センター試験 数学I・A【2019年】の難易度、傾向は?
2019年に行われたセンター試験の数学I・AをKATSUYAが解き、その感想や難易度などをアップしていきます。
【評価指標のみかた】
1.難易度 A(易)~E(難)
2.パターンレベル
Lv.1(習得していて当たり前)
Lv.2(習得していないと、差をつけられる可能性がある)
Lv.3(習得していなくてもしょうがない)
3.解答するまでの標準的な時間
です。これら3点から、各問題ごとにコメントしていきたいと思います。
2019年センター試験数学Ⅰ・A(60分)
1.全体評価~数学Iは易化、数学Aは微難化~
昨年よりラクかな、という印象です。また昨年と難易がひっくりかえりました。数Iは「易、難、易」、数Aは「難、易、難」で来ています。昨年ほどの偏りはなさそうで、最初に取り組むであろう、かつ60点分の数Iが易化しているので、気持ち的にも昨年よりラクで、点数的にもUPしそうですね。
第1問は、[1]数の計算、[2]論理と集合、[3]2次関数 の構成です。絶対値を外すのは典型パターン。 論理と集合は易しめか。2次関数も2大巨頭の「軸分け、解の配置」がなく、ラク。
第2問は[1]三角比、[2]データの分析
昨年は配点的に無慈悲な印象のあった三角比がラクに。ちょっとラクすぎでは?と感じるほど。平均点UPの要因になりそう。対してデータは1点や2点がちりばめられています。時間はもってかれそうですが、今年は余裕もあるし落ち着けばいけるか。最後は正規化を話題にしています。データ変換はお決まりになってきましたが、明らかに数Bの確率分布をやっといたほうがよさそうな方向ですよね^^;
第3問の確率と場合の数は、ルールをミスすると痛そうです。2回目以降は袋の色も決まっていることに注意。後半が難しいか。漸化式的な考え方を入れてきているため、理系組(2次受験組)のほうが有利化と思われます。数値も煩雑で最後の条件付き確率までたどり着くにはまあまあな実力と計算力が必要です。
第4問の整数は意外とてこずるか。1次不定方程式はお決まりですが、係数が比較的大きめ。絶対値が1,2である部分については初期解を±1倍、±2倍するだけでOKですが、差がつきそうです。最後がこの部分と絡むため、満点難易度は明らかにUPしています。
第5問の平面幾何は昨年と同じぐらいです。三角比との融合が多いですね。(昨年がもともと難しめ。)Qも実は接点になります。(よく考えたら当たり前ですが^^;)最後の余弦だけは難しいかも。
※あくまで、「KATSUYA個人の見解」です。各予備校の見解にひっぱられないよう、各予備校の分析は(この時点では)拝見しておりません。
■目標解答時間・・・・58~59分 【41~42分】←穴埋め解答時間
(■昨年の時間・・・・65~67分 【46~47分】←穴埋め解答時間)
※幅があるのは、選択問題で時間が異なるためです。データは記述式を想定しにくいので、穴埋めと時間を同じにしています。
KATSUYAは、31分(昨年40分)で終了しています(第4問までなら27分(昨年34分))2割ぐらい減っているので、易化したと言っていいと思います。
2.各大問の難易度
第1問 [1](数の計算:根号と絶対値、絶対値付き方程式、A、例年比やや易、5分【3分】)
昨年に比べるとかなりラクですかね。絶対値パターンで、根号と絡んでいる典型的な絶対値パターン。
Principle pieceI-6、Principle pieceI-7
(拙著シリーズ(白) 数学I 数と式 p.10-13)
によって余裕で解決です。
(今年から原則の内容を省略します。ご了承ください)
KATSUYAの感想
今年は簡単。絶対値を外して方程式を解かせる。ワークにもありあそうなパターンのつなぎ合わせ。1分強。
第1問[2] (論理と集合、条件の否定、必要十分、AB、昨年比やや易、5分【3分】)
今年の論理と集合も比較的解きやすいです。最初は否定が分かっているかどうか。「ともに=かつ」ですから、これを否定すると「または」になります。pの否定は「少なくとも一方が偶数」となります。
後半ですが、pとqが同値であることにはすぐに気付きたい。3mnが奇数ならmもnも奇数です。残るはrですが、rをいいかえると「m、nともに奇数またはm、nともに偶数」となります。これでソタも埋まりますね^^
Principle pieceA-45
(拙著シリーズ(白) 数学A 論理と集合 p.10)
に従うことは忘れずに。
KATSUYAの感想
