【後期】東北大学 理系| 2017年度大学入試数学

      2017/04/06

●2017年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は東北大学(理系)【後期】です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^
後期の大学のうち、数学のある大学について評価を書いていきます^^



【お知らせ】
3/12~3/19 まで所用で海外にいたため、後期のエントリー、コメントの返信が遅れています。現在までに頂いているコメントはほぼ返信いたしましたので、ご確認ください。

 

 

2017年大学入試(国公立)シリーズ。

東北大学(理系)【後期】です。

 

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。



また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





東北大学(理系)【後期】
(試験時間150分、6問、記述式)

1.全体総評~質、量、範囲全てでバランスの取れたセット~

昨年と変化なしです。数学IIIからは微積が、数学Bはベクトルと数列が両方、あとは数IIと数Aということで、数B関連が3問あるものの、基本的にはバランスが取れています。計算量も適度に有り、質的にも易しめのもの、標準のもの、難し目のものがあり、試験としては非常に適切なセットだったと思います。



試験時間150分に対し、
標準回答時間は160分。昨年と同じですね。


2016年:160分
2015年:165分
2014年:180分

2.合格ライン

前半の3問は比較的穏やかで、理系であれば計算をコツコツやって抑えたいです。

4番は東北大では珍しい確率と漸化式です。

5番は(1)は行けるが、(2)(3)はキー問題です。

6番も演習量で差がつくと思われます。

前半3つを抑えて、5番か6番で合わせて1完ぐらいあればなんとか届きそうです。

65%ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

第1問・・・【図形と式+三角関数+微分法】放物線の接線の条件(B,20分、Lv.2)

図形の融合問題です。放物線の頂点が円周上にあり、さらに接線が円周を2等分する条件です。条件は遠まわしですが、要は接線が原点を通る条件ということで、三角方程式に帰着されます。

(3)は原点を通る接線が1本しかない条件を探すということですので、こちらの原則ですね^^

 

 ULTIMATE Principle Piece 

 「通る」よりも「接する」→ まず接点をおく

また、「接線が1本しかない」という条件は、解の個数の話に帰着できます。

Principle Piece II-109

 接線の本数は接点をおいて解の個数に帰着させる

(拙著シリーズ(白) 数学II 微分法 p.8-10)

 

なお、放物線に1本しか接線が引けないということは、その原点が放物線上にありますが、明らかではありませんので、上記原則に基づいて記述したほうがいいでしょう。

 


※KATSUYAの解いた感想
頂点が円周上にある。座標おいてくれてるわ^^; (2)は接線が原点通ればいいから、結局三角方程式の話になると。(3)1本しかないから、原点が放物線上でb=0やな。上記原則とおりに書いて、きちんとb=0を述べる。cosが2重根号になるけど、まあしょうがない、解答時間12分。

第2問・・・【微積分総合】定積分関数の最小値(B、20分、Lv.1)

7a+23b=0などと設定はややこしく見せていますが、ただの定積分関数の最小値を求める問題です。F(x)自体を求める必要はなく、導関数自体は 「積分の微分はもと」の公式を用いればすぐにわかります。

最小となるxが分かってから、その値だけ定積分計算すればいいでしょう。7、23といった数値で最小となるxの値は綺麗になっていますが、最小値自体はそこまで綺麗にならなく、題材的にも数値的にも、少し雑な設定の問題ですね^^;

 

 

※KATSUYAの解いた感想
条件式はすぐ消去すりゃいいかな。なんか文字多くてややこしく見えるけど、a前に出せばたいしたことはない。微分してx=1で最小となる。綺麗に出せるように7、23とか調整しているのね。x=1を代入して定積分計算。あんまキレイでないので、一応もう一回。結果は同じ。うーん、あまり練られた問題ではないみたいやな。解答時間12分。

第3問・・・【三角関数+微分法】三角関数で表された式の最大・最小(B、20分、Lv.1)

第2問に引き続き、微分を出せる問題がでました。誘導もあるので方針に詰まることはなさそうです。極値などの計算が少し煩雑なので、そこをきちんと合わせられたかどうかだけですね。

(1)は通分するとsinθcosθに加えて、sinθ+cosθも出てきますので、誘導にある通り置き換えましょう。誘導がなくても、こちらの原則を知っていれば見通しがいいです。

Principle Piece II- 74

 sin cos とsin、cosの1次を含む式

 →1次部分を置き換えて、範囲は合成で

(拙著シリーズ(白) 数学II 三角関数 p.54)


上記原則で範囲も出しておき、(2)はその範囲で微分、増減を調べましょう。極値をとるxの値が汚く、極値の計算は煩雑ですが、本問はそこまで時間もかからないので、これぐらいは厭わずやりたいところです。

 

※KATSUYAの解いた感想
誘導もあるし、明らかに置き換えて範囲を合成で出すパターンやな。(2)は微分して増減。極値の値の計算はちよっと有理化とかメンドウ。でもこれがラクやったらほとんど空気やな。計算問題と割り切ればまあこんなもんか。解答時間12分。

 

☆第4問・・・【確率+数列】立方体の頂点の移動、確率と漸化式、条件付き確率(C、35分、Lv.2)

確率と漸化式です。旧7帝大の中では、東北大はあまり確率と漸化式を出さないのですが、この後期で出題してきました。また、この手のタイプの中でも上級レベルなので、対策が薄い可能性がある本学受験者には厳しいレベルかと思われます。

なお、今年の名古屋大前期でもう少しラクなタイプが出題されています(計算は名古屋の方が複雑)。

(1)はコツコツ調べればいいでしょう。また、この過程で、奇数秒後はAにはたどり着かないことを知る必要があります。

(2)がメインの問題です。こちらの3点セットの原則を用います。

Principle Piece A-41

 n回目とn+1回目を詳しく見る

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)


