共通テスト 数学II・B【2022年】の難易度、傾向は?

      2022/07/05

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このエントリーでは、2022年に行われた共通テストの数学II・BをKATSUYAが解き、その感想や各問題の難易度などをアップしていきます。

 

評価指標

1.難易度 A(易)~E(難)

2.解答するまでの標準的な時間

です。これら2点から、各問題ごとにコメントしていきたいと思います。

 

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共通テストIIBに関する動画(全7本)もUPしています。

 

共通テスト 数学Ⅱ・B(60分)

 

1.全体評価(難易度)~IAほどではないが難化~

細かく見れば簡単なのもありますが、全体的には難化です。しかし、IAの難化に比べれば、健全な難化と言えると思います。適度な誘導があり、繁雑な計算はすでに完了していたりするので、数学的な理解をしっかり聞いている印象です。

第1問[1]は三角関数+図形と式の単元との融合での出題です。2通りのアプローチで接線の傾きを求めます。比較的簡単です。

第1問[2]は指数・対数で、大小関係に関する問題です。こちらも、センターのようなテクニカルに変形していくものではなくなりました。むしろ、どのような条件のとき大小関係がどのようになるかの考察で、思考力を問う問題です。後半は難化です。

第2問の微積は、3次方程式の解を題材にしたものです。センター対策しかしてないと前半は結構キツイと思います。後半は計算するだけなのでまだマシですが、こちらも難化です。

第4問の数列はなんと文章題でした。文章が長すぎるということは置いておき、文章から自分で漸化式を作成し、それを解くという流れです。最後は数値計算も入るので、平均点を下げる要因になった大問かと思われます。難化でしょう。

第5問の平面ベクトルは単位円上の3点が題材です。昨年の12面体に比べれば易化でしょう。

 

※例年通り、統計(今年は第3問)については省略しています。

※KATSUYA個人の見解に基づくものです。予備校の見解にひっぱられないように、ブログ掲載時点では予備校の見解を見ておりません。

 

2.各大問の難易度

※緑色の表記は、数学を解く上で必要な原則を表しています。

※青色の表記は、数学を解く上で必要な、超基本の心構えを表しています。(どうしようもなくなったら、ここまで戻ってください、ってことです)

☆第1問[1] (図形と式+三角関数:円、接線、倍角、例年比やや易、AB、7分【5分】)

8割難易度・・・易  満点難易度・・・やや易

今年は図形と式+三角の融合問題です。

(1)は円の中心と半径求めるだけです。領域は不等式の向きで判断しましょう。

(2)は円の外から引いた接線を2本もとめますが、図をかくと1本はx軸(y=0)だとすぐにわかります。もう一本を求めるのに、2通りの方法が紹介されています。この方針について理解し、好きなほうで計算してもらうという流れです。

太郎さんは傾きkとして直線を表し、円と連立して重解条件、花子さんは中心、(-8,0)、接点を結んだ直角三角形の角度に着目し、その2倍角のtanで傾きを求めるということです。ということです。

花子さんの方が計算は簡単ですね。最後の不等式は図を見ればすぐにわかるでしょう。

この手のタイプの問題は、必ず図を書いて視覚的にも正解を導きましょう。

 

 KATSUYAの解答時間 2:20.76

 

☆第1問[2] (指数・対数関数:指数関数の値、最小値、方程式、例年比やや難、B、12分【8分】)

8割難易度・・・並  満点難易度・・・やや難

指数・対数は三角に比べると共通テストっぽくなりましたが、考察のために計算をコツコツやる感じです。

(1)は対数の単純計算です。なお、log_3 9=2です。これを「3」と言う人、受験生でもまあまあ見かけます。心当たりがある人は気を付けてください。

(2)の前半は指数式と対数式の変換ができるかどうかです。対数を習うときに、最初に教わることです。これは答えられないと、付け焼刃な勉強ということになってしまいます。対数は回数(タイスウはカイスウ)と覚えておきましょう。

(3)の不等式は、(1)(2)の流れを受けています。底と真数をひっくり返した対数は、大小関係どうなるの?ということを、一般的に考察していく流れです。t>1/tの不等式は、問題文でやってくれています(このあたりは、絶妙にバランスをとっています)ので、私たちが考えるのは、その式のlogを取る作業です。底が1より大きいか小さいかで、不等号は向き注意しなければいけませんね。落ち着いてlogを外し、正しい式を選択しましょう。

 

最後は結構面倒ですが、p<1<q,rであることに加え、pq>1、pr<1となるので、ここから判断することになります。数値が際どいため、慎重になる必要があり、時間を持っていかれますね。(早慶の文系学部あたりに、誘導なしで出そうなイメージ)

 

KATSUYAの解答時間4:52.19

 

☆第2問(微積分:共通接線、面積、グラフの概形、3次関数の最大値、例年比並、B、25分【18分】)

8割難易度・・・やや難  満点難易度・・・やや難

今年のの微積は[1][2]に分かれました。前半の方がきつめです。

[1]は3次関数の概形や解の個数、交点を出す問題です。最初はグラフの概形ですが、a=0やa<0だと、f'(x)の値が常に正となり極値がないということになります。これを利用してグラフを選びます。

次に、3つの解を持つ条件です。解の個数は定数分離で視覚化するのが原則ですね。極小値と極大値の間であればOKですが、式がちょっと繁雑。2個の共有点のときは片方が接点です。そのときのもう片方の交点は、まともに計算すると係数も汚く、今回は結構つらいです。3次関数で接点以外の交点を出すときは、解と係数の関係でサボるんでしたね。

