広島大学 理系数学 講評| 2024年度大学入試数学
2024/03/16
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●2024年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は広島大学(理系)です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2024年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2024年大学入試(国公立)シリーズ。
広島大学(理系)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
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広島大学 理系
(全5問、150分、記述式)
1.全体総評~いつもにも増してボリュームが多く難化~
難易度はやや難化です。比較的計算量の多い問題が並ぶのは例年通りですが、今年は特に多めだと思います。最初のデータ分析、第3問の格子点、第5問の微積分は計算量が多く、第4問の複素数平面も難しめ。マシなのは第2問ぐらいでしょう。
試験時間150分に対し、標準回答時間は160分。
2022年:130分
2021年:解いていません(解き次第調査します)
2020年:130分
2019年:150分
2018年:140分
2017年:160分
2016年:113分
2015年:145分
2.合格ライン
第1問のデータ分析は計算量は多いが、計算するだけなので頑張って合わせたい。
第2問は本セットのなかでは一番マシ。これは確実におさえる。
第3問はキー問題。テーマが分かっている人にとってはどうってことないが、とにかく量が多い。馴染みがないとさらに時間がかかるかも。
第4問の複素数平面は方針次第では膨大な計算量を強いられる可能性があるのでキー問題。
第5問もキー問題。誘導は丁寧だが、とにかく計算が多いので計算を最後まで合わせられるか。
前半2問をおさえて、後半をかき集めて1完強分ぐらい欲しい。65%ぐらいあれば今年はいいかと。全体的にキツイ。
3.各問の難易度
☆第1問【データ分析】平均、分散、共分散、相関係数、変量変換(B,25分、Lv.2)
データ分析からです。珍しくがっつり記述式でいろいろ聞いてきます。データ分析の問題は少ないので、ほぼ確実に入試問題集に採用されるでしょう。
(1)は平均7から出せばOK。
(2)は変量変換の問題。先にyの分散とか、xとyの共分散を出すとラクだったかもしれません。mは用いていいので、b=5m+3に直してから計算していきましょう。
yの分散はp^2倍してzの分散に、xyの共分散はp倍してyの分散にします。
(3)は相関係数。相関係数=共/標・標なので、あとxの標準偏差を計算します。根号がジャマなので2乗するとp^2が消え、mの値がキレイに出せます。pの値は、mの値を戻してxとyの相関係数を計算したときに、同じ符号の3/4になることから、正と分かります。
相関係数はp<0ならー1倍に、p>0なら1倍になることがポイント。計算量を最小限に抑えながらうまくいろいろ聞いていると思います。
※KATSUYAの解答時間は16:12です。文字入りでここまでやらせるのか。初っ端から結構メンドウ。本番なら最初は飛ばしてもいいぐらい。
第2問【空間ベクトル】垂線の足、面積など(B、25分、Lv.2)
空間ベクトルの問題。単元的に計算量はある程度ありますが、やることは典型的。おそらく本セットで最もマシな問題。
(1)は基本6量の準備をしているだけです。
(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 空間ベクトル p.36 参照)
(2)は成分で置いてもいいですし、(1)でわざわざ内積3種を出しているので、a,b,cベクトルのまま計算するのもいいでしょう。いずれにしろ、やることは原則通りです。
(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 空間ベクトル p.39 参照)
(3)は意味を考えると結構ラクかもです。CM⊥AMであることを利用すると、DはMに関するCの対称点になります。
気づかない場合は、DはCM上の点として(1-k)OC+kCMとして表せます。あとは、ACの長さと等しいことを式にすればOK。1つはk=0のはずですので、合っているかどうかの確認が出来ます。
(4)は(2)(3)が出来て図形が把握出来ればおまけ。(3)で示したように、CM⊥AMなので、底辺DC、高さAMの三角形です。図形的意味が分からなくても、ADベクトルとACベクトルを出して面積公式にあてはめればOK。
※KATSUYAの解答時間は16:43です。2024年、空間ベクトルで平面に下した垂線の足を求める問題が特に多い気がする。
☆第3問【整数+数列】三角形や四面体の格子点の個数(BC、35分、Lv.2)
整数と数列の融合問題で、格子点の個数を求める問題です。比較的有名な題材ですが、同じようなことを何回もやらされるので、なじみがないとかなり時間を持ってかれる問題です。(3)まではおさえたい。
(1)はそれまでの文章が長くてツライかもですが、bx+ay=abnを満たす1次不定方程式の解を聞いているだけですので、1次不定方程式の原則に従います。
(詳細は拙著シリーズ 数学A 整数 p.37 参照)
