の方程式ができることが多いです。pの値は2つ出ますが、aが正だと決まっていることから、片方に決まりますね。

 

第1問(4) 【場合の数】玉の入れ方(AB,10分【7分】、Lv.2)

箱に玉を入れるときに隣り合う箱に同じ色が入らないようにする方法です。

場合の数では、ワークにあるような計算だけで出せる問題はあまり出ません。自分で調査し、対称性や規則性を発見して計算に持っていくことを意識しましょう。

今回であれば、まず1の箱に赤、黄、青を入れる場合は対称です。(×3できる)。1の箱に赤を入れたときに、2の箱に黄か青を入れるかも対称です(×2できる)。

なので、赤ー黄と入れた場合を調べていき、それを6倍すればOKということですね。

 

※KATSUYAの解答時間は計7:41です。去年30分かかってるので、だいぶ易しくなってると思われます。

 

第2問・・・【平面ベクトル】外接円上の3点からなる三角形の垂心(CD、40分、Lv.2)

平面ベクトルからで、aOA→+bOB→+cOC→=0のタイプです。よく見る式ですが、本問はこのタイプとしては最難クラスの問題で、見た目で手はつけたものの、挫折した人もおおいでしょう。

(1)からかなり難しいです。まず、βやγから、BやCの場所を特定する必要があります。単位演習上なので、座標設定するのが良かったと思います。Aは(1,0)などに設定すれば、B、Cを三角関数であらわせます。これを等式に代入し、x成分とy成分の等式を作ることで求めるのが早かったと思います。

このタイプの問題ではほぼやらないことなので、発想的にも厳しかったかもしれません。

しかも、これだけで終わらないのが本問の難しいところ。BとCがOA(x軸)に対して反対側にある図(ABCの中にOがある)を書く人が多いかと思いますが、同じ側にある(ABCの外にOがある)ときもあります。結果も微妙に違いますので、この場合分けは必須です。

(2)は(1)が出来ればなんとかなりそうです。まず、b=cのときはBとCが反対側にあることを述べます(同じ側でb=cなら同じ点になってしまう、でOKでしょう)。

2等辺なら垂心はOA上にありますので、実数倍表現でOH→=kOA→とおけます。あとは垂心のベクトルの求め方に従いましょう。垂直条件から内積ゼロの式を作ります。

OA⊥BCは置き方ですでに使っているので、OB⊥ACを式にして、実数kを求めましょう。内積が必要になってきますので、ここで、このタイプの問題で必須の式変形が登場です。1項と2項に分けて2乗し、内積を出します。

途中、b=-1/2にならないことなども述べる必要が出てきます。「b=c=-1/2のとき、最初の等式からBCの中点がAとなり三角形にならない」ぐらいでいいでしょう。

細かいところまで考えると、こちらもかなり難しめです。

 

※KATSUYAの解答時間は26:04です。最初からいつもの2乗の操作をして、途中で詰まる。ようやくただの成分計算で連立出来ると気づいた。場合分けもいるし、これはかなりキツい。

 

☆第3問・・・【図形と式+微積分】3次関数の通過領域の面積(B、20分、Lv.3)

3次関数の通過領域の面積を求める問題です。通過領域+面積ということで、図形と式+積分の融合になります。3次関数が絡むので、微分も絡みます。うまく融合されていますが、演習経験があればパターン問題としてさくさく手が動くと思います。

普段は通過領域の問題は解の存在条件に帰着させます。(逆像法)(本問もこれで解けます)が、本問の誘導からすると、x=●で切ったときのyの範囲を求め、それを足し合わせて(面積のように積分するイメージ)領域を特定する方法(順像法)です。この方法も、過去に東大(2014年)などで出ています。

(1)は初見でも解けるようにするための誘導でしょうか。x=1/2を代入するとaの2次関数になるので、yの最大値と最小値を求めればOK。

(2)は(1)の要領で、xを定数、aを変数とみなして2次関数の最大・最小を軸分けで求めればOK。今回はa定義域とxの範囲が同じなので、最小値は軸の位置です。最大値は定義域の真ん中で場合分けしましょう。

