【後期】東北大学 理系| 2016年度大学入試数学
2017/03/15
●2016年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は東北大学(理系)【後期】です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^
後期の大学のうち、数学のある大学について評価を書いていきます^^
2016年大学入試(国公立)シリーズ。
東北大学(理系)【後期】です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
東北大学(理系)【後期】
(試験時間150分、6問、記述式)
1.全体総評~昨年と変化なしで相変わらず取りにくいセット~
昨年と変化なし。前期はかなり点の取りやすいセット後期は逆に全体的に取りにくい問題が並びました。しかし、これが普段の東北大後期ですし、前期でも出そうな問題でもあります。数学IIIの微積計算は前期同様に軽め。複素数平面は最難問でした。
試験時間150分に対し、
標準回答時間は160分。後期としては普通か、少し少なめですね。
2015年:165分
2014年:180分
2.合格ライン
第3問、第6問は完答しないとキツイ。残りはどれも差がつきそうですが、小問で構成されていて、(1)がましな第4問、第5問はきっかけを作ってどちらかを押さえれば半分とれる。第1問は発想寄りで厳しく、となると第2問の(1)で漸化式が出来た人が勝ちとなりそうで、これがキーとなるか。
60%強ぐらいでしょうか。
3.各問の難易度
第1問・・・【平面ベクトル】点の集合(C,30分、Lv3)
平面ベクトルの問題ですが、抽象性の高い論証問題で、難しく感じると思います。円周上に3点があり、条件式が成り立つということは、60°ずつ離れているしかありません。それに気づけば、答案としては書きやすくなると思います。
単位円周上の3点なので、1つを右辺にして2乗することで内積が取れますので、なす角の考察のヒントになります。
「3OA(→)+4OB(→)+5OC(→)=0(→) となるとき、、、」という問題がひな型です。
※KATSUYAの解いた感想
はぁ?なんとなく正六角形上にないとアカンってことはわかるが、、、長さ全部1やから、とりあえず条件式を2乗するかな。なす角120°。残りでも試すと60°になる。60°ずつ離れてないとアカンから、A1の点があれば、それを頂点とする6角形に全部配置されてないとアカンってことやな。それ以外に点があれば、また6つは増えると。答案にしにくいが、そのことを説明して終了。解答時間15分。
☆第2問・・・【数列】漸化式と文章題(BC、30分、Lv.2)
文章題から漸化式を作るタイプの問題で、ウイルスの感染を題材にしています。(1)はすぐに出来そうで、意外と難しいと思います。anの中でも、その日に初めて感染した人と、そうでない人を分けないと、感染拡大の様子は見えにくく、一度項を分割するタイプなので、難易度は高めです。
n日目に初めて感染した人をAとすると、n+1日目はAのまま、n+2日目でA+2Aと、2A人増えます。
それ以外の人たちをBとすると、n+1日目は2B人増えますので、B+2Bに、その2B人は直後は影響を及ぼさないので、n+2日目も2B人増え、B+2B+2Bです。
(A+2A)+(B+2B+2B)を、an=A+Bと、a_{n+1}=A+3B の結合で表せばOKですね^^
(2)は(1)が出来れば、隣接3項間なので簡単です。
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.39-44)
(3)も、指数計算がちょっと大きいですが、2の累乗は10乗(=1024)ぐらいまで知っているはずですから、そこまで苦労はしないでしょう。
※KATSUYAの解いた感想
漸化式の文章題か。そんなに難しくないかな^^ と思いきや、意外と感染の様子がつかめず^^; なんでだ?n日目に初めて感染した人はn+1日目に影響及ぼさないからか。一旦分割しないとアカンタイプってことね。分割して上記のようにして終了。意外と苦戦。(2)、(3)はそのまま解いて終了。解答時間17分。
第3問・・・【確率】サイコロ7個、条件付き確率(B、15分、Lv.1)
本セット最易問で、ここを落とすと半分切る可能性があります。条件付き確率の原則は、分母と分子が何の確率かを判断することです。
(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.32 ※数式割愛)
本問では、Aが起こったときに、Bは絶対に起こりませんから、実質的な計算は分子がP(A)、分母がP(Bバー)です。
分母が6の7乗と大きいですが、うまく約分すればかなり小さくできます。P(Bバー)=1295/1296ですが、1295=6^4-1=(6^2-1)(6^2+1)=35×37としておくと、約分しやすいですね。
確率の実力ではなく、約分の実力を聞いているようにみえました。
※KATSUYAの解いた感想
条件付き確率の問題。AかつBバーって、それAのことやな^^; じゃあAとBバー出せばOK。Aは2個でる数字の選び方と、並べ方。Bバーは6個、7個が同じとき以外。Aの分子に35の倍数あり。Bバーも分子が6^4-1やから、35の約分やな。37は素数やからこれで終了。解答時間6分。
☆第4問・・・【式と曲線+微分法の応用or三角関数】楕円上の点と面積の最大値(BC、30分、Lv.2)
