千葉大学 全学部 講評| 2022年度大学入試数学

      2024/01/23

●2022年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は千葉大学です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^ 

2022年前期の大学入試数学の評価になります。

2022年大学入試(国公立)シリーズ。
千葉大学です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。



また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。


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千葉大学
(全9問、試験時間・解答問題は学部による)



時間、解答問題が学部によりますので、総評および合格ラインについては、なしとします。ご了承ください。

1.各問の難易度

☆第1問 【確率】円周上の点を動く点(B,25分、Lv.2)

サイコロを3回投げ、規則に従って円周上を移動をする問題。移動する向きと確率が毎回変わるので、計算はかなりメンドウです。千葉大の確率は全調査に近い調査が必要な問題が多い印象です。

(1)からまあまあメンドウです。1回目と2回目で違う向きに進むなら、同じ目が出ないとダメです。1回目と2回目で同じ向きに進むなら、2回とも6が出ないとダメです。玉を戻さないので、毎回進む向きの確率が変わるところが本問をメンドウにしています。

(2)の方が意外と考えやすい気がします。最初の移動点Qはどこでもいいですが、その後のR,SはPから4ずつ離れていないといけません。したがって、Pが出た後は基本的に同じ向きに4→4と出る必要があります。(反対向きに進もうとすると8進む必要があります。)

2回目と3回目さえ同じで4進めばOKです。したがって、黒→黒4→黒4、黒→白4→白4、白→黒4→黒4の3パターンです。白が2個しかないことに注意。

色が出る順番と、サイコロの目の確率を分けて計算するとラクかもです。例えば、黒→白4→白4の場合は

黒→白→白の確率は4/6・2/5・1/4、 目は(任意,4,4)なので1/6×1/6

見たいに計算するとまだミスが減りそう。

 

※KATSUYAの解答時間は15:13です。元に戻さないので、調査というか計算がメンドウですね。

 

第2問 【三角比】二等辺三角形になる条件(AB、20分、Lv.1)

三角比の図形問題です。三角形の辺上に3点をとって、内部に三角形を作る問題。よくあるパターンで、小問が多く計算が多いだけの問題です。

(1)は、端っこの3つを除く感じですが、比の定め方から、どれも全体の面積のt(1-t)倍であることを利用すると少し計算はラクです。

(2)は3辺のうちどの2辺が等しいかによって3通りあります。PQ,QR,RPの長さを全部だして3回方程式を解きましょう。数IIの図形と式の知識を使えば2点間の距離公式を使うだけです。IAのみで受験しているなら、たとえばQRはARQで余弦定理を利用しましょう。

(3)はtの値が出ればPQ,PR,RPは出ます。3辺が分かっていれば余弦定理でcosはどこでも出せます。

 

※KATSUYAの解答時間は13:24です。

 

☆第3問 【微積分総合】面積の最小値(B、25分、Lv.2)

絶対値のついた放物線と直線で囲まれる部分の面積の最小値を求める問題。頻出のパターンで、入試までに一度は経験しておきたい問題。

(1)は連x≧2とx<2で連立して、交点がなるべく多くなるようaの範囲を決めればOK。

(2)は、まともに積分すると0~2-a、2-a~2、2~2+aの3つに分けなければならないので、大変です。このタイプの面積は、6分の公式で表される部分の足し引きだけで表されます。超頻出ですので、知らない人は、必ず演習しておきましょう。

(3)は微分して増減表を書けばOK。

 

※KATSUYAの解答時間14:34分。

 

第4問 【整数】数値の桁の入れ替え(B、25分、Lv.2)

4桁の数値について、上2ケタと下2ケタを入れ替える問題です。1次不定方程式に帰着されます。係数が大きいので計算が少しメンドウです。

(1)は中学生が連立方程式の文章題で習うタイプです。元の数値は100x+yで、ケタを入れ替えた数値は100y+xです。

(2)は(1)よりちょっと条件違いますが(なんで(1)でこれにしなかった?^^;)、同じように条件式を立てて整理するとー197x+298y=3となります。

係数が大きくてすぐに解が見つからない1次不定方程式は、ユークリッドの互除法を用いて、1=・・・の形にして整理していきましょう。解が1つ見つかれば、xもyも3倍すれば=3の解になります。

解が1つ見つかった後は、元の式と辺々引いて一般解に変えればOK。xは298おき、yは197おきに解がありますが、0~99の中に解がないことが分かります。

 

※KATSUYAの解答時間は15:13です。係数が大きいのでちょっと大変。途中の検算も大事ですね。

 

☆第5問 【確率】サイコロの目の積と倍数(B、20分、Lv.2)

サイコロをn回投げたときの目の積の倍数に関する問題。よく見かけるパターンですが、議論になるのが2,3,4の倍数だけなので、ラクな方です。

(1)は全部の目が1か5ならOK。

(2)は意外と考えすぎると詰まるかも。結局、1つだけ2で、あとは(1)と同じく1か5であればOK。2のサイコロがどこで出るかでn通りあるので、そこだけ注意。

(3)は、大事な考え方が含まれています。カードの数字でもサイコロの目でも、積は「割り切れる」確率は1から「割り切れない」確率を引くことを考えます。例えば、積が3の倍数→少なくとも1つが3の倍数と言いかえられます。少なくとも・・・と言われたら余事象ですよね。

今回の確率は、「3で割り切れない確率」ー「3でも4でも割り切れない確率」とすればOK。ベン図をかいても明らかです。

前者は、すべての目が1,2,4,5であればOK。後者は(2)の確率と(1)の確率の和です。ここで最初の2問がいきるわけですね。

 