Pn,Qnの座標が解なので、1組を見つけるまでもありませんね。
(2)は三角形OPQにある格子点の数ですが、誘導に乗るなら長方形からうまく計算します。拙著の原則にもちゃんとある手法です。
(詳細は拙著シリーズ 数学A 整数 p.85 参照)
結論だけ言うと、(長方形の格子点+対角線の格子点)/2でOPQ上の格子点が求まります。対角線を境目に対称なことを利用しています。
(3)は(2)と同じ要領です。対角線の個数は(1)がそのまま使えます。
(4)は(3)の立体バージョン。数式的に言えば、2文字が3文字に増えただけです。1文字固定してシグマの原則ですね。
(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 数列 p.91 参照)
図形的にはz=kで切って、z=k上の格子点の個数を数えていることになります。Σは0から取ることに注意しましょう。
※KATSUYAの解答時間は20:16です。同じようなことやらされるな^^; 経験がないと結構時間かかりそうな問題。
☆第4問【複素数平面】円周上の点、変換後の点の軌跡(BC、30分、Lv.2)
複素数平面の問題です。誘導にうまく乗れればそんなに計算も多くないですが、こちらもやり方次第では詰まってしまう問題で油断できません。
(1)は具体的にαを求めるだけ。±iですね。
(2)は|-1/z-1|=√2を示せばOK。左辺を式変形していきます。zが円C上にあることも用いると、うまくzzバーだけの式になります。
(3)は単純にwに代入するだけ。zで通分すると上が|z-1|^2になります。右辺の形を見ても、zで通分しようと思いたいところ。
(4)は(3)から予想したいところ。|w+2|も同じように変形したときに2|z|になるはずです。なので、今度はムリヤリzでくくると、(2)の結果が利用できます。
※複素数wの軌跡はレムニスケートと呼ばれる軌跡となります、極方程式だと 「r^2=8cos2θ」 で表される曲線です。余裕があれば描いてみましょう。
※KATSUYAの解答時間14:25。誘導にうまく乗れればどうってことはないけど、たぶん(3)ぐらいから式いじりすぎて詰まる人多そう。
☆第5問【微積分総合】グラフの概形、方程式の解の個数、定積分の値(B、30分、Lv.2)
最後は昨年同様、がっつり数IIIの微積分総合です。前回もボリュームたっぷりでしたが、今回も(5)のゴールに向けていろいろな計算をさせられます。やることは見えているのですが、計算はまあまあ多め。
(1)は2回微分するだけ。
(2)も基本の原則に従うだけ。差を取って微分ですね。数Ⅱの微分のときから活きている原則です。
(詳細は拙著シリーズ 数学II 微分法 p.48 参照)
(3)はただの定積分の計算ですが、文字がSになっていることからも、どこかの面積を指しているのでしょう。
(4)でゴールに一気に近づきます。まず接線lを出し、交点Bも出します。四角形AOBCは三角形と台形でもいいし。OBCとABCでもOK。このあたりの計算が地味にメンドウ。
(5)が最終ゴール。(1)の下に凸である事実と、(2)の不等式から、y=f(x)の上側に接線l、y=xがあります。従って、四角形の面積Tが、(3)の定積分で表される部分の面積Sより大きいことが分かります。これを解くと、log2に関する2次不等式のような形になり、これがキレイに因数分解出来ます。これにより、0.5~0.7であると分かります。
大体の値を知っていると、あとは下から評価しないといけないと分かります。(2)の不等式の左側を使えばOKですね。x=3/4を入れれば、キレイに0.6以上と出ます。
※KATSUYAの解答時間は22:51です。因数分解もキレイに出来るし、これは設定がうまいとしかいいようがないですね。アッパレだと思います。
4.対策
広島大は、やることは典型的で方針は立てやすいですが、ボリュームはたっぷりの印象です。問題にあたっていく中で、「これを使えばいい」と判断できる力が必要です。頻出分野は微積、複素数平面、確率です。数列はやや複雑な漸化式が好きな印象があります。これらの対策は重点的に。
手法自体は、青チャートで十分網羅できていますので、まずは手法を一通りマスターし、次の入試基礎演習の段階まで終えたら、融合問題を多く解く演習をしましょう。数学IIIの計算はもう少し複雑なことが多いので、微積で計算練習を怠らずに。
なお、拙著『Principle Piece』シリーズであれば「原則習得」「入試基礎演習」の両方の段階を兼ねていますので、この後にもう入試標準演習の問題集に接続可能です^^
量をこなす演習:じっくり演習=7:3でOK。
以上です^^
■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)■
数学A Chapter3~整数~ (第3問)
数学B・C Chapter1~数列~ (第3問)
数学B・C Chapter3B~空間ベクトル~ (第2問)
数学B・C Chapter4~複素数平面~ (第4問)
数学III Chapter4~微分法2~ (第5問)
数学III Chapter6~積分法(グラフ編)~ (第5問)
すでに原則系の参考書を持っている方にはこちらがおススメ!!
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■他年度の、本大学の入試数学■
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