【後期】神戸大学 理系| 2018年度大学入試数学
2018/03/20
●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は神戸大学(理系)【後期】です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^
2018年 大学入試数学の評価を書いていきます。
※入試シーズン中は、コメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。
2018年大学入試(国公立)シリーズ。
神戸大学(理系)【後期】です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
神戸大学(理系)【後期】
(試験時間120分、5問、記述式)
1.全体総評~微積分が5問中4問あり、相変わらず計算量多し~
難易度は昨年並です。前期に比べると数IIIからの出題がかなり多く、さらに計算量多めですが、これで例年の後期より少し多いぐらいと言えます。むしろ今年は数III、数II合わせて微積分が5問中4問ありました。
試験時間120分に対し、
標準回答時間は150分。
2017年:145分
2016年:130分
2015年:135分
2.合格ライン
1番は誘導もあるので、全体のセットを考えるとコツコツ計算しておさえたい。
2番はキー問題。逆関数の積分については類題経験もしくはテクニカルは式変形が必要。
3番は(1)(2)の流れを(3)でやることは見抜きたい。
4番はキー問題。(2)の説明が難し目であることと、(3)で図のイメージがわくかどうか。
5番は時間との勝負。内容も高度なので途中どまりか。
1番、3番を抑えて2番、4番、5番で合わせて1完全半ぐらい出来れば安心。65%ぐらい欲しい。
3.各問の難易度
☆第1問・・・【微分法(II)】2つの長方形の面積の和の最大値(B,30分、Lv2)
放物線との領域内に作られる2つの長方形の和の最大値です。2文字が動きますが、1文字ずつ固定して最大値を求めていきます。
本問は誘導によって原則を使うよう指示されていますので、それに従うだけです。
(2)は(1)の式をaの3次関数と見て微分して増減を調べ、そこで出た最大値について(3)ではbの関数とみなし、再び微分して増減を調べます。最大になるbには2重根号が入りますが、2乗の計算であればその心配はなくなります。
ただし、かなりうまく計算しないと、相当煩雑になります。変に展開しないのが吉ですね。その値が1/4未満であれば、最後の不等式も簡単に示せます。結果的にはかなりシビアな評価ですが(下記参照)、√3>1.7でいけます。
※M^2の値は0.2408・・・ぐらいなので、もとの数値は0.49以上。まあまあギリですね。
※KATSUYAの解答時間15分。(3)の計算が煩雑になるのが見えたので、慎重に計算しました。評価は意外とラク。
☆第2問・・・【積分法】逆関数と定積分(BC、30分、Lv.2)
積分法の問題で、(1)で逆関数が存在することを証明したのちに、(←意図が見抜けましたでしょうか)その逆関数の定積分を求めます。東大でも2006年前期に出題があります。もうちょっとメンドウでしたが。
(1)は関数が単調増加であることを示せばOK。これにより、逆関数の存在が認められますので、(2)にうつります。(1)の後半が定積分の上端になっています。下端の1は、x=0のときに対応します。
あとは単調増加のグラフを書けば、長方形からf(x)の定積分を引けばいいとわかります。積分はe^x=t とおいたあと、さらにtanθで置き換えることになりますので、意外とメンドウですね。
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.32-33 詳細は省略)
※KATSUYAの解答時間9分。東大にも似たようなのがあったので、詰まることなく終了です。
☆第3問・・・【整数】式を3、4で割った余り(B、25分、Lv.2)
整数問題で、適度にメンドウな良問ですが、誘導があるので本セットの中では落とせないレベルになっています。
(1)の証明はいいと思います。3でくくればOK。これにより、{a_n}は周期6であると分かりますので、最初の6項だけコツコツ調べればOK。
(3)は、自分で{bn}の周期を予想し、その証明からです。4周期であることは予想が付きますので、B_n+4ーB_nが4で割り切れることを証明し、b1~b4をコツコツ調べましょう。
