東京大学 理系 | 2019年大学入試数学

      2022/05/29

●2019年度大学入試数学評価を書いていきます。今回東京大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2019年 大学入試数学の評価を書いていきます。

2019年大学入試(国公立)シリーズ。

東京大学(理系)です。

やっぱり最初はここですね^^

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。



また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

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東京大学(理系)
(試験時間150分、6問、記述式)

1.全体総評~2年連続難化で質量ともにキツめ~

2017年の易しさを底にして、難易度を上げ続けています。例年より点数を取りにくいかもしれません。

最初の第1問以外は下手をすると完答できない可能性もあるセットです。中でも第3問の八面体に関する問題は捨て問レベルで、試験時間内に記述するのはかなり難しいでしょう。なお、確率からの出題が2年連続でありませんでした。数十年間出題されていた分野であったため、かなり珍しい印象を受けます。



試験時間150分に対し、
標準回答時間は210分。

2018年:195分

2017年:165分

2016年:205分

2015年:215分

2014年:205分

2013年:205分

2012年:205分

2011年:195分

2010年:200分

※過去10年平均:200分

2.合格ライン

第1問もめんくらいそうだが、これを落とすとしんどい。

第2問はキー問題。理系は誘導なし。落ち着いて文字を設定し、条件式を立てて1文字にできたか。これでも差がつきそう。

第3問は捨て問です。試験時間内には無理。(1)で逃げれば、時間的には確保出来るはず。

第4問の整数はキー問題。(1)どまりの人が多いのでは、(2)は意外としつこく追いかけないとたどり着かない。

第5問もキー問題。(3)は全滅な人がいるかもしれません。感覚的にaが分かればbまでは行きたい。

第6問は第4,5問で手つかずなら、落ち着いて調査すれば行けるので、なんとしても(2)まではたどり着きたい。(3)は細かい点に注意が必要だが、8割答案をめざしたい。

第1問は取り、第3問は(1)だけで逃げて時間を確保していれば、第2,4,5,6でかき集めて2完弱を目指す。試験の緊張も考えれば半分ぐらいでも仕方がないぐらい(ここら辺がボーダー)ではないでしょうか。

理I,理IIが50%程度、理IIIは60~65%程度でしょう。

 

3.各問の難易度

☆第1問 【積分法(III)】定積分の計算(B,20分、Lv.2)

ただの定積分の計算です。積分がこれ以降ないので、ここに押し込んだ??

式はかなり無理やりな感じがしますが、積分はもともと、部分積分などを除けば、展開して各項を計算するのが基本です。(因数分解の形を嫌う演算です)

従って、各項を展開して積分できたかどうか。1+x^2が分母にいるので、tanθとおけば全て解決します(Principle Piece III-57   数学III 積分法 p.32-33) なお、x/√1+x^2 などは第2置換積分などで一気に出来ると時間短縮にはなります。

 

 

KATSUYAの感想:解答時間9分。なんか最初に定積分やるのは違和感あるな。

☆第2問 【微分法(II)】図形と最大・最小(B、25分、Lv.2)

図形問題を絡めた微分法です。最初は数IIの微分だとはわからないと思います。

AP,AQ,DRを3文字設定し、2つの条件(面積が1/3)からうまく2文字を消去して1文字だけに出来るかどうかです。条件式が1つあれば、文字は1つ減るという、超基本の原則に従ったものです。(ULTIMATE Principle Piece 数学II 式と証明 p.15)

何を残すかなどの判断も大切ですが、AP=xを残すのが自然でしょう。 なお、文系には正方形が座標で置かれており、文字設定、何を残すかについて誘導がありました。求める比がxの3次関数になりますので、数IIの微分と気づくでしょう。

AP,AQ,DRが全て0以上1以下なので、文字を消した際にはかならずこれにあてはめてxの範囲にはも注意すること。文字を消すたびに条件は増えます。これも基本です。(ULTIMATE Principle Piece 数学I 2次関数)

 

※KATSUYAの感想:解答時間20分。なんか結構かかったな。範囲に変に手間取った。端っこが入るのか入らないのか。結局0にはならないけど1は入ることに気づく。

 

