慶應大学 医学部 | 2016年大学入試数学

      2017/02/20

●2016年度大学入試数学評価を書いていきます。今回慶応大学(医学部)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2016年 大学入試数学の評価を書いていきます。

2016年大学入試(私大)シリーズ。
慶応大学(医学部)です。





問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





慶応大学(医学部)
(試験時間100分、4問、ハイブリッド型)

 

1.全体総評~昨年並みで計算量は地獄~

難易度は昨年度並みです。相変わらず鬼のような計算量の上に、図形的能力なども聞いてきます。また、第3問や第4問は最初の設定がうまく自分の中で落とし込めて、数式処理できないと全滅です。これでも昨年度並みですから、たまったものではありませんね^^; なお、IIIの割合が少し少なかったようです。



試験時間100分に対し、
標準回答時間は200分【125分】(←穴埋め考慮)
2015年:213分【115分】(穴埋め考慮)
2014年:165分

※本エントリーの【 】内は、慶応医学部受験者層のレベルを考慮していますので、短めです。それでも、100分をオーバーしていますけど^^;

2.合格ライン(科目全体では60%)

第1問は確実に取りたい。他がダメなら、ここを見直してでも満点で。
第2問はキー問題。漸化式ができなくても、後半は出来る。差がつくか。
第3問は正四面体の座標まででしょう。ここまでは欲しい。
第4問はキー問題。第2問がダメなら、ここで踏ん張らないとキツイ。分かれば簡単なはず。


数学は比率が高いですが、かき集めてなんとか6割でしょう。

3.各問の難易度

第1問(1)・・・【場合の数】部屋割りの総数(B,13分【7分】、Lv2)

しょっぱなはそんなに難しくありません。ここができないとほぼ後がない問題です。「あ」はいいでしょう。「い」は、先生2人が同じ部屋に入る場合を除けばOK。「う」は、7人の分け方を考2、3、4に収まるような7人の分け方を考えていきましょう。

☆第1問(2)・・・【整数】1次不定方程式(B,12分【7分】、Lv2)

ただの1次不定方程式の問題ですが、さすが慶応医学部といった感じで、聞き方がいやらしいので、結構時間を取られる問題です。

自然数解が1つしかないようなものを選ぶ問題ですが、=1のときの特殊解(ー5、6)に対し、cのときの特殊解(ー5c、6c)を用いれば一般解は書けます。ー5c+11k、6c-13k です。c=222、223、224につき、両方とも正になるkが1つしかないものを選べばOK。

Principle Piece A-60

ax+by=k k=1で具体例を探す

(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.40)

☆第1問(3)・・・【積分法】絶対値付き関数の最小値(B,25分【10分】、Lv2)

典型問第ですが、まともに記述すれば場合分けは3通りあるので、かなり時間を取られます。穴埋めですから、最小になるときだけを考えます。途中で積分区間を変えるときでしょうから、1<m<eのときでしょう。答えるなら、このときだけ計算すればOKです。

場合分けの方針は大丈夫ですね。ここで詰まるようでは、本学部合格は遠いです。x=log mと、0、1の比較です。

Principle Piece II-106

絶対値付き積分は、中身=0と積分区間を比較する

(拙著シリーズ(白) 数学II 積分 p.10-11)

※KATSUYAの解いた感想
(1)は落ち着いて答える。(2)うわ、一番時間かかるような聞き方。そもそも時間ないのに^^; (3)単純な定積分の問題、結構出すようなきがする^^;穴埋めなので言葉はかかずにパパっと計算。解答時間計12分。

☆第2問・・・【確率+数列】確率、漸化式、点の移動(C、50分【35分】、Lv.2)

はい出ました。慶応医学部の名物、確率と漸化式です。恒例イベントで、レベルもいつもどおり難しいです^^;

ルールは割と簡単ですが、漸化式は3連立となり、さらに偶奇で分ける必要性があることから、意外と見た目よりも難しい漸化式です。偶奇で分けることは、問題分から分かりますが、奇数のときのan,bnは等しいなど、うまくいじっていかないとたどり着かなかったと思います。

穴埋めなので、最悪予想してそのまま答えてもOKです。本学部は時間がとにかくないので^^;

遷移については、こちらの3点セットです。対称性は、このような難問にはうってつけの方法です。

Principle Piece A-40

n回目とn+1回目を詳しく見る

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)

Principle Piece A-41

必要のない部分も文字でおいてみる

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)


Principle Piece A-42

対称性、「足すと1」も利用

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)

 

これで終わるかと思いきや、(3)、(4)はΣ絡みの問題まで出題。(3)は、A,A,・・・A,B,・・・B,C で、k回目でBに変わるとして、k=1~n-1で和を取ればOK。(4)では、さらにそれを使ってΣ計算をしろ、ということです。(2)まででも十分なのですが、さらに体力を削ってくる問題です^^;

 

※KATSUYAの解いた感想
漸化式は楽勝だが、一般項が意外とうまくいかない。奇数のときはA,B等しいから・・・えーい、予想しちゃえ。Cの方を見て、1/5への収束を確信し、ここから強引に出す。後半はΣ系、昨年理工にも出てたな、この考え方好きやな。解答時間19分。→試験終了後、ちゃんと出しました。

 

