センター試験 数学I・A【2016年】の難易度、傾向は?

      2016/07/12

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2016年に行われたセンター試験の数学I・AをKATSUYAが解き、その感想や難易度などをアップしていきます。

評価指標のみかた

1.難易度 A(易)~E(難)

2.パターンレベル
Lv.1(習得していて当たり前)
Lv.2(習得していないと、差をつけられる可能性がある)
Lv.3(習得していなくてもしょうがない)

3.解答するまでの標準的な時間

です。これら3点から、各問題ごとにコメントしていきたいと思います。

 

2015年センター試験数学Ⅰ・A【新課程】(60分)

 

実際にKATSUYAが解いたものは、こちらにあります。 

 

 

1.全体評価~昨年よりは易化、大問構成が変化~

昨年より易化しました。大問構成が大幅に変化しました。第1問、第2問ともに[1]~[3]までとなり、第3~第5問が選択となりました。

第1問は、[1]不等式、[2]論理と集合、[3]2次関数 です。論理と集合は慌てるとミスしやすい。2次関数は軸分けなどが全くなく、明らかに易化。

第2問は[1]三角比、[2]、[3]データの分析 です。三角比は昨年よりも図形のイメージがしやすく、易化。[2]のデータの分析も昨年よりも判断しやすいデータと文章が並びました。[3]は若干、数学Iの範囲を逸脱しているように思えますが、落ち着いて考えればできるか。

第3問の確率は傍用要問題集レベル。確率もかけ算のみで出せるものが多く、昨年より易化。条件付き確率も、よくある典型パターン。

第4問の整数も昨年より量が減ってます。n進法の問題が出題されたが、落ち着いて考えればどうってことはないレベル。

第5問の平面図形が、唯一の昨年並みでしょうか。角の二等分線や方べきの定理、円周角の定理、チェバ、メネラウスなど盛り込まれているので、適切に用いないと全て解答するには厳しい。

※あくまで、「KATSUYA個人の見解」です。各予備校の見解にひっぱられないよう、各予備校の分析は(この時点では)拝見しておりません。
※特に今年は平均点からすると、予想とはかなり違う評価になるべきなのでしょうが、解いた感想は変えられませんので(苦笑)、このままといたします。


■目標解答時間・・・・65~68分 【40~42分】←穴埋め解答時間
(■昨年の時間・・・・79分 【54分】←穴埋め解答時間)

※幅があるのは、選択問題で時間が異なるためです。

数学Ⅰは構成が変化したのでやることがころころ変わりますが、計算量は前回よりかなり減っており、ゆっくりやっても時間は余ったと思われます。

KATSUYAは、28分で終了しています(第4問までなら19分)。

 

2.各大問の難易度

 

第1問 [1](1次関数の最小値、A、新傾向、易化、7分【4分】)

1次不等式からの出題で、センター試験では非常に珍しく面食らった人もいるかもしれませんが、2次関数より簡単です。1次関数は、傾きが正のときか負のときかで、左端と右端のどちらが最小になるかを場合分けします。

それさえ分かっていれば、(それを聞いている、と見抜ければ)どうってことはない問題ですね^^

 

Principle Piece I-19

 1次関数は定義域の両端で最大・最小である

(Principle Piece 数学I 2次関数 p.4)

 


最後は、分けたそれぞれで不等式をとき、場合分けの範囲との共通範囲を取りましょう。(これを忘れないように!!)

KATSUYAの感想

ん?2次関・・・・いや、1次関数だわ^^; ってことは、傾きの正負でわけろということね。解答時間2分。

 

第1問[2] (論理と集合、包含関係、必要十分、AB、例年並み、6分【3分】)

包含関係の記号をきいてくるという、見慣れない形です。

・ある「要素」が集合に含まれているかどうか
・集合と集合の関係

を表す記号を正しく理解できているか、という問題でしょうが、少し分かりにくいものもあり、いい問題とは言い難いですね^^;

後半は有理数、無理数系統の必要、充分の問題です。pとqについては、わかりやすかったと思いますが、「p」と「r」については、ひっかかった人も多いかもしれません。

「r」→「p」もダメです。x=0が反例となります。前半にある「ス」がヒントなのでしょうが、ひっかかりやすそうですね。

 

KATSUYAの感想

前半:なんじゃこりゃ??「ス」は何を入れる??「A=・・・」だからA同じ「集合」にしろ、ってことか。じゃあ和集合かな。 後半はいつもどおり。p→q、p→r とか絶対×やろ^^; 逆は・・・q→pはいける。r→pも行け・・・ x=0あかんわ。これ気づかんかも。解答時間2分。

 

第1問[3] (2次関数、連立2次不等式、AB、昨年比:大幅易、6分【3分】)

