【後期】北海道大学 理系| 2017年度大学入試数学
2017/04/01
●2017年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は北海道大学(理系)【後期】です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^今回は、後期の大学についての評価をUPします。
【お知らせ】
4月1日までに頂いているコメントには返信をいたしましたので、ご確認ください。
2017年大学入試(国公立)シリーズ。
北海道大学(理系)【後期】です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
北海道大学(理系)【後期】
(試験時間100分、4問、記述式)
1.全体総評~前期同様に難化、新課程の複素数平面はレベルが高い~
昨年よりやや易化。計算量が少し減った印象です。全体としては議論を進めづらい問題が多いですが、昨年よりはイメージの湧きやすいセットだったと思います。数学IIIは4問中2問の割合で、昨年同様に高めです。
試験時間100分に対し、
標準回答時間は100分。時間としては適量ですね。
2016年:115分
2015年:105分
2014年:100分
2.合格ライン
第1問はどこまできちんと書くかだが、答えだけならどちらも行けるハズ。8割答案として抑えたい。
第2問も少々かきづらい。(1)(2)は行ける。(3)は(2)の利用に気づくかどうかがキーになる。
第3問は(1)は取る。(2)以降はキー問題で、c=ー2という境目を発見できないと厳しい。
第4問は文字が多めだが標準的。コツコツ計算して完答したい。
第1問、第4問は確保。第2問の(1)(2)、第3問(1)までで6割強ぐらいです。第2問の(3)も合わせて完答すれば確実に合格ラインに達するでしょう。
65~70%ぐらいでしょうか。
3.各問の難易度
第1問・・・【三角比】三角形の面積、三角柱に含まれる球の半径の最大値(AB,20分、Lv1)
三角柱に含まれる球の半径を求める問題です。
(1)はいいでしょう。3辺が分かっているので、こちらの原則です。なお、ヘロンの公式で答えても問題ないかと思います。
(拙著シリーズ(白) 数学I 三角比 p.31)
(2)はどこまで議論すればいいのかイマイチ分かりづらいですが、少なくともTに内接する円の半径よりも大きい半径の球を入れることは出来ないことは明らかとしていいでしょう。まずはこれを出し、その直径が高さ4を超えないことを確認すればOKですね。
(拙著シリーズ(白) 数学I 三角比 p.32)
※KATSUYAの解いた感想
(1)はさすがになめている^^; (2)は、まずTに内接する円の半径を出せばいいか。これ以上の球は入らないし。そのための(1)と見た。原則通り出し、直径(高さ)が4を超えないことを確認して終了。これでいいんやろな。ちょっと簡単すぎるけど。解答時間4分。
第2問・・・【式と証明+複素数平面+積分法】二項定理と証明、三角関数の定積分(B、25分、Lv.2)
複素数平面と二項定理から特殊な等式を利用して、定積分の値を特定する問題です。(3)を特だけならもっと有名な方法がありますが、こんな方法でも出来るんだな、という印象ですね。
(1)はどこまで書くのかよくわかりませんが、(2)に合わせて書いておけばOKでしょう。「・・・」の表記を答えにするのも気が引けますが。
(2)は(1)で、z^-1=zバー を利用すれば、(1)の式がそのまま使えます。ドモアブルを使えば、一気に証明すべき式と結びつきくとわかります。なお、左辺も右辺も実数になりますが、答案では「実部を比較すると」と断っておいたほうがいいでしょう。
(3)は(2)を利用します。三角関数の積分は、基本的には次数下げです。
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.14-16)
本問はこれの極みのようなやり方で、2n乗のcosについて、次数を全て1次にした式が(2)の右辺になります。従って、右辺は実際に各項の原始関数を求められますが、0~π/2の積分で0にならない項が定数項のみであることに気づかないと、最後まで行き着かないです。答の式から、2nCn が入っていると気づければ発想しやすいですね。
なお、(3)だけなら、有名な三角関数のn乗の積分なので、部分積分を利用して漸化式を作って求めることもできます。漸化式利用の解法の方が多いですね。
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.56-60)
※KATSUYAの解いた感想
