金沢大学 理系| 2018年度大学入試数学

      2018/03/25

●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は金沢大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2018年 大学入試数学の評価を書いていきます。


2018年大学入試(国公立)シリーズ。
金沢大学(理系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。



また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





金沢大学(理系)
(全4問、記述式、120分)

1.全体総評~数IIIの割合が半分。答案量は相変わらず多め~

難易度は昨年と変化なしです。数学IIIの割合は2問に減りましたが、計算量はどちらも比較的多め。残りは確率とベクトルで、分野のバランスは取れています。数IIIや確率を中心に答案量が多く、時間を取られるセットです。

制限時間120分に対し、目標解答時間は105分で、昨年から15分増加です。見直しの時間まではなさそうです。

2017年:105分

2016年:90分

2015年:120分



2.合格ライン

第1問の確率は(3)がキー問題。コツコツ数えるしかないが、合わせられるか。
第2問も(3)がキー問題。(1)(2)はおさえたい。
第3問は計算量が多いが。全体のセットを考えると合わせたい。
第4問はなんとなくの感覚で正解は出来るはず。7割答案を目指して最後まで行きたい。

数IIIの2問で60%ぐらいを確保し、残2問でも1問強を確保できるかどうか。65%ぐらいでしょうか。

 

3.各問の難易度

第1問・・・【確率】直線の交点が格子点になる確率など(B,25分、Lv.2)

サイコロを4回投げて2本の直線の係数を決める問題です。(1)(2)は瞬殺でしょう。

(3)が急に時間がかかる。交点のx座標がd-b/a-cとなりますが、これが整数になる確率を求めます。結局、2つのサイコロの差の話になりますので、36通りの表を書いておくのが最も無難だったでしょう。

 

Principle Piece A-7

 サイコロ2個は高々36通り 表を書いて整理する

(拙著シリーズ(白) 数学A 集合と場合の数 p.20)

 

あとはa-c、b-dの組み合わせで有り得るものをコツコツ数えるだけですね。


※KATSUYAの解答時間11分。

 

☆第2問・・・【微積分総合】共有点条件、共通接線、回転体の体積(B、35分、Lv.2)

2つの曲線を題材に、解を持つ条件や接線、回転体など、いろいろやらされます。演習としてはいい問題ですね。

(1)は共有点条件ですから、定数分離でしょう。「a」は分離できないので、k=・・・としましょう。

Principle Piece III-36

 方程式の解 f(x)=k として左辺の増減を調べる

(拙著シリーズ(白) 数学III 微分法の応用 p.39-42)

(2)は、2つの曲線が接する条件になりますので、こちらの原則を用いればすぐに式が2つ立てられます。

ULTIMATE Principle Piece

 2曲線f(x),g(x)が接する  方程式の解 f(x)=k として左辺の増減を調べる

a,k,tの3文字があり、式が2つあるので、「t」を残して解くことになります。

(3)は回転体ですが、y軸回転なので、y=・・・のものをx=・・・に直して計算するといいでしょう。もちろん ∫x^2dy=∫x^2dy/dx・dxでxのまま置換積分してもOK。

Principle Piece III-79

 y軸回転体

[1] x=・・・にできるならyで積分

[2] できないなら dy=dy/dx・dx でxに置換積分

(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法の応用 p.40)

いずれにしても、積分計算はかなり長めなので、正確に合わせることができれば御の字ですね。

※KATSUYAの解答時間22分。(3)はx=・・・にしようと思いましたが、無理関数は4次式になるし、指数は対数に変わるので、積分には不利と判断し、置換積分でやりました。

 

☆第3問・・・【式と曲線】楕円に接する正方形、面積比など(B、25分、Lv.2)

第2問に引き続き数IIIで、楕円の問題です。

文字ばかりで計算は煩雑になりますが、第1象限で楕円の接線の傾きが1となるような接点と接線を特定することがメインとなります。楕円の接線は円の接線を同じ感覚で、公式でもOKでしょう。

あるいは、y=ーx+c として楕円と連立し、判別式でもOKです。

接点が出ればSは出ます。Tは積分でもいいですし、πabぐらいは断りなしに用いてもいいと思います。

S/Tはa,bの同次式の形をしていますので、比で置き換えれば1文字にできます。

ULTIMATE Principle Piece

 同次式は比で置き換えて1文字減らせる

比で置き換えると、1次/2次になりますので、相加平均・相乗平均の関係を用いると一瞬で解決できます。まだ見やすいほうだと思います。

Principle Piece II-8

 相加平均・相乗平均の関係が使える式 2次/1次 またはその逆

(拙著シリーズ(白) 数学II 式と証明 p.19 残りは省略)

思いつかなかったら微分でもOKです。

なお、(c、0)から引いた接線が直交する(その線が正方形の辺)と考えれば、(c、0)が準円上にあることは明らかなので、cの値は答えだけならすぐに分かります。

※KATSUYAの解答時間12分。cの値が準円上にあることを確認しつつ、S/Tは相加平均・相乗平均の関係が見えたので、置き換えずにそのまま変形して終了。

☆第4問・・・【空間ベクトル】ねじれの位置にある2直線上の4点からできる四面体の体積(B、20分、Lv.3)

ねじれの位置にある2直線上に2点ずつ点をとれば、四面体が出来ます。その体積を求めようという問題です。

題材的には知られている内容ですが、かなり演習を積んでいないと出会わないタイプといえそうです。本問は誘導がかなり丁寧であること、さらに2直線の方向ベクトルが垂直であることもあり、難易度は下がっています。

(1)は直線上の点をs、tなどでおいて垂直条件を用いるだけです。

(2)は実際に文字を設定して、成分を入れて計算しても出せますが、PBベクトル=PQ+QB として、これとAPの内積を考えると見やすいです。APとPQは垂直なので内積ゼロですから、残りはAP・QBです。これが0になるというのは、2つの直線の方向ベクトルも垂直だったということです。

(3)の面積はいいでしょう。体積については、この三角形に対して高さが2a(両側にaずつ)になるのだろうと想像は付くと思いますが、それをきちんと証明するために(2)が利用できます。APはPQ,QBの両方に垂直ですから、平面PQBに垂直であると言え、三角形に垂直な直線と言えます。

※なお、拙著(数B ベクトル)にはねじれの2直線に垂直なベクトルの出し方などを外積で紹介しています。(1)では検算に使えます。

※KATSUYAの解答時間11分。誘導があったおかで詰まることなく終了。

4.対策~数学IIIを中心に演習を。難問奇問は必要なし~

金沢大の理系は数学IIIの割合が非常に高いので、しっかり演習しておきましょう。「複素数平面」「式と曲線」も頻出の傾向があります。

極端な難問は出ませんが、理系らしいめんどくささ(場合分けなど)を含む問題が多いので、理系用の問題集で練習を積むといいでしょう。チャートは青チャートレベルでいいと思います。最終的には入試標準演習まで行い、過去問に接続するといいでしょう。

金沢大も、単科長年タイプのものがあります。

量をこなす演習:じっくり演習=7:3でOK。

以上です^^

■他年度の、本大学の入試数学■

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>> 2017年度



■関連する拙著シリーズ■

★ 数学A 確率 (第1問)

 

★ 数学III 微分法の応用 (第2問)

★ 数学III 積分法の応用 (第2問)

★ 数学III 式と曲線 (第3問)

★ 数学B ベクトル (第4問)

★ 計算0.9【IAIIB】 (計算練習帳です^^)

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