東京慈恵会医科大学 | 2020年大学入試数学

      2020/02/09

●2020年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は東京慈恵会医科大学です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2020年 大学入試数学の評価を書いていきます。


2020年大学入試(私大)シリーズ。

東京慈恵会医科大学です。




問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。




東京慈恵会医科大学
(試験時間90分、4問、ハイブリッド型)

※ハイブリッド型とは、穴埋め型と記述式の混合型のことです。

1.全体総評~発想重視セットで差はでやすいか~

今年は少し難化しています。昨年は質・量ともに穏やかでしたが、今年は質が高いセットです。計算量はそこまで多くはないですが、逆に方針が立たないと何も出来ないセットなので、非常に差がつきやすいと思います。

分野も少し偏りがあり、数Aから2問、数IIIから1問(第4問で使えば2問)ですね。数IIIが影をひそめましたので計算が減っているわけですね。


試験時間90分に対し、
標準回答時間は118分【112分】(←穴埋め考慮)

2019年は102分【94分】(←穴埋め考慮)

2018年は132【122分】

2017年は104分【96分】

2016年は114分【106分】

2.合格ライン

第1問の確率は、いつも通りそれなりにメンドウですが、本セットなら確保したい。

第2問~第4問はすべてキー問題。なんとか1完はして、あとは手がつきやすそうなものからかじるしかない。



60%~65%ぐらいでしょうか。第1問の配点は減ってそうですね・・・

3.各問の難易度

☆第1問・・・【確率】点の移動(AB、15分【10分】、Lv.2)

第1問が小問ではなくなり、確率オンリーとなりました。慈恵会の確率は独特のメンドウさがありますが、今年も健在。結局のところ、1回目については状況を全て書きだし、各状況において確率を求めしまうのよかったのではないかと思います。

まず、Aからは「RR(1/2)」「RW(1/2)」で取り出される。

前者の場合、Bの組成は「RRRWWW」なので、「RR(1/5)」「RW(3/5)」「WW(1/5)」

後者の場合、Bの組成は「RRWWWW」なので、「RR(1/15)」「RW(8/15)」「WW(2/5)」

どの組み合わせならAに白が2個以上入るかですね。Bの残りが2個以下ならOKです。

「イ」は、「ア」の状況だけ考えればOK。Aに赤が3個以上あったら、絶対に実現できませんので。

 

 

 ※KATSUYAは計7分で終えています。ざっと読んで、「これは1回目の操作は全部書いた方がいいな」と判断。慈恵会の確率は独特にメンドウな気がするなぁ。

 

☆第2問・・・【極限+微積分(III)】不等式の証明、関数列の極限(C、35分、Lv.3)

勘数列の極限を調べる問題で、(1)は不等式の証明、(2)それを利用して極限を求めます。(2)で積分を用いることになります。

(1)はいいでしょう。不等式は差を取って微分です。

(2)は(1)を利用することは予想がつくでしょうが、どのように利用するかが問題。真ん中がlogであること、関数が掛け算の形をしており、各因数が1+●の形であることなどから、logf(x)を考えることは思いつくでしょう。

すると真ん中が和の形になりますので、(1)の不等式が利用できます。右辺はΣ1/tの評価なので、定積分と不等式の原則を用います。階段長方形のイメージです。

左辺はxが分母に絡むので扱いにくいですが、xに近い整数(ガウス記号なんかがベンリ)を持ってきて評価することになります。n→∞の世界では、多少の端数は関係ないということですが、記述式で示すとなると意外と大変ですので、ここらへんが難易度を上げています。こちらも結局は階段長方形のイメージです。

n→∞とすることで、どちらもxlogp となりますので、ハサミウチです。もとの関数はp^xということですね。

 

 

※KATSUYAは24分で終えています。右辺はまあいいとして左辺の評価もきちんとする必要があるのか。端数の処理をうまく表現するのに毎回てこずる。この辺、個人的には苦手と思いつつなんとか終了。

 

第3問・・・【整数】倍数、有限小数(BC、30分、Lv.2)

