東京大学 理系 数学| 2014年大学入試数学
2022/05/29
●2014年大学入試数学評価を書いていきます。今回は東京大学(理系)です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^
本日、国公立が試験を開始しました。同時開始なので、すべての大学を即日UP出来ませんが、本日からは、国公立ラッシュのエントリーになると思います^^;
2014年 大学入試数学の評価を書いていきます。
最初は東京大学(理系)です。
やっぱりここが一番最初ですね^^
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、
典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また、☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。
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2014年 東大 理系 数学
(試験時間150分)
全体総評・合格ライン
昨年とほぼ同程度か、微易化です。ここ数年、難化傾向に歯止めがかからない状態でしたが、今年はほんの少し落ち着きました。昨年よりも計算量は減りましたが、思考力を問う問題の割合が少し増えましたので、所要時間としてはほぼ同程度と言えます。
昨年は第6問がやはり最難でしたが、今年は第6問が文系と共通で、しかも文系より少しやさしい設定の設問です。
試験時間150分に対し、
目標解答時間合計は205分。(昨年は205分)
※速報概要版では210分でしたが、訂正します(確率を35→30へ)
今年は計算量のせいではなく、思考力を含めた時間ですので、逆に人によってはもっともっと時間を短く出来たと思います。
■合格ラインですが、
第1問はいつもどおり、全体の中では易しめ。
第2問は確率。昨年より大幅に易化しましたので、練習していれば取れます。
第3問は(2)までは楽勝です。(3)は、経験したことがないと変形に気づかないか。
第4問の不等式は、思考力が問われます。差がつくでしょう。
第5問の整数問題は小問が4つ。最後はかなり発想力が問われますが、(3)まで稼げそうです。
第6問は「第6問であること」に惑わされなければアプローチできるはずです。誘導に従わずとも、図示はできるはず。
第4問、第6問が勝負どころですね。
相変わらず時間は大幅にオーバーなので、合格ラインは50~55%ぐらい欲しいところです。
理Ⅲなら65%ぐらいでしょうか。
☆第1問・・・空間ベクトル、三角関数(B、25分、Lv.2)
直方体を斜めに切断したときの(平行四辺形になります)面積に関する問題。平行四辺形になることは算数でも常識のように使いますので、証明すべきかどうか迷うところですが、使っても大して引かれないと思います。
証明するなら、空間ベクトルでQが「OPR上にある」かつ「BF上にある」で係数比較すればOKです。一瞬ですけどね^^
メインは(2)です。面積の式の形や条件から、対称式が作れることが見抜けたでしょうか。 tanα、tanβ の対称式となりましたね^^
(Principle Piece 数学Ⅰ 数と式 p.26)
そして、和と積が出れば、こちらに帰着できます。
(Principle Piece 数学Ⅱ 複素数と方程式 p.18)
※傾き1/2と傾き1/3 のなす角は、たすと45°になることは、有名ですね。
※KATSUYAの解いた感想
☆第2問・・・確率、漸化式、極限(B、30分、Lv.2)
昨年と同様の、確率と「n絡み」、そして最後に極限という配列です。しかし、今年は昨年の確率に比べると、漸化式もすぐ立てれますし、計算量も少なめ。今年は手がついた人も多かったでしょう。
当ブログで1、2を争う頻度で登場する3つで1つ(?)の原則です。
(Principle Piece 数学A 確率 pp.39~43)
今回は、かなりラクに遷移を調べることができたと思います。
(Principle Piece 数学A 確率 pp.39~43)
本問であれば、文字でおくまでもなく、白=1-pn で置きますね。^
(Principle Piece 数学A 確率 pp.39~43)
