広島大学 理系 講評| 2022年度大学入試数学

      2022/05/29

●2022年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は広島大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2022年 大学入試数学の評価を書いていきます。

 

2022年大学入試(国公立)シリーズ。
広島大学(理系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。


解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





※お知らせ

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Principle Pieceシリーズの販売を再開しました^^ こちらも予習用に適した参考書です。

YouTube開設しました。 個人的に紹介したい大学入試数学を中心に解法や発想を動画にしてみようと思います。

 

広島大学 理系
(全5問、150分、記述式)

1.全体総評~計算量は相変わらず多め~

難易度は例年並みです。どの問題も計算量が多いか、小問の数が多いかのどちらかで、全体的に時間を取られやすいセットです。150分という長さなので多すぎるわけではないですが、あまりもたもたしていると間に合わない可能性もあります。

試験時間150分に対し、標準回答時間は130分。

2021年:解いていません(解き次第調査します)

2020年:130分

2019年:150分

2018年:140分

2017年:160分

2016年:113分

2015年:145分

2.合格ライン

第1問は数IIの微積ですが、計算量はそこそこ。全体を考えるとおさえたい。
第2問はキー問題。やることが非常に多い+文字定数も絡むので、計算力勝負。最後以外は取りたい。
第3問は比較的わかりやすいのでおさえたい。
第4問はキー問題。文理共通の確率ですが、問題文も長く、小問が多い+計算もそこそこあるので、時間はかなりかかる。
第5問もキー問題。(3)までは言われたことをやるだけだが、メインの(4)で誘導をいかせるか。

 

1番は、3番はおさえたい。2、4,5番も全滅することはないので、すべてある程度解いて1完半程度欲しい。70%弱ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

☆第1問 【微積分総合】3次関数と直線で囲まれる面積(B,20分、Lv.2)

3次関数と直線の共有点の個数と、2つの部分の面積の差に関する問題。

(1)は2通り解き方が考えられます。1つはLaの式をaで表して連立し、解が2つになる条件を求める方法。x=ー1は解なので、あと1つになる場合を求めます。

もう一つは微分を利用して解く方法。接点x=tをおいて接線を作り、それが(-1,0)を通るとしてtを出せばOK。通る点よりも接点をおくことが大事です。

(2)は(1)が出れば問題ないでしょう。3次関数と接線との交点なので、出した答えは12分の4乗公式で検算もしておきましょう。(12分の4乗は公式としていきなり書くのはたぶん減点されます^^;)

(3)は3つの共有点を持つ場合に、囲まれた2つの部分の面積の差について考えます。まず、3つの共有点を持つ場合が0<a<1と1<aの2つに分かれ、囲まれる部分の状況も分かれます。なので場合分けをします。

先に0<a<1の方から。(2)から、大きい方の面積が4/3より小さいため、差が3/2になることはありませんね。

1<aの方は計算が必要。x=ー1以外の交点が-√a、√aです。「3次関数で囲まれた部分の面積等しい」のタイプの問題のときと同じやり方を使いましょう。面積の差=符号付面積の和を考えればよく、端っこから端っこの定積分計算になります。等しければ個の定積分の値がゼロとなります。今回は差が3/2なので、絶対値をつけて3/2とすればOK.

定積分の区間がー√a~√aなので、偶関数部分だけ残してうまく計算を減らせば見かけほど計算はしんどくないです。

 

※KATSUYAの解答時間は22:12です。(3)で、0<a<1のときも何も考えずに定積分計算をしてしまいました。かなりややこしい計算が出て迷っていましたが、そもそも(2)の値からあり得ないと気づいたときには10分近くロスです。

 

第2問 【図形と式+三角関数】二等辺三角形の5心(傍心以外)の位置(B、25分、Lv.2)

二等辺三角形の内接円上に、重心、垂心、外心があるような場合を考える問題。実質的に、傍心以外の位置を特定する問題で、やることはかなり多いです。なお、文系との共通問題です。

(1)Iは内心ですので、IBは∠Bの二等分線になります。なので、t=tanθ、a=tan2θとなるだけです。

(2)は(1)が出来ればただの倍角公式です。(1)があるおかげで簡単ですが、ないと意外と思いつかないのでは。(1)を入れたのは親切設計ですね。

(3)は重心ですので、図形と式の公式です。(2)を利用して、y座標=2tならOK。

(4)は垂心です。垂心は三角形の中にあるとは限りませんが、二等辺三角形は鋭角三角形か直角三角形なので垂心は内部か頂点です。頂点が内接円になることはないので、やはりy座標=2tでOK。場所の特定ですが、(0,h)としてBH⊥ACなので、ベクトルで内積ゼロとするのが個人的にはおススメ。

(5)は外心。外心も内部とは限りませんので、このときだけはy座標=0または2tです。外心もベクトルがいいと思います。場所をD(0,d)とでも置き、ABの中点MとしてDM⊥ABで内積ゼロの式を作りましょう。

2tのときの方は2重根号ですが、この2重根号ははずせませんのでそのままでOK。

 