第3問・・・【空間ベクトル】空間座標、正四面体の4点座標、切り口の面積の最大値(CD、60分【40分】、Lv.3)

単元の性質上、計算量がもともと多い分野ですが、4点の座標を出させたり、切り口の形や面積出させたりと、とにかく計算量の多い問題で、第2問を捨ててきても、またくじかれたかもしれません。原則がささっと使えるようなタイプでもなく、総合的な図形処理能力も問われていて難しいです。

前半から意味がわからない可能性があります。「あ」については、A,Bの座標(x、yは媒介変数などで)をきちんとおき、内積の定義に従えばでます。cosの加法定理が見えたらこっちの勝ち。「い」まではなんとか出せるでしょう。「い」が出せないと、ここから全滅。

4点正四面体については、Aは簡単です。長さを「い」で出しています。あとは、教科書にあったように、全距離が等しいとおいて求めるしかないです。

傾いた正四面体ですが、これをなお、傾いた直線で切ったときに出来る切り口についてです。切断面がOAと平行であることに気づけば少しは望みがありますが、それでも充分時間が掛かります。気づかないと数式で押すしかないですが、各辺との交点なども求めるとそうとう時間が必要です。ここから先は捨てるかしなかったかもしれません。未回答が多くなりますが、コスパを考えて捨てる勇気が必要です。

※KATSUYAの解いた感想
漸化式を強引に出してうしろめたさを感じつつの第3問。空間ならさくっといけそうかな^^ 前半はA,Bをcos、sinなどを利用しておき、終了。これでも結構答えられない人いそうだな。でも次に「い」使うんですけど。ひどいな^^; 4点座標はもう計算覚悟しかない。距離を=で結んで連立。√ 入ってるし。最後の段落は読んだ瞬間に飛ばす(笑) 切り口は慶応で今年3回目。ムズイの多いんで、後回し!

第4問をやってから戻る。うーん、交点を式で、、、いや、それは最後の手段にしよう。何かないか、、、ない。しょうがないからOAから交点を求めようとするも、違和感。t=0ならいつも成り立つけど、、、あ、じゃあ平行ってことか。よしよし^^それならなんとかいけるやろ。相似比など、算数的思考をフルに活用し、台形の長さを出して面積計算して終了。解答時間32分。

第4問・・・【微積分総合】速度ベクトル、進んだ道のり、微分方程式など(C、40分【26分】、Lv.2)

抽象的な要素の少し強い、点の移動です。距離、角度ともに「t」の関数という、(t)という、少し喧騒な形をしていることもあり、ゴツゴツしていますが、最初はただの内積計算で済みます。そこが出れば(2)もだせるでしょう。微分方程式になります。かなり簡単なので大丈夫ですね^^

具体的に関数が出ればこっちのもんでしょう。(3)はそれに従ってiii)の条件をまた式にすればOK。証明も左辺と右辺をそれぞれ素直に計算するだけでできます。証明問題のほうが簡単ですね^^;


要所要所で計算をうまくサボらないと、ここでかなり時間をとられそうですね。しかし、やはり微積は原則がそのまま通用する問題も多く、取りどころ。

 

※KATSUYAの解いた感想
いや~第2、3問ときつい。第3問を少し飛ばしてこちらへ。ん^^;なんかこれもごちゃごちゃしてるけど、θはt+定数ってことやんな。なんか分かりづらい書き方。具体的に出てないし、極座標的においてベクトルの内積を取る。お、まあまあきれい(2)を当てはめて非常に綺麗になったので、(1)も合っていると確信。

(3)は(2)の条件を踏襲する。なら関数わかってるから計算するだけやな。案の定、計算だけで証明終了。こっちはまだましか。解答時間19分。

4.対策~癖と計算力の多さに慣れる~

傾向、形式ともに癖の強いセットです。確率と漸化式は名物で、微積と極限もボリュームの大きいものが出ます。計算力、演習ともに必要です。
高校2年生の段階でも、典型パターンの7割が習得済みであることが望ましいです。センターは余裕で9割とれるようなレベルにいないと厳しいでしょう。本学受験生の高2で、数IIIにまだ手がついていない人は、いますぐ独習してください。そんなペースでは本学部の試験には耐えれません。教科書ガイドと青チャがあれば進められます。
高3に入ったら、もう入試問題演習に入りたいところです。夏以降はさらにレベル高めの入試演習、を行い、仕上げ段階まで行ってから過去問、といった感じでしょう。理工学部もレベルや出題内容(確率と漸化式はかなり似ています)、形式が似ているので、使えます。

量をこなす演習:じっくり演習=6:4ぐらいでしょう。3年生になったらできる限りじっくり演習したいです。2時間でも考え込んでしまってもOKです。ただし、あらゆる手段で手を動かしてみることです。答えにたどり着かなくても、計算力は着実にUPしていきます。

以上です^^

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■関連する拙著シリーズ■

★ 数学Ⅰ 2次関数 (第1問(3)、第3問)

★ 数学A 集合と場合の数 (第1問(1))

★ 数学A 確率 (第2問)

★  数学A 整数 (第1問(2))

★  数学II 三角関数 (第3問)

★  数学B ベクトル (第3問)

★  数学B 数列 (第2問)

★  数学III 微分法の応用 (第4問)

★  数学III 積分法 (第1問(3))

★  数学III 積分法の応用 (第4問)

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