東京慈恵会医科大学 | 2018年大学入試数学

   

●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は東京慈恵会医科大学です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2018年 大学入試数学の評価を書いていきます。


2018年大学入試(私大)シリーズ。

東京慈恵会医科大学です。




問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。




東京慈恵会医科大学
(試験時間90分、4問、ハイブリッド型)

※ハイブリッド型とは、穴埋め型と記述式の混合型のことです。

1.全体総評~難化。計算力、思考力ともに問われる~

今年は難化した印象です。お普段より誘導が少なめで、第2問は発想力を、第3問は誘導のかなり少ないパターン問題、第4問はかなりの計算量を要求され、逃げ道がなく、考え込んでいるとあっというまに90分を過ぎてしまうセット。



試験時間90分に対し、
標準回答時間は132分【122分】(←穴埋め考慮)

2017年は104分【96分】
2016年は114分【106分】

2.合格ライン

第1問(1)が一番マシなので、慎重に数えてなんとかほしい。(2)はキー問題。意外と落とすかも。

第2問は(1)、(2)までいけるかどうか。(1)もまあまあ発想が必要。

第3問のパターンをなんとか自分で最後までやりきりたいところ。

第4問は正攻法は微分でしょうが、計算力がかなりいります。時間的にも難しいか。


今年は60%ぐらいでも十分ではないでしょうか。

3.各問の難易度

☆第1問(1)・・・【確率】3の倍数、6の倍数になる確率(AB、12分【8分】、Lv1)

10個の数字から3個を選んで並べ替え、3の倍数、6の倍数になる確率です。枚数がバラバラなので、ちまちま調べるしかありません。3つの数字として有り得るものを(122)(123)(124)(133)のように浮かべつつ、足して3で割れるものだけ書けばOK。

確率を出すときは、例えば4つある「4」のカードはすべて区別しますので、要注意です。確率の超基本原則。

Principle Piece A-26

 確率は同じものでも区別して計算する

(拙著シリーズ(白)  数学A 確率 p.5-6)

 

なので、全事象は10枚とも区別して10・9・8=720通りと数えます。 分子の事象も、例えば(123)の場合、123という数字の並び自体で6通りの他、1の選び方1通り、2の選び方2通り、3の選び方3通りで6・1・2・3=36通りと計算しなければいけません。後半の1・2・3を忘れがちです。

 

 

☆第1問(2)・・・【2次関数】条件付き最大・最小(B、20分【14分】、Lv.2)

分野的には2次関数で、条件式が一見「うっ」となりそうですが、ただ場合分けが多いだけです。なお昨年は三角比でした。この位置は数Iの印象があります。

条件式は、絶対値が2つあるので場合分けは4つですが、実は4つとも「x=1、ー2≦y≦2」のように、片方が確定する非常にシンプルな式となりますので、求める式はすぐに1文字になりますの。4回平方完成して最大・最小を出し、一番小さいものと一番大きいものを書けばOK。軸分けなどもありません。

意外と差がつきそうですね~。

 ※KATSUYAは13分で終えています。

 

☆第2問・・・【微積分総合(数式)】積分方程式(上端x型)、不等式の証明、極限(B、30分、Lv.2)

微積分総合で、題材は積分方程式や不等式の証明なので、数式中心です。

とはいえ、しょっぱなから出鼻をくじかれかねません。

積分区間に「x」を含むパターンの積分方程式なので、もちろんこちらの原則を使います。数IIで出てくるような単純な式ではありませんが、原則はパターンが同じなら揺るぎなしです。

 

Principle Piece II-115

 区間にxのある積分方程式 → 両辺を微分

(拙著シリーズ(白)  数学II 積分法 p.17-21)

 

両辺を微分した人が大半だと思いますが、すぐに詰まると思います。f(x-t) の部分をどうしよう・・・ということです。ここで、この部分はu=x-tと置換することに気づけるかどうかです。この置換をした後であれば、微分がうまくいきます。

まだ積分記号やfn(x)は残りますが、最初の式を用いて消せますね。

(2)はただの不等式で(1)と関係ないので、単独で正解できます。不等式の証明なので、基本は差をとって微分です。

Principle Piece III-39

 不等式は差をとって微分

(拙著シリーズ(白)  数学III 微分法の応用 p.44-47)

今回は、左辺をg(x)とおいたときに右辺がg(m)となります(形が似ています)ので、g(x)だけを吟味して、最大がx=mのときであると示せしてもOKです。

(3)で(1)と(2)を使いますが、誘導がまったくありません。まずは(1)の結果にインテグラルをつけて不定積分にするしょうが、ここで0→x と積分区間をつけて定積分にしても問題ないということです。(f(0)=0は断る必要有り) かなり演習量がないと、気づくのは難しいでしょう。

これに気づけば、fn(x)=○+(n+1)・fn-1(x)=○+△+(n+1)nf(n-2)+・・・= と続けることができ、○や△の部分が、極限で0になることを、(2)の結果で示します。 端っこの値だけがきいてくるということですね。