今年は奇偶の問題。m、nが偶数か奇数かだから、そう考えれば4通りしかないので、ある意味かなりラクな有限集合。p、q、rそれに置きかえることにする。前半はさくっと終わらせる。qは・・・pと一緒かい!あとはrだけ4通り考えて落ち着いて終了。
第1問[3] (2次関数、頂点、最大値、平行移動、A、例年比易、6分【4分】)
文字定数a、bの入った2次関数の問題で、2文字あるのでややこしそうかと思いきや、題材がかなりしょぼめ。
最初は平方完成して頂点を出すだけです。
あとは(-1,6)を通ることからb=・・・の形に。それも平方完成して最大値を出します。最後は値を入れて落ち着いて計算するだけ。頂点に入れるぐらいなら、元の式にいれて平方完成し直したほうがミスすくなそうですけど^^;
KATSUYAの感想
今年の2次関数、しょぼい。最後の頂点はを(1)の式に入れる。最初の式にいれて平方完成して検算。 解答時間2分強。
※この程度の変動であれば、上位層にはどうってことないので、満点難易度は[1][2][3]全て例年並みです。
第2問[1] (三角比、正弦定理・余弦定理、角の判定、面積、AB、例年比やや易、7分【4分】)
今年の三角比は昨年のように図形的考察を入れていますが、かなりラクになりました。平均点UPの要因となりそうです。
3辺が2,3,4の三角形は最大角は鈍角となることを、余弦の符号によって確認させています。たしかにこれがあったほうが、後半で正しい図がかけます。普段から三角形を書くときに鈍角があるかどうかぐらいは確認した方がいいですが、今回の誘導は非常に親切です。
後半も、この正弦・余弦の使い分けすら必要のない問題でした。(昨年のままなので残します)
(拙著シリーズ(白) 数学I 三角比 p.24)
交点DはABの外側に来ます。(Aが鈍角の図を書いていれば分かるハズ)
cos(180-A)の利用から「クケ」、超基本である、直角三角形の辺の比からADも出ます。正弦定理・余弦定理に目がいっていると、このタイプを見落とします。「垂線引く→直角三角形できる→辺の比使えるかも」の流れも頭に入れておきましょう。
最後の面積はABCを出して7/4倍すればOK。
満点難易度は明らかに昨年より低いですね。
KATSUYAの感想
昨年は複雑やったけどなー、今年はいかに。お、今年も図形の考察あり。でもかなりラク。このぐらいは普段から確認して書かないとね~^^ 垂線を下ろす。なるほど、確かに変な図を書いたらこれは全滅しかねない。だとしても昨年よりはラクすぎるかな。解答時間2分半。
第2問 [2] (データ分析:ヒストグラム、箱ひげ図、変量変換、例年比並、10分【10分】)
データは、2016、2017と易化傾向、2018で少しメンドウになりましたが、今年は少し押さえた出題です。解答するところはも多めで、三角比とはうってかわって配点がこまごま。相変わらずページ数や文字、図表が多めなので時間はもってかれます。
最後の計算も昨年の追試ほどではないですが、似たような考え方のものがあり、慣れていないと厳しいか。昨年出なかった変量変換が出ましたが、明らかに数Bの確率分布の学習者が有利な出題なのはどうなんでしょう^^;
(1)は頑張って文章と資料を読み取るだけです。箱ひげ図やヒストグラムでは、大したことは分かりません。馬鹿にしているわけではなく、この考え方はセンター試験のデータ対策として大事です。はっきりと分かるのは最大値や最小値ぐらいですので、ここをしっかり見ましょう。
2013年・・・最大値が135-140の階級であること
2017年・・・最大値が120-125の階級、最小値が80(80~85の階級)であること
これだけで解答できるハズです。
(2)は結果的には後ろから見た人が時短できました。昨年同様に、答えが後ろによってますね^^;しかも今年は、微妙なものもあります(5番など)ので、それは置いといて、明らかに違うものを探しましょう。
7番は答えの候補になりそうですね。これが答えにならないと、点線の意味がまったくありませんので・・・。点線の外に出ていれば、差が15日以上あるデータとなります。数IIの領域に近い考え方です。
(3)は変量変換ですが、かなり抽象的で、せっかく対策したのに、そのタイプに見えなかった人もいるかもしれません。これは正規化と呼ばれる変換であり、明らかに数Bの分野に食い込んだ内容となっています(知らないと解けないわけではないですが・・・)。
