センター試験 数学I・A【2015年】の難易度、傾向は?
2016/06/30
2015年に行われる大学入試数学をKATSUYAが解き、その感想や難易度などをなるべく早い段階でアップしていきます。
(今年は例年より遅くなりました。予備校(入試センター)がUPするタイミングが例年よりかなり遅く、それから解いていました^^;)
【評価指標のみかた】
1.難易度 A(易)~E(難)
2.パターンレベル
Lv.1(習得していて当たり前)
Lv.2(習得していないと、差をつけられる可能性がある)
Lv.3(習得していなくてもしょうがない)
3.解答するまでの標準的な時間
です。これら3点から、各問題ごとにコメントしていきたいと思います。
2015年センター試験数学Ⅰ・A【新課程】(60分)
1.全体評価~新課程の要素満載でやや難化~
昨年よりもやや難化しました。数学Ⅰからは計算問題が姿を消し、2次関数、論理と集合と三角比、データ分析が大問でがっつり入りました。データが大問1つで扱われるのは意外。
第1問の2次関数は、本質的には軸分けを聞いていますが、聞き方が意地悪で練習量が物を言う。例年並みか、やや難。
第2問の必要十分条件は例年並み。30までなので、書き出せばできたはず。後半の三角比は最後の半径の範囲がやや難。
第3問のデータは上記のとおり、予想よりも量が多め。平標準偏差や分散といった計算はあまりなく、四分位範囲や中央値などが重要になるパターンの問題が多く、この点に関してはお大方予想どおりか。難易度はやや難。
第4問からは確率がなくなる。当然条件付き確率もなし。全て総数を聞いてきました。塗り分けはあまりセンターでは出ていないが、書きながら規則を見つけやすかったのでは。例年並み。
第5問の整数は標準的。前半までは中学生でも解ける範囲。後半は126と11という係数の大きい不定方程式。ユークリッドで1にしたあと、1を変形するパターン。最後はmの値であることに注意。例年並み。
第6問の平面図形も標準的。2005年以前の証明誘導ではなく、数値求積がかなり多くなった。こちらは私の予想には反していたが、予備校の予想問題などは割とこの形式だったので、受験生としては助かったのでは。
※あくまで、KATSUYA個人の見解です。各予備校の見解にひっぱられないよう、各予備校の分析は(この時点では)拝見しておりません。
目標解答時間・・・・79分 【54分】←穴埋め解答時間
数学Ⅰは三角比の最後などを飛ばせば、選択はどれもそこまで難しくないので、時間としては少し余裕があったとは思います。2次関数のところなど、計算を最小限に抑えられたかがカギですね。
また、旧課程に比べると大きく時間がかかり、比較するとかなり不利な試験です。
KATSUYAは、34分で終了しています(第6問まで全て解いた時間です)。
2.各大問の難易度
第1問 (2次関数、平行移動、最大・最小の位置、2次不等式、B、例年並み、13分【7分】)
新課程は、第1問が2次関数となりました。最初に2次関数の頂点を出させ、それを平行移動させるというものです。軸が1から1+p に変わることにより、実質的には軸分けの最大・最小問題と変わらないことになります。
(Principle Piece 数学Ⅰ 2次関数 p.48)
(Principle Piece 数学Ⅰ 2次関数 p.48)
本問では上に凸なので、最大値がf(2)(定義域の左端)になるには軸≦左端のときとなり、最小値がf(2)になるには、軸が定義域の中央よりも右にある必要があります。
「<」か「≦」かまで聞かれるのは意地悪ですが、場合分けの境目「p=1」などの「=」はどっちに入れてもいいので、当然どっちも「=」が入ったものを選びます。
最後の2次不等式は楽勝ですね^^ x=-2、x=3が解になるような式を作ればOKです。
KATSUYAの感想
ただの軸分けの問題。学生には考えさせて、点数は省エネか。実際に最大・最小を出す必要はないから、まあラク。かと思いきや、ここ10点もあるのか。もう少し刻んで聞いてあげればいいのに。。。解答時間1分。
第2問[1] (論理と集合、必要十分、AB、例年並み、6分【5分】)
今年の論理と集合は集合が4つもあり、さらに否定記号などもついていますが、「30まで」とあるので、全部書きだしが正解です。直前チェックにも、「データがとびとびなら羅列」と書いておきましたが、これで確実に解けますね^^
補集合が随所に入ってくるのでややこしいですが、たった10個ですから、あやしいなら全てかいてしまいましょう。書くときは、こんな風にかけると、一目瞭然です。^^
P1= 2、3、5、7、 11、13、17、19、 23、 29
P2=1、 3、5、 9、11、15、17、 21、 27 29 (P1の集合から2引けばOK!)