正答率はかなり低そうですね。

※KATSUYAは20分で終えています。(3)で少し考え込みました。

 

☆第3問・・・【極限】割り算の余り、連立漸化式と極限(BC、25分、Lv.2)

2次敷で割った余りの係数に関する問題で、nが絡んでいるため、数列の漸化式を作成し、極限を求める流れとなります。(1)は計算すればいいですが、(2)もあることですし、先に漸化式を作りましょう。

この手の問題でも、まずは数式の割り算ということで、こちらの原則を忠実に守ります。

Principle Piece II-23

 余り決定の問題ではA=BQ+Rの形をまず書く

(拙著シリーズ(白)  数学II 複素数と方程式 p.28-30)※表現は実際とちょっと変えてます

 

fn(x)からfn+1(x)に変えるので、f_1(BQ+R) をBで割った余りということです。計算すればすぐにわかりますが、Bが入っている項は余りが出ませんので、結局「R^2+R-1/4」を割った余りが、そのまま「a_(n+1)x+b_(n+1)」となります。これで漸化式がつくれます。

(2)は極限です。一般項不明の漸化式の極限のタイプとなります。

Principle Piece III-6

 一般項不明の漸化式の解法

 [1] 極限αの候補を調べる

 [2] a_n-αに関する等比数列的不等式を作る

(拙著シリーズ(白)  数学III 極限  p.16-17)

b_nについてはbだけの漸化式があるので、候補を調べるとおそらく -1/2に近づくと予想できますので、bn+1/2 について調べようと考えるわけです。

ここで2倍しておくと、2bn+1 となって、anの漸化式の係数となりますので答案としてまとめやすそうですね。

2b_(n+1)+1=1/2(2bn+1)^2 となるので、2bn+1がー1~1の間にあれば、2bn+1はどんどん0に近づきます。ということで、下線部の証明に移るわけです。内容的には帰納法ですね。

Principle Piece B-23

 帰納法は次のようなときに使える

 [1] 自然数nに関する証明である

 [2] 結果が分かっている or 推測できる

(拙著シリーズ(白)  数学III 数列 p.50-57)

ばっちりどっちにも当てはまってます。 これにより、anは0に近づくと分かります。

 

※KATSUYAは18分で終えています。

第4問・・・【空間ベクトル+(微分法)】(C、40分、Lv.3)

最後は空間ベクトルで、微分法の計算と絡んでいます。

(1)は途中で若干やる気が失せるような式になるかとは思いますが、ここを耐えると割とキレイになり、相互関係でsin^2 も消えますので、cos^2も置き換えると微分も見やすいかと思います。信じて計算を続けた人が勝ちの問題。

cosが出ればsinも出て、P,Q,Rはすべて出せます。そのまま(2)のMも計算すれば出せます。中点をSとでもして、問題文のように真似して OM(→)=4・OS(→)/|OS(→)| (単位ベクトル)を利用しましょう。

面積は面積公式ですね。

 

第2、3問で考え込んで時間を取られなければ、ここは(意味わからなくても)計算するだけなので、完遂できたでしょう。

※KATSUYAは22分で解答しています。 私は、微分せずにやっています(式を見て逃げて、別の方法が思いつきました)。予備校(Kさん、Tさん)の解答がすべて微分であれば、私の解法も紹介してみようかな、と思っています。

大雑把いうと、Pが円、Qが楕円を描きます。これが同一平面上なので、この平面上でRやMの位置を図形的に特定して求めました。

4.対策~質の高い問題も積極的に。数Bと数IIIの重点演習を~

今年は質が戻り、また全体的に難しくなってしまいました。計算力も必要で、普段から計算に対しては全力で取り組んでください。方針が立たずに迷っているとタイムオーバーなので、典型問題はすぐに手がうごくように。

分野ですが、第1問がIA、第2問以降はBIIIという印象です。数列は極限と混じって出ますし、体積の問題などで空間もよく出ます。なのでベクトルは自在に使えるようにしたほうがいいです。

青チャートの例題などはすぐに方針が思いつくまでやり込みましょう。その後は、同じ医学部系の過去問で演習を積むといいです。杏林大学医学部なども、時間的な厳しさが割と似ていますので、使えます^^

多少煩雑だな、と思ってもひるむ前に手が動いていくのが理想です。

量をこなす演習:じっくり演習=7:3→6:4ぐらいですね。

以上です^^

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■関連する拙著シリーズ■

★ 数学A 確率 (第1問(1))

★ 数学I 三角比 (第1問(2))

★ 数学B 数列 (第3問)

★ 数学III 極限 (第3問)

★ 数学III 微分法の応用 (第2問、第4問)

★ 数学III 積分法 (第2問)

★ 数学B ベクトル (第4問)

★ 計算0.9 【IAIIB】 (計算サボり練習帳です^^)

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