センター試験 数学II・B【2019年】の難易度、傾向は?
2020/01/20
2019年に行われたセンター試験の数学II・BをKATSUYAが解き、その感想や各問題の難易度などをアップしていきます。
【評価指標】
1.難易度 A(易)~E(難)
2.パターンレベル
Lv.1(習得していて当たり前)
Lv.2(習得していないと、差をつけられる可能性がある)
Lv.3(習得していなくてもしょうがない)
3.解答するまでの標準的な時間
です。これら3点から、各問題ごとにコメントしていきたいと思います。
センター試験数学Ⅱ・B(60分)
1.全体評価(難易度)~一部(数列の後半)を除けば取り組みやすいか~
新課程になってから最近ワースト5に入る難易度が多いですが、2017年以降はじょじょに普段の難易度に戻りつつあります。今年は新課程になってから最もラクかな、という印象です。
第1問の三角はかなり典型的で、指数・対数は例年並み。第2問はいつも通りの接線、面積、放物線絡みだが、因数分解が肝か。第3問の数列は後半の漸化式がかなり厳しい。計算も煩雑で、満点組泣かせのタイプ。第4問の空間ベクトルは素直な設定の問題が多く、いつもよりはラクか。第5問の確率は安定の難易度で、通常運転。
全体的にはやや易化かと思います。
今年は弧度法とは、のような定義を聞いてきませんでしたが、今後も油断は出来ないです。
※KATSUYA個人の見解に基づくものです。予備校の見解にひっぱられないように、ブログ掲載時点では予備校の見解を見ておりません。
■目標解答時間・・・77分 【52分】←穴埋め形式なら
(昨年解答時間・・・76分 【52分】←穴埋め形式なら)
時間的には昨年とかなり似ていますが、数列に引っ張られています。全体でみれば、取りやすい問題が増えていると思います。満点狙いは数列のせいで厳しいか。
KATSUYAは昨年同様、35分で終了しています(第4問まで)。今年の方がラクやとおもったけど、微積の後半と数列でちょっとロスしたかな^^;
2.各大問の難易度
第1問[1] (三角関数:倍角、半角、合成、最大値、方程式、例年比易、AB、8分【5分】)
今年の三角は典型的なパターン問題にたいして、最大値を出すのと方程式を解く問題。
式自体は、典型的な2θ合成パターンです。原則通りに倍角や半角などで2θに合わせましょう。
Principle PieceII-77
(拙著シリーズ(白) 数学II 三角関数 p.54) ※今年は原則の内容は省略します。ご了承ください。
「合成を用いると」と書いてありますので、さすがに大丈夫でしょう。方程式は慎重に。2θーπ/4の範囲にあてはまるものを探しましょう。
※満点難易度は例年比易です。これは楽勝。
KATSUYAの感想
ん?かなりパターンな式を持ってきたな。昨年は6度とか36度とか変なのあったけど、今年はさすがに典型的すぎるか?解答時間2分。
第1問[2] (指数・対数関数:指数方程式と対数方程式、例年比やや易、B、6分【4分】)
今年の対数は昨年同様に、穏やかな感じです。
式自体は少し面くらいますが、それは例年通りで、今年はまだまし。誘導に従って②をまずは変形します。底が合ってないなら、真っ先に合わせないといけませんね。
Principle PieceII-84
(拙著シリーズ(白) 数学II 指数関数・対数関数 p.15)
底の変換も誘導にありますし、迷うことはありません。
1文字消去できたら、③へ代入。教科書の応用例題にもありそうな、置き換えの典型的なパターンです。
Principle PieceII-82
(拙著シリーズ(白) 数学II 指数関数・対数関数 p.9-10)
tの範囲ですが、x>-2なので、y=(1/3)^x のグラフを考えれば、0<t<9と出ます。意外と差がでそうですが、「ハ」でt=9を入れると後がおかしいので、t=2を入れるでしょう。
最後は底が1/3ではなく3なので、要注意。底が逆数にするなら、真数も逆数にすればOKです。
※満点難易度は例年比やや易だと思います。
KATSUYAの感想
指数・対数も簡単めかな。式はそこまで複雑ではなさそう。いつも通り誘導に従って終了。解答時間2分強。
第2問(微積分:3次関数の極値、放物線の接線、面積など、例年比並、B、20分【14分】)
昨年は少し見た目が変な問題が出ましたが、今年はいつもどおりの微積総合です。
最初は「x=-1で極値2をとる」なので、問題文通り2つの式を作りましょう。極値をとることと、2をとることは別の条件ですね。
Principle PieceII-98
(拙著シリーズ(白) 数学II 微分 p.20-21)
3次関数が確定したら、極小値も出しましょう。
(2)は接線と面積でこれも典型的。交点をだしているので、「スセ」の面積から、三角形を引く方法で出せということでしょう。なお、Sは放物線と2接線の面積なので「12分の公式」でもいけます。
「スセ」は接線絡みの積分です。準公式ではありますが、この積分はこれで2年連続の出題となりますので、こちらの原則でしっかりと計算をサボりたいですね^^ (↓昨年と同じなのでそのまま残します)
(拙著シリーズ(白) 数学II 積分 pp.34-37)
(3)は本格的に3次関数と絡めて来ます。接線が3次関数にも接するので、接点を「b」と置いています。3次関数の場合、接点以外の交点が存在しますが、それが放物線Dの点A(曲線C上にもある)になる流れです。
これを読み取れれば、グラフ自体は必要ないかと思われます。
「チツテ」はただの代入、「トナニ」もまた接線作るだけです。ここまでは取れるでしょう。21点分です。