(3)は3次方程式の解の個数や極値の有無のことをきちんと体系的に理解していないと、これも意外とキツイと思います。理系ならば体系的な理解のための勉強をしていることを想定できますが、センター対策でここまでの勉強ができているかどうか、ですね。

3次方程式の解の個数は、3次関数の極値の有無、(f'(x)=0の判別式Dの符号)と極大・極小の積の符号で決まります。チャートなどで確認しておきましょう。

 

[2]は2つの3次関数の交点や面積の問題です。面積を求めるのに必要な情報は、交点と上下関係です。特に上下関係は、引いた式をよく見てはっきりさせないと、S、T、S-Tをすべて間違えます。(私のように、その後の計算で符号が合わないことで気づけばいいですが(苦笑))

最後は3次式=0なので、因数定理などを用いて計算します。因数定理で解の候補となるのは、定数項の約数/最高次の約数です。形からして、分母が2であること、分子は1か5であることをうまく利用して計算量を減らしましょう。

 

KATSUYAの解答時間[1]2:35.95 [2]7:06.58 [2]は上下関係逆にしてました。

第4問 (数列:等比数列の和、部分分数分解型、複雑な漸化式、階差型漸化式、例年比やや難、B、24分【16分】)

8割難易度・・・やや難  満点難易度・・・やや難

数列は、これがセンター試験ではなく共通テストだぞ、と言わんばかりの文章題です。文章長すぎというコメントを多く見かけましたが、数学は設定をきちんとしなければ解釈が人によってずれるため、このような長さになるのでしょう。したがって、それは仕方のないことかな、と思います。

グラフもあるので、この程度の文章ぐらいは読み解いて、自分で数式化できるようにしておくべきだと思います。共通テストの流れから考えても、今後はこのような構成になる可能性の方が高いと思います。

最初はグラフでほぼ解決できます。メモリを等間隔にふっていくだけで答えられます。

一般的な考察も、グラフが与えられているのは非常に丁寧です(これがないと難易度はかなり上がったと思います)。an,bnからはじめて、グラフが折れる部分のx座標、y座標を順番に求めていき、a_(n+1)やb_(n+1)までたどり着きましょう。こういうときほど、焦ると絶対に解けません。

漸化式ができればこちらのものです。まず、bnは4型漸化式ですので、特性方程式を用いて等比数列型に帰着させましょう。anの漸化式は階差型ですので、階差数列からもとの数列を求める公式を用いれば一般項は出せます。

最後は数値計算です。これがまあまあ時間を取りそうですね。3の累乗など、覚えているかどうかも時間短縮につながります。なお、最後のxはa4+b4を出してほしいということです。ただのa4やb4、a5やb5ではないので注意。

 

KATSUYAの解答時間11:33.87 漸化式を2つもとめたり、最後の数値計算が地味にメンドウでした。

 

 

第5問(平面ベクトル:単位円上の3点、垂直条件、長さなど、B、例年比並、24分【16分】)

8割難易度・・・普通  満点難易度・・・やや難

ベクトルは昨年よりセンターっぽくなり、基本的には誘導に従って数値を計算していく方針です。取り組みやすかったかもしれませんが、分量は多いかもしれません。

(1)はcosを出したりベクトルを出したりするだけです。CQベクトルは始点をOに合わせましょう。ベクトルの差の公式は、始点合わせの公式と思っておきましょう。また、垂直は内積ゼロですね。なお、この辺ぐらいなら図は不要ですが、ベクトルでは最初から図を書くことを習慣にしておきましょう。

(2)も、最初は垂直なので内積ゼロで解決です。次の選択肢ですが、直線の傾きが正になるか負になるかの違いです。境目(t=3/5)は、直線OQがy軸と一致してしまうときなので、OCQが直角になることはないということですね。

(3)の最初は長さなので2乗して計算します。囲みの文章は結果的には不要で、対称点Rについて考察する問題です。図を書いていればCQベクトルとCRベクトルが真逆になることは分かると思います。t=1/2のときのkの値も出してCQベクトルを出せば、あとは符号をひっくり返すだけです。

CRベクトルをORベクトルに直し、ORとABの交点として出します。交点ベクトルの出し方は、t:1-tの係数利用と、実数倍ですね。今回は片方にOが入っているので、ORの実数倍で係数の和が1になるようにするのがいいと思います。

 

KATSUYAの解答時間10:59.01

 

関連リンク

> 共通テスト 2022年 本試IA 難易度評価

> 他年度の共通テスト・センター試験
共通テストIIBに関する動画(全7本)もYouTubeにてUPしています。ぜひご覧ください。

3.対策~文章を読み解き、式にする力も必要~

今年に限って言えば、センター試験の形式に寄っている感じもしますが、共通テストの主旨から考えると「知識だけで解ける問題」よりも「知識を使って考察する問題」が主になってくると思います。

今年の数列のように、文章題から自分で式を立てていくようなタイプは対策を立てる必要があります。過去問や模試(の過去問)を利用して、長い文章を読み解く練習をしておきましょう。

また、難易度的には、これまでのセンター対策のみでは対応できないものが目につきます。センターしか使わないとしても、チャートの例題ぐらいは一通り解けるようにしておく必要があるでしょう。

 

 

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