東京慈恵会医科大学 | 2016年大学入試数学

      2017/02/04

●2016年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は東京慈恵会医科大学です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2016年 大学入試数学の評価を書いていきます。


2016年大学入試(私大)シリーズ、第8弾。

東京慈恵会医科大学です。




問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。




東京慈恵会医科大学
(試験時間90分、4問、ハイブリッド型)

※ハイブリッド型とは、穴埋め型と記述式の混合型のことです。

 

1.全体総評~独特の形式で計算量が多い~

難易度は、昨年と変わらずです。全体的に良問のセットといえそうです。どの問題も、計算量は適度に多く、思考力もきちんと問われるような問題設定でした。確率の独特の設定や微積計算のボリュームはいつもどおり。



試験時間90分に対し、
標準回答時間は104分【96分】(←穴埋め考慮)
昨年は114分【106分】(←穴埋め考慮)

 

2.合格ライン

第1問の3個の穴埋めは出来れば確保したい。確率は意外と落とすかも。
第2問はキー問題。Qの座標が綺麗にだせないと、半分以下になってしまいます。
第3問は少し発想より。第2問で落としたなら、ここは確保しないとキツイ。
第4問は空間ベクトルです。落ち着いて取りたいですね。



70%ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

☆第1問(1)・・・【確率】球の入れ替え(B、15分【10分】、Lv2)

カードを選び、その番号が書かれた箱の中のたまを入れ替える問題です。簡単に行きそうで行かない設定で、慈恵会の確率はいつも最初にありますが、侮れません。

「4枚のカードから2枚選ぶ」ことを2回行うということなので、全部で36通りしかありません。サイコロ2個と同じなので、書き出しが最も正確だったように思います。

Principle Piece A-7

高々36通りぐらいなら書き出す

(拙著シリーズ(白)  数学A 集合と場合の数 p.17-20)



全36通りについて、赤球がどこに移動したかを書いておけば、あとは数えるだけです。

 

☆第1問(2)・・・【複素数平面】、絶対値の最大値(AB、9分【6分】、Lv.2)

新課程の複素数平面からの出題。絶対値の最大値のときは、数式・図形の両方で攻めることが出来ます。数式の方が汎用性が高いですが、計算は煩雑です。

絶対値を2乗してみると、三角関数の合成が出来る形になることが見えます。係数はちょっと汚いですが、本学を受験するならならこれぐらいは苦にせず出来ないとダメです。

 

※KATSUYAの解いた感想
確率はいつも何げに考えさせられるんよな。ここは。今年もなんかいやな予感するな、この設定。計算でやると間違えそう。36通りなら書き出し!(2)いかにも意味ありげな係数。実部と虚部で分ける。意味を考えると、実部はcos合成、虚部はsin合成だな。お、うまくいったわ^^半径2の円周上をうごいているだけか。図形的にいけるな。解答時間7+3=10分。

 

☆第2問・・・【微積総合】トロコイド、媒介変数、法線、面積(B、30分、Lv.2)

サイクロイドと同じ設定で円を転がしますが、見ている点が円の内部にある場合です。トロコイドといいます。

設定がサイクロイドと同じなら、求め方もサイクロイドと同じはずです。座標はベクトルでたどるのが原則でしたね^^

 

Principle Piece III-28

サイクロイド型(~oid型)はベクトルでたどる

(拙著シリーズ(白)  数学III 微分法 p.29-30)

 

「t」の置き方が、通常と異なります。ひっかけでしょうか。今回の設定だと、角度は「t/2」となります。

座標がきちんと出せれば、増減や法線を出すのは造作もないと思います。少々計算量は多いですが、結果がきれいなので、まだマシです。(4)を見る限り、Qの曲線は積分できなければいけませんから、変な式になったら見直すべきです。