第3問 【空間ベクトル】八面体の切り口、正射影図形の面積(D、60分、Lv.MAX)

本セット最難問で、捨て問です。やるなら(1)だけでいいでしょう。

東大は八面体が好きです。1つの面を底面においた概観を書くなど、結構突っ込んで聞いてきます。今回も切り口を8角形にしろという要求で、(1)がどこまで使えたかですが、いずれにしろ記述するのは厳しいと思います。

(1)はいいでしょう。xz平面上にあるPAECがそのまま表れます。平面αとの交線ですが、MNとxz平面の交点(1,0,0)を通り、方向ベクトルがAEとするのが最もラクかと思います。

あるいは、平面α上の点は2次元上の点なので2文字s、tで表せるはずです。OM→+sMN→+tAE→などとし、y成分0とすればxz平面との交線となります。

p=3を境に状況が変わるので、それに従って3通りの図をかけばOKです。四角形PAECと、交線を正確に出せていれば、3通りあることには気づけるかと。試験場ではここ止まりでしょう。

(2)からかなり難しいです。この(1)の図から、2<p<3と3<p<4のどちらかなのでしょう。「PCとぶつかればPBやPDともぶつかりますが、PCとぶつからないとPAとしかぶつからない」わけですが、それを感覚的に述べられたとしても、残りはどこの辺とぶつかり、どこの辺とぶつからないのかまで感覚的に述べていいのかは疑問です。(答案、図形ともにS台さんの解答はすっきりしていると思います。図はさすがに書けませんけど^^;)

私は、全12辺について平面との交点を出しています。線分は1-s、sなどの係数でおき、0<s<1になっているものだけを探しに行く、完全ゴリ押し作戦で、3<p<4のとき8個の辺との交点が線分上になります。ですが、平面と直線の交点の原則に従えば、これも1つの手だと思います。(Principle Piece B-53  数学B ベクトル  p69-70)

東大理系です。12個ぐらいやる気合いで臨んでもいいのではないかと個人的には思います。

しかも(3)を考えれば、むしろこのやり方のほうがいいのではないかと。8個の交点のy座標、z座標を全て求めていますので、(3)はそのままyz平面に射影してしまえば(x座標を0としてしまう)、簡単に形が出ます。

 

※KATSUYAの感想:解答時間42分。(1)で一端逃亡^^; 後で時間あったらゴリ押しすると決める。第6問を終了して30分以上あまったので、ゴリ押し決定。計算はつらかったものの、これで解けるなら考え込むよりはマシはなず。

 

☆第4問 【整数】最大公約数、平方数にならないことの証明(BC、35分、Lv.2)

整数問題です。今年の整数問題は差がでそうですが、取れた人は合格にぐっと近づくのではないかと思います。

(1)は文字式でもユークリッドを用いることが出来ることを利用します。最大公約数が1,2,4のいずれかであると分かります。n^2+1が2の倍数か4の倍数かなので、4で割った余りで分類するのが自然ですが、(Principle Piece A-56  数学A 整数  p.23)  実は偶奇だけの場合分けで済みます。

(2)は背理法であることは予想がつくとは思いますが、詰まった人も結構多いかと思います。(1)と同様に偶奇に分けます。偶数のときは互いに素なので、両方平方数であることが必要となります。n^2+1は平方数にはなり得ませんね。

nが奇数の場合は意外としつこく追いかける必要があります。まず、n^2+1、5n^2+9 がともに2×平方数となる必要があります。n^+1=2a^2とおくと、5n^+9=5(n^2+1)+4=10a^2+4=2(5a^2+2)です。下線部は5で割って2余りますが、平方数を5で割った余りは0.1.4しかないので、ここで矛盾が導けます。(Principle Piece A-60  数学A 整数  p.31)  

2乗すると余りの種類は減っていきますので、東大理系受験生なら5a^2+2が平方数にならないことは気づいてほしいですね。

※KATSUYAの感想:解答時間23分。nが奇数のときの(2)はいろいろいじってましたが、なんとか気づけました。これは差がつきそう。

☆第5問 【極限+微分法】方程式の解、交点の座標の極限など(C、35分、Lv.3)

