関西学院大学 全学日程(2/1)理系 |2018年大学入試数学
●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は関西学院大学(理系、2月1日実施)です。
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※入試シーズン中(2月~3月中旬)は、コメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。
2月に入り、本格的に2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。2018年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2018年大学入試(私大)シリーズ
関西学院大学(全学日程理系:2/1)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
関西学院大学(全学部日程:理系)(2月1日実施)
(試験時間90分、3問、ハイブリッド型)
※ハイブリッド型・・・記述式と穴埋め式が混合しているもの。
1.全体総評~計算量・難易度ともに僅かな増加傾向続く~
2016年から計算量がちょこっとずつ、それに応じて全体の難易度もちょこっとずつ増加傾向にあります。第2問の円の問題はかなりいろいろ聞かれているので、時間をもっていかれます。第4問も単純ながら計算が長いです。
試験時間90分に対し、
解答時間は101分【78分】(←穴埋め考慮)
2017年
解答時間は95分【69分】(←穴埋め考慮)
2016年
解答時間は89分【61分】(←穴埋め考慮)
2015年
解答時間は92分【63分】(←穴埋め考慮)
2.合格ライン~昨年より少し下の65%ぐらい~
第1問は小問なので基本が多い。8個は欲しい。25点ぐらい。
第2問はキー問題。「オ」以降はうまくやらないと計算がかなり膨れる。APOQが正方形であることに気づくとラク。
第3問は確率と場合の数でキー問題。意外かもしれませんが、こういう地道な数え上げの問題こそ、かっちり合わせた人が勝ち。
第4問は計算が長いだけで、微分・積分計算は至極単純なので、なんとかくらいつきたい。(4)まで欲しい。
第1問・第4問を8割で押さえ、第2問か第3問でどこまで出来るか。65%ぐらいがボーダーとなりそう。
3.各問の難易度
☆第1問(1)・・・【平面ベクトル】内積、長さの最小値など(AB、12分【8分】、Lv1)
基本的な平面ベクトルの計算です。聞かれた通りに計算すればOK。s+t=3を満たして動くなら、OA,OBを3倍に伸ばしたところを動きます。OA=OB=2、なす角90度なので、垂線をおろして直角二等辺三角形が見えるのですぐに3√2とわかります。
「イ」を求めるために、仕方なく2乗しましょう。平面ベクトルでは、「下記の3つが分かれば何でも出せる」という事実をしっかり頭に入れておけばOK。
(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.22-24)
※存在範囲の分野も不安な人は復習しましょう。(s+2t=1のときのPの動く範囲を求める、などのタイプ)
第1問(2)・・・【三角関数】合成、三角方程式(A、5分【3分】、Lv.1)
本セット最易問です。合成をちゃちゃっとやって、三角方程式を解くだけです。昨年よりも簡単な三角方程式。
言うことがなさすぎたので(苦笑)、合成の原則(どんな三角関数の式であれば合成するか)をここで確認しておきましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学II 三角関数 p.44)
条件は全部そろってないとだめです。
第1問(3)・・・【式と証明】分数式の恒等式(AB、9分【6分】、Lv.1)
この問題、実は記述だと意外と厳密にかかないとダメで、最高次の係数・次数ともに(項が)一致していることで、約分されている可能性がないということが条件として付いてきます。
穴埋めであれば、左辺の分母が、右辺の通分したときの分母(x-2)(x+c)^2と一致しているってことでいいでしょう。
x^3+ax^2-3x-18=(x-2)(x+c)^2 ですが、展開する必要はまったくありません。 定数項を見て -18=-2c^2 なのでc=3、-3です。 形からして可能性は低いですが、-3があり得ないことは、以下のようにして確認できます。
c=-3だと、=0の解が「2、3、3」 全て正なら、1次の係数が負になることはないです(解と係数の関係で明らか)
c=3だと、=0の解が「2、ー3、ー3」で計算すると適します。ついでに ーa=2-3-3=-4 でaも一瞬です。
bは、右辺を通分したときの2次の係数で確認できます。
※KATSUYAの解答時間は計4分です。
☆第2問・・・【図形と式】、円、円外の点からの接線、接点の座標、円の決定(B、25分【18分】、Lv.2)
今年はここが空間ベクトルではなくなりました。円絡みの図形で計算が多そうな予感がしましたが、予感的中といったところです。
最初の中心と半径はいいとして、次の接線も原則通りです。
(拙著シリーズ(白) 数学II 図形と式 p.34)
中心が原点にない場合の接線の式は教科書にはないようですが、すぐに作れますか?作れないならすぐにチャートなどで確認!
