センター試験 数学I・A【2017年】の難易度、傾向は?

      2017/01/17

 

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2017年に行われたセンター試験の数学I・AをKATSUYAが解き、その感想や難易度などをアップしていきます。

評価指標のみかた

1.難易度 A(易)~E(難)

2.パターンレベル
Lv.1(習得していて当たり前)
Lv.2(習得していないと、差をつけられる可能性がある)
Lv.3(習得していなくてもしょうがない)

3.解答するまでの標準的な時間

です。これら3点から、各問題ごとにコメントしていきたいと思います。

 

2017年センター試験数学Ⅰ・A(60分)

 

実際にKATSUYAが解いたものは、こちらにあります。 

 

 

1.全体評価~数学Iは易化、数学Aは難化で全体として変化なし~

昨年から変化なしです。構成も昨年に引き続きといったところで、これで固定してくるでしょう。

第1問は、[1]数の計算、[2]論理と集合、[3]2次関数 で、全体的に易化。論理と集合は普段より判断しやすいが、「どちらでもない」の選択が多く、選択肢の順番も変更に。付け焼刃、勘で当たらないようにするためか。2次関数は2乗を置き換える形で、教科書にないタイプだが、易しい。

第2問は[1]三角比、[2]データの分析 で、全体的に易化。三角比は15°、105°のsinを求めさせる問題だが、誘導が分かりやすい。動点がネタになってないため、易しい。データはスキージャンプの得点に関する問題。紛らわしい選択肢がほどんどなく、正解を選びやすい。データの変換による共分散などの変化は、予想通り今年も出題。

第3問の確率と場合の数は、くじ引きの問題。「くじ引きの順番は確率に影響しない」ことをきちんと把握している人にとってはあまり計算のいらない問題。知らないと計算量が多く、排反事象を正しくえらぶ問題は目新しく、戸惑う可能性あり。題材としては難化。最も差がつきやすいところか。

第4問の整数は倍数判定法、および素因数分解等の問題で、前半は易しいが、後半は約数の個数をただ公式で覚えているだけの人には、少しメンドウな問題。2進法による末尾の0の個数など、意味を理解した上でのパターンの把握が求められる問題。

第5問の平面図形は選択問題の中では唯一易化。前半は方べき、メネラウスなど典型的な定理の利用。後半は三角比の知識との融合が新しいが、典型パターンの組み合わせなので、演習量が十分な人には容易か。

※あくまで、「KATSUYA個人の見解」です。各予備校の見解にひっぱられないよう、各予備校の分析は(この時点では)拝見しておりません。



■目標解答時間・・・・66~70分 【42~44分】←穴埋め解答時間 
(■昨年の時間・・・・66~68分 【40~42分】←穴埋め解答時間)

※幅があるのは、選択問題で時間が異なるためです。


KATSUYAは、34分で終了しています(第4問までなら28分)。 今年は三角比の読み違いで大幅ロスしたので、昨年よりかかってしまいました。

 

2.各大問の難易度

 

第1問 [1](数の計算、対称式、x+1/x 型、A、例年比易、5分【3分】)

対称式からの出題です。x、1/xによる対称式の計算は典型パターンです。2乗+2乗、3乗+3乗、4乗+4乗に関する計算処理を聞いており、チャートの重要例題1問にまるまる載っていそうなタイプで、易しい。

 

 

Principle Piece I-15

x、1/x 型 の対称式はx+1/x が分かればOK。

(拙著シリーズ(白) 数学I 数と式 p.29)

 

KATSUYAの感想

対称式か。これは簡単。3乗+3乗は、因数分解を使う方ね。3乗の因数分解って、今は正確には数IIでは・・・^^; 発展編にあればよしってとこかな。解答時間40秒。

 

第1問[2] (論理と集合、必要十分、真偽の判定、A、昨年比やや易、8分【5分】)

今年の必要十分は条件が非常に平易で、必要十分を判定しやすかったかもしれません。平易すぎて逆に困ったかも^^;
p:x=1 q:x=±1 ということなので、問題文で聞いている 「pまたはqバー」:「x=1またはx≠±1」⇔「x≠-1」、「pバーかつq」:「x≠1かつx=±1」⇔「x=-1」などと言い換えておくとわかりやすかったかもしれません。今回は実数全体が範囲なので、慌てずにきちんと数直線を書けば易しいと思われます。

「必要でも十分でもない」を4つのうち2つも選ばせていましたので、あまり慌てる、あるいは勘でやるともらいが少ないかもしれません(苦笑)。

後半の真偽の問題も、rの条件が非常に簡単で易しいです。

 

KATSUYAの感想

おー、今年は条件がかなり簡単やな。でもバーがつくとほとんど含まれるからどっちかは満たすやろ・・・いや、頭でやるとミスるのは目に見えているので、ちゃんと言い換えておこう。後半はバーもほとんどないので簡単。解答時間4分。

 

第1問[3] (2次関数、頂点、最大・最小(2乗の置き換え)、AB、昨年比変化なし、7分【4分】)

文字定数aの入った2次関数の問題です。ここ2年、軸分けの問題や解の配置がなりをひそめ、全体的に難易度が下がっています。昨年度からは変化なしです。

最初はただ平方完成して頂点を出すだけです。aについての4次式ですが、どうってことはないでしょう。xの座標はaの2次関数なので平方完成するだけです。

yについては4次式ですが、誘導にあるとおり2乗を置き換えます。2乗すると0以上の値しかとれませんので、軸が負にあるような今回の2次関数ではt=0で最小となります。慣れていれば、平方完成せずとも軸が負にあるのは目に見えていますね。

Principle Piece I-27

2次式に関する2次関数は2段階の最大・最小

(拙著シリーズ(白) 数学I 2次関数 p.30)

 

 

KATSUYAの感想

2次関数、最近量が減ったな^^; 今後こんな感じなのだろうか。平方完成はとりあえずさくっと済ませる。最後も軸が負なのが丸分かりで、t=0で最小なので定数項書いて終了。むしろ最後が一番計算いらないな。解答時間1分。

 

第2問[1]  (三角比、正弦定理・余弦定理・外接円の半径、面積、AB、昨年比やや易、9分【6分】)

今年の三角比は、15年、16年と続いた動点の問題ではなく、A,B,C,Dの4点固定です。内接四角形を問うこともなく代わりに間接的に15°、105°系のsinの計算が入りました(解く上で知っている必要はない)。


最初はsin105°の値の計算です(不要ですが、∠BAC=105°となります)。流れとしては、余弦定理でACを出し、ACと∠Bに正弦定理を適用して外接円の半径が出ます。 すると、BCと∠Bでも適用できますので、めでたくsinが分かるということになります。

正弦・余弦の使い分けをしっかり把握しておけば全く怖くないですね^^

 

Principle Piece I-43

 正弦・余弦の使い分け方

 [1] 角度が多い、外接円の半径→正弦

 [2] 2辺夾角→余弦

 [3] 3辺→変形余弦

(拙著シリーズ(白) 数学I 三角比 p.24)

なお、私は3辺が分かったのでcosを出し、√2ー√6/4を得て、105°と分かったのであとは計算せずにsinを書きました。穴埋めなので、知識は存分に使えます。まともにやると相互関係が絡み、かつ2重根号を外す作業に迫られますので、上記の流れに乗ることが主流です。

 

後半はそのsinの値を利用して面積公式にあてはめるだけですね。AB・ADをわざわざ聞かなくてもいいような気もしますが、、、私は最初BC上にとってしまったので、意味不明になっていました^^;

なお、三角形の問題をやっているとわかりますが、ちょいちょい有理化の計算をはさみますので、素早く、かつ正確にできるようになっておきましょう。

 

 

KATSUYAの感想

√3-1、√3+1か。15°、75°系かな。sinの穴埋めの形を見て確信。変に予想しすぎて、正弦の利用を見逃して計算量の多い余弦でたしかめる失態^^;  60、105、15か。 後半は間違えてBC上にとっており、「ムズいんですけど^^;」とあたふたし、大幅に時間ロス。もう一度読み直して一安心。解答時間8分。

 

 

第2問 [2]  (データ分析:相関の読み取り、データの変換と分散、共分散、相関係数、箱ひげ図とヒストグラム、昨年比易、9分【6分】)

今年のデータは、昨年よりもさらに易しめになりました。紛らわしい選択肢はあまりなく、正誤判定は非常にやりやすかったのではないでしょうか。

(1)はただの資料読み取り問題です。これは外せません。(2)は、、、今年も出ましたね。データを変換したときに、相関係数や共分散などがどのようになるか、です。昨年の本試で初めて出ましたが、追試でも出題されたため、固定化の可能性が高いタイプでした。姉妹サイトでも、固定化の予兆があると述べましたので、対策を取った人は勝ちでしたね^^

 

D(ジャンプの飛距離)を1.8倍して、定数項をたすとX(飛距離からの得点)となります。(てか、昨年も1.8倍でしたけどね・・・^^;)細かい数値は不要です。1.8倍ということが分かっていれば問題ありません。