ただし、今回は偶数秒後しか点Aにいませんので、nとn+2で遷移を考える必要があります。ここが少し難しいところです。

Aだけでは様子はつかめませんので、他のところも設定する必要があります。

Principle Piece A-42

 必要のない部分の確率も置いてみる

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)

偶数秒後は、A以外ではC,F,Hにしか止まりませんので、ここだけ設定すればOKでした。慣れていれば、次に述べる原則を利用して、C,F,Hは対称なので大胆に「A」と「A以外」という、2つの状態だけで進めることも出来ます。

さらに、偶数秒後はこの4頂点に止まる確率を足せば1になりますので、これも利用しましょう。

Principle Piece A-43

 対称性を利用して文字を減らす、確率を足すと1になることも忘れずに

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)

2つおきというところが、少し難易度を上げています。もともと題材的にレベルの高い問題なので、普段出題しない東北大からの出題で難しかったでしょう。

(3)は(2)が出来ればおまけです。分母はn=8を(2)に入れればいいです。分子は、全頂点を回ってAにもどる経路を地道に調査し、確率を計算しましょう。


※KATSUYAの解いた感想
立方体関連の漸化式ね。名古屋でもみたけど、あれはうろうろするだけやからな。今回はまともに漸化式を設定するタイプ。上記原則と、2つおきに作ることに注意して(2)を先に出し、(1)はそれに代入。(3)はあと分子だけやな。経路を慎重に調査して終了。解答時間19分。

☆第5問・・・【整数+数列】整数解の個数(BC、30分、Lv.2)

整数解の個数の問題です。3文字ある上に、係数がいくつか入っていますので、少し難しめのタイプといえます。拙著では比較的大きく取り上げているので、体系的に理解している人にとっては逆に易しく、サービス問題に近いタイプでもあります。

このタイプの問題には、キラー原則が存在します。

Principle Piece A-74

 整数解の個数は1文字固定してシグマを取る

(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.63)

また固定する際には、係数が1でないものを優先した方がいいでしょう。

Principle Piece A-75

 整数解における文字固定 係数が1でないものが優先

(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.64-65)

今回は、x、yの係数が両方2なので、2(x+y)+z=n とみなし、x+y=k で固定すると計算がしやすいです。なお、kがどこまで取れるかを考えたときに、奇数、偶数で場合分けが必要だと分かります。

(3)は不等式ですが、(2)の結果を今度はシグマ計算することになります。ここでも奇数、偶数で場合分けが必要です。計算量も比較的多めな上に、場合分けを2回も行いますので、慣れていないと時間はかなりかかると思われます。

この手のタイプは、n=0、1,2、3などで実際に数えてみて、式に合っているかどうかを確かめれば簡単に検算できますので、必ず行いましょう。


 

※KATSUYAの解いた感想
この手のタイプは自分で書いているので、手が詰まることなく上記方針で固定してシグマを取る。先に(2)をやり、(1)は代入。(3)は(2)の結果をシグマやな。これも奇数、偶数で分ける。答案量自体もかなり多いから、慣れてないと時間を取られる可能性があるな。解答時間18分。

第6問・・・【空間ベクトル】球面上の点から下した垂線、なす角の余弦の最大値(BC、30分、Lv.2)

最後は空間ベクトルです。球面上の2点から下した垂線などについて聞いてきます。条件をうまくベクトルの式に変形できるかどうかがポイントです。

条件としては、BDやCEがOAと平行であること、ODやOEがOAと垂直であることです。利これにきちんと気づけば、あとはこれらを式にすれば、ODやOEの成分はすぐに求められます。 Aの座標が球面上の点なので、b^2+c^2+1/5=1 になることを多用しますので、これに気づかないと極めて複雑な式になり、手がとまってしまうでしょう。

特に長さを出すところは、1/5-2が係数として出ますが、これを計算してしまうと見えにくくなります。b^2+c^2=4/5 で代入していく方が無難そうですね。

(2)はなす角の余弦の最大値なので、内積の式にあてはめましょう。bcという式だけが残ります。取りうる値の範囲は三角関数利用(b=2/√5・cosα、c=2/√5・sinα とおく)でもいいですし、相加相乗でもいいと思います。bc<0に十分注意。式自体は単調減少ですので、端っこで最大ですね。



※KATSUYAの解いた感想
空間ベクトルか。球面入るとちょっと難易度上がりそうやけど、、、条件からBDとかCEはOAと平行やから、垂線の方向がはっきりしている分ラクかな。平面の方程式を使ってもいいだろうと判断し、平面αの式を用いてD,Eの座標を計算。b^2+c^2+1/5=1で結構きれいにできる。うまく設定してあるな。あまり図形的な意味を感じないけど^^; (2)は(1)の値を利用。上記方針で終了。bcの範囲とか、最後にAの座標まで出すから、細かい議論は必要なところも、試験としては差を出しやすいやろな。解答時間22分。

 

4.対策

基本的には前期と同じです。前期のエントリーをご覧下さい。前期よりは難しい問題が多い傾向にありますが、構成や問題の特徴はほとんど変わりません。

量をこなす演習:じっくり演習=6:4ぐらいでしょう。

以上です^^

■他年度の、本大学の入試数学■

>> 
2010年度 (前期です)

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>> 2015年度 (後期です)

>> 2016年度 (後期です)



■関連する拙著シリーズ■


★ 数学A 確率 (第4問)

★ 数学II 三角関数 (第1問、第3問、第6問(使うなら))

★ 数学B ベクトル (第6問)

★ 数学B 数列 (第4問、第5問)

★ 数学III 微分法の応用 (第2問、第3問)

★ 数学III 積分法 (第2問)

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