慶應大学 医学部 | 2013年大学入試数学
2017/02/11
●2013年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は慶応大学(医学部)です。
2013大学入試シリーズ第21弾。
私大シリーズ、第21弾。
慶応大学(医学部)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。
慶応大学 医学部(試験時間100分、4問)
全体総評
全体を通して、難易度は昨年より易化です。最後以外は誘導が割と丁寧で。点数の取りやすくなっています。お決まりの確率漸化式が今年は出題され、第3問と第4問は数学ⅢCからの出題です。全体的に範囲はバランスが取れていますが、質、量ともに厳しいことには変わりありません。
試験時間100分に対し、目標解答時間合計は165分(本学受験者なら110分)
すべてを解ききるのは難しいですが、時間の大半は各大問の最後の穴埋めであることが多いので、部分点は稼ぎやすかったと思います。
私は、78分で終了しています。
■合格ライン
第1問は出来れば全問欲しいです。あまり時間はかけたくないですが。
第2問は、p_nの漸化式までは本学受験者ならば解きたい。
第3問も誘導が丁寧なので、(1)は完答、(2)(3)は微妙。
第4問は、残り時間でどこまで出来たかです。(2)ぐらいまで行けば御の字ですね^^
部分点を取りやすいこともあり、かき集めやすいセットでしたので、65%ぐらい必要かと思われます。
※本エントリーでは、慶応(医)受験生なら穴埋めとして何分で解くべきかも、一緒に( )で書いておきます。
第1問(1)・・・三角関数、式の値(AB、7分(3分)、Lv.1)
sinとcosの条件式から、sin2θの値を求める問題。これは本学受験者でなくても落とせません。もちろん、相互関係と連立します。
第1問(2)・・・指数、対数、式の値(AB、8分(3分)、Lv.1)
こちらも、お決まりのパターンの式の値。底を統一することが大事です。統一さえすれば何でもいいですが、今回は3がいいでしょう。
☆第1問(3)・・・空間座標、垂線、長さ(B、20分(9分)、Lv.1)
空間座標の問題。他の大学なら大問に成りうるような問題です。
点から平面へ下した垂線の座標と、長さ、内分比を聞いています。聞いている内容からして、ベクトルを持ち出すのは当たり前ですね。
点から平面に下した垂線としては、以下の原則が使えます。
(Principle Piece 数学B ベクトル p.73~80)
基本は上の原則ですが、3ベクトル直交型なので、こちらのほうが楽ですね^^
(Principle Piece 数学B ベクトル p.82~83)
平面の方程式がすぐにかけ、法線ベクトルがすぐに出ます。これを利用するのがいいでしょう。
zは定数なので、最後以外にはzが入ります。このあたりが医学部らしいですね。
※KATSUYAの解いた感想
どの問題もそこまで今年はややこしくない。例年下手するとここだけで40分ぐらいかかるのでは、と思う。解答時間9分。(1+1+7)
☆第2問・・・確率、漸化式、期待値(BC、45分(30分)、Lv.2)
名物の確率と漸化式です。今年は、例年に比べると様子がわかりやすく穏やかだったと思います。
どうしてかというと、原則がぴったり当てはまる、典型問題だったからです。
(Principle Piece 数学A 確率 p.39~p.43)
本問では、赤玉の数が0個である場合もd_nとでも置いてみるとすぐに様子が見えます。これで一気にp_nの一般項までは出来るでしょう。
最後の期待値はまともにやろうとするとかなりかかります。感覚的に半分の1.5に近づくのだろうな、と思いつつ、どんな風に近づくかを試してみると、意外とすぐにわかりましたね。
なお、玉の入れ替えと期待値に関しては、拙著Principle Piece 確率(p.37~38)に載っています
ここを覚えていた人は、感覚的な期待値の出し方がわかるので、答えだけは書けたかもしれませんね^^
※KATSUYAの解いた感想
p_nの漸化式までは楽勝。最後の期待値はとりあえず答えは感覚的にだし、後で戻ってきて記述。b_nさえちゃんと出せば全部出ると判断。解答時間19分。
☆第3問・・・行列、上三角行列(BC、35分(25分)、Lv.2)
上三角行列を題材にした問題。本学受験者であれば、類題も経験済みで、上三角行列も性質はぼんやり知っていたのではないでしょうか。上三角行列は何回かけでも上三角行列です。それを利用します。
なお、最初の穴埋めは誘導もあるので、感覚でも行けますね。きちんと書くなら、もちろん帰納法です。
(2)の条件選びはとまどったでしょうか。3乗した式の成分比較をすなおに行うといいでしょう。
(3)は、k^2-3l が、関数f'(x)=0(2次式)の判別式である(従って、問題の条件のもとではf(x)が単調増加関数)ことに気づかないと、何をすればいいのか分からないですね。
※KATSUYAの解いた感想
今年行列かなり見かけるな。来年で終わりやからやとは思うけど。上三角行列の性質は知っているので、スムーズ。最後もk^2-3lはすぐに気づいたので、解答時間16分。
☆第4問・・・微積総合、体積、接線、極限(C、50分(40分)、Lv.3)
微積総合問題、および極限の絡む問題。こちらはかなり計算量も多く、厳しい問題です。
関数の形からしてあまり計算する気が起きませんが、微分とPAの長さぐらいまでは出したいです。最後のα、βや最大値は、計算量がかなり膨れますね。
なお、ほぼ同じ関数を題材にした関数が、昨年の早稲田理工・4番で出題されています。
※KATSUYAの解いた感想
PAの長さが一定になることと、グラフの形から、「ん、昨年早稲田理工の関数に似ている」と気づく。しかし、そんなことには何の意味もなくひたすら計算して終了。βの微分は形に合わせるのがメンドクサイ。解答時間29分。
対策
第1問でなるべく時間をかけずに通過し、残りの問題に時間を取りましょう。確率は毎年のように出題されますので、特にnが絡む確率の問題を重点的に。また、数学Ⅲも毎年ボリュームのある問題が出題されますので、Ⅲの対策もしっかり。
以上です^^
■他年度、他の大学の入試数学■
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■関連するPrinciple Piece■
★ 数学ⅢC 原則のみ (第1問)
★ 数学II 三角関数 (第1問(1))
★ 数学II 指数関数・対数関数 (第1問(2))
★ 数学B ベクトル (第1問(3))
★ 数学 ベクトル (第1問(4))
★ 数学A 確率 (第2問)
★ 数学III 微分法の応用 (第4問)
★ 数学III 積分法の応用 (第4問)
★ 数学III 極限 (第4問)
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