年号が絡むような聞き方の場合は、周期性があることが多いですね。2018項目なんて、周期がない限りとてつもなく大きい(小さい)数になりますからね。
※KATSUYAの解答時間13分。詰まることなく終了しました。
☆第4問・・・【2次関数+積分法+数列】絶対値付き2次関数と関数漸化式、面積(BC、30分、Lv.3)
関数の漸化式が与えられて、どのような様子のグラフになり、x軸と囲まれる部分がどのようになるのかを考察する問題。
(1)~(3)の流れにうまく乗れれば、なんとなく最後まで正答できそうですが、乗れないと(2)でほぼお手上げで、(3)も皆目見当つかずという状態になるでしょう。
(1)はグラフを書くだけです。操作としては、「グラフを1だけ下げて、x軸より下をくるり」です。これを繰り返し続けるとどんなグラフになるか、ということです。f3まででは規則が把握しにくいですが、そこまでの詳細は不要で、(3)を求めたければ、(2)程度の情報でいいということになります。x軸との上下関係ということですね。
上下関係は(2)に書いてある通りですが、これの証明は帰納法です。少し気づきにくいでしょうか。漸化式であることと、やはり「n」に関する証明であることが決め手だと思います。
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.50-57)
おおざっぱには、「0~1をうろちょろしている部分と、0からグイっと上昇する部分に分かれる」と思えれば勝ちでしょう。前半部分は、1下げればー1~0をうろちょろし、x軸で返せば再び0~1にきます。後半は式が与えられていますので、1下げることで交点に新しく√n が追加されますね。
(3)も、上記のおおざっぱで絵をかくと、合わせた部分がどんな部分かが分かります。6分の公式が使える面積の差になりますね。
(拙著シリーズ(白) 数学II 積分 p.29)
※KATSUYAの解答時間18分。センスや論証力などがバランスよく問われている、創作問題で良問ですね。
☆第5問・・・【極限+微積分総合】定積分、方程式の解、漸化式と極限(C、40分、Lv.2)
題材としては「一般項不明の漸化式」のパターンになりますが、この漸化式を作るために、定積分を絡めてきました。お決まりの「一般項不明の漸化式」の問題とは一線を画しています。
良問ですが、受験会場で初見で出会いたくないタイプです。
最初から上記のパターンを見抜き、こちらの原則をが見えていれば、(1)(2)の意図は分かりやすかったとは思います。
(拙著シリーズ(白) 数学III 極限 p.16-17)
(1)は、上記[1]のαの存在を確認する作業ですが、ここに微積分が両方絡んできます。左辺ー右辺は「a」の関数なので、これを適当にg(a)とおいて微分して増減を調べれば、0をまたぐのが1回だとわかります。なお、このaがlog2より大きいです。(2)でいきなりlog2<b<aとか出てきますが、(1)をとき終わると意味がわかります。
(2)は、上記原則の[2]を作るための証明です。この形と非常に相性がいいのが、平均値の定理ですね^^
(拙著シリーズ(白) 数学III 微分法の応用 p.51-53)
ここで、log2 よりも大きいことが効いてきます。log2では極値をとっているため。log2より大きい範囲では単調性がありますので、定義域の大小がそのまま値域の大小に結びつき、題意の不等式が得られます。
(3)は、(2)までできていますので、あとはいわゆる「公比」にあたるf(b)が1未満であることを付け加えて、はさみうちですね。
流れが見えずに頑張った人も、(3)を見ればやってきたことがつながり、視界が開けた気分になるのではないでしょうか。その前に、まずはここまで来れたかどうか。。。
※KATSUYAの解答時間20分。全体を見渡して上記流れが把握できましたので、意外とスムーズに行けました。微積分を両方絡めてくるあたりが、神戸大のうまさ。
4.対策
前期とほぼ同様と考えてOKです。前期のエントリーをご覧下さい。
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■関連する拙著シリーズ■
★ 数学A 整数 (第3問)
★ 数学II 微分 (第1問)
★ 数学B 数列 (第3問、第4問)
★ 数学III 極限 (第5問)
★ 数学III 微分法の応用 (第5問)
★ 数学III 積分法 (第2問、第5問)
★ 計算0.9 【IAIIB】 (計算サボリ練習帳です)