Q1= 4、 9、 14、 19、 24、 29
Q2= 5 11 17 23 29
P1かつP2=3、5、11、17、29
Q1バーかつQ2=5、11、17、23 (29はダメ!)
上にあって下にないものが反例ですから、3と29となります^^
KATSUYAの感想
集合が有限だから楽勝かな^^ n+2が素数って書かれると意外と書きづらいな。21とかも入ってくるし。解答時間2分。
第2問[2] (三角比、正弦定理・余弦定理・外接円の半径、B、例年比やや難、15分【11分】)
今年は、集合と一緒に三角比の問題でした。平面幾何との融合はなくなりましたが、最後は外接円の半径の「範囲」と難しく、飛ばした人も多かったのではないでしょうか。
最初の3つはただ余弦定理(とその変形バージョン)を使えばOKです。sin120° の値はなめてますね^^;
(Principle Piece 数学I 三角比 p.24)
後半はまず点「D」を正しく取れないと難しいでしょう。∠ADCが鋭角になるように取るには、DはBCの外側(半直線CB上)にとるしかありません。次に、CDの長さを余弦定理で出せたか、というところです。こちらは、2次方程式バージョンの余弦定理です。 cosCは先に出しているはずなので、その大変AD^2=・・・の式にします。
(Principle Piece 数学I 三角比 p.25)
これでACDも3辺がわかったので、cosD→D=30° が出ます。またAPCの外接円の半径Rですが、ACは決まっているので、あとはsin∠APC次第です。
直角になることはありますので、このときが最小です。また、PがDにあるときは30°、Bにあるときは120°ですから、30°のときが最も大きくなります。ちょっと難しいですね^^;
KATSUYAの感想
最後以外は楽。最後はいろいろ自分で求めないといけなく、誘導なさすぎ。問題数の関係か。解答時間4分。
第3問 (データの分析、代表値の扱い、相関係数の計算、15分【12分】)
センター試験初めてのデータです。最初は第3四分位数(以下、Q3など)の位置を聞いています。上から10人目、11人目の間です^^
同じようにして中央値、Q1がどの範囲にあるかを調べれば、次の矛盾する箱ひげ図は選べます。さらに、そのあとのデータ補正も、文章が長めで何をしたのかわかりにくいですが、この考え方だけでクリア可能です。
この手の推測は、「Q1~Q3」と「最大値、最小値」 を見ればだいたいできるようになっています。それ以外のことは分からないからです。
最後は相関係数の計算です。選択肢の数字は割と幅が狭いので、きっちり計算したほうがいいでしょう。 データがごちゃごちゃありますが、使うのは標準偏差と共分散だけです。
※選択肢の幅がもっとおおざっぱなら、こちらも下1ケタぐらい切って8.2×7/54 ぐらい?とやってもいいでしょう。ここは臨機応変に。
KATSUYAの感想
データ消去問題は、どこを見るか。最大、最小はあっている。Q1~Q3がどこにあるかでいくのかな。よしよし^^ 次は、文章長いな^^; でも、次も一緒か。「c」とか明らかに違うだろ(笑) 最後は・・・選択肢こまかいからサボらず計算。1を超える選択肢があるんですけど^^; 解答時間9分。
第4問 (場合の数、5箇所の塗り分け、AB、15分【10分】)
確率がまったくなく、塗り分けの問題です。塗り分けはセンターではあまり出ませんが、類題経験はそれなりにあるのではないでしょうか。全通りが48通りなので、わからなかった人は最悪書き出しですね。
最初は3×2×2×2×2です。対称になるには、ABCBA となる必要があります。Aに3通り、Bに2通り、Cに2通りですね^^ 2色は簡単。 3枚塗るいは、赤●赤▲赤 しかありません。●と▲に2通りずつですね^^
後半も割と簡単です。端っこが赤なら、緑と青の配置2通りしかありませんが、途中が赤なら、配置は4通りあります。これを利用すると出ます。
赤が2枚あるときも同様ですが、余事象で 48-2(赤なし)-16(赤1)-4(赤3)=26 でもOKでしょう。