文字定数入りの連立不等式です。文字定数が入っている場合は、場合分けして答える問題が傍用問題集などでは多く見かけますが、今回はaの範囲が決まっているので場合分けの必要はなく、負の共通範囲があるかどうかを判断するだけです。

この手の問題は、簡単に因数分解できることが非常に多いです。答えの形からしても、因数分解できることには気づきましょう。範囲を出すことができれば、あとはー20とー4aだけを気にすればよいとわかりますね^^

 

KATSUYAの感想

2次関数、これだけ?最大値も最小値も判別式もなしで、連立不等式だけ?しかも場合分けもないし。なんかしょぼいなぁ。解答時間1分。

 

第2問[1]  (三角比、正弦定理・余弦定理・外接円の半径、B、昨年比易、10分【6分】)

今年の三角比は、昨年と同傾向と言えます。点Pを固定せずに動かし、特別な場合について考察するというものです。昨年も外接円の半径の取りうる値を聞いていましたが、「sinがどう変化するか」を考察する問題でした。

「sinの値」や「面積」が最大なるときという表現は、今後も要注意と言えます。

とはいえ、今年は昨年よりイメージしやすかったのではないでしょうか。(1)は2PA=3PBなので、PAの方が長いです!要注意。なんか、今年はちょこちょこ引っ掛けてきますね。(II・Bはもっとひどかったです)

(2)は、Pが弧ABの真ん中(正三角形)、(3)は∠Bが直角になるとき(1:2:√3)です。形も非常にわかりやすかったので、ここは全問正解したいですね^^

なお、(1)はこちらで方程式を作ります。

Principle Piece I-42

 2辺夾角、3辺が分かっているなら余弦定理利用

(Principle Piece 数学I 三角比 pp.22-23)

 

 

角度が分かるのは∠APBなので、AB^2=・・・の式を立てましょう。

Principle Piece I-43

 余弦定理は角度がわかっている部分に適用する

(Principle Piece 数学I 三角比 p.24)

 

KATSUYAの感想

昨年より全然簡単やな。昨年の三角比(特に最後!)正答率低かったと見た。でも、今年はちょっと全体的にユルすぎるのでは・・・解答時間3分。

 

 

第2問 [2]および[3]  (2データ相関、箱ひげ図とヒストグラム、分散、共分散、相関係数、昨年並み、12分【8分】)

今年のデータは、昨年よりも文章の正誤が判断しやすかったので、時間もそこまでかからずに出来たのではないでしょうか。

[2]と[3]の前半はかなり簡単です。正の相関、負の相関やその「強さ」について、散布図との対応がきちんと出来ていれば問題ありません。「計算にばかりとらわれず、こういった基本的、定性的なことの理解もしなさい」というメッセージでしょうか。

[3]の箱ひげ図は、時短テクにも書きましたが、この手の推測は、「Q1~Q3」と「最大値、最小値」を見ればできます。今回は最大値の区間が違うもの、最小値の区間が違うものを見れば出来ます。


[3]の最後は、「普段から分散や共分散、相関係数の計算過程をどれぐらい意識して求めているか」にかかっています。

元のデータよりも全体的に値が1.8倍になっています。分散は、まず平均をとって(1.8倍+32)平均との差(1.8倍のまま)を求め、それを2乗します(1.8×1.8倍)従って、その平均ですから、1.8×1.8ですね^^

共分散はどうでしょう。片方は平均との差が変わりませんが、片方は1.8倍されています。どちらも2乗しませんので、かけ算して1.8倍ですね^^
相関係数についても、落ち着いて考えます。
まず分母。セ氏のままの分散はそのまま、華氏のデータは分散が1.8×1.8倍 になっています。√をとって標準偏差にしますので、分母はトータルで1.8倍です。
分子の共分散も1.8倍ですから、結果相関係数は変わらず、です。

相関係数は意味から考えても、単位を変えただけで相関が出たりでなかったりするのは、おかしいです。変わらないハズですね^^

 

KATSUYAの感想

昨年よりだいぶ判断しやすいな。[2]は小学生の社会の資料読み取り問題やろ。[3]の箱ひげ図余裕。(2)は・・・[2]と一緒やん^^;  (3)数値を変換したときに分散とかがどう変化するか、ということやな。なんか数学Bの範囲のような気もするが・・・まあ出来ないことはないか。解答時間計5分。

 

第3問 (確率、球を取り出す、条件付き確率、昨年比やや易、AB、12分【8分】)

昨年は確率がまったくありませんでしたが、今年は条件付き確率までしっかり出ていました。マーク模試などで難しい確率をやっていた人にとっては、かなり簡単だったかもしれません。

今年はルールが簡単で、しかもかけ算一発で出せるものが結構多めでした。

最初は「少なくとも」ですから、余事象です。A、Bともに白を取る場合を引けばOKです^^

 

Principle Piece A-9

 「少なくとも・・・」なら補集合(余事象)で考える

(Principle Piece 数学A 論理と集合 p.21-22)

 

(2)もかけ算1発ですし、ここの条件付き確率は意味から考えても、かけ算のうしろである「5/11」がそのまま答えとなります。分かっている人には、ほぼ計算不要のレベルです。

(3)は本格的な条件付き確率ですが、傍用問題集などではよく見かけます。条件付き確率の分母は、「とき」の手前である「Bが白球を取る」確率です。これを求めるためには、

A赤B白((2)で出した)
A青B白(数値を聞かれている)
A白B白(書かれているが数値を聞かれていないので注意!)


