広島大学 理系数学 講評| 2023年度大学入試数学

      2024/03/07

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※拙著シリーズの発売情報など、最新のお知らせなどはこちらからどうぞ^^

 

●2023年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は広島大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2023年 大学入試数学の評価を書いていきます。

2023年大学入試(国公立)シリーズ。
広島大学(理系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。


解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

※お知らせ

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Principle Pieceシリーズの販売を再開しました^^ こちらも予習用に適した参考書です。

YouTube開設しました。 個人的に紹介したい大学入試数学を中心に解法や発想を動画にしてみようと思います。

広島大学 理系
(全5問、150分、記述式)

1.全体総評~いつも通りある程度ボリュームのあるセット~

難易度は例年並みです。最初の確率を除いて、比較的計算量の多い問題が並びます。小問に刻まれているので、方針に迷う問題は少ないかと。150分という長さなので方針さえすぐに立って計算時間を確保できれば、時間内に終わらせることも可能です。

試験時間150分に対し、標準回答時間は123分。

2022年:130分

2021年:解いていません(解き次第調査します)

2020年:130分

2019年:150分

2018年:140分

2017年:160分

2016年:113分

2015年:145分

2.合格ライン

第1問は確率で唯一計算量も少なめ。原則に従ってカッチリおさえたい。
第2問も問題数は多いが、本セットの中ではマシな方で方針もたちやすいのでおさえる。
第3問はキー問題。空間ベクトルで最後の計算量が多めなので計算力勝負。
第4問もキー問題。やや複雑な漸化式なので、誘導に乗れたかどうか。(4)の極限も、(3)の結果以外の項の評価が必要。
第5問は誘導があるため方針は分かりやすい。(3)まではおさえたい。(4)は意味を理解できることと、計算を最後まで合わせられるか。

前半は押さえて、後半部分で50%ぐらい欲しい。70%ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

☆第1問【確率】カードの数字の種類と確率(AB,18分、Lv.2)

1~Nのカードを出しては戻す試行を4回繰り返したときの数字に関する問題。聞かれていることは結局、数字の種類の話です。

数字の種類に関する問題を聞かれたときはこちらの原則が使えます。問題のひな型は違いますが、これが適用できます。

 Principle Piece 

 同じ文字を含む+一部取り出す場合 →「パターン、組み合わせ、並べ替え」で

(詳細は拙著シリーズ 数学A 集合と場合の数 p.39 参照)

1~Nから重複を許して4つ選んで並べると考えれば、あてはまりますね^^

(1)は数字が1種類の場合ですので、原則を用いるまでもないです。全部同じときです。

(2)も4つとも異なるので、Pを使えば瞬殺可能。

(3)からは原則を用いると分かりやすいです。●●●▲のパターンですので、●と▲の選び方がN(N-1)通りあります。それぞれに対し、並べ方は4!/3!通りです。

(4)は●●▲×です。●、▲、×の選び方ですが、▲と×が同じ数であるので注意。●はN通り、残りN-1通りから2つ選ぶ方法なので、Cを用いることになります。▲と×の入れ替えをここで数えてしまうと、並び替えのときに重複してしまいますので、ここでは入れ替えは同じものとみなします。

あとは並び替えです。4!/2!ですね。

サイコロ6個を投げたときに、目の種類が1種類~6種類の場合を数えてみるといい練習になると思います。

 

※KATSUYAの解答時間は7:27です。今年は最初に確率来たか。結構パターンでラクな方。

 

第2問【図形と式】直線に関する対称点、垂直条件(B、25分、Lv.1)

x軸に関する対称点やy=xに関する対称点を用いていろいろな点を定め、2直線が垂直になる条件を求める問題。

(1)は対称点を求める問題です。どちらも直線が単純なのでこれは楽勝でしょう。一応、原則を復習しておきます。求める点の座標をおき、こちらの2条件で連立するんでしたね。

 Principle Piece 

 直線に関する対称点は次の2条件を式にする

[1] lとABが垂直 [2] ABの中点がl上

(詳細は拙著シリーズ 数学II 図形と方程式 p.15 参照)

(2)(3)は、x軸やy=xに平行でない条件を聞いていますので、傾きで議論できます。

(4)は垂直条件です。x軸と垂直になる場合は、y軸と平行なのでBとSのx座標が等しいという式がいいでしょう。y=xと垂直になる場合は、傾きの積=-1でいけます。

あとはαとβの連立です。微妙に対称式ではないので、素直に連立します。2円の共有点を求める時の要領で、辺々を引けば1次方程式になりますね。

 

※KATSUYAの解答時間は16:43です。ただただ順番に計算するだけ。

 

第3問【空間ベクトル】正八面体の辺上の3点で出来る三角形の最小値(AB、25分、Lv.1)