最後の極限は、文系と区別をつけるためなのかは知りませんが、何てことはありません。ただの極限です。
※KATSUYAの解いた感想
今年はえらい簡単だな、おい。これじゃ差がつかないやろな。昨年ほとんど解答者いなかったから、難易度落とした? 極限も蛇足のような計算やし。解答時間20分。
☆第3問・・・放物線、定積分(BC、35分、Lv.3)
放物線の交点から得られる式の値を、定積分するという問題。なんか意味ありげな定積分ですが、試験としてはただの計算問題です。
(1)はただの判別式です。(2)については、2放物線の交点は汚いので、文字α、βとかで置けば、また対称式もどきになります。解と係数の関係も使えます。
図形上の2交点としての2次方程式の解は、文字で置くことも多いですので、なれていればできますね^^
最後の定積分はいかがでしたでしょうか。√ の中はー(u-α)(uーβ) に因数分解できます。ということは、平方完成により、√{a^2-(x-●)^2} の形にできます。 ということは、x-●=a sinθの置換型ですね^^
※KATSUYAの解いた感想
(1)、(2)はただの計算(3)は少し考える。図形的意味があったりする?特に発見できず。とりあえず√ 内からしてsin置換型か。うまくいったのでそのまま終了。解答時間24分。
第4問・・・微分、不等式、漸化式、極限(BC、35分、Lv.2)
不等式や一般項不明の漸化式の極限や微分などの総合問題です。がっつり数学Ⅲです。
うまく評価していけばスラスラと行くと思いますが、発想寄りの問題で、与えられている不等式なども、どう用いて良いのか少し迷うところ。
(1)は、実は微分すら必要ありませんでした。f(x)>0 と1-f(x)>0 は、pとqの条件だけですぐ示せます。もちろん微分しても合ってれば正解です^^
(2)も、実は微分は不要。与えられている不等式で、x → -qx に変えます。すると、1-e^(-qx) ≦qx と変形できますので。これで解決してしまいます。
一般項不明の漸化式では、以下の原則を念頭に極限を出すといいでしょう。
(Principle Piece 数学Ⅲ 極限 pp.16~17)
最後は、f(x)ー(x)=0の解の存在に帰着させます。これを思いつかないとアウトです。今回はがっつり微分をしていかないと難しいです。2回微分により解決するパターンですね^^
(Principle Piece 数学ⅢC(原則のみ))
2回微分するかどうかですが、1回微分して、「くくるときにジャマな定数が1つだけ存在す場合」などです。「ここの定数さえなければ、e^xでくくれるのに」 とか思ったときは、微分すれば定数はなくなるので、次はくくれます。
※KATSUYAの解いた感想
(1)はわざわざ微分して調べてしまった。(2)は割とスラスラ。(3)は(2)と不等号が逆のため、同じようにはいかないか。思考して、とりあえず差をとって f(x)ーx を微分。 うーん、1と p がジャマ。はい、もっかい微分でくくる。 g’’(x)の単調整→g'(x)=0 の解存在 のパターンは難関レベルとしてお決まり。解答時間27分。
第5問-整数、方程式(CD、45分、Lv.3)
今年の整数問題は、小問が(4)つもありますので、整数が苦手な人でもなんとか部分点を稼ぎに行けたと思います。逆にある程度数学が出来る人でも(4)は思いつくのは難しいと思いますので、差がつきにくいかもしれません。
(1)は、合同式を使えばほぼ一瞬の問題に近いですが、それはさすがにダメでしょう。(来年からOKです^^) 合同式ってそもそも何で成り立つのか、その証明を思いだし、 an= p●+bn とちゃんと置きましょう。
(2)は「ちょっと点数あげます」、という問題です^^ 循環する、と気づいて欲しいのでしょうか。あまりその後に使えませんが・・・^^;
(3)は、「割った余りが等しい」ですから、まさに合同式ですが、そもそも合同式の定義である 「a≡b」 ⇔ 「a-b=pk」 をおけばOKです。
(4)は難問。(3)を使うのでしょうが、どうつかうか。p=17とします。 例えば1つであれば、1~16 しかありませんので、17個あればかならず同じものがあります。
2連続の場合はどうでしょう?実は同じです。(1、1)、(1、2)・・・・・(16、16)の組み合わせはたった256通りですから、257個もってくれば連続して同じところはあるわけですね。
