東京大学 理系 数学 | 2013年
2022/05/29
●2013年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は東京大学(理系)です。
2013年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2013大学入試シリーズ第23弾。
国立シリーズ、第1弾。最初は東京大学(理系)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。
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YouTube開設しました。 個人的に紹介したい大学入試数学を中心に解法や発想を動画にしてみようと思います。
2013年 東大 理系 数学(試験時間150分)
1.全体総評~昨年より難化~
昨年より難化しました。前半は取りやすいですが、後半はなかなか質、量ともにかなり厳しく、制限時間内で全てを解くのはまず無理だと思われます。
全て良問であることには変わりありませんが、あと1問が2問ぐらい、ラクな問題があればよかったのに・・・と思います。残りは来年に・・・とか。
試験時間150分に対し、目標解答時間合計は205分。
昨年よりさらに目標回答時間が10分のびました。第3問~第6問のややこしさが現れています。このやり方、あってる?」の迷いは、そのままタイムロスになります。本大学では致命傷です。
ちなみに、私は131分で解いています。年々ぎりぎりになっていく・・・(汗)
2.合格ライン~50%でも十分~
第1問は全体の流れからして、まだ取れる。行列の利用に気づいて欲しい!
第2問も定数分離さえ出来れば、稼ぎどころ。前半2問で30点確保。
第3問~第6問は、かなり厳しいです。時間的にも、第6問は捨ててOKでしょう。
第3問の確率ですが、何とか(1)の途中までは欲しい。3、4割確保。
第4問のベクトルは、(1)に気づけば、(2)は計算ゴリ押しでできますので、半分としましょう。
第5問の論証は気づかないときついです。(1)だけもらうしかないですね。
合計で55点あれば、なんとかなるのではないでしょうか。
それでもって、時間もオーバーなので、合格ラインは半分以下で、50%あれば十分でしょう。
理Ⅲなら第4,5問は解いて欲しい。65点ぐらいでしょうか。(5.5割~6割)
3.各大問の難易度
☆第1問・・・行列、1次変換(BC、25分、Lv.2)
問題文には行列の表記はないですが、これをみたら行列を思いつくべきです。思いつかなければ、この問題は解けないと思われます。そして、行列の形から、これが回転(+拡大)行列であることに気づけば、この問題は解けます。
A^6=E になるもののうち、途中でEにならないものを見つければOKでした。ここは波に乗りたいところですね。
※KATSUYAの解いた感想
明らかに行列を意識させているな。今年は最初から行列か。解答時間14分。
☆第2問・・・微分、共有点の個数(B、25分、Lv.1)
数学Ⅲの微分に関する、標準的な問題。今年のセットを考えると、こちらは落とすわけにはいきません。
グラフ上で共有点ですが、これはもうこちらの原則がもろに適用できます。
(Principle Piece 数学Ⅰ 2次関数 p.48)
定数がxにしかかっていませんので、xで割ってしまえばa=・・・とできます
グラフが周期的に極大、極小を繰り返していくことがわかればこちらの勝ちですね^^
※KATSUYAの解いた感想
明らかに定数分離。今年は第1問、第2問がおだやか。この後に鬼畜計算が待ち受けていることは知らない。解答時間12分。
第3問・・・確率、極限(C、40分、Lv.2)
確率は毎年のことですが、分離共通。お馴染みの、n回目に関する問題です。しかし、今回はおそらく漸化式で解くのは難しいでしょう。そう簡単に原則に当てはめられないのが、東京大学の特徴ですね。
どうして漸化式では難しいのか、私の思考過程とともにお話します。
p(n)とp(n+1)の関係を調べようとする。
↓
P(n)が起きている時点で勝負はついているので、n-1を考える必要有り。
↓
直前の状態は、A1点、B(0点or1点)、コインはA持ち。この状態をp(n-1)で表すには・・・難しいな。
↓
そもそも、コインをどっちが持っていて、Aが勝ったときにBが何点なのかなど、かなりたくさん場合があるので、漸化式を作ったとしても解くのは厳しい。
↓
漸化式やめ!
