センター試験 数学II・B【2007年】の難易度、傾向は?
2016/12/18
本エントリーでは、2007年に行われたセンター試験数学IIBの難易度や傾向に関する情報についてまとめています。
【評価指標】
1.難易度 A(易)~E(難)
2.パターンレベル
Lv.1(習得していて当たり前)
Lv.2(習得していないと、差をつけられる可能性がある)
Lv.3(習得していなくてもしょうがない)
3.解答するまでの標準的な時間
です。これら3点から、各問題ごとにコメントしていきたいと思います。
センター試験数学Ⅱ・B(2007年)
0.2007年のセンター試験数IIBの平均点
まずは、1997年からの平均点推移を掲載しておきます。赤丸は平均点の高かった年ベスト4、青丸は平均点の低かった年ベスト4です。
(データを元にKATSUYAが作成 グラフの転載可)
今回の2007年は48.94点で、過去20年間でワースト5の年になっています。
1.総評~計算量は少なめ。数Bの難しさに引っ張れて全体的にも難~
必須の数IIは普段より計算は少ないものの、毛並みが少し変わった問題も散見。第3問の数列は後半の誘導の意図が読み取りにくく、計算も煩雑。第4問のベクトルも文字が乱立するパターンで、誘導と図形的意味を結びつける必要有り。全体として数Bの難に引っ張られ、やや難。
※KATSUYA個人としては、ワースト5になるほど難とは思えませんでした。
■目標解答時間・・・・80分
2009年の第2問の場合分けのような問題がありませんので、特定の問題に時間がかかることはなさそうですが、数Bの数列は悩みどころと計算の煩雑さが目立ちます。
2.各大問の難易度
第1問[1] (三角関数、倍角、加法定理、不等式、AB(例年比やや易)、10分)
三角不等式を題材とした、三角関数の問題。不等式はシンプルですが、誘導から何をすればよいかやや見にくいです。sinx、cosxを用いて表すには、左辺は倍角、右辺は加法定理で展開するしかありません。
三角方程式、不等式においては、角度を統一することが最優先となります。θに統一する、という方針です。
(Principle Piece 数学Ⅱ 三角関数 p.46)
「左辺の因数分解を利用して」というのは逆に誘導過剰かと思われますが^^;
(2sinxー1)(2cosx+1)>0 という形になった場合は、「両方正」または「両方負」という考え方で範囲を出しましょう^^
第1問[2] (対数不等式(底で場合分け)、底の変換、領域、B(例年並み、新傾向)、14分)
前半同様、不等式を題材とした問題。底が「y」という文字になっていることから、底の大小でlog_y を外すときの不等号の向きも変わります。 この手のタイプの問題は、類題経験がないと難しいです。
底の変換や式変形は、誘導に従えばできるでしょう。「タ」を含む式は、右辺第2項も底の変換をし、全体を2で割れば見えてきます^^
最後の領域は、y=1を境に、領域の上下が変わります。どちらが上で、どちらが下か、落ち着いて答えましょう。
第2問 (微積総合、最大値、面積、接線、なす角、BC(例年比やや易、新傾向)、20分)
2007年の微積は、計算量は割と穏やかだったっと思いますが、最後のなす角はあまり聞かれたことがなく、戸惑ってしまったかもしれません。
前半は共有点がある条件と、2次関数の最大値、数Iの範囲で解決できてしまいますね。g(x)の計算を間違えると全滅しますので、慎重に。
後半は3次関数の最大値、および面積、接線で、こちらは数学Ⅱの範囲ですが、普段より計算量も少なく、比較的スラスラ解けたのではないかと思います。
3次関数どうしの領域の面積でも、x^3の項が消えれば、こちらの原則が使えますね^^
(Principle Piece 数学Ⅱ 積分 p.29)
最後のなす角は珍しい問いですが、2直線のなす角については、こちらの原則を用います。問題文にtanとありますし、思いつくのは難しくはないでしょう。
(Principle Piece 数学Ⅱ 三角関数 p.34)
第3問 (漸化式、和の計算、階差数列、B(例年比やや難、新傾向)、25分)