※KATSUYAの解答時間9分。かなり前に、「n個目の積が12で割り切れる確率を求めよ」という創作問題をこちらの姉妹サイトで紹介しています。(サイコロが12の倍数になる確率)

 

☆第6問 【空間ベクトル】放物線上の点と直線上の点の距離の最小値(B,20分、Lv.2)

空間上に置かれた直線上の点と、xy平面上にある放物線上の点の距離の最小値を求める問題です。誘導があるのでそれに従えばOKです。

誘導にあるように、2点が自由に動いて様子がつかみにくいときは、まず1文字を固定しましょう。

(1)では、まず放物線上の点を固定し、その点から直線上に垂線を下ろします。点から直線に下した垂線なので、直線上の点を1文字tを使って置き、内積ゼロからtを出せばOK。

(2)はもとめたQについて、PQが最小になるようにすれば、それがRとSになります。2乗してa^2の2次式とみなせますので、平方完成すればOK。


※KATSUYAの解答時間は11:08です。

 

☆第7問 【整数】整数解の個数が無数にあることの証明(B,20分、Lv.2)

x、yの2次式の整数解が無数にあることを、漸化式を用いて証明する問題。こちらも誘導が丁寧で、こちらがやることはそれに従って計算するだけなので難易度的には下がっています。

(1)はy=1から順番に入れていけば見つかります。

(2)はa(n+2)=6a(n+1)-a(n)を代入して、そのままx、yを方程式の左辺に代入するだけです。

(3)は(1)と(2)をそのまま利用します。a1=3、a2=18とすれば、無限個の解の組が作れます。あとはこれがすべて異なる組であることを示すだけです。定め方的に単調に増加するので、それを帰納法で示しましょう。

 

※KATSUYAの解答時間は9:51です。誘導があると難易度落ちるけど、ないと難しいので、仕方ない設定ですね。

 

☆第8問 【積分法】定積分と不等式、極限(C,35分、Lv.2)

定積分で表された式について、極限を求める問題。(3)は誘導がないので難易度が高めです。

(1)は、A(m,n)を積分しやすい式で挟むことになります。指数の方、多項式の方のどちらを評価するかですが、多項式の方だと下の評価がゼロになってしまうので、指数の方がいいでしょう。

e^(-1/n)≦e^(-x)≦e^0=1

ではさんで、x^mをつけてインテグラルつけて、さらに(m+1)n^(m+1)かければうまくいきますね。

(2)は(1)の左辺が1に収束するので、ハサミうちです。

(3)は誘導がないので難しいですが、n乗を含む定積分は部分積分によって漸化式を作ることが基本手法です。定積分の部分を、部分積分しましょう。x^mから変形すると、漸化式が出来るわけではありませんが、(1)と同じような評価が可能な項が出てきます。同じようにハサミうちしましょう。m+2が分母に残るため余剰項は両方ゼロですね。

なお、普通の部分積分は多項式よりも指数から変形しますが、数列として漸化式を作る場合には多項式からのときもあります(積分できる形にすることではなく、漸化式を作ることが目的なので、次数を上げることを優先)。

 

※KATSUYAの解答時間は25:01です。(3)は部分積分してA(m+1,n)とかを無理やりだそうとしてごちゃごちゃしてましたが、漸化式を作るまでもなくはみ出た項を評価するだけでいいと気づきました。

 

☆第9問 【微分法】関数が単調増加である条件(BC、30分、Lv.2)

関数が単調に増加する条件を求める問題です。験関数も見た目もシンプルな設定ですが、どちらも見た目より計算はメンドウです。

千葉大の最後の問題はDレベルのものが来るときも珍しくないですが、本問は計算ごり押しでいけすので、まだマシな印象です。

(1)は微分して常に0より大きいことを示せばOKですが、微分した式がまあまあメンドウ。第2項の微分した項が1より小さいことを示せばOK。分母にルートが入っているので、第2項だけを取り出し、これごと2乗するとルートがとれます。

sinの2乗をtとおくと少し見やすくなります。2乗しても1より小さければいいので、差を取って確かめればOK。微分までしなくても正だと分かります。

 

(2)はrに変わっただけなので、先ほど出した第2項の2乗(第2項のルートの中)の最大値を求めます。式は少し複雑ですが、微分して増減を調べるしかないです。道としては一本道。その最大値にrをかけたときに、1を上回れなければ常にf'(x)>0となりますね。

 

※KATSUYAの解答時間は22:18です。千葉大最後にしては道は分かりやすい。計算はちょっとメンドウ

 

2.対策~癖のある表現、全調査タイプ、定数入りの計算に対する耐性を~

千葉大の問題は標準的な問題が多いですが、後半になると癖が強く、対策してきても数学的センスがないと、効果が出せないようなタイプの問題が出ます。また、全調査をすることを厭わない忍耐や、定数が入ってもいつもどおりの解法が遂行出来ることが必須となります。

青チャートなどで手法を身につけたら早めに入試演習に入りましょう。表現をひねってくる問題も多いので、国立系の入試問題集(Canpassなど)がいいです。その際、複数の解き方を試みて、いろんな視点から問題を眺められるようにしておくといいです。(式で見るのか、図形で見るのかなど)過去問はなるべく多く確保しておきましょう。

量をこなす演習:じっくり演習=8:2でOK。 医学部や理学部志望の方は、夏あたりから7:3、6:4に切り替えていきましょう。

 

以上です^^

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