共通テスト 数学I・A【2022年】の難易度、傾向は?

      2022/07/09

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このエントリーでは、2022年に行われた共通テストの数学I・AをKATSUYAが解き、その感想や難易度などをアップしていきます。

 

評価指標のみかた

1.難易度 A(易)~E(難)

2.解答するまでの標準的な時間

の2点を中心に、各問題ごとにコメントしていきたいと思います。

 

※あくまで、KATSUYA個人の見解に基づく評価ですので、ご了承ください。

 

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2022年共通テスト数学Ⅰ・A(70分)

 

1.全体評価~難しすぎ。もう少し受験生に配慮を~

質、量ともに数I・Aという科目になって以来の最高難易度かと思われます。私も(選択科目を全て解いているので1問多いですが)、初めて制限時間をオーバーしました。(私の衰えもあるのかもしれませんが)

これを、試験会場で緊張しながら受験した受験生の皆さんがどんな気持ちで解いていたのかと思うと、言葉になりません。私も所詮はただの部外者であり、外部からあまり批判的なことは言いたくありませんが、さすがに今回だけは言いたいです。

さすがにこのセットはヒドイと思います。今後、もう少し受験生に配慮したセットになるよう、ぜひとも検討していただきたいと思います。

 

第1問は、[1]数の計算、[2]三角比、[3]三角比 の構成で少し増えたか。[1]も後半は普段よりは難しめ。[2]は実用性のアピールは分かるが、文章が無駄に多い。[3]も後半は戸惑っていると時間だけ持ってかれる可能性は十分にある。

第2問は[1]2次関数、[2]データの分析 で、昨年と変化なし。2次関数は昨年のような文章題ではなくなったが、共通解に関する問題で共通テスト系では珍しい。後半は付け焼刃な対策ではキツイ。必要・十分条件の部分も、それ以前に放物線の動きが正確に把握できないとキツイ。 データも、相関係数の計算はまあまあメンドウな上に、散布図の読み取りが普段に比べるとはるかに絞りにくく、ここでも時間を持っていかれる可能性大。

第3問の確率は完全順列から。センター対策のみだと触れていない可能性が高いので、差が付きやすそう。理系であればここが最も簡単で、時間短縮できたところかと思われます。深く勉強していればほぼ計算なしで通過できますので、唯一。易化したところと言えるかと思います。

第4問の整数は頻出の1次不定方程式からでしたが、(2)(3)あたりから流れに乗れないと、係数が大きくまともにあたるのはまず無理。さらに、(4)は誘導なしで(2)(3)の流れを自分で組む必要がある。ケタを見てもやる気がうせる計算もあり、難しい。整数は苦手な人も多く、個人的には、ここが最もキツイと思います。

第5問の平面幾何は、使う定理はいつも通りメネラウスや方べき。しかし、昨年より明らかに誘導が減り、前半でメネラウスを使うことに気づかないとほぼ終わり。「ケ」も、意外と気づきにくく、後半も何を用いて出せばよいのか自分で考えなければならず、整数と同じぐらいキツイ。整数で泣きそうになって逃げてきた人もいそうですが、さらに絶望したのではないでしょうか。

 

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> 共通テスト(2022年度数I・A)に関するYoutube動画も上げました(全8本)ので、こちらも参考にしてみてください。

2.各大問の難易度

※緑色の表記は、数学を解き進める上でかかせない原則を表しています。

※青色の表記は、数学における超基本的な心構えを表しています。

また、今年より「8割難易度」と「満点難易度」を記載することにしました。途中までなら簡単だが、最後だけが非常に時間がかかったりするものや、後半ぐらいから結構メンドウなものなど、いろいろなタイプがありますので、目安にしてください。

☆第1問 [1](数と式:対称式の計算、AB、7分【5分】)

8割難易度・・・やや易  満点難易度・・・やや易

最初は対称式の問題、前半は3文字の対称式が出題されました。後半は2文字の対称式ですが、気づきにくく、最初から焦った受験生もいたかもしれません。

対称式の問題では、2文字ならまず和と積を、3文字なら和、積と2文字ずつの積の和を求め、それらの式で求める式を表すことを考えましょう

後半は与えられた通りx、yに置き換えて他の式を書き替えると見えますが、x+yだけはb-c+c-aと、戻す必要があったところで少し戸惑うかもしれません。

KATSUYAの解答時間1:58.71

 

 

第1問[2] (三角比:仰角の測定、A、6分【4分】)