データ数がある程度確保されている場合、(30個以上とか、いろいろ言われています)正規化した値は、平均0、標準偏差1のデータ(標準正規分布といいます)に近似できることが多いので、ひな型として使われます。
これで「テトナ」は全て埋まります。ほぼ知識です。
最後は正直、数Iでどうやって解くのかいまいち不明です。形はもとのデータと変わらないはずなので、0番か2番です。あとは値で選ぶことになりますが、「正規化したデータは、-2~2の間に95%ほどが存在する」ことを知っていないと、2番を選ぶのは難しいような気がします。(なお、-1~1の間では、2/3ぐらい存在するのが一般的)
これは数Bに食い込みすぎな気もしますが、、、
満点難易度は少し高め。上位層なら数Bの確率分布ぐらい見てるか。微妙なところ。
KATSUYAの感想
データは時間もってかれるよなー。でも落ち着いて。最初は最大値と最小値で行けるはず。次は、、、とりあえず順番に。また最後が答えかい。まあ点線を使うのが7番だけやしなー。最後は正規化か。変量変換やけど、もろにこのネタで来るんかい。残念ながら知識で選べるわ^^; 最後はー2~2の範囲やないとダメやな。数Iの範囲やったらどうやって考えるの?解答時間計7分。
第3問 (確率:サイコロ、赤球白球、漸化式的な確率、条件付き確率など、B、例年比やや難、13分【9分】)
今年はサイコロと球です。サイコロは最初しか投げないことに注意すれば、「キ」まではなんとかなるでしょう。
問題はここからです。「オカキ」の分数の値を「p」としてあるのですが、ここから2回目に取りだす球が白である可能性を求めます。確率と漸化式という分野ではよく行う操作ですが、題材的には少し難しい。確率は平均を下げそう。
2回目に白であるというのは、「1回目に白→白の袋から2回目が白」または「1回目に赤→赤の袋から2回目が白」の2通りです。
前者はp×1/2ですが、問題は後者です。1回目に白の確率が「p」なら、1回目に赤の確率が「1-p」となることを利用しないとダメです。
従って、後者は(1-p)×1/3 となります。前者と後者の和になりますので、クケ=1/6となります。1/2と書いてしまうときつい。
1回目から2回目の流れと、2回目から3回目の流れは同じです。これを一般化すると、「確率と漸化式」という分野のコアな内容になります。
Principle pieceA-41-43
(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)※しょっちゅう紹介している原則です。
最後は条件付き確率です。少し計算がメンドウですが、こちらの原則(同じなので、そのまま残します)を用いれば式自体は立てられるはず。ケタを見るとメンドウそう^^;
(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.32)
どちらも、分母はすでに計算できています。分子は、前半は「1回目白かつ2回目白」です。後半は「1回目赤かつ2回目赤かつ3回目白」です。すべて積事象ですので、掛け算だけで表せます。
漸化式的な部分は上位層にとってはどうってことないので、満点難易度は並です。
KATSUYAの感想
ルールを確認。「1回目に取りだした球と同じ色の袋から」あぶねあぶね。落ち着いて(2)までさくっと。(3)は漸化式的にやれってことね。原則通り。(4)は条件付き。分母は(3)の値になるから、(3)でダメだと総崩れか。ここは平均点下げそう。 解答時間5分。
第4問 (整数:1次不定方程式、初期解→最適解、約数、素因数分解、B、例年比やや難、13分【9分】)
今年の整数問題は、1次不定方程式ですが、条件に合う最適解を探すところが差がつきそうです。最後はこの結果を使うところまでが一連の流れであり、問題としてはかなりうまく出来ていると思います。
しょっぱなはユークリッド利用です。係数が大きいので。ここら辺も、普段より少し難易度高め。ユークリッドで行えば初期解がそのままアイウになります。そのまま時短テクで一般解へいきましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.9)
(2)は出来たでしょうか?ちょっと分かりやすくいってみます。
49x-23y=1 の初期解としてx=8、y=17 があります。 ここで、
49x-23y=2 の初期解は、2倍して x=16、y=34とできます。
49x-23y=-1 の初期解は、-1倍してx=-8、y=-17と出来ます。
あとは23k、49kをくっつけるだけです。(ここは2倍、-1倍しませんよ!)(2)ではこれを利用します。
