順天堂大学医学部 | 2014年度大学入試数学
2017/01/20
●2014年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は順天堂大学(医学部)です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。KATSUYAです^^
いよいよやってまいりましたね。この季節。今年もやっていきます。
2014年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2014大学入試シリーズ第1弾。
私大シリーズ、第1弾。
順天堂大学(医学部)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また、☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。
順天堂大学医学部
(試験時間70分、3問)
1.全体総評~計算量が減りやや易化~
昨年よりもやや易化したという印象です。第1問の小問は相変わらず1問1問はかなり時間が掛かり、大問レベルのものも多くありますが、第2問と第3問の計算量が少し減った印象です。
とはいえ、今回の第2問、第3問はともに文字計算を強いられることになるので、人によっては今年の方が難しく感じたかもしれません。第2問は受験生の手がつきにくい数学C絡みでした。
試験時間70分に対し、
目標解答時間合計は113分。
昨年よりもさらに5分伸びています。余裕の時間オーバーです。穴埋め問題については、穴埋めであることを利用し、解き方そこそこでどんどん計算していかないと、到底間に合わないです。手はつけやすいものもあったと思うので、選んで解いた方が吉と出たでしょう。
KATSUYAは、62分で解いています。穴埋めでなければ、70
では到底無理ですね^^;
2.合格ライン
第1問の小問で(1)(2)は確保し、残りのうち半分を確保したいところです。得手不得手があるので、「どれをとる」とまでは言い難いですね・・・。
第2問は煩雑な文字計算。まともにやると大変ですが、ある程度整理されていますので、必要なところだけ計算して押し切りたい。7割確保。
第3問は少しましですが、こちらも文字計算。見慣れなさに圧倒されなければ、最後まで行けたと思いますが、時間的に手がついたかどうか。
時間的にかなり厳しいので、60%ぐらいでしょうか。
3.各問の難易度
第1問(1)・・・行列、逆行列(AB、8分、Lv.2)
最初はやはりかなりラクですが、少しだけひねりがあります。途中でよくわからない行列の逆行列を聞かれます。これの意味がわからないと、ちょっと詰まるでしょう。
行列式を計算するとわかるように、Aにかけてある行列式はともに0のため、1つの行列方程式からは2つの式しか得られないわけです。
それぞれから2つずつ得た方程式を並べれば、逆行列をなぜ求めさせたかがわかりますね^^
☆第1問(2)・・・微分、近似値(AB、10分、Lv.1)
近似値の問題で、これが一番手をつけやすかったのではないでしょうか。
√1+x は、xが小さい時は1+1/2x で代用でき、この式はx=1における接線の方程式になります。
途中にある、1/8x^2 とかいうのはダミーで、使いません。そういう意味では、かなり混乱をさそう一文ですね^^;
あとは、√17=√16+1 の状態で、√から4をくくり出すと見えますね^
☆第1問(3)・・・平行移動、連立方程式(B、15分、Lv.2)
3次関数の平行移動に関する問題です。素直に文章に従って関数を移動させ、恒等式にすればできます。変に図形的に考えようとすると、アウト。
移動のさせ方を(a,b)、1、2以外の解をcとでも置くとできます。しかし、値は汚いので計算力は必要です。
なお、bの値を求めるには、a^3を計算する必要がありますが、途中でa^2-3a+1=0 が出ているはずなので、これを用いて次数下げしましょう。 微分で極値を出すときに出てくる原則ですね^^
(Principle Piece 数学Ⅱ 微分(1冊目) p.24)
第1問(4)・・・極座標、図形、数列(B、15分、Lv.2)
正方形の中に正方形を、次々に作っていく問題です。題材は非常にシンプルですね。内分比は非常に意味ありげですが、実際に意味はあります(笑)
正方形は中心から各頂点割れば二等辺三角形なので、三平方の定理などで攻めたほうが、OAnは出せるでしょう。 比を求めるだけなら、OAn-1=1として計算すればOKです^^ これが分かれば、AnBnはセットで出せます。