(4)の面積ですが、三角形を移動させると、結局C1とC2のt=0~3πまでの積分とわかります。区間が同じなので関数が足せて、かなり簡単な積分になります。

※KATSUYAの解いた感想
トロコイドか。これはさくさくいけそう^^ 特につまることもなく、終了。「増減を調べよ」って、雑な聞き方やな^^; いつ増加して、いつ減少するかだけでいいやろ。(3)で計算を一度ミスり、時間ロス。面積計算はいろいろ消えてラクになり、うまいなと思う。解答時間27分。

☆第3問・・・【整数+積分】整数解、積分と不等式(C、30分、Lv.2)

整数解の存在と、その解に関する極限です。(2)の設定は少し意味がとりづらいですが、こちらもうまく聞いています。(1)は、xに奇数を入れれば必ず解が出ることを示せばOKでしょう。

(2)は、感覚的にはa/2になると予想がつきますが、どう評価すればよいかが問題です。logn/n の極限を使うことをヒントに、1/k の評価に持ち込めたかどうかです。 a/2との差をとると、端数として1/kのようなものが現れます。これの和は、1/xの積分と結びつきますね^^

 

Principle Piece III-68

不等式に数列の和
→被積分関数を選ぶヒントに

(拙著シリーズ(白)  数学III 積分法 p.66-68)

 

数列の和を評価するときは、図を書いて面積的に示すか、数式で示せばいいでしょう。a,kなど入ってますが、落ち着いて文字式を処理しましょう。

 

※KATSUYAの解いた感想
問題文短いな。シンプル。(1)は、xが奇数なら全部OKやな。(2)は、、、要はnが充分大きければ、小さい順でもいいってことやから、普通に評価すればいいな。極限はa/2は間違いないとして、差をとってみる。ヒントの利用に気づき、評価して終了。思ったより計算は複雑ではない。解答時間18分。

 

第4問・・・【空間ベクトル】正四面体、交点、内積、線分比(B、20分、Lv.2)

慈恵会の第4問にしてはかなり簡単です。空間は普段もっと難しいのですが、今年はいたって標準的なベクトル。まずはG,Pをだします。GPとABCの交点なので、GP上にあることで1-t、tを用意し、ADベクトルの成分が0になるようにすればOK。QはABCの外にあります。
あとはAR=sAB とでもおいて、RP・RQ=0(内積です)になるようにsを定めれば、そのまま答えです^^

慈恵会とは思えない難易度ですが、空間ベクトルは差が出やすいから出したのでしょう。苦手だと、この程度の問題でも苦戦しかねません。

 

 ※KATSUYAの解いた感想
ん?正四面体?じゃあゴリゴリやれば絶対出せるな。こんな簡単に方針が立つ問題は慈恵会にしてはめずらしい。順番に点を出して終了。解答時間12分。最近難易度下がってきたな、ここ。

4.対策~計算力は必須。数Bと数IIIの重点演習を~

最近は少し難易度が下がってきていますが、求められている質自体はまだ高いです。また、計算力がかなりものを言う試験なので、普段から計算に対しては全力で取り組んでください。方針が立たずに迷っているとタイムオーバーなので、典型問題はすぐに手がうごくように。

内容的には、数I、数IIからは相対的には出にくいようです(後述の「関連する拙著シリーズ」参照)。

青チャートの例題などはすぐに方針が思いつくまでやり込みましょう。その後は、同じ医学部系の過去問で演習を積むといいです。杏林大学医学部なども、時間的な厳しさが割と似ていますので、使えます^^

多少煩雑だな、と思ってもひるむ前に手が動いていくのが理想です。

量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいですね。

以上です^^

 

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■関連する拙著シリーズ■

★ 数学A 確率 (第1問(1))

★  数学A 整数 (第3問)

★  数学B ベクトル (第4問)

★  数学III 極限 (第3問)

★ 
 数学III 微分法 (第2問)

★  数学III 微分法の応用 (第2問)

★  数学III 積分法 (第3問)

★  数学III 積分法の応用 (第2問)

★  数学III 複素数平面 (第2問)

★ 計算0.9 【IAIIB】 (計算練習帳です^^)

 

 

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