の場合を全て足す必要があります。実はこの3つのうち一番下が、分子にくる確率です。

このように、「分母を求めている途中で分子を求めている」というのが条件付き確率の典型パターンです。2次試験でも使えますので、押さえておきましょう。

 

KATSUYAの感想

今年は確率か。(1)は簡単。(2)も・・・簡単やな^^; 意味わかってたらほとんど計算いらんわ。(3)は・・・・ああ、典型パターンね。今年は、全体的にひねりが少ない問題が多いかな。解答時間3分。短いな^^;

 

第4問 (整数、不定方程式の解、n進法、有限小数、AB、昨年比やや易、12分【8分】)

今年の整数問題は、2つのことをやります。最初に不定方程式がきました。係数が大きいので互除法を用いることが賢明でしょうが、すぐに「1」が出ますね^^

 

Principle Piece A-60

 ax+by=1の整数解 直感で見つかるならそれで、ダメなら互除法で

(Principle Piece 数学A 整数 p.40)

 

解が1つ見つかれば、一般解は簡単に書けます。時短テクにも書きましたね^^

後半の「=10」は、特別解の15、ー7だけを10倍すればOKです。

(2)はn進法と有限小数の問題。2進法を4進法に直すなら、一度10進法にすれば簡単ですが、11011を「1011」のように2桁ずつ区切って求めると、これが4進法区切りですので、簡単に「123」と求められます。

最後は6進法に従って素直に計算するだけです。27/216=1/8 など、数値が大きいですが、これぐらいの約分はさくっと出来るように。

 

KATSUYAの感想

今年も1次不定方程式か。因数分解系がいつでるか・・・て感じやな。後半はn進法きたか。さすがにまんべんなく出してくる。2進法から4進法ならラッキー^^

2015年、2016年で出てないのは、、、、「余りの問題」と「最大公約数と最小公倍数から2数を求める問題」とか。ん?まあいや、次に行こう。解答時間3分。昨年と変わってないな^^;

 

第5問 (平面図形、円周角、角の二等分線、方べきの定理、、チェバ、メネラウスの定理、昨年比やや難、B、15分【10分】)

今年の平面図形は、少し骨のある問題です。昨年との比較では、唯一難しくなった問題で、選択問題としては明らかにハズレです。

最初は円周角、次はそれを利用して角の二等分線の内分比、さらにメネラウスの定理です。(三角形と直線と書いてありますので、まだ親切^^)

(1)の「カ」が少し難しいでしょうか。これはチェバの定理で求める問題です。△AGDに対して、3直線が1点Eで交わっています。ここだけ誘導がないんですね^^;

ここが出来ればクリアできそうです。次の「キク」は、「同一円周上にあるので」という表現がありますので、方べきに気づいて欲しいところです。

(2)はイマイチ様子がわかりづらいですが、長さ4という情報がありますので、直径がこれ以下になることは不可能です。なので、これが最小値です。このとき、ABは直径です。

さらに図を書いていくと、C、Dが弧ABを3等分することが分かり、キレイな台形が出来ます。直線HABと直線CDGが平行なので、蝶ネクタイ型の相似を見れば最後まで解答できます。

DP/EPが出れば、最後まで出せますね^^

 

KATSUYAの感想

今年は昨年よりも使うべき定理が多様。うまく盛り込んだな。でもそこまで複雑になっているわけでもなく、いい問題^^ チェバは最初迷った。(2)は「ん??4?だよな?」と不安になるも、4以下には絶対になれないからいいか。図を書き直して最後まで終了。解答時間9分。

I・A 解き方はこちらをご覧下さい^^ 

II・B 解き方はこちらをご覧下さい^^
II・B 難易度評価はこちらをご覧下さい^^ 

 

3.対策 

レベル的には、教科書の章末問題レベルです。そのレベルの問題を、いかに素早く解くかがカギになってきます。

2次で数学がいる人は、特に意識する必要はありません。2次の対策がそのままセンターの勉強になってます。過去問や模試などで、形式になれることだけしておくといいでしょう。

→ 分野別のセンター用参考書はこちらから

→ 過去問・模試のセンター用参考書はこちらから

データ分析については、教科書のレベルと少し乖離があります。公式だけを丸暗記するのではなく、一部のデータから「どこまで確実に言えるか」を常に考えましょう。

 

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