一橋大学 数学 講評 | 2015年大学入試数学

      2023/06/06

●2015年大学入試数学評価を書いていきます。今回は一橋大学です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^

国公立が試験を開始しました。同時開始なので、すべての大学を即日UP出来ませんが、今の時期は、国公立ラッシュのエントリーになると思います^^;

2014年 大学入試数学の評価を書いていきます。

2014大学入試シリーズ第38弾。国立シリーズ、第15弾。

一橋大学です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。

また、☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

 

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。

同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。

 

 

一橋大学 数学 
(試験時間120分、5問)

 

1.全体総評

昨年と同様の難易度です。レベルは、例年通り文系文系最難のレベルです。旧7帝大の理系に入っていても全然遜色ないセット。確率やベクトルもつかみどころの難しく、点数は非常に出にくいでしょう。
なお、第5問に統計が出題され、選択問題となっていましたが、こちらは簡単でした。
試験時間120分に対し、

目標解答時間合計は150分。(昨年は145分)

真ん中の第2,3,4問は難しく、ここで105分あります。第1,5問で取るしかありません。残り時間で第2,3,4問を考え、方針が立ちそうなものから手をつけていきましょう。ダメそうなときは1つばっかり考えるのではなく、いったん離れるのも手です。

 

 

2.合格ライン

第1問は、今年の整数問題はかなり穏やかで、救いでした。ここを落とすとたぶん3割切ります。

第2問は、図形と式の問題で、目的を見失いそうになる処理量です。(1)、(2)ともに方針、処理量ともに多く、厳しい。

第3問は確率ですが、誘導もまったくないので、方針を立てられるかどうか。奇偶の場合分けも発生し、こちらも厳しい。

第4問は昨年同様に空間図形で、設定も内容も同様にシンプルで良問。経験はあまりないと思われ、やはり厳しい。

第5問[1]は数列と三角関数。(1)は出来るが、(2)の真ん中の項が問題。12項調べるだけですが、、、根気よくできたか。

第5問[2]は統計。こちらも根気よくやるだけだが、根気よくやる以外に方法がないと分かっている分、こっちの方が手が動きやすい。

キー問題はなく、難易ははっきりしています。第2,3,4問は厳しいですが、他はなんとしても取らないと。残り時間でなるべく稼ぐ。昨年同様に50%ぐらいでしょう。

3.各問の難易度

☆第1問・・・整数、互いに素である整数の個数(B、20分、Lv.2)

今年の整数は非常に穏やかて、対策してきた人には、スカされた気分になったかもしれません。

(1)、(2)、(3)ともに整数の問題というより、ただの集合の問題です。なお、2015=5×13×31 です。中学入試では対策で必ず教える「年号いじり」ですが、気づきましたでしょうか。

よって(2)は「5でも31でも13でも割り切れない」個数です。補集合の考え方ですね^^

Principle Piece A-9

「・・・でも・・・でも●●ない」は補集合で考える

なお、(2)は答えだけ出すなら(5-1)(13-1)(31-1)=1440と出ます。感覚的には、「5個中4個は5の倍数でない」などと思っておくといいでしょう。知っている人はお得^^
(拙著 Principle Piece 整数でも扱いましたね^^)

この考え方をすると、(3)は(1-1/p)(1-1/q)と因数分解できることにも気づきやすいので、証明もたいしたことはありません。これに気づかないと、証明は少しメンドウ。
この問題は動画で解説しています。

※KATSUYAの解いた感想

ぱっと見渡して「今年の整数めっちゃらくやん^^」(1)、(2)ともにさくっと終了。(3)もnが分母にあるおかげでmは消え、単純な因数分解式にする。p、qがなるべく小さい方が数字は小さいので、p=3、q=2 のとき以上を示して証明終了。解答時間8分。

第2問・・・図形と式、面積の取りうる値、対称式など(C、40分、Lv.2)

条件を満たす(正三角形)ABCの面積の最大値を求める問題。数Iと数IIの融合問題です。

設定は非常に単純ですが、円も絡んでくるために式は複雑になっていきます。(1)を出すだけでも計算量は多く、a,bがゼロのときの扱いなども含めると、完答は難しい。

(2)はさらに難しいです。まず、面積が√3/4 sになることに気づかないとアウトでしょう。さらに(1)の条件下で、sの取りうる値を聞いている、ということですね。

対称式は2乗の和と積ですので、t^2=2乗の積として、a^2、b^2を解に持つ2次方程式が正の解を持つ条件に帰着できましたが、理系でも厳しい流れです。

Principle Piece II-15

和と積の情報 → 2次方程式の解

(Principle Piece 数学II 複素数と方程式 p.18)

Principle Piece I-31

解の存在条件は両方正なら3条件

(Principle Piece 数学I 2次関数 pp.39-41)