※KATSUYAの解答時間は10:27です。ほとんど全部聞いてくるんやなぁ。

 

第3問 【数列+整数】漸化式と倍数判定(B、18分、Lv.1)

漸化式で与えられた数列(フィボナッチ数列の規則)について、ある倍数になることを証明する問題。問題自体は非常に単純です。

(1)はC6まで出せばOKです。なお、フィボナッチ数列の規則で与えられている場合、隣り合う項の最大公約数は最初の2項の最大公約数と同じです。文字式で最大公約数を求めるときは、ユークリッドの互除法が有効です。

(2)は「帰納法で」と指定がありますし、素直に帰納法で証明するだけです。指定がなくても、nに関する証明は帰納法を考えましょう。

(3)は2つ前仮定して進める、いわゆるオトトイ法と呼ばれる方式ですね。3項間漸化式なので思いつきやすいと思います。証明すべき事自体はかなり自明に近く、証明も簡単です。

(4)は(2)の結果と逆であることなどから、対偶法を思いつきたいところです。a+bが偶数ならc2022が偶数であると言えればOK。a,bがともに奇数の場合は(2)の結果がそのまま使えます(2022が3の倍数であることもポイント)。a,bがともに偶数の場合は(3)でd=2とすればやはりc2022は偶数なので、対偶は真と言えます。

 

※KATSUYAの解答時間は10:27です。

 

第4問 【確率】玉の取り出しと条件付き確率など(B、30分、Lv.1)

文理共通の確率で、赤玉や白玉を取り出す確率を求める問題。2番同様に問題が多く、赤玉や白玉の組成なども慎重に追っていかないといけませんので、かなり時間を持ってかれます。

(1)は条件付き確率です。「とき」の手前の確率を分母、「とき」の前後の確率を分子に持ってきましょう。今回はi=0として試行を進めると、全7個中赤3個の状態から2個を取ったときに赤になる確率として直接出してもOK。

(2)qAはいいでしょう。qCはAに赤を入れた場合とAに入れた場合に分けます。

(3)以降は、試行2の最後で袋はリセットされていますので、試行3だけ見ればOK。P(X∩Y)はDで赤かつEで全部白です。Eの確率の計算に注意。n+7Cn=n+7C7 に変換して計算します。このあたりから計算が少し大変になります。

P(Y∩Z)が一番大変かと。Dで赤→Eで全白→Fで全赤、Dで白→Eで全白→Fで全赤と、Dから計算する必要があります。nが絡む計算も入ってきて、係数的にも大きいので差がつきそう。

(4)も条件付確率なので、(1)と同じ原則で計算します。P(Y)=(3)のP(X∩Y)+D白→E白の確率。これが出れば、あとは(3)の結果を分子にすれば、聞かれている条件付き確率は両方出ます。

小問の数以上に求めるものがあり、計算も後半は少し大変ですね。

 

※KATSUYAの解答時間は20:13です。なんか同じようなことをさせられている感じ。

 

☆第5問 【微分法+極限】接線の式、不等式の証明、一般項不明の漸化式の極限(B、25分、Lv.2)

最後は数IIIの融合問題。一般項が求まらない漸化式によって定まる数列の極限を求めるタイプです。誘導が丁寧なおかげで難易度が下がっていますが、誘導なしだと結構難しめのタイプです。

(1)は指数を比較すると、√2の√2乗か、√2×√2かです。後者は√2の2乗なので、後者の方が大きいですね。

(2)は接線の方程式を求めるだけです。

(3)は指数関数が下に凸の放物線なので感覚的には明らかだと思いますが、きちんと数式で示します。不等式の証明は差をとって微分です。接点で極小値かつ最小値となります。

(4)がメイン。前半の不等式の証明は、(3)で証明した不等式を用いればすぐに出ます。a_n+1に対して、a_n+1=f(a_n)≧m×a_n+kとすればきれいに証明できます。

なので、等比数列的に不等式を繰り返し用いれば、2-a_n≦(log2)^n-1×(2-a1)となります。これで右辺の極限は0となりますが、まだ下からも評価が必要です。ここで、a_n<2をさらに自分で証明する必要があると気づきたいですね。

気づけば、証明自体は帰納法で簡単にできます。下から0で挟むことが出来れば、あとはハサミうちのでOKですね。

 

※KATSUYAの解答時間は13:14です。接線利用で不等式を証明する流れはあまりみかけないけど、きれいに証明できていいですね。

 

4.対策

広島大は、やることは典型的ですが、融合問題が多い印象です。問題にあたっていく中で、「これを使えばいい」と判断できる力が必要です。手法自体は、青チャートで十分網羅できていますので、まずは手法を一通りマスターし、その上で融合問題を多く解く演習をしましょう。数学IIIの計算はもう少し複雑なことが多いので、微積で計算練習を怠らずに。

頻出分野は微積、複素数平面、確率です。これらの対策は重点的に。

量をこなす演習:じっくり演習=7:3でOK。

 

以上です^^

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