このように、xの値に応じて最大値(上の境界線の式)と最小値(下の境界線)をxの関数として求めて通過領域を特定するのが順像法のやり方です。

なお、最小値だけもとめるなら、まず下の境界線の関数を出し、さらにその関数の0≦x≦1における最小値を出せばOK。

(3)は(2)で最大値も調べていれば、あとは0~1/2と1/2~1で分けて積分するだけです。なお、面積を求めるのに上下関係は必要ですが、最小値より最大値の方が上なのは明らかなので、今回は図を書かずとも積分して大丈夫でしょう。

※なお、順像法は「ファクシミリの原理」というあだ名でよく知られている手法です。他にも、1文字固定法予選決勝法という言い方などもありますが、どれも本質は同じものです。皆さん個人個人が、自分で分かりやすいもので呼べばいいと思いますが、入試の答案ではこれらの言葉(順像法以外)はあまり書かないほうがいいと思います。

※予選決勝法という言葉は私も好んで使いますが、私が使うのは通過領域ではなく2変数関数の問題のときですね。

 

※KATSUYAの解答時間は11:10です。早稲田教育としては割と易しめレベルですかね。

 

☆第4問・・・【数列】正三角形の総数(BC、35分、Lv.2)

最後は数列で、文章題による応用問題です。今よく見る図形の正三角形の総数を数えるという問題。今までありそうでなかった問題という印象です。

n段積んでいくということですが、試験用紙にあるように、nが小さい数字のときで実験して規則性を見つけましょう。

(1)は5段です。問題文にそのまま一段だけ追加したくなりますが、答案用紙にきちんと5段書いて数えるか。規則が分かれば「1辺が1の正三角形は1+2+3+4+5で・・・・」などと書けばOKです。ここで上向き、下向きの正三角形の個数の式の規則性がつかみましょう。

最初に小さい数字で問題が設定されている意味は、「得点を少し与える」のもありそうですが、「規則性をみつけさせる」がメインだと思いますので、その親切心しっかりとを受け取りましょう。

(2)は上向きの正三角形ですが、1+2+3+・・・・kの和なので、和の和です。なお、1辺がnの正三角形から数えていくとΣの計算はしやすいです。

1/2k(k+1)の和ですが、そのまま和の計算をするよりも、部分分数分解のときのように、1/6{k(k+1)(k+2)-(k-1)k(k+1)}と変形することで、真ん中をごっそり消去型にもできます。

(3)が差がつきそう。問題文の図と、(1)のn=5のときで、nが奇数か偶数かで場合分けが必要なことに気づけたかどうかです。また、上向きのときと違って、個数を足すときに2個ずつ減っていくことに気づけたかどうかです。

あとは答案にどうまとめるかですが、1辺がkの下向きの三角形の、一番下の頂点の存在可能な場所を数えることで説明するのがすっきりすると思います。

場合分けも発生しますし、Σ計算まで含めるとかなり時間持ってかれますね。

 

※KATSUYAの解答時間は24:06です。規則はすぐにわかった。説明が結構難しい上に場合分けなので、そちらに時間を持ってかれる。

 

4.対策

第1問の基本を落とさないために、青チャートレベルをしっかり定着させておきましょう。スピードも必要です。

第1志望でない人は、他の2次の対策をしておけばOKでしょう。理工学部と難易度は似ています。数学IIIまで早めに1ラウンド終わらせて早めに入試演習に入り、入試標準演習レベルまでは最低やってから過去問に入りたいところです。

数学で得点したいなら、仕上げ段階までやってもいいでしょう。論証は完璧な答案を仕上げる対策はコスパが悪いと思います。まずは試したりゴリ押しする力を養う方がいいでしょう。

第1志望の人は、なるべく長年分の過去問を入手しましょう。第1問の小問や論証は癖が強いです。

なお、今年は出ませんでしたが、複素数平面は頻出なので、要注意分野と思っておいたほうがいいでしょう。

量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいでしょう。

以上です^^

 

 

数学ONLYで長年分の過去問もあります。2017年までなので、最新の赤本となら被りも少ないでしょう。

 

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