前半は49x-23y=±1 ですので、A=49xだけ考えると、x=23k+8、23K-8 で最小の自然数を選びます。k=0のときの8が最小です。
前半は49x-23y=±2 です。またAだけ考えると、23k+16、23K-16 で最小の自然数を選びます。今度はK=1のときの7が最小です。
うまく練られた問題です。
後半は文字式でもユークリッドが通用します。a+2=a×1+2 なので、(a+2,a)の公約数は(a,2)の公約数と同じです。1か2しかありません。ソ=6は公式ですね。
(4)の素因数分解はOKでしょう。最後は難しいですが、(2)で行った作業も必要です。
b、b+1、b+2の中で、23の倍数と49の倍数になるものが両方存在する→23の倍数と49の倍数の差が1か2になる
この読み替えにより、差が2になるb=49×7、b+2=23×15 (b=343)が一番小さいと分かりますね。
こちらも満点難易度は少し高めです。なめてかかると最後で動揺するでしょう。
KATSUYAの感想
今年は1次不定方程式。最適解をかなり聞いてくる。±1、±2をやれと。こんなしつこく聞いてくる→あとで使うのだろうと判断。後半の最後の素因数分解で7×7=49、23が出てきたので確信を得る。なるほどね。良問。解答時間6分。
第5問 (平面図形:内接円の半径、接点までの長さ、チェバの定理、余弦定理、例年比並み、B、12分【8分】)
今年の平面図形は数Aの中では比較的最後の方までいけそうな問題です。満点組を除けば、数Aの中では点数に結びつきやすいと思います。(満点組にとってはどれも同じぐらいです)
最初は内接円の半径なので、面積を2通りに表す方法です。三角比によってますね^^;
Principle pieceI-50
(拙著シリーズ(白) 数学I 三角比 p.32)
ADは、接点と頂点までの距離ですから、x、y、zと置いて3元連立か、xだけ置いてぐるっと回ってくるかのどちらかです。
Principle pieceA-88
(拙著シリーズ(白) 数学A 平面図形 p.40-41)
AD=AE=1ですから、DEは余弦ですね。
チェバの定理によって次の比は出ます。比も聞いてますし、図形を書けば、チェバであることは明白ですね。
(拙著シリーズ(白) 数学A 平面図形 p.28~30)
なお、QはBCと円の接点になりますので、そのままIQまで出せますので、かなりラクに17点まではたどり着けます。
最後はどうでしょう、おもいついたでしょうか。
私の思いついた方法だと、円周角で∠DFE=∠DQEへ移します。DQ^2,EQ^2 はcosB,cosCを求めれば出せます。DEも出しているので、△DQEは3辺とも出るので、第2余弦定理で出せます。時間はかかります。
これを執筆中に、∠DFEを∠DEAに移して(接弦定理)、△ADEで第2余弦(2等辺なので使うまでもないか)を思いつきました。思いつけばこっちがぜんぜんはやい。
KATSUYAの感想
最初は三角比がもろにある。えっと、面積を出すためにまずcosを、、、いや、値かいてあるわ^^; 使って半径を出す。AD,DEもさくっと終了。次もチェバが明らか。Qは接点か。まあ長さ考えたら明らかやな。IQは半径。なんか平面図形だけ点数取るの簡単では? 最後はラクな方法が見つからず、計算ゴリ押し解答時間6分。最後思いついていれば5分切れたなぁ。
I・A 解き方はこちらをご覧下さい^^
II・B 解き方はこちらをご覧下さい^^
II・B 難易度評価はこちらをご覧下さい^^
3.対策
レベル的には、教科書の章末問題レベルですが、発展的な内容も見受けられます。そのレベルの問題を、いかに素早く解くかがカギになってきます。また、公式は単なる暗記にとどまらず、適用しながらでもいいので、普段からなぜその式で出せるのか、どういう仕組みなのかを理解しましょう。
2次で数学がいる人は、特に意識する必要はありません。2次の対策がそのままセンターの勉強になってます。過去問や模試などで、形式になれることだけしておくといいでしょう。
データ分析については、教科書のレベルと少し乖離があります。公式だけを丸暗記するのではなく、一部のデータから「どこまで確実に言えるか」を常に考えましょう。データの変量変換は今後も要注意分野です。数Bの確率分布も、可能ならチェックしておきたいところです。
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