曲線上(楕円の上半分になります)の点と定点で作られる四角形、五角形の面積を求める問題。曲線上の点を1文字「t」で置けば微分法の問題に、楕円と気づいて媒介変数θで置けば三角関数の問題となります。後者のほうが計算量はすくないです。
(拙著シリーズ(白) 数学III 式と曲線 p.32)
(2)は、(1)の2倍であることは容易に想像が付きますが、E,Fが同じ側にあるときにこれを超えないことを示す必要があります。E,Fが同じ側にあるときは、楕円の面積の半分未満であることに気づけば、評価は簡単ですが、思いついたでしょうか。
※KATSUYAの解いた感想
式は楕円の上半分やな。(1)はあきらかに媒介変数表示の方がよさそうなので、三角関数の式として終了。(2)は当然2倍やけど、同じ側にあるときの議論が必要か。式でおくのも大げさなぐらい明らかな気もするが、何かいい方法は・・・(8分ほど思考。うーん、考えている暇があるなら式でやったほうが早かったか^^;)あ、楕円の半分とかならすぐ出せるな。πが3.14・・・とか、使ってるけど、OKやろ。思いついてよかったよかった^^解答時間19分。
☆第5問・・・【複素数平面】4点が同一円周上にある条件、条件を満たす複素数の軌跡(C、35分、Lv.2)
複素数平面と図形を絡めた本格的な問題で、経験があれば難易度は下がりますが、本セット最難問と思われます。(1)は経験で差がつくでしょう。内角の和を偏角と絡めて、「偏角180°」=「負の実数」というつながりを利用します。時計周りか反時計回りかで符号も変わるので注意。
(拙著シリーズ(白) 数学III 複素数平面p.46-47に、ほぼ同じ内容の説明があります^^)
(2)は、1+z^2/2の虚部が負であることを確認し、(1)のwと置き換えればOKです。どこで「x+yi」と変えるかで計算量が大きく変わります。
zのまま押し切るとある程度約分できることに気づけば、割と楽です。最初にx+yiでおいてしまうと、膨大な計算量となり、因数分解も複雑です(出来ることは出来ます)
zで攻めるなら、実数ということなので、共役複素数と等しいということから攻めます。
(拙著シリーズ(白) 数学III 複素数平面 p.10-11)
zzバー、z、zバーなどが出てきた場合は、「準平方完成」を行えば円だと分かります。
実部が負であることに関しては、z+zバーが負ということですから、x+yiとおくほうがいいでしょう。
(拙著シリーズ(白) 数学III 複素数平面 p.55-56)
新課程の複素数平面としては本格的で、計算量も多いので、こちらは辛かったと思います。
※KATSUYAの解いた感想
(1)は自分で説明を書いたこともあるので、こちらは作業レベル。(2)は(1)に当てはめれることを確認。とりあえずどんどん成分でおくしかないのかな。(←いばらの道を選択してしまいました^^;)
分母は無視するとしても、分子だけでも共役複素数をかける作業がしんどい。最終的な虚部(の分子)が4次式なんですけど^^; 虚部=0は因数分解出来ると信じよう。yは偶数次しかないから、これで整理。定数項がxの4次式。絶対これ別の方法あるわ。でもまあいいや。ここまできたし。なんとか因数分解して条件式が出る。片方は絶対正なので、円の式が出た。よし、これならあってそうやな。
この条件のもとで、実部が負になるようにすればOK。xだけになるし、1文字に減ったおかげで計算が少しましになった。解答時間24分。解法間違えたな~
第6問・・・【積分法】部分積分、定積分関数の最小値(AB、20分、Lv.2)
最後は数学IIIの積分ですが、本セットでは最も方針が立ちやすい問題です。(1)は部分積分を2回行います。三角の方を変形しましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.9)
2回も部分積分を行うので、定積分で計算すると符号等、ミスを誘発しかねませんので、先に原始関数を求めましょう。
(2)は展開して積分するだけ。真ん中で(1)が使えます。cos^2 2xは、角度を4xにして次数を下げましょう。三角関数は基本的に1次に落とさないと積分できません。
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.14-16)
結果はaの2次式なので、ただの平方完成です。今年の東北大は前期、後期通して、数学IIIが割と軽めでした。
※KATSUYAの解いた感想
前期に引き続き、やっと微積って感じ。第5問に比べると、えらい軽いな^^;(1)はn入ってるけど、ただの2回部分積分で慎重に計算。原始関数は微分して戻ることを確認。(2)はaの2次式になるだけ。(1)を利用して終了。これ、(1)いらないのでは?解答時間9分。
4.対策
基本的には前期と同じです。前期のエントリーをご覧下さい。前期よりは難しい問題が多い傾向にありますが、構成や問題の特徴はほとんど変わりません。
量をこなす演習:じっくり演習=6:4ぐらいでしょう。
以上です^^
■他年度の、本大学の入試数学■
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>> 2015年度 (後期です)
■関連する拙著シリーズ■
★ 数学A 確率 (第3問)
★ 数学II 三角関数 (第4問)
★ 数学B ベクトル (第1問)
★ 数学B 数列 (第2問)
★ 数学III 積分法 (第6問)
★ 数学III 複素数平面 (第5問)
★ 数学III 式と曲線 (第4問)