第2問に続き、発想重視の証明問題です。(1)は比較的穏やかな証明、(2)は(1)を利用してどう説明するか。

(1)は、bは4の倍数ではいとのことなので、bが「奇数」か「2×奇数」の場合で、どちらかが当てはまるのでしょう。

(2)は小数第n位が5で、小数第n位までの有限小数であることを式にし、方程式を作れば、an(an+b)が(1)の条件を満たせばいいことが分かります。

よって、bが奇数なら2a(2a+b)が当てはまるようにすればよいので、2a=a(n) となり、bが「2×奇数」ならa(a+b)が当てはまるようにすればいいので、a=a(n)となります。  ただし、このaは(1)でnを1つ下げたものであることには注意です。(2のn-1乗で割れるけど、2のn乗でわれないものを指しています。)

あとはあてはまるaの存在を(1つでも)言えばOK。

 

※KATSUYAは24分で終えています。うーん、(2)いきなりでもbが奇数のときはa(n)=2のn乗、bが2×奇数ならa(n)=2のn-1乗 があてはまる 書いた方が速そうな気がするな、と解き切ってから思いました^^;

☆第4問・・・【空間図形?】曲面上の点と正四面体、切り口の面積の最大値(C、35分、Lv.3)

最後は空間図形です。(分野はよくわかりません^^;)放物線を回転させた曲面上にOを含む4点A,B,Cを取り、正四面体にしてくれという問題です。

(1)ですが、曲面を表す式がy=x^2+z^2 だと分かれば、そこまで難しくはないと思います。Oからの距離が等しいことから、y座標が等しいこともこの式を利用すればすぐです。

よって、ABCはzx平面に平行なy=y0上(半径√y0の円周上)に正三角形状にならんでいますので、距離は√3×√y0です。これがOA(y0だけで表せる)と等しくなるようにすればOK。

(2)は切り口の面積ですが、切り口は三角形で、高さはy0で共通です。従って、底辺(正三角形ABCを、外心Oを通る直線で切ったときの線分の長さ)の最小値を求めることになります。ここまでが最初の1歩です。

本当は回転するのは三角形の方ですが、切断する線を回転する方がラクかと。座標でおくと三角関数の最大・最小で微分(微分しなくても単調性は分かりますが)、ベクトルでやると相加・相乗利用またはやはり微分利用となるでしょう。

これを誘導なしで求めさせるのは、東工大タイプです。相当な演習量がないと設定も難しく、手がつかなかった人も多いと思います。

※K塾さんがたくさん解答を載せています(ベクトル、三角利用など)。参考にしてみて下さい。kの範囲を出すときに、私は相加・相乗を用いました。4/9以上を取ることさえ分かれば(上を絞っていなくても)、4/9で最小となることは確定です。

 

※KATSUYAは22分で終えています。回転放物面?なんかムズそう^^; と思いきや、まあまあ見かけ倒し。結局ABCみんな同じ高さやから、平面の話にもってける。(2)も、「線分の長さ出せばいいのね」とすぐに気づく。切断線回転するか。重心を通る時に1/3p+1/3q=1を満たすことはインプット済みのため、相加相乗利用の方針まで見えた。それでも22分なので、本問はかなりかかりそうですね。

4.対策~質の高い問題も積極的に。数Bと数IIIの重点演習を~

今年は穏やかな難易度に戻りましたが、2018年のレベルを基準にしておきたいです。計算力も必要で、普段から計算に対しては全力で取り組んでください。方針が立たずに迷っているとタイムオーバーなので、典型問題はすぐに手がうごくように。

分野ですが、第1問がIA、第2問以降はBIIIという印象です(今年は第3問も整数で4問中2問が数A)。数列は極限と混じって出ますし、体積の問題などで空間もよく出ます。なのでベクトルは自在に使えるようにしたほうがいいです。

青チャートの例題などはすぐに方針が思いつくまでやり込みましょう。その後は、同じ医学部系の過去問で演習を積むといいです。杏林大学医学部なども、時間的な厳しさが割と似ていますので、使えます^^

多少煩雑だな、と思ってもひるむ前に手が動いていくのが理想です。

量をこなす演習:じっくり演習=7:3→後に6:4ぐらいですね。

以上です^^

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