KATSUYAの感想
ん?確率ない?ってことは条件付き確率もない^^; なんじゃそりゃ。塗り分けとは、割とパターン問題では?特につまるところなし。 赤が端っこかそうでないかで、変わるのか。2枚ある場合は地道に数え、検算で余事象。解答時間8分。
第5問 (整数、素因数分解、約数の個数、不定方程式の解、B、15分【9分】)
こちらもセンター初の整数問題。センター試験自体もさぐりさぐりな感じがしますので、これで傾向が固定されるわけではないでしょう。
最初は素因数分解と約数の個数です。これはいいでしょう。また、√756m が整数となるmは、3と7が1つずつあれば√がはずれますので、21です。ここなら中3でも出来ます^^;
後半は、ユークリッドの互除法を利用する(見つかるなら不要)不定方程式です。こちらの原則に従いましょう。
(Principle Piece 数学A 整数 p.40)
126、11が係数ですので、少しみつけづらいです。1つ見つかれば(-2、-23)それに11、あるいは126ずつ足せばOK 1回たせば両方自然数になりますね^^
最後は、126kが11で割って1余るということなので、先の方程式の解k=9がそのまま使えます。
、√am=1134 ですが、これを答えにした人、いませんか? 聞いているのは「m」なので、m=21×9^2=1701 ですね。
KATSUYAの感想
整数は教科書レベルの組み合わせという感じ。今後は難しくなっていくか。前半は中学生でもできる。後半もただの1次不定方程式か。思っていたよりは簡単かな。解答時間3分。
第6問 (平面図形、方べきの定理、重心、メネラウスの定理、相似、AB、15分【9分】)
2005年以降なかったセンター平面図形の単体問題です。再度復活しましたが、様子は変わったようです。以前と違い、実際に長さをどんどん求めさせる問題に変わっています。これなら対策を立てやすいという意味で、助かりますね^^ こちらもさぐりさぐりなのでしょう。
円がありますし、式の形からも最初は方べきに気づきたいですね。次にGは重心なので、中線ABにあることに気づけばOK。DP/EP どうでしょう。こちらは「辺の比」なので、チェバ、メネラウスあたりを思い出して欲しいところですね^^ ▲ECDと直線APBで見れば出来ます^^
DP/EPが出れば、最後まで出せますね^^
KATSUYAの感想
前のように証明の誘導ではないのね。どの定理を使うかに気づけば楽勝。気づかないとお手上げなので、証明よりもハイリスク(点数がとれない)・ハイリターン(分かれば一瞬で満点)なのかもしれないな。解答時間6分。
3.対策~
レベル的には、教科書の章末問題レベルです。そのレベルの問題を、いかに素早く解くかがカギになってきます。何よりも計算力がものを言います。どの単元も、まんべんなく少しずつ問われますから、すべての計算を素早く計算する習慣を普段から身に付けておいてください。
2次で数学がいる人は、特に意識する必要はありません。2次の対策がそのままセンターの勉強になってます。過去問や模試などで、形式になれることだけしておくといいでしょう。
■関連記事■
■関連するPrinciple Piece■
・Principle Piece 数学Ⅰ 方程式と不等式
(今年はありませんでしたが、一応)
・Principle Piece 数学Ⅰ 2次関数
(第1問対応)
・Principle Piece 数学A 論理と集合
(第2問 [1] 対応)
・Principle Piece 数学Ⅰ 三角比
(第2 [2]問対応)
・Principle Piece 数学A 集合と場合の数
(第4問対応)
・Principle Piece 数学A 確率
(第4問対応、こちらも一応)
・Principle Piece 数学A 整数
(第5問対応)
・Principle Piece 数学A 平面図形
(第6問対応)
・Principle Piece 数学IA 原則のみ
(全問対応)