これにより平均との差は1.8倍なので分散は2乗して3.24倍(標準偏差は1.8倍です)、共分散はYの方に変化がないので1.8倍、相関係数では、分子、分母ともに1.8倍となりますので、変化なしです。2016年のときも書きましたが、相関係数は単位を変化させたぐらいで変化するようなものではありません。そのために無次元化されているのです。従って、意味から考えても当然の結果です。

 

最後のヒストグラムや箱ひげ図も、最小値の情報だけで一瞬で判断できますし、選択肢もめちゃ少ないので今年はちょっと簡単すぎましたね。

 

KATSUYAの感想

昨年からさらに判断しやすくなったな。昨年、正答率低かったんかな。お、データの変換きた!これは予想的中でちょっと気持ちいい^^ 相変わらず数学Bなのではという疑問が否めないが・・・これは出してくる方向ですね。ヒストと箱ヒゲはさくっと終了。解答時間計5分。

 

第3問 (確率、非復元抽出、排反事象と和事象、条件付き確率、昨年比やや難、B、16分【10分】)

今年は昨年に引き続き、条件付き確率の問題ですが、それに加えて、普段何気なく行っている排反事象の和の計算を日本語で聞いてきました。これは公式の意味をきちんと理解していないと困惑するでしょう。

 

最初は、「少なくとも」なので当然、余事象でやります(この流れを後半で打ち切られます^^;)。

Principle Piece A-9

少なくとも・・・→補集合で考える

(拙著シリーズ(白) 数学A 集合と場合の数 p.24)

次からが本番。結論としては、全事象が以下の6通りしかありません(しかも全部1/6)ので、これで整理するとわかりやすかったでしょう。(見直すときなど)よくこんな少ない事象で問題作れるな、と思いましたが^^;

1.○○×

2.○×○

3.×○○

4.○××

5.×○×

6.××○

2人があたる確率は、1.~3.のどれかです。それに該当する日本語がどれか、ということです。確率は当然1/6×3=1/2です。

(3)の条件付き確率は、こちらの原則に従いましょう。

 

Principle Piece A-39

 条件付き確率の計算 「とき」の手前の事象を分母に、「とき」の前後の事象を分子に

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.32)

分母は、事象E1、分子は、事象E1かつEです。E1は6.以外の全部、E1かつEは1.~3.ですので、3/5です。

 

後半です。(4)は曲者かと思われます。普段は余事象でやりますが、今回は和事象でやるしかありません。ここで少し戸惑ったかもしれません。ただ、ここができなくても確率は普段通り余事象で出せばよく、実はここ以外全て出来ます。ここで崩れて欲しくないですね。

事象E2は、4.以外すべてです。これを3つの排反な事象に分けるにはどうすればよいか、という問題です。かなりいやらしい問題ですが、選択肢ごとに整理しておくしかないでしょう。

0番・・・3、5、6

1番・・・

2番・・・2、4、6 (4.があるので選択肢に入らない)

3番・・・

4番・・・1、4、54.があるので選択肢に入らない)

5番・・・


2番、4番を外して、ここから3つ選んで4.以外全てを尽くすには、0番は選ぶしかありません。従って、あとは3番と5番だと分かります。確率は当然5/6です。E3は5.以外なのでやはり5/6です。

なお、当たる順番は関係ないので、E1,E2,E3は全て5/6です。知っているととても速かったと思います^^

また、条件付き確率も、分子は全て1.~3.、分母は事象が異なりますが、確率は5/6ですから、同じとなります。

 

KATSUYAの感想

今年は確率か。くじびきね。最初は余事象。次は・・・ん^^;意外とメンドイか。落ち着いて○×で考えて解答。確率1/2は楽勝。条件付き確率も分子・分母数えて終了。(4)も排反事象を考えるのか。余事象でやらせてくれよ^^; 意外とてこずり、後に「たった6通りしかないやん」、と気づくも、くじ引きの順番関係なく5/6であることを使えば最後までいけたので、整理し直さず計算もせず終了。解答時間6分。

 

第4問 (整数、倍数判定法、素因数分解、約数の個数、2進法、B、昨年比やや難、12分【9分】)

今年の整数問題は、倍数判定と素因数分解、後半は題材変わって約数の個数と2進法です。後半は教科書レベルの出題を超えており、基本パターンの丸暗記だけでは点数に結びつきづらい問題です。普段やっていることに読み変えることができたかどうか。

 

前半はいいでしょう。「36の倍数」ではなく、4かつ9と聞いているのが易しいです。

 

 

Principle Piece A-49

 倍数判定法は組み合わせる→下○桁から絞ると良い

(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.9)

 

4の倍数なので下2桁から、c=2、6です。c=2ならb=4、c=6ならb=0か9です。0、9の2通りありましたが、ひっかからなかったでしょうか。

そのあとは、要は平方数になるのはどれ?という質問だと分かれば、36で割った結果が平方数になるものを探せばOK。7056=36×196 です。196=14×14 は、数学を受験するなら必須です!!