満点難易度・・・やや易

三角比からですが、2問だけです。本質的にはtanθの値と表からθを求めるだけですが、文章が少し長くてメンドウですね。本当は「横が4倍長い」という表現も、縮尺違いで書いてあるところが遠回しです。

横が4倍長い=tanの値が4倍小さいということですので、求めた値を4で割って、その値を表で探せばOK。縦と横を逆にしてしまった場合の答えも用意されているので、ミスると気づきにくいですが、リアルで考えるとちょっと急すぎますね。(←こういう知識も持っていると間違いに気づけます)

KATSUYAの解答時間1:50.62

 

第1問[3] (三角比:垂線の長さの最大値、B、10分【8分】)

8割難易度・・・やや難 満点難易度・・・やや難

引き続き三角比で、こちらのほうが問題らしい(旧センター寄りの)問題です。しかし、後半で詰まった人も多いかもしれません。

外接円の半径が与えられている場合は、正弦定理の利用が基本です。前半、後半ともにこれで解決します。ADは直角三角形の辺なので、ABsinBなどで求めましょう。

後半は穴埋めの形に2乗が入っているので、三平方などを想像しそうですが、AD=14-2ABとして、前半とまったく同じプロセスで計算するだけ。意外と出てこないものですね。なお、長さの範囲は、辺の長さが外接円の直径の6を超えないことを用います。最後の最大値は2次関数なので平方完成で出しましょう。

KATSUYAの解答時間5:30.61 後半すっと出てこなかった、、、

☆第2問[1]  (2次関数+集合:共通解、グラフ、不等式の解、必要十分、B、例年比やや難、14分【10分】)

8割難易度・・・並  満点難易度・・・やや難

2つの2次方程式の解の個数についての問題。

最初は重解になったり、解がかぶると個数が減るという意識を呼び起こすための代入問題です。(2)に生かしましょう。

(2)では、n=3となる場合の話ですが、先ほどの例でいえば、解が1つかぶる場合、かぶらんけど片方が重解になる場合もあります。かぶる場合は、2次方程式の共通解の問題のパターンです。共通解問題では、連立して最高次の項が消えるようにするのが原則でしたね。こうすると因数分解できることが非常に多いです。出来ないタイプももちろん作れますが、共通テストレベルでは因数分解できる場合がほとんどでしょう。

片方が重解になる場合ですが、なるとすれば①の方です。②の方はD=q^2+24>0で、必ず2つ実数解をもちます。

(3)は定数項や1次の係数を変化させたときのグラフの変化です。定数項だけなら上下の移動ですが、1次の係数のときは左右とはなりません。平方完成すれば分かりますが、x方向、y方向ともに(今回は左下に)ずれます。このあたりを瞬時に判断できるかどうかで、今年のIAは時間内に終わるかどうかが決まるでしょう。

(4)がの必要十分ですが、これが難しめです。どっちがどっち以前に、いつものように集合がはっきりしないため、イメージが把握できないと手がつきません。

q=5のときで、AとBの集合はギリギリかぶらないことがポイント。(x=1が共通解)

そのうえで、q=9にするにつれて、

Aの方の解の幅は重解3を中心にせまくなります。(ともに1より大きくなります)

一方、Bの方の解はともに1より小さくなります。手前のページのグラフの移動の仕方で読み取ってほしいのかもしれませんが、ちょっときついでしょう。

以上から、AとBにはかぶりが一切ないことになります。これに気づけば答えられますが、共テという忙しい試験でここまで考えられるかと言われると私も自信はないですね。

なお、解がともに1より大きい(小さい)ことをきちんと確認するなら、軸の位置、判別式、x=1の符号で確認しましょう(解の存在範囲の原則ですね)

KATSUYAの解答時間6:26.05 最後はやはりちょっと考えました。

 

第2問 [2]  (データ分析:ヒストグラム、箱ひげ図、相関関係、BC、例年比やや難、20分【20分】)

8割難易度・・・やや難  満点難易度・・・難

データは聞かれている項目は例年ですが、じっくり見ないと答えが出せないものも多く、例年以上に時間のかかる問題でした。

最初のヒストグラムは穏やかですが、聞かれている項目が多いので、これでも時間をもってかれます。29=4×7+1(あまり1)ですので、中央値だけ存在(15番目)、Q1(7番目と8番目の間)とQ3(22番目と23番目の間)は平均です。

(2)は箱ひげ図とヒストグラムから散布図を選ぶものですが、いつもより際どい選択肢で、判断に時間がかかります。常に頭に入れておきたいこととして、箱ひげ図では、大したことは分からん、ってことです。はっきりしているのは、Q1~Q3と最大・最小ぐらいです。

箱ひげ図のポイントとして、箱やひげの長さに関わらず、今回なら7個ずつデータが分布しています。それを利用するタイプの問題は頻出で、今回はそれをフル活用します。

まず、最大値が450~500の間にあるので、①番は除外できます。また、Q1は100以下ですから、100以下が7個より少ない3番を除き、Q3が250以下なので、250以上が7個より多い0番を除外して、2番という感じです。ここまでフルで見ないと答えられないとなると、かなり時間を持ってかれます。散布図問題では、違いにとにかく着目しましょう。(今回は違いも見にくい、、、)

次の(3)は相関関係を求める問題す。相関係数は公式に従って計算すればいいですが、今年のようなセットでこの計算をガチでやらせるのはちょっとかわいそうですね。せめて選択式にしてほしかった。。。

何よりもキツイのは、最後のグラフです。結論から言うと正解は③番(らしい)です。

0.63でやや正の相関があるから①か③に絞る→平均値を考慮すると③番というのがおおよその流れでしょうが、これは完全に答えありきの説明の印象が否めません。0.63だけで①か③に絞ることは無理でしょう。

なぜなら、③の相関係数が0.63しかないのは、たった1個の、右下にある外れ値のせいだからです。(これがなければ、0.8以上は堅いでしょう) 

これはちょっと悪問では?と思っています。(データの個数が29個と少ない場合、1個の外れ値でも相関係数に大きく影響します。私自身、ここまで大きく影響することは改めて勉強になりました。)

KATSUYAの解答時間13:25.54 (2)と(4)でめっちゃ時間とられた+最後の散布図は間違えました。

 

☆第3問 (確率:完全順列、AB、例年比並、12分【8分】)

8割難易度・・・並  満点難易度・・・並

完全順列を題材にした確率の問題です。文系組でセンター対策しかしてないと、この手の問題には触れたことがない人もいるかもしれません。(チャートなどの厚物参考書であれば確実にあります)

2人、3人の場合は数えましょう。前半の確率は、少なくとも4回までに成功する確率と読み替えられます。「少なくとも」と言えるなら、余事象で行いましょう。4回とも成功しない確率を1から引けばOK。

4人に増えると、初見では苦労するかもしれません。誘導に従っていきましょう。1人、2人、4人(3人はない!)が同じものを受け取る場合を全体から引きます。このほうが計算しやすいってことです。

1人の場合・・・だれが自分のものを受け取るか「4通り」×3人の完全順列「2通り」=8通りと出ます。同様にすればOKです。

5人の場合は、4人の場合の誘導に丁寧に従って、「全部自分でやりなさい」ということです。初見だとなかなか面倒ですね。最後の条件付確率は、分母=「ときの手前」、分子「ときの前後」の計算が基本です。

分母=A,B,C,Dが違うプレゼントを受け取る(Eは自分のを受け取ってても受け取ってなくてもOK)

分子=A~Eが違うプレゼントを受け取る

となりますね。分子=44通り、分母=分子+Eだけ自分のものを受け取った場合9通り=53ですね。

 

完全順列は1通り(2人)、2通り(3人)、9通り(4人)、44通り(5人)ぐらいまでなら、数値を知っておいても損はないと思います。私はこれでかなり時間短縮できました。

KATSUYAの解答時間3:46.78

 

☆第4問 (整数:1次不定方程式、BC、例年比難、25分【20分】)

8割難易度・・・やや難  満点難易度・・・難

今年の整数問題は頻出の1次不定方程式でしたが、数IAの平均を下げた一番の原因と思われるぐらい、難しかったですね。

最初は問題文を利用し、そのままx=1とし、割り算してy=39と出します。一般解を出したい場合は、1つ代入した式と辺々引いて右辺=0の形を作りましょう。

共テにおいては、「xを16ずつ増え、yは625ずつ増えるから」という感覚で出したいところです。特に今年は、最初から馬鹿丁寧にやってたら時間がいくらあっても足りません。

易しいのはここまで。(2)から焦っていると意図が読み取れなくなりそうです。取りあえず、625=16m+1として2乗して展開すれば、32で割った余りが1だと分かるということです。

(3)は(2)を利用しますが、文章に従えば、要は5^5x-5^8が、5^5の倍数はもちろん、2^5=32の倍数にもなり、結果100000の倍数になるということです。0も100000の倍数なので、x=125(=5^3)とすればOK。一般解も125+32kなので、3ケタで最小のx=125でOKでしょう。

ですが、yの計算がきつすぎます。625×625-1を32で割ります。電卓ありの試験なのかと思いたくなります。少しサボるなら、

625×625-1=624×626=16×39×2×313=32×39×313ですから、y=39×313ですね。

(4)は(2)と(3)で意味もが分かっていないともうお手上げでしょう。やり方としては、11^5x-11^8が11^5でも2^5でも割り切れるということを利用します。それでも、xは先ほどより出すのはメンドウですし、yはもっと面倒です。さすがに今年の試験全体のバランスを考えると、ちょっと酷です。

 

累乗の値は、知っておいて損はないと繰り返し本サイトでもお伝えしておりますが、今回のはかなりそれを実感できる問題ですね。

 

KATSUYAの解答時間24:48.22 (4)は最初思いつかず、違う方法でxを正しく出したのに計算ミスでyが出ず。結果、思いついた後もxの値が同じで、それだとyが出ないと思い込んでしまったため、大幅にロス。受験生として試験場で受けていたら精神状態的に解けなかったでしょう。

 

第5問 (平面図形:三角形の重心、比の値など、AB、14分【9分】)

8割難易度・・・やや難  満点難易度・・・やや難

今年の平面図形は整数と並んでかなりキツ目です。整数がキツそうで逃げてきた人もいるかもですが、さらに逃げ場がないことを思い知らされたかも。

(1)の最初は重心の内分比などを利用するだけです。後半は、辺の比の値や、空欄の選択肢の内容的にメネラウス利用と気づきたいです。数値の部分は、きっと最初の分数の逆数が入ると予想できるとスピーディです。最後は、BF+CFがどうなるかを思いつかないとキツイです。(なお、ここが出ないと後半はほぼ全滅です)

(2)の最初は「同一円周上」の文言から、方べきや相似等の利用を思いつきたい。A始点の方べきを利用しましょう。次にAPとAQを求めますが、これは先ほどの(1)の最後の式と連立します。(誘導がなく、これに気づくのに時間がかかりますね) CFも、(1)のCQ/AQの式を利用すれば出ます。(これも気づきにくい)

(3)は、(1)の最後の問題に関連します。同様に考えれば、AD/DE=1/5であればいいと分かります。ただし、聞いているのはAD/DGなので注意。(これだけキツイセットで、こういうひっかけはどうかと思いますが^^;)

KATSUYAの解答時間 20:27.92 (1)の最後、(2)の連立を思いつくのに時間かかりました。今年はマジでキツかったですね。

 

 

関連リンク

> 共通テスト 2022年 本試IIB 難易度評価

> 他年度の共通テスト・センター試験

NEW!!

> 共通テスト(2022年度数I・A)に関するYoutube動画も上げました(全8本)ので、こちらも参考にしてみてください。

 

 

3.対策

今年はかなり難しかったですが、センター試験に比べると、テクニックを駆使するタイプの問題ではなく、比較的目新しい題材を見て内容を把握し、自分の知識と合わせて数学的に考察させるタイプに変わりつつあるのは昨年の感想と同じです。

「あ、これ軸分けの問題ね、はいはい!」のようなタイプは今後減っていくのかな、という感じがします。(2次ではもちろん必要なテクニックですよ!!)

また、数値を具体的に計算しない代わりに、一般化した場合にどのようになると思われるかを考察する問題も今後出てくるようになるでしょう。(2次関数の最後など)

来年が反動で易化するかどうかは、正直アヤシイと思います。共通テストは今後このような流れになるというメッセージとも取れます。追試の内容もしっかり見ておきたいですね。(追試の形式、内容が次の年の本試験になることはあります)

ただし、2次試験の傾向がこれに追随するとは考えにくいので、2次でばりばり数学がいる人でも、共通テストのような傾向の問題に触れておく必要があると思います。センターよりもあなどれなくなってしまいましたね。

 

 

■関連する拙著Principle Pieceシリーズ■

Principle Piece 数学I 数と式(Chapter1)

Principle Piece 数学I 論理と集合(Chapter2)

Principle Piece 数学I 2次関数(Chapter3)

Principle Piece 数学I 三角比(Chapter4)

 

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