数IIIの微分と極限が絡んだ問題で、こちらも差がつきそうです。なんとか(1)(2)まで欲しいですね。

(1)はグラフ的にはすぐに予想がつきますが、証明の記述は意外とメンドウ。x≦ーπ/2、-π/2≦x≦0、0、≦x≦π/2、π/2≦xで分けると書きやすいと思います。3つ目で単調性を述べれば解が1つあると分かります。

(2)はさらに評価を縮めればOKです。区間[0,1]でもう一度左辺と右辺の単調性と大小を述べましょう。an<1なのでcosan>cos1です。

(3)からは難しいというか、aが出れば全部でますし、出ないと全滅です。解を出すのはまず無理です。解が満たす方程式と区間の単調性に頼るしかありません。方程式から、an=(cos a_n)の2n-1乗根です。また、1>an=(cos a_n)の2n-1乗根>(cos1)の2n-1乗根 です。最右辺はn→∞で1となりますので、はさみうちとなります。

aが出ればbは出ます。cは明らかに微分係数の定義の形をしていますので、関数を設定して微分係数を出せばOK。


※KATSUYAの感想:解答時間20分。(1)は結構考えたが、区間を細かく分けて議論することに。(2)は瞬殺。(3)も方程式の解極限のパターンとして穏やかでaをさくっと出し、芋づる式にb、cと出す。(3)で3つもあるので差がつきそう。

第6問 【複素数+複素数平面】条件を満たす4つの複素数と軌跡(C、35分、Lv.3)

最後は複素数です。複素数平面は(3)ですが、ほぼ数IIの複素数です。条件が多いですが、落ち着いて調べていきましょう。

実数係数の方程式は、1つが虚数ならもう一つも共役な虚数です。実数なら共役は関係ありません。これと条件3を組み合わせれば、(1)は行けると思います。

(2)は(1)を利用します。共役な虚数がαとβ、またはαとγのときであるとすれば十分です。こちらも条件3より、後者でないとダメだと分かります。とは、α=x+yi、β、γ=x-yi、δ の4つで、4次方程式の解と係数の関係を用いればOKでしょう。(4次なので、記述としては「係数を比較して」と書いた方が無難かと)

ここでもう一度、条件3に戻れます。実部0なので、β=-δか、x=0かに分かれます。これに分けて、残りの係数を比較しましょう。答案量が多いので時間的にはキツイですね。

(3)は枝分かれしたままα、βの実部、虚部を媒介変数とみなして、媒介変数を消去すればOK。(Principle Piece II-52  数学II 図形と式  p.47)   こちらも2通りやるので、結構しんどいです。結局どちらも同じ軌跡となります。実部の「1」が実数βに吸収されているのか、虚数αに吸収されているのかだけなので、足せば一緒になるのは納得です。

 

 

※KATSUYA解答時間25分。コツコツあり得るものを調べて絞るしかないのかな。しょうがない。計算自体はそこまで大したことないけど、書く量が結構多いな。まあたどり着いたからいいか。八面体にもどらんとな。(このあと第3問に戻る)

4.対策

頻出分野は確率、整数、微積。東大は複素数平面が昔好きだったので、今後はこれに仲間入りするでしょうから、6問中4問は分野が確定していると思えば、他の大学より勉強しやすいです。(2年連続で確率が出てないですが、確率は外さない方がいいと思います)ただし、原則習得はもちろんのこと、入試演習も数多くこなしつつ、質の高い問題演習は解説や別解の研究もして、本質的な理解と幅広い視点を養うことが求められます。

今年レベルでの対策をとっておけばかなり万全でしょう。早い段階で解かなくてもいいので数年分見て、難易度(到達しなければならないレベル)を肌で感じておきましょう。

お尋ね者の大学なので、対策本もばっちりあります。単科長年タイプは27年分、全科目タイプでも7年分です。

東大の数学は良問が多く、解法研究の格好の的にされていますので、他にもたくさん本があります。

 

量をこなす演習:じっくり演習=6:4ぐらいでしょう。

以上です^^

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