京都大学 理系 | 2010年大学入試数学
2017/01/22
※注 ヒントを見ないでこの大学の入試を解きたい人は、解き終わってから見てください。ネタバレがあります。
大学入試シリーズ第28弾。
国公立シリーズ第3弾。
京都大学 理系(甲)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また、☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。特に私大では顕著です。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。
京都大学(理系・甲)数学
(試験時間150分)
1.全体総評~問題ごとに易・難がはっきりしている~
問題ごとの難易度の差が激しく、「なんじゃこりゃ?」と思うようなカス問題もあれば、「なんじゃこりゃ!!」と思うような難問もあります。
第6問は、なんか予想されてもおかしくないような問題ですが、誘導なしではこれ、かなり厳しいと思います。
試験時間150分に対し、目標解答合計時間は152分。
量的にはちょうどいい感じです。(第6問はかかる時間が未知数ですが)
2.合格ライン~
第1、2、4問・・・方針も楽にたつし、計算もあまりないので、さくっと完答したい。
残りの第3、5,6問で50%~60%ぐらいか。
点数の取りやすい問題が多いので、合格ラインは7割弱ぐらいでしょうか。
3.各問の難易度
☆第1問・・・確率(B、15分、Lv.1)
確率の基本問題。おちついて数え、順番が違う場合は違うと数えることさえ忘れなければ、何てことない問題。
問題文は
「1番目+2番目+3番目=3番目+4番目+5番目」
となってますが、当然
「1番目+2番目=4番目+5番目」
です。なぜわざわざ3番目を両辺に追加していたのか、よくわかりません(笑)
第2問・・・空間ベクトル(B、12分、Lv.2)
単なる四面体の問題。与えられた垂直条件を式にするたけで、余裕で示せます。
またまたくどいようですが、空間ベクトルでは3つの基本ベクトルを設定することが原則です。
(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.63)
こうすると、本問ではほぼ計算ゼロです。ただ、この問題ではそれを使うまでも無く、
適当に式にしてたら解決するという問題です。
☆第3問・・・図形、角度(B、20分、Lv.2)
なす角度の最大値を求める問題。このような問題で角度を表すときは、cosかtanのどちらかであらわします。
(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.27-28)
比較的レベルの高い原則ですので、差が出た問題のひとつですかね。
第4問・・・数列(B、10分、Lv.2)
簡単な数学的帰納法の問題。もちろん帰納法を使うことに気づかなければアウトですが、原則を知っていればまず気づかないことはないかと。
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.50-57)
注意するなら、帰納法第二段階で、n=k のときだけを仮定するのではなく、n=1,2,3、・・・k のすべてを仮定しないと本問では不正解になります。おそらくほぼ0点です。大事なポイントがここだけなので。
☆第5問・・・積分(B、20分、Lv.2)
面積の問題で、交点の座標の扱いがポイント。ですが、京大受験者であれば類題を経験済みでしょうから、
そんなに苦労はしなかったはず。交点の座標は求まりませんが、その座標をαとするとa・cosα=sinα で、αが0からπ/2の間であることだけ抑えて、それを使っていくだけです。
☆第6問・・・空間図形(CD、55分、Lv.2)
「試験時間の半分はここにつかえということなら、いままで簡単だったのも納得がいく」と思いたくなるような、大物レベル問題がきました。
立方体を体対角線軸で回転したときに出来る立体の体積
という、なんか予想されそうでされなさそうな問題ですが、誘導なしというのは、かなりきついです。
計算含め、完答するには、少なくとも1時間は必要です。軸が対角線なので、そこに座標を置くつもりでいきます。
xyz軸はほぼ無視でいきます。
回転軸をL軸とすると、L座標がtのとき、その面積Sをtの式で表せば、tで積分できます。ここで、一つだけ注意(原則レベルで大事なこと)です。
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法の応用)
普段の積分では勝手にこれが守られているので、意識していないかもしれませんが、これが守られていないと積分計算はできても間違えます。積分計算自体は出来てしまうため、間違いにも気づきにくいです。
よってL軸をとるなら、L軸に垂直な平面を考えなければいけません。それが第一段階。
しかし、それができても切り口が途中で変わるから場合わけも必要で、切り口の面積求めるのにも一苦労だし、対称性に気づいても最後まで積分して計算するのはかなり面倒だし、とにかく難問ですね。
4.対策~標準問題で落とさない演習を~
京大は、発想力に重きを置いた問題が出ることがあります。あとは標準問題か、第6問のような超大物です。
超大物は完答しなくとも合格は出来ますので、それよりも標準問題で落とさないように、演習をすることが大事です。原則の習得は青チャートで行いつつ、標準レベルの演習は数研の入試問題集(理系)でOKです。
発想力については、過去問や予備校の過去の模試などを解いて癖をつかんでおきましょう。
以上です。
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(もしくは、本サイト右側のカテゴリーよりどうぞ^^)
■関連する拙著シリーズ■
★ 数学A 確率 (第1問)
★ 数学III 積分法の応用 (第5、6問)
★ 数学II 空間ベクトル (第2、3問)
★ 数学B 数列 (第4問)
★ 計算0.9(計算練習帳です^^)