後半の部分ですが、a=√2 はすぐに出ても、問題はbです。A0,A1・・・と行くごとに、15°ずつずれることに気づかないと、bは詰まったでしょう。An-1Bn-1の中点をMとし、△OMAnの辺の比を見てみればわかります、意味ありげな内分点は、ここから来ていますね。
第1問(5)・・・楕円、接線、回転体の体積、(B、20分、Lv.2)
これだけで充分大問になります。前半は接線の方程式や回転体の体積など、大したことは聞いていませんが、後半は楕円の回転体を斜めに切る内容で、題材自体は高度です。「たぶんこうだろう」ぐらいの気持ちで解答した人も多かったでしょう。
最後は、楕円をy軸方向に伸ばして円で考えると、最初の場合に帰着できます。問題文の流れからしても、円に直すことを想定しているでしょう。
楕円では考えにくい時は、円になおすのは常套手段ですので、原則として覚えておきましょう^^
(Principle Piece 数学ⅢC(原則のみ))
※KATSUYAの解いた感想
相変わらず順天堂の穴埋めはきつい。
(1)ははじめ逆行列を求めさせる意図がよくわからず。行列式0に気づいてようやく理解。(2)はさくっと終了。(3)も方針はすぐ立ち、計算は少しメンドクサイので慎重に終了。(4)内分比は意図があると判断。bの形から、15°、30°系統を予想。
(5)前半はさくっと終了。後半の最後は楕円のまま考えたくないので、円に変換して終了。
解答時間計35分。
☆第2問・・・軌跡、放物線、双曲線(BC、25分、Lv.2)
円周上の点と、定点による垂直二等分線が通りうる領域(の境界)を求める問題です。言葉にするとシンプルですが、穴埋め形式でなければ、かなり難易度が高い問題です。
文字が非常に多く、計算もかなり煩雑で、途中で諦めた人もいるでしょう。穴埋めを利用し、答える部分だけ計算するのが正解だったともいます。
最後は、焦点を2つ答えさせる問題ですが、2つあるので、楕円か双曲線です。途中はダメでも最後だけでも選んでおくのが正解でしたね。
※KATSUYAの解いた感想
問題文中の計算式から見てややこしそう^^; 実際にやってみると・・・やっぱり(汗) 書いてある部分は計算せず、穴埋めの部分だけ慎重に計算。rの値によって、x^2の係数の正負が分かれるため、楕円か放物線になることを見抜き、終了。解答時間18分。
第3問・・・平面ベクトル、角の二等分線、内心の位置ベクトル(B、20分、Lv.2)
内心の位置ベクトルを答える問題ですが、誘導が悪意を感じるほどややこしいです。
(1)は、いつもどおりの記述問題。今年は、内心の定義でした。
問題文にあるややこしいベクトルの式は、あるベクトルから基本ベクトル(長さが1のベクトル)に下した垂線を表すベクトルを示しています。正射影考え方を知っていると、意味がつかめたかもしれません。
大学では、「直交化」という概念でよく見かけるベクトルですが、ちょっと見慣れない形をしていますね。
(2)は、そのことを利用して図形的に証明してもいいですが、ベクトルのまま計算しても押し切れます。
(3)は(2)の条件が、2つのベクトルの角の二等分線を表すベクトルだと気づかないと、厳しいでしょう。そのためには、垂線ベクトルであることに気づく必要がありますが、、、、ちょっとそれは酷な感じがします。
KATSUYAの解いた感想
(1)は楽勝。(2)以降も、意味を知っていたので、図形的に証明。(3)は結果を知っていることもあり、(2)を利用しつつさくっと終了。解答時間9分。
3.対策~素早い計算力と質を高める演習を~
なによりもまず、計算力が必要です。70分という短い時間で、すばやく計算する練習をしましょう。また、穴埋め形式独特のサボり方も覚えていくといいでしょう。
量をこなす演習は、青チャートレベルでOKでしょう。意味を考えながら、解法ごと頭に入れてしまってください。質を高める場合は、過去問、あるいは河合塾の「やさしい理系」「ハイレベル理系」などで行うといいでしょう。このときは、分からない問題に2時間は考えること。
普段勉強するときから、本気のスピードで計算し、100%正解する気持ちで取り組みましょう^^
以上です^^ 次回は、関西学院大学(全学部文系)です。
■関連するPrinciple Piece■
★ 数学Ⅲ 微分
★ 数学Ⅱ 微分
★ 数学ⅢC 原則のみ (以上、第1問、第2問)
★ 数学B ベクトル (第3問)
★ 数学III 式と曲線 (第2問)
■他年度、他の大学の入試数学■
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