 

後半は約数の個数ですが、公式の丸暗記できた人には、最初しか出来ないタイプです。拙著シリーズ(白)の整数では意識して取り上げましたので、ここは完全に勝てますね^^

約数の個数が、なぜ(指数+1)の掛け算で出せるのか、きちんと理解していないと、2の倍数のときは2の指数だけ{1、2}から選ぶから2×2×4=16 などと出来ません。4の倍数も同様です。

 

最後は、「2進法での末尾0の個数」=「2で何回割れますか」と聞いているだけです。2の倍数16個の中には、4の倍数8個が入っているので注意。

 

KATSUYAの感想

今年は1次不定方程式、出ず。これは外れたかな。でももっと簡単になった。倍数判定法は楽勝。平方数は、3回もやるのいややな~。7056=84×84だったような・・・計算してみてよしよし、1発当たり^^

2の倍数の個数とかは、差がつきそう。最後みたいな表現をひねった問題も差がつくかも。計算量は少なめな分、ちょっとした読み替え力が必要か。解答時間3分。

 

第5問 (平面図形、方べき、チェバ・メネラウス、余弦定理、内接円の半径、角の二等分線、内心、AB、11分【8分】)

今年の平面図形は、昨年に比べて少し簡単になりました。昨年は唯一難化しましたが、今年は数学Aでは唯一易化です。選択問題としては当たりです。

最初は方べきです。式の形から見ても明らかでしょう。次は比を聞いていますので、また方べきか、あるいはチェバ、メネラウスでしょう。1点交わり型ではないのでチェバではないです。方べきにしても、FDやDEは全く不明。メネラウスがかたいでしょう。

メネラウスを使うとすれば、AF、BF、ABが三角形の辺になるように選びます。三角形ABCと直線EDFで適用できるとわかりますね^^ 

 

Principle Piece A-87

 線分比、共線(共点)情報があればチェバかメネラウス

(拙著シリーズ(白) 数学A 平面図形 p.28~30)

 

後半は三角比との融合で珍しいですが、むしろこれまでよく融合させずに問題を作ってきたな、という感じです。今年の追試次第ですが、今後平面図形に三角比を絡めてくる傾向にしてくるのかどうか、要注目です。

内接円の半径は三角比の原則が使えそうです。

Principle Piece I-50

 内接円絡みの問題では面積を媒介に

(拙著シリーズ(白) 数学I 三角比 p.32)

二等分線の問題も、内心が絡んでいますから、面積媒介です。ABC=ABD+CBDの式でBDを出し、AD:DCやBI:IDは角の二等分線の定理からすぐにわかりますね。

 

 

KATSUYAの感想

今年は昨年よりストレートな聞き方が多くて、易しくなったかな。最初は方べき、次はメネラウスかな。どの三角形とどの線か・・・あったあった^^ 後半は角度。ん?余弦・・・だよな^^; 三角比絡めてくるの、初めてなのでは?まあ数学Iは全単元必修だし、いいでしょ。内接円やBIはパターンなので、原則通りにやって終了。解答時間6分。

I・A 解き方はこちらをご覧下さい^^

II・B 解き方はこちらをご覧下さい^^
II・B 難易度評価はこちらをご覧下さい^^ 

 

3.対策 

 

レベル的には、教科書の章末問題レベルですが、数学Aについては少し発展的な内容も見受けられます。そのレベルの問題を、いかに素早く解くかがカギになってきます。また、公式は単なる暗記にとどまらず、適用しながらでもいいので、普段からなぜその式で出せるのか、どういう仕組みなのかを理解しましょう。

2次で数学がいる人は、特に意識する必要はありません。2次の対策がそのままセンターの勉強になってます。過去問や模試などで、形式になれることだけしておくといいでしょう。

→ 分野別のセンター用参考書はこちらから

→ 過去問・模試のセンター用参考書はこちらから

データ分析については、教科書のレベルと少し乖離があります。公式だけを丸暗記するのではなく、一部のデータから「どこまで確実に言えるか」を常に考えましょう。

 

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