(3)を見るに、積分法の問題かな。三角関数のn乗で0~π/2 やから、あの有名なやつか。でも(1)(2)を見る限りは求め方が違いそう。とりあえず(1)へ。ただの二項展開書けってことか。どこまで書くんやろ^^; (2)に合わせておく。(2)はドモアブルと(1)を利用すればほぼ見え見えか。(3)は(2)を利用するってことやな。右辺は1次やから積分できるけど、、、項が多いな。あ、でも原始関数がsinの偶数×πやから、0になるんか。定数項だけ残ると分かり、そのまま最後まで終了。解答時間11分。こんな方法もあるのね。
☆第3問・・・【数列+極限】漸化式で表される数列の収束条件(BC、30分、Lv.2)
絶対値のついた漸化式で表される数列について、それが収束するための初項の条件を求める問題です。漸化式は単純ですが、思考能力を見る良問です。
(1)は帰納的にほぼ明らかでしょうが、証明せよ、なので一応やっておきましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.50-57)
a_n>0が分かれば漸化式は解けます。特性方程式型です。
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.33)
(2)からは難しいです。もし a_n<0だったとしたときに、漸化式をときなおすと、特性方程式の解としてー2が出ます。このー2とは、収束するとしたらこの値に収束するという収束候補でもあります。さらに言えば、a_nとa_n+1が等しいような値でもあります。従って、初期値がー2を境に様子が変わるのでは、と思えるかどうかがカギです。
特性方程式の解の意味について少しでも触れたことがないと思いつきづらい発想ですが、拙著シリーズの極限でも述べてありますし、教科書にも記載があります。
ー2<c<0のときはいつか正になること、c=ー2のときはずっとー2で、c<ー2のときはずっとー2未満であることを述べて結論を出せばOKでした。
(3)は、(2)が出来れば出来ます。いつか正になるのであれば収束しますし、負のままであれば発散します。c=ー2のときも収束に入りますので注意です。
※KATSUYAの解いた感想
漸化式か。絶対値が入っていて、初期値も文字なので嫌な予感あり。(1)はc≧0限定やから絶対値もすぐ外れて楽勝。(2)からやな。常にに負になるには、、、とりあえず負のときの漸化式を解く。特性方程式の解ー2を見て、これを境に様子が変わると判断。試しにー1とー3を代入してみて、ー1のときは正になっていくことを確認し、ー2<c<0、c=ー2、c<ー2で分けて終了。c<ー2についてはもういっかい帰納法で全部ー2未満を示す。(3)は(2)の情報をもう一度整理する感じで終了。解答時間16分。簡単すぎず、ややこしすぎずで良問。
☆第4問・・・【図形と式】放物線上の点と直線上の点の距離の最小、領域と最大・最小(B、25分、Lv.2)
図形の総合問題です。創作問題でうまく組み合わせてはありますが、途中経過は問題に書いてあるとおりで分かりやすく、方針に戸惑うことはないかと思われます。
(1)は判別式です。(2)は、Aにおける接線がy=x-1と平行であることは用いてもいいと思われます。メインは(3)のはず。Bにおける接線は傾きー1なので、これも出ます。BCの式も出せますので、y=x-1との交点でcも出せます。a、bがつきまといますが、明らかに(3)で領域の最大・最小パターンに持って行かせたいだけなので、ここは辛抱しましょう。
(3)は面積の式を出し、それからこちらの原則です。
(拙著シリーズ(白) 数学II 図形と式 p.59-61)
(3)の問題文に条件式が3つありますが、(1)の条件を忘れないようにしましょう。そうでないと、最小値が出ません。
※KATSUYAの解いた感想
(1)は瞬殺、(2)は何をさせたいのかよくわからんが、とりあえず問題文の通りにA~Cを出す。(3)で理解、分かりやすく不等式が並んでるわ。面積はABがx軸に平行なので出しやすい^^ 面積を出したあとは=kとおいて原則に従って終了。図を書いたりと作業は多いが、一番コツコツやればできる問題かな。解答時間15分。
4.対策
前期とほぼ同様の傾向なので、前期のエントリーをご覧ください。数学IIの図形と式の総合問題が比較的好きなようです。難問ではありませんが、範囲にとらわれずベクトルや微分などの手法を駆使して求めていくようにしておきたいですね。
量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいでしょう。
以上です^^
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■関連する拙著シリーズ■
★ 数学I 三角比 (第1問)
★ 数学II 図形と式 (第4問)
★ 数学B 数列 (第3問)
★ 数学III 複素数平面 (第2問)
★ 数学III 極限 (第3問)
★ 数学III 積分法 (第2問)