東京工業大学 数学 | 2013年

      2017/02/03

●2013年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は東工大です。

2013年 大学入試数学の評価を書いていきます。

 

東京工業大学です。

 

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

 

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

 

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。

同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。

 

東京工業大学 数学 (試験時間180分、5問)

 

1.全体総評~大問数が6問から5問へ。やや易化~

まず、昨年は6問あった大問が、5問に減りました。東工大は2年前まで4問という形式が普通でしたが、昨年に6問(うち2問は小問集合パターン)になりましたが、今年は小問部分1つが減り、5問になりました。現在、過渡期と思われます。

昨年同様、小問部分がⅠⅡABから、それ以降はすべてⅢCからという出題。今年は割合的に、ⅢCにさらに偏りました。

難易度としては、昨年より微妙に易化していると思われます。第3問のような難問もありましたが、昨年の第3問、第6問のような莫大な計算量を要するものやボリュームを感じる問題はなく、大問数も減ったので手がついたのかなと思います。

ただいずれにしろ、ⅢCの問題はかなり重く、最後まで解答するのはどの問題も相変わらず厳しいことに変わりありません。

 試験時間180分に対し、目標解答時間合計は175分。

東工大にしては珍しく、適量です。制限時間をオーバーするのが通例でしたが、今年は計算量がそこまで莫大ではないものも多いので、かなり解答時間は減っています。

 

2.合格ライン~

配点が書かれていますので、目標点数も書いてみます。

第1問 (50点以上)昨年同様、ここで落としてしまうようでは合格は遠のきます。確実に得点したい

第2問 (40点以上)5乗の計算をどうやったかですね。計算すれば出ますので、出来れば欲しい。

第3問 (5~10点)これは厳しいでしょう。時間をかけすぎないことが大事。

第4問 (35点以上)一般解を表すことができればなんとかなるはず。議論が多少甘くても、6割は欲しい。

第5問 (40点以上)(1)が一番メンドクサイと思われますが、ここがある程度出れば、(2)、(3)は何とかなるはず。

全体として、約180/300 で、60%ぐらいあればOKでしょう。^^

 

3.各大問の難易度

☆第1問(1)・・・数学的帰納法(B、15分、Lv.1)

帰納法の2つ前からバージョン(おととい法)の典型問題です。3^nなどというヒネクレたものがありますが、やり方は変わりません。全体のセットを考えて、ここは確実に。

なお、この問題を見て帰納法になるのは大丈夫ですよね。

Principle Piece B-22

 帰納法は次の場合に使える

  [1] nに関する証明である    [2]  結果が分かっている

(Principle Piece 数学B 数列  pp.50-57)

 

☆第1問(2)・・・確率、サイコロ(B、15分、Lv.2)

昨年に引き続きサイコロですが、また今年はアプローチが違います。今年の方が簡単な気がしますね^^

4種類=X,X,X,Y,Z.W か X,X,Y,Y,Z,W という目の出方で、場合分けして足せばOKですね。な

お、6のn乗は、n=5 ぐらいまで記憶しておくとラク。ここには書きません。自分で計算したほうが記憶に残ります。

 

※KATSUYAの解いた感想

両方とも、割と典型的。今年は小問集合が1問か。ⅢC色が濃くなる。解答時間合計7分。

 

☆第2問【旧課程】・・・行列、方程式(BC、30分、Lv.2)

行列の行列式および対角成分の和に関する問題。行列式に関する証明(1)は、本学受験者であれば知っているような事実でしょう。いざ証明するとなると、ちょっと計算が必要。

(2)は(1)の利用ですぐにx=1と出ます。あとはyですが、yの絡む方程式といえば、HC定理ぐらいです。これに気づけば、次数下げができたでしょう。

なお、AがEの定数倍とそうでない場合に分けることに注意。nが5乗程度の小さい時では、次数下げ、あるいは整式の割り算等が有効です。

 

 

☆第3問・・・微分法の応用、方程式の解の個数(D、45分、Lv.3)

本セット最難問と言えます。関数が非常に単純なので、逆に手をつけてしまい、焦ってしまった人もいるかもしれません。いかに早く逃げたかがカギとなるかもしれませんね。

左辺をf(x)とおくのはいいともいます。極値をとるxの値も、なんとかなるでしょう。しかし、途中のf’(x)の符号で・・・・となった人が大多数でしょう。

f’(x)が2項からなりますので、f’(x)の符号調査 ⇒ 2項の大小比較 と結びつくかどうかです。しかし、ここにスムーズにいくには、かなり演習を積んでいる人でないと厳しいと思います。できなくても仕方のない問題というところ。

※KATSUYAの解いた感想

この大小比較も全部自分でやらせるのか。これ、小問で誘導にするべきでは?解答時間18分。

 

第4問・・・極限、三角不等式(B、30分、Lv.2)

予備校でも評価の割れる問題ですが、私はⅢCセットの中では、ダントツの最簡単問という印象。

このような単純な三角不等式の方が、なぜか解けない人が多いみたいです。(2012年のセンター、京大の問題など)

単純なものどうしてあれば、どう考えてもグラフか単円でしょう。そして三角不等式さえ解くことができれば、簡単に和を出せてしまうという問題

 

※KATSUYAの解いた感想

正直、拍子抜け。もっと挟み撃ちとかたくさん使うような大物かと思った。解答時間12分。

 

☆第5問・・・円、楕円、面積(C、40分、Lv.2)

楕円と円に関する問題。こちらは最初から最後まで割とボリュームのある感じです。小問が3つありますが、おそらく(1)の配点はかなり大きいです。

(1)ですが、これは正直に連立して解の個数(存在範囲)に帰着させるのがいいかと思います。存在範囲といえば、これですね^^

 

Principle Piece I-32

 解の存在範囲の条件 → D、軸、範囲境界の符号の3条件

(Principle Piece 数学Ⅰ 2次関数 p.44)

 本問は、yを消去し、0≦a≦1/2 で重解をもつ条件をしらべればOKです。

(1)が出れば、(2)と(3)は計算すれば確実にできます。(1)の議論で満点でなくとも、なお、面積計算ですが、√1-x^2 の積分に関する計算は、円の一部として計算する方が早いでしょう。

※KATSUYAの解いた感想

こちらはボリュームの適度にある良問。(1)が一番重いけど、問題の流れからして自然だからじょうがない。解答時間22分。

 

4.対策~普段から小問ごと解法を吸収していく~

東工大の問題は、例年、誘導を省いた問題が多く、今年はまだましです。すなわち、普通なら小問になっているようなものを自分で見つけ出し、自分でそれを解くという作業を行わなければいけません。(第3問、第4問など)

普段から取り組む際に、小問になっているようなものについては、その手法をよく意識し、なるべく吸収していきながら(増減を調べるのにこんな方法があるんだな、こういう立体のときは、x軸切断がラクなんだな など)、誘導なしの問題のときに、自ら編み出す演習をしていく必要があります。

前者が量をこなす演習、後者が質を高める演習です。前者を、できれば高校2年生までに(ⅢC含めて)ある程度終わらせて、後者の時間を確保していきたいですね。

>> 2010年度の東工大 数学

>> 2011年度の東工大 数学

>> 2012年度の東工大 数学

 

以上です^^ 

>> 他の大学も見てみる

 

■関連するPrinciple Piece■

★ 数学B 数列 (第1問)

★ 数学III 微分法の応用 (第3問)

★ 数学III 極限 (第4問)

★ 数学I 2次関数 (第5問) 

★ 数学III 積分法の応用 (第5問) 

 

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