【後期】北海道大学 理系| 2018年度大学入試数学
2018/03/24
●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は北海道大学(理系)【後期】です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^今回は、後期の大学についての評価をUPします。
※非常に多くのコメントをいただいており、コメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。
2018年大学入試(国公立)シリーズ。
北海道大学(理系)【後期】です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
北海道大学(理系)【後期】
(試験時間100分、4問、記述式)
1.全体総評~全体的に計算過程の長い問題が多く、説明も難しいセット~
昨年比難化です。1番から質が高い問題が並び、3番の確率は類題経験がないとかなり厳しい題材です。2番、4番も文字が絡んで計算量が膨らんでいます。
問題としてはどれも演習したい良問セットです。受験生にとっては初見だと厳しい。
試験時間100分に対し、
標準回答時間は125分。3番の難問を捨てれば。。。
2017年:100分
2016年:115分
2015年:105分
2014年:100分
2.合格ライン
第1問は決して簡単とは言わないが、全体を考えると押さえたい。。
第2問もコツコツ計算すればたどり着くはずなので、なんとか正答したい。
第3問は(1)は確実。(2)以降は経験がないと辛く、最後だけ結果を利用してつまみ食いか。
第4問はキー問題。弧長の計算はいけるはずだが、(2)(3)まで計算を合わせられるか。
第1問、第2問は確保。第3問の(1)と第4問(1)までで6割強ぐらいです。これだけなら時間は余るので、第4問の残りをゆっくり計算して合わせていきたい。
60~65%ぐらいでしょうか。
3.各問の難易度
第1問・・・【整数(+数列)】ガウス記号の式を割った余り(B,20分、Lv.2)
比較的複雑な式にガウス記号がついた式についての問題です。誘導は丁寧なのでたどり着きたいです。
(1)は普段使っているだけに逆に証明しにくいですね。「展開すれば右辺になる」でもいいと思いますが、長い式の部分を等比数列の和を証明するときのように、斜めにずらして書いて引けばいいでしょう。
(2)は(1)でa,bを何に置き換えるか考えればOKです。
(3)は、(2)の式に比べて、分子がちょっと違います。ちょっとの部分をあぶり出すと、結局「w+ちょっと」と分かります。
このちょっとの部分が、本当にちょっと(0~1の間の小さい数字)だということを説明できればOKですね。n絡みなので、最も無難なのは帰納法でしょう。
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.50-57)
最も、帰納法まで使わなくてもかなりおおざっぱな評価でも証明はできます。結局、整数部分は「w」ですね。
※KATSUYAの解答時間12分。詰まることなく終了しました。証明というか、説明がしにくいですね。
第2問・・・【複素数平面】三角形の外側に作った正三角形の重心、軌跡(B、25分、Lv.2)
複素数平面を用いた図形の証明で、良く見かける形ですが、文字が多いので慎重にあわせたい。
(1)は、まずR,S,Tを求めれば重心を出せます。正三角形なので回転と相性がかなりいいですね^^
(拙著シリーズ(白) 数学III 複素数平面 p.60-62)
60°回転なのか、ー60°回転なのか注意。
(2)は、UVベクトルを60°回転させるとUWベクトルになることが言えればOKです。
(3)は軌跡の問題なので、重心Gの複素数表示が正しく計算できていれば余裕です。z=・・・ になおしてから|z-i|=1に代入しましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学III 複素数平面 p.55-56)
※KATSUYAの解答時間15分。思ったより時間がかかっていました。
☆第3問・・・【確率+数列】確率と漸化式、赤玉の個数(CD、50分、Lv.3)
ポリアの壺の逆バージョンで、取った色と逆の色の球を入れていくパターンです。類題経験がないと、(2)からも厳しいでしょう。
(1)は2回の試行で、赤玉としてそもそも有り得る数がaかa+1のいずれかであり、それぞれの確率を出せばOK。それ以外の場合は0となります。
(2)は具体的に状況を考えてみればわかると思います。直前にk個あるときと、k+1個あるときに分けます。確率と漸化式の、最も基本的な考え方です。
(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)
kの値によって確率は0になることもありますが、それでも成り立つことまで確認出来れば満点です。おそらく、そこまで試験場で頭を回すのは難しいですし、コスパを考えても部分点で十分です。
(3)はM1=aの値はともかく、捨てもん確定の難問です。(2)で満点の答案を書けないと(kの値によって0になることまで気づいていないと)、まずたどり着かない証明で、さらに添字をずらしてΣの式を書き換えたりする必要もあるので、かなり厳しいです。
※Yさんの解答が比較的分かりやすいと思います。
(4)は(3)の結果を受けてなので、ここだけ解くのはありです。両辺にa+nをかけると、「添字が1ずれの数列」の形が見えます。あとは和と極限を求めるだけですね。
※KATSUYAの解答時間27分。(2)まではさくっと行きましたが、最初は細かい部分まで吟味せずで(3)がお手上げh状態になったので、a=4、n=3とa=4、n=4あたりでつらつら書き連ねてみて、ようやく式のつながりが理解できました。試験場なら捨てもん確定ですね。
☆第4問・・・【微積分総合(グラフ)+図形と式】弧長、接線、軌跡(B、30分、Lv.2)
微積分総合問題に軌跡が絡んだもので、設定は簡単ですが計算処理力を問われる問題です。試験としても差が出やすいでしょう。
(1)は弧長を求めるだけですので、公式そのままです。
(2)は接線の傾きを利用して、ベクトル的に考えるのがいいでしょう。接線の方向ベクトルが(1、f'(s))なので、この方向に、長さがL(s)となるように進むということです。f’(s)=L(s)となることをうまく利用すると、少し計算をサボれます。
(3)は軌跡です。図形と式における原則でもいいですし、tanθでの置き換えも有効な形をしています。
(拙著シリーズ(白) 数学II 図形と式 p.48)
(拙著シリーズ(白) 数学III 式と曲線 p.35 残りの手法は割愛)
軌跡は円と、非常にシンプルでキレイになります。カテナリー曲線はいろいろ性質がありますね。
※KATSUYAの解いた感想
(1)は瞬殺、(2)は何をさせたいのかよくわからんが、とりあえず問題文の通りにA~Cを出す。(3)で理解、分かりやすく不等式が並んでるわ。面積はABがx軸に平行なので出しやすい^^ 面積を出したあとは=kとおいて原則に従って終了。図を書いたりと作業は多いが、一番コツコツやればできる問題かな。解答時間15分。
4.対策
前期とほぼ同様の傾向なので、前期のエントリーをご覧ください。(ここ2年は前期より難しいですので、より上位の対策が必要か。)数学IIの図形と式の総合問題が比較的好きなようです。難問ではありませんが、範囲にとらわれずベクトルや微分などの手法を駆使して求めていくようにしておきたいですね。
量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいでしょう。
以上です^^
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■関連する拙著シリーズ■
★ 数学A 整数 (第1問)
★ 数学A 確率 (第3問)
★ 数学II 図形と式 (第4問)
★ 数学B 数列 (第1問、第3問)
★ 数学III 複素数平面 (第2問)
★ 数学III 極限 (第3問)
★ 数学III 積分法の応用 (第4問)
★ 数学III 式と曲線 (第4問)