なお別解として、sとtを満たす解a、bが存在する条件は、s≧2tかつs≧ー2tです。これと条件式を領域図示して、sの範囲を出すのもいいですね^^

※KATSUYAの解いた感想

とりあえず条件設定しよう。AB=BC=CAかつOC=1を全て式にする。OCはcos、sinにしておいて、2乗の和が1をa、bで書き換えればいけそう。a,bで割る必要が出てくるが、整理した後に、a=0かb=0でも成り立つって言えばいいと判断し、(1)終了。(2)は単純になることに気づかず、まともに面積計算をするという最悪の計算をし、(1)の条件式も駆使して出し、結果が出てから気づく。ロスしたわ。てか、sの取りうる範囲?(1)の条件だけで出すのか。えーっと、s≧2t、s≧-2t ならいいか。領域図示でやり、終了。解答時間23分。

☆第3問・・・確率、n角形と4点(C、35分、Lv.3)

n角形から2点を選んで線を、あとからもう2点を選んで線を引き、平行になる確率。設定は非常にシンプルですが、どこから方針を立て始めればよいのか、とっかかりをつかみにくく、原則も使えず、かなり難しい。

とりあえず最初の一端は誕生日席(真上ってことです)の部分で固定しておけばいいでしょう。他端がどこにいるかによって、平行線が何本引けるかを考えると、偶奇で分ける必要が出てくると分かりますが、n角形の演習を相当量していないと方針が立たないでしょう。
※KATSUYAの解いた感想

図形的には角度2倍なだけか。でも角度が大きいと同じ議論が通用しにくいから、文字計算で押したほうがいいな。(3)は(1)の段階で気づいたため、解決。解答時間20分。

☆第4問・・・立体図形、空間上の2円上の点の距離(C、30分、Lv.2)

こちらも設定は非常にシンプルですが、(1)で最小値、(2)で最大値と分かれいるだけで、誘導はないに等しく、方針の立てづらい問題です。式で押すか、図形的に考察して攻めるかです。どちらにしても使う原則はこちらです。

ULTIMATE Principle Piece 

2つが動く → 1文字固定

 

また、どちらの円もyz平面に対称なので、x≧0で考えるなど、少しづつ考える範囲を狭めていくといいでしょう。

数式で押し切るなら、Pは(cosA、sinA、0)、Qは(cosB、0、√3+sinB) などとおいて距離公式です。Bを固定して範囲を出し、その後Bを動かします。しかし、「強引に合成する」ことを思いつかないとこちらでも厳しいでしょう。

K塾さんは図形、式のどちらも解法も書かれていますので、研究するなら見ておくといいでしょう。
※KATSUYAの解いた感想

ありそうでなかったタイプで良問。固定してから出す方針や、強引に合成することなどは方針がすぐ立ったので、この問題は割とすぐに終了。(1)、(2)で分ける意味あんまりないよな^^; 慣れていない人のが多く、難しいと思われる。解答時間14分。

☆第5問【選択1】・・・数列の和、三角関数(B、25分、Lv.2)

数列の和ですが、三角関数が絡んできます。上が12nとなっていますから、12周期であることは容易に見ぬけるでしょう。cosは30°から始まって全部の点をとっていますので、12個分足せばゼロです。

(2)は、左端はただのΣ、右端はまた12個しらべましょう。真ん中の項が問題。こちらも結局12個分調べないとだめです。12m+1~12(m+1) までの12個について、真ん中の項は全て足すしかありません。この根気が明暗を分けた問題でした。


※KATSUYAの解いた感想

新課程用のデータを解いてからといて、「どっちも計算量を増やして合わせた」という印象。でもデータは計算せんとアカンって分かるから、データの方がたぶんラクやな。解答時間15分

 

☆第5問【選択2】・・・統計、分散、相関係数など(B、25分、Lv.2)

こちらはほどよく捻ってある統計の問題です。捻ってあると言っても、結局はデータがそれなりにないと分散や標準偏差、相関係数は計算できませんので、たいしたことはありません。ただ、時間がかかるだけです。


途中、√15を自分で評価させる問題がありますが、4に近いので、3.9ぐらいから調べればいいですね。条件式にいれるだけです。中央値はcです。

※KATSUYAの解いた感想

統計は一橋が出しても大した問題にはならんな。これが限界って感じかな。特にコメントすることはなし。解答時間14分。選択問題はほぼ同じ時間で済んだので、適切な選択メニューですね。

4.対策

 一橋大学の問題は、良問が多く、文系数学のなかではかなりレベルが高いです。付け焼刃な学習では対応できないので、きちんと解法を体系的に頭に入れておきましょう。

そのためには、青チャートレベル程度のマスターは必須です。さらに、入試問題集にも早めにとりかかって、じっくり考えるタイプの問題にもあたっておく必要があるでしょう。

■同大学、他年度の入試講評

>> 2010年の一橋大学数学
>> 2012年の一橋大学数学
>> 2013年の一橋大学数学
>> 2014年の一橋大学数学

※リンク切れのときはお手数ですが、以下のサイトのどちらかで大学名と年度で検索してみてください。どちらかにはあるはずです。

本サイト

姉妹サイト

以上です^^ 

 

■関連するPrinciple Piece■

★ 数学A 整数 (第1問)

★ 数学I 2次関数  (第2問)

★ 数学II 複素数と方程式  (第2問)

★ 数学A 確率 (第3問)

★ 数学II 三角関数  (第4問、第5問[1])

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