次の、Cの式で連立したときの因数分解は、センター試験数II・Bとしては初の3次方程式となるでしょう。因数定理でやってほしいのでしょうが、「b」が入っている状態なので、背景やテクニックを知っていないと厳しいです。
3次関数の接線以外の交点については、拙著を読んでいれば原則によってほぼ一瞬で出すことができますね^^
Principle PieceII-96
(拙著シリーズ(白) 数学II 微分 p.18)
x=bで接するので、bで重解。3解b、b、cとして解と係数の関係を用いればOK。「ヌネ」は、ぶっちゃけ計算不要です。
a,bの関係が分かったので、あとは接線(の傾き)が同じであることに着目すればOK。kも出ますので、先ほどのSも出ます。ここまで取れたなら、頑張って最後までもぎ取りたい。
※上位層なら接点以外の交点はお手のものでしょう。その意味では普段よりラクかもです。満点難易度はやや易。
KATSUYAの感想
最初は普段通りっぽいかな。最初は微分、中盤で接線と面積。後半は割と設定多め。とりあえず誘導に従ってもう一回接線出す。3次関数と連立なら原則で残りx=ー2b。あ、これが点Aになるから・・・という流れで納得。あとは計算をゴリゴリやって終了。8分強。
第3問 (数列:等比数列、階差数列、複雑な漸化式、例年比難、B、25分【17分】)
今年も前半は典型的でしたが、後半は複雑な漸化式と、ここ数年は数列の後半は覚悟が必要です。今年の置き換えはかなり難しいのではないかと・・・。
前半のSn、Tnはいいでしょう。等差数列の和の公式を2回使わされます。正確に。
問題は(3)からです。かなり複雑な漸化式を題材にしており、置き換え方も複雑です。誰だこんなん考えるの^^;
まずTnの漸化式ですが、4に指数が入っているので、Tn+1とTnは「だいたい4倍」違うはずです。なので「セ」には4を入れておき、あとは合うように調整すればOK。漸化式を作る問題は割と見かけます。
これを入れつつ、bnについての漸化式にするのですが、これがまた結構メンドウ。a_n=nb_n-2T_n と変形して、漸化式に代入するのが最も素直でしょう。するとn(n+1)で全項が割れるのが見えます。
{bn}の漸化式が作れれば、本問は勝ちでしょう。典型的な4型(拙著で名付けているだけ)で、一般項はすぐに出せます。
Principle PieceB-12 漸化式4型
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.33)
最後の計算は慎重に。マイナスで括るあたりがちょっといやらしい。
※上位層にとっても、この漸化式はキツイと思います。最後は時間もとられますし、満点難易度は難です。
KATSUYAの感想
前半は等比数列の和、、、てか、和ばっかり^^; 後半は漸化式か。結構複雑。Tnはいってんの?置き換えも「???」って感じなのでとりあえず誘導を見るとTnの漸化式を作って、すぐにbnの漸化式。結構難しいぞ。a_n消去で素直にゴリゴリやることにしよう。途中計算ミスり、n(n+1)で割れないことで戻って2分ほどロス。無事にたどり着いたら、あとはまたゴリゴリ計算。今年の漸化式、キツイわ。解答時間13分弱。
第4問(空間ベクトル:台形、内積、長さ、角度、平面への垂線、体積、B、例年比並、18分【12分】)
四角錐を題材とした空間ベクトルですが、前半がほぼ平面ベクトル、後半で空間です。交点を出したりするところはほとんどなく、その意味ではかなりやりやすい問題だったかと。
(1)はいいでしょう。内積ゼロ、垂直で三角形の面積は終わりです。
(2)も、基本ベクトルはOが始点なので始点合わせで引き算の形になおせばOK。
(↓昨年と同じなので残します)
(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.34~35)
角度などから分かるように、ABCDは、正三角形を3枚合わせたような形をしています。そんな図をかければ、AD(→)=2BC(→)も計算不要ですね。ODベクトルも出ます。面積も正三角形×3でOK。四角形の面積はベクトルにこだわらずにいきたいところ。
(3)は典型的な平面への垂線問題。垂線が平面OAC上にあること(式ですでに置かれています)、OAとOCの両方に垂直であることを用いて連立しましょう。
Principle PieceB-56
(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.75)
BHの長さについては、2乗の展開計算を慎重に。
「フ」は、聞き方からすると体積比です。Oを頂点、ABCDを底面と見れば、さっきの立体との比はABC:ABCDの底面積の比と分かります。1:3ですね。 3V=1/3×ABCD×h とすれば最後まで行けます。
最後まで比較的素直な流れだと思います。
※満点難易度はやや易とします。上位層がこの程度の計算にひるむとは思えません。
KATSUYAの感想
今年は空間か。始点もOで素直。昨年は変なところやったから、クレームでも来たかな(笑)基本ベクトルの情報は、、、全部そろってんのかい^^; じゃあなんでも出せるはずやな。出せるところをどんどん出して(2)まで終了。(3)は平面に下ろした垂線でこれも分かりやすい。そこに下ろすのか^^; 最後は体積を2通りにするパターンで終了。最後まで素直な問題おおいな。 解答時間8分。
3.対策~教科書の基礎事項にも目を配る~
レベル的には、教科書の章末問題レベルです。そのレベルの問題を、いかに素早く解くかがカギになってきます。
2次で数学がいる人は、特に意識する必要はありません。2次の対策がそのままセンターの勉強になってます。過去問や模試などで、形式になれることだけしておくといいでしょう。
■関連するPrinciple Piece■
(第1問[1] 対応)