このような感じです。なので、素直にn回のうちに表と裏がどのように出るかを考えるのが最も適切だったと思われます。
文系は(1)までです。(1)が出来た人はわかると思いますが、奇数・偶数で場合分けが出ます。しかも、その形から、和を求めるのは一苦労いるとわかります。
なんと、数列で大問になり得るような、こちらの原則を使って出します。
(Principle Piece 数学B 数列 pp.20-21)
原則が使えるのはいいですが、これがわかっても、小問の答案の一部として計算するのはかなり時間がかかります。
奇数、偶数で分かれていて、和の極限。記述式泣かせな上に、和を出すのも一苦労です。なかなか厳しいですね^^;
※KATSUYAの解いた感想
(1)は上のような思考過程を経て、素直に奇数、偶数に分けて計算。形を見た瞬間に、(2)のやる気が失せる。なんとか計算して終了。解答時間29分。
☆第4問・・・ベクトル、位置の決定(BC、30分、Lv.2)
平面ベクトル(空間でも別にかまいませんが)の問題です。問題文に与えられている式や、(1)の誘導に乗れないと、この問題は全滅です。
PA→/|PA→| が単位ベクトルであることに気づくかどうかです。
これに気づけば、問題文の式は、よく見かける形に早変わりします。(拙著 数学B ベクトル p.23の例題5 参照)
(2)は、余弦定理で3つ式を立てることができます。サイクリックなので簡単に解けそうに見えますが、計算は意外と多いです。
※KATSUYAの解いた感想
単位ベクトルの和が0か。(1)は120°確定だな。答えだけ書きたい(笑)(2)は計算式をさくっと立てるも、意外にめんどくさいことが判明。解答時間20分。
☆第5問-整数、方程式(C、35分、Lv.2)
何とも複雑な命題を証明する問題で、一応これが整数問題ということでしょう。ここ最近、整数問題という整数問題を見かけませんね。
(1)の範囲はすなおに不等式を解いて頑張って出すとして、問題はその不等式を、いかにして(2)に結びつけるかです。 111111111・・・・・にしようと思ったら、yに何を代入すればよいか。111=37×3 だと言うことが普段の計算から頭にあると、解けたと思います。
ちょっと発想寄りの問題でした。
※KATUSYAの解いた感想
なんじゃこりゃ?1が99回以上?99回ってなんだ? (1)はとりあえず計算。xは実数なので、ただ不等式を解けばいいんだな。(2)は・・・y=370370370・・・・・037(98桁)なら3y=111・・・111(99桁)になる。 いけたいけた^^ 割とあっさり終了。解答時間20分。
☆第6問-回転体、共通部分の体積(CD、50分、Lv.3)
最後は空間図形です。1辺2の正方形にある2本の対角線を軸に回転させてできる、2つの立体の共通部分の体積を求める問題です。操作はいたって単純ですが、意外と難しいです。
回転軸に垂直な平面できるかと思いきや、x=t での切断。これはイメージしにくいですね。結果的には、共通部分の体積はこちらの方が簡単に計算できます。
なお、母線に平行な平面で切っているので、放物線になります。これを知っていると、断面図はまだ書きやすかったかもしれません。
なお、放物線であれば(放物線だと気づけば)、面積はこの公式が使えますから、計算はラクになります。
(Principle Piece 数学Ⅱ 積分 pp.29)
共通部分は、(1)の断面図がきちんとかけていれば、何とかなったでしょうが、残り時間などを考えると、そもそも第6問に手がついている人自体、少ないと思われれます。
※KATUSYAの解いた感想
切り口は放物線か、でも長さは?どうおけばいい?x=t、y=kのときの回転半径と、回転の中心((t+k)/2、(t+k)/2)と(t、k)の距離を考え、zを出す。 2乗して上下(z≦0の場合も含む)に修正。放物線同士なら原則適用。記述式できちんと書くのはかなり時間がかかる。解答時間36分。
4.対策~本質を把握できる数学演習を~
毎年のことですが、付け焼刃な数学の演習ではとてもじゃないけど太刀打ちできません。
量をこなす青チャートレベルのマスターはとっとと終わらせて、早めに質の高い問題集などで「じっくり考える」演習を行うといいでしょう。
お勧めの問題集は、過去の批評を見てください。
最も効果的なのはもちろん過去問です。早い段階で一度眺めてみて、現在の自分の実力との乖離を見極め、目標を定めましょう!
以上です^^
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