この年の数列は数列の計算を強いられるところはあまりなく、誘導を読み取れるかどうかの要素が非常に強い問題で、取り組みにくかったと思われます。
(1)は、漸化式をノーヒントで解かせる問題。このタイプであれば教科書にもありますから、ここはノーヒントでもできなければいけません。
(Principle Piece 数学B ベクトル pp.6)
一般項が出れば、和は簡単に出せますね^^ 最小となる自然を求めるところが、意外と詰まったかもしれません。Sn>0を少し変形して、3^nー1>45n としておくといいでしょう。3^nの方が急激に大きくなりますから、小さい数字を入れていくといいです。n=4 だとぴったしなので、答えは n=5です。注意。
問題は後半。最初に聞かれているのは「bn+cn」です。うまく敷変形すれば出来るのかと思いきや、できません。結局最後には「bn」、「cn」の両方を聞かれていますし、この時点でbn、cn についての連立方程式を解いて、素直にその2つを足すとよかったです。なおここで詰まると、ここから先は全滅となります。
その後、その数列の階差数列を出します。階差数列は与えられていますからいいですが、これとanが一致することを利用して、d、r、xを全て出さなければいけません。文字が3つなので、n=1、2、3を代入した式を作ると良かったと思います。差をとれば3d/5 の項は消えますし、等比の部分は、(1-r)、(1-r^2)などが差となって現れます。ここだけ見れば、r→x→dの順番に出ます。
文字が多いことに加え、あまりセンターで用いることのない手法なので、難しかったかもしれません。
第4問 (空間座標、内積、内分・外分、空間上の2直線の交わり判定、B(例年並)、15分)
4点座標型の空間ベクトルです。4点が与えられているので四面体系統かと思いきや、そうではありませんでした^^;
内分点を多く聞かれますが、(1-●):●でどんどん解決します。センターに限らず超頻出手法ですから、スラスラできるようにしておきましょう。OGベクトルは、E、Fの座標を先に表してから同じく内分点を取ります。
後半ですが、OGとBCの交わり判定の問題です。空間上では2直線は交わるとは限りませんので、交わるように「b」、「s」を決めなさい、ということです。
2直線の交わりについては、こちらの原則が聞いてきます。平面ベクトルの原則ですが、もちろん空間でも使えます^^
(Principle Piece 数学B ベクトル pp.34~35)
今回は、直線のうちの1つがOGと、Oを通っていますので、OHベクトルはOGベクトルの実数倍とおけます。BC上の点については、BH=sBCとおいてありますが、結局OH=OB+sBC=(1-s)OB+sOC となりますので、上の原則を用いているに過ぎません。
3成分が一致することを利用して連立方程式を解くことで、s、t、bは全て出せます。
最後の外分点ですが、s=3/2をOHベクトルに代入し、OH=ーOB+3OC/2=ーOB+3OC/(3-1) とすれば、3:1に外分するとわかりますが、外分は分かりにくいので、図も一緒に書いていきましょう。
3.センター試験対策
レベル的には、教科書の章末問題レベルです。そのレベルの問題を、いかに素早く解くかがカギになってきます。従って、計算力がものを言います。どの単元も、まんべんなく少しずつ問われますから、すべての計算を素早く計算する習慣を普段から身に付けておいてください。
2次で数学がいる人は、特に意識する必要はありません。2次の対策がそのままセンターの勉強になってます。過去問や模試などで、形式になれることだけしておくといいでしょう。
■関連するPrinciple Piece■
・Principle Piece 数学Ⅱ 三角関数
・Principle Piece 数学Ⅱ 図形と式
(第1問[1]対応)
・Principle Piece 数学Ⅱ 指数・対数関数
(第1問[2]対応)
・Principle Piece 数学Ⅱ 微分
・Principle Piece 数学Ⅱ 積分
(第2問対応)
・Principle Piece 数学B 数列
(第3問対応)