接線の式だけなら、傾きmを設定して、中心と直線の距離d=r でやってもOKですが、これだと「エ」まで。「オ」「カ」はまた接線を出さないといけません。上記原則だと接点、接線どちらも出せます。
「キ」~「コ」が差のつくところ。接線の傾きをわざわざ2つとも聞いていることから、ここで2直線が「垂直」であることに気づいて欲しいわけです。2接線が垂直になるとき、中心、2接点、円外の点Pで正方形ができます。知っておいて損はないでしょう。実際、これを利用するだけで「ク」は一瞬です。1辺5の正方形の半分です。
最後はいろいろやり方はあると思いますが、「中心がPQの二等分線上にある」「中心との距離が5√5」などで出来ると思います。計算量は比較的あります。
私はベクトルを使ってやりました。 半径5√5、弦PQの長さ5√2から弦との距離を出し、さらに通る点がPQの中点、方向ベクトルがPQに垂直な(7、ー1)か(ー7、1)であることを出してやりました。
弦のの長さは、こちらの原則です。もちろん、弦からdを出す場合も使えますね^^
(拙著シリーズ(白) 数学II 図形と式 p.42-44)
※KATSUYAの解答時間は8分です。
第3問・・・【場合の数・確率】3枚のカードの奇偶、和など(AB、20分【13分】、Lv.2)
今年の第3問は比較的穏やかですが、地道に数えていく問題が多いので、差が付いたと思われます。また、途中から総数ではなく確率なので注意。「ウ」あたりは勢いで44で答えた人、いそうですね~(さすがに44なら聞かないと思いますが・・・)
「ウ」は確率を出すということで、(1)はいいでしょう。(2)も問題はないかと。
(3)からは地道に数えます。足して8になる可能性は、(1、2、5)、(1、3、4)しかありません。従って、カードの数字が「5」まで揃っていればあとは常に2通りしかなく、n=4のときだけ1通りです。
(4)もn=6,7 ならそんなに多くありませんので、地道に数えましょう。自信がないなら、全通り書き出すぐらいの覚悟が必要です。6C3=20、7C3=35 通り。全部書いても55通りです。これを「55通りしかない」と思うのか「55通りもある」と思うののかが、合否の分かれ目。
関係ないかもですが、こちらの原則を。
(拙著シリーズ(白) 数学A 場合の数 p.20)
36通りなら書けるのに、55通りだと書けない理由はどこにもないはず。
※KATSUYAの解答時間は6分です。
第4問・・・【微積分総合+数列+極限】漸化式、接線、面積、体積(AB、30分、Lv.1)
最後は微積分総合です。関数はかなり簡単なので難易度はABとしましたが、スープ、サラダ、つまみ1品、メイン料理、デザートなどと盛りだくさんのメニューで聞かれた印象です。なので時間はとられます。
最初の接線はスープ。さくっと召し上がりましょう。(2)は(1)の点を利用して面積計算です。
(3)は前菜でしょうか。一般的にa_nを使ってでしっかり接線lnを出してもらい、x軸との交点a_n+1 まで出す流れ。漸化式から等差型とすぐに分かります。a_nをlnに代入して、改めてlnも「n」の式で出ます。
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 pp.34-35)
(4)がメインでしょう。面積計算はnも絡むでのでちょっとメンドウ。うまくe^(-n) などをくくりだしながら計算しましょう。級数を聞いていることから、Snも等比数列と予想されます。意識しているとくくりやすいです。
最後の(5)の体積は、時間があるならここまでやってね、ということで、デザート的な位置づけかと。回転体の積分計算は直線部分の回転があるので、円錐で処理すると少し見やすくなります。お腹いっぱいになりそうですね。
4.対策~IIB・IIIから出やすいトレンドは継続中~
数学III・数学IIが多い傾向、数Bはベクトル・数列両方出るトレンドは継続中です。まずは数Bの演習は必須で、IIの分野も小問で結構出ますので、怠らないようにしましょう。チャート式(黄色でOK)に加え、同じぐらいのレベルの入試問題集(関関同立過去問など)をたくさん演習しておくと万全でしょう^^
Ⅲは典型タイプが多いので、教科書だけでなく、黄色チャートの例題はマスターしつつ、有名なものは繰り返して結果もある程度頭に残しましょう^^
量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいでOKです。
以上です^^
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(もしくは、本サイト右側のカテゴリーよりどうぞ^^)
■関連する拙著シリーズ■
★ 数学B ベクトル (第1問(1))
★ 数学II 三角関数 (第1問(2))
★ 数学II 式と証明 (第1問(3))
★ 数学II 図形と式 (第2問)
★ 数学A 確率 (第3問)
★ 数学A 集合と場合の数 (第3問)
★ 数学III 微分法の応用 (第4問)
★ 数学III 積分法 (第4問)
★ 数学III 積分法の応用 (第4問)