なお、何連続になっても同じ理論でできます。
※KATUSYAの解いた感想
(3)までは整数問題の式設定能力が少しあれば易しいかな。(4)は迷う。(2)の循環は何かヒントになるのか。具体的なもの1つ書いただけだし、ダメだな。背理法?いや、背理法だと(3)が微妙に使えないわ(余り0だとダメなので)。 いったん詰んだので、逃げる。(25分経過)
第6問が終わってから戻ってくる。2連続する場合が必ずとっかにあるって言えればいいわけだな。全部バラバラでも(p-1)^2通りで有限。てことは鳩の巣原理でいけるってことか、なんだなんだ^^ 解答時間25+12=37分。
☆第6問-通過領域、2次関数の最大・最小(C、35分、Lv.3)
(※速報版より、難易度訂正します。2次関数の最大、最小に帰着するまでの難易度を考慮した結果です)
最後は通過領域の問題ですが、例年の第6問に比べると穏やかです。それもそのはず、第6問はなんと文系と共通の題材で、文系よりラクな設定条件のため、場合分けが半分に減ります。
本問は、むしろ(1)がない方が完答率は高かったでしょう。ただの、解の存在範囲に帰着させるだけの問題です。pのx座標を自分で設定し(=p)、1≦p≦2 で「★★直線の方程式(x、yを含むpの2次式)」が解を持つ条件です。
しかし(1)の聞き方では、逆にこれが思いつきにくく、戸惑った人もいるでしょう。
(1)の聞き方に従うには、(x、y)→(s、t)で置き換え、t=(s、p の式) にします。pに関する2次関数になるので、pやsの範囲に注意しながら場合分けし、最大、最小を求めて、(最大:sの式)≦t≦(最小:sの式) が、直線の通過できる範囲と解釈する必要があります。
「大学への数学」という本では、「ファクシミリの原理」と呼ばれる手法です。理系的ですね。
(1)ができれば(2)できます。(2)だけ聞くと解の存在範囲でみんな解いてしまうから、こうしたのでしょう。この原則泣かせの設定でしたね^^;
(Principle Piece 数学Ⅱ 図形と式 pp.62~63)
さて、誘導に従い最大・最小を出します。最大・最小はこちらの原則です。本問は√3 が随所に入るので、地味に計算は多いですね。
(Principle Piece 数学Ⅰ 2次関数 pp.23~26)
もし、解の存在範囲なら、★★において、「2解とも1≦p≦2」「-1<p と1≦p≦2」「1≦p≦2 と2<p」 で分けて、領域を合わせればOKです。
(Principle Piece 数学Ⅰ 2次関数 pp.23~26)
なお、普通は、直線の通過領域は、解の存在範囲に帰着させます。この原則がわざと使えないようになってました。
高1、2生は、「解の存在範囲は、見方を変えれば、今回の誘導のようにしても解ける。別解を見つけた^^」と認識するいい機会だった、と捉えましょう。私も少し抜け落ちていた視点でした。
※KATUSYAの解いた感想
ん?(1)は何をしてほしいんだ?この聞き方はいかに?解の存在範囲で図示できてしまう。(2)を先にやって、それを見て(1)・・・ いや、さすがに微妙だよな^^; ファクシミリっぽい聞き方するから、それでやろう^^ 結局両方の解き方でやってしまい、かなりかかっています。解答時間32分。
対策
毎年のことですが、付け焼刃な数学の演習ではとてもじゃないけど太刀打ちできません。
量をこなす青チャートレベルのマスターはとっとと終わらせて、早めに質の高い問題集などで「じっくり考える」演習を行うといいでしょう。
最も効果的なのはもちろん過去問ですが、ここ数年はすごく難しいので、受験直前にやったほうがいいです。変に早くやると、おそらく壊滅します(汗) また、過去問の結果を気にする性格の人は、むしろとっとと解説見ながら早目に解いてしまって、身につけていってください。
※なお私は、過去問を解いて点数を出したことはありません。記述式なので部分点も曖昧だし、そんなことを考えるぐらいなら間違えたところの解説を読んだ方がいい、と考えていました。
以上です^^ 次回は、東京大学(文系)です。今年は、理系との共通が3問ありました。
>> 他年度も見てみる
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