空間ベクトルからで、正八面体を題材としています。やることは単純ですが、(3)の計算はまあまあ長いです。

(1)の内積はいいでしょう。b,d,eベクトルの位置関係には気を付けてください。ABCDが正方形になるので、ABEやADEは正三角形です。

(2)はもしかしたら苦戦した人もいるかもですが、辺をたどるだけです。AB→+BF→とし、BF→=ED→を利用すれば基本ベクトルに直せます。(2)が出来ないと(3)もおそらくできないので結構差がつく。。。

(3)はAHベクトルをtで表します。CF上なので、ACとAFで表せばOK。tの係数はeベクトルにしかつかないので、まだラクな方です。三角形の面積なので、AG→、AH→の長さと、内積をコツコツ計算して面積公式に入れましょう。分数も入るので、慎重に計算しましょう。

※KATSUYAの解答時間は15:45です。空間ベクトルはある程度計算を覚悟するしかないですね。

☆第4問【数列+極限】漸化式、和の極限(B、25分、Lv.2)

数列と極限の問題。やや複雑な漸化式ですが、置き換えの誘導があるので、難易度は下がっています。最後の極限は(3)以外にも評価が必要な項がありますので、そこをきちんと評価できたか。

(1)は素直に求めていくだけです。

(2)は置き換えに従って変形していくので底を2とする対数を取りますが、誘導がなくても、項のかけ算・割り算がある漸化式は対数を取るのが原則です。底を2とする対数をとって「n+1」が絡む項と「n」が絡む項をわければ、置き換えに気づけるでしょう。

(3)は問題文に書いてある条件を用いるだけです。logの足し算は掛け算ですから、シグマの部分の真数は1・2・3…・nとなります。あとは1・2・3…・n<n・n・…・nを利用すれば問題文の条件を使える形になります。あとははさみうちですね。

(4)は(2)でbnの一般項が出ているので、それを利用してlog_2 a(2k)を表します。等比部分と、logの部分と、定数部分に分かれます。logの部分の和は(3)により0になります。定数部分は和をとると2nになりますが、nが十分大きければn<nlognですので、これも(3)を用いれてはさみうちです。

結局、等比部分だけが極限の値に関わります。36^nが関わる部分に注目しましょう。

※KATSUYAの解答時間は17:25です。漸化式はまあまあややこしいのである程度の差はつきそう。広大、少し複雑な漸化式好きなイメージがある。

☆第5問【微積分総合】グラフの概形、方程式の解の個数、定積分の値(B、30分、Lv.2)

最後は数IIIの微積総合問題です。概形を書かせたり解の個数を出させたり、積分値を求めたりといろいろやらされます。(4)は定積分の意味を理解しているかどうか。

(1)は微分して増減表を書くだけです。真数が分数なので、引き算にして微分したほうがラクな気がします。分子は因数分解出来るので、グラフは比較的ラクです。x軸との交点(真数=1のとき)も明記したほうが無難でしょう。

(2)は(1)のグラフが書ければそのまま答えられます。定数分離してグラフで視覚化です。

(3)は定積分計算をします。分数式は帯分数表記にします。定積分計算においても非常に重要な式変形です。

 ULTIMATE Principle Piece 

 分数式は「帯分数表記」に

→ 「分子の次数」≧「分母の次数」なら割り算を

(詳細は拙著シリーズ 数学A 整数 p.85 、数学II 式と証明 p.18 参照)

余りの部分の定積分は1/x^2+●がありますので、x=a tanθで置換するパターンですね。

(4)はかなり遠回しですが、y=f(x)とx軸で囲まれている部分を、横向きに足していった式が問題文の定積分の値になりますので、我々はいつも通りx軸方向で積分をします。要は、f(x)を0~3まで積分しなさいというだけです。

直接出来ますが、分かりやすいのは真数部分をlog(3x+3)とlog(x^2+3)の差にして積分する方法だと思います。

logの積分は部分積分です。1=(x)'などと見なすんでしたね。

前半はlog3+log(x+1)としておいた方がラクかと。x+1が真数なので、部分積分の項を見越して、1=(x+1)'としたいところ。後半はそのまま(x)'log(x^2+3)とみなして部分積分をすると、(3)の項がそのまま表れますので、利用しましょう。

最も、項を分けることなく、直接(x+1)'f(x)として部分積分する方法でもできます。(1)でf'(x)の分母にx+1が入っているので、ここでも(x)'ではなく(x+1)'としています。一見複雑に見えますが、実はこのほうがすっきりします。(私は分けてやりましたが^^;)

 ※KATSUYAの解答時間は21:36です。(4)は大雑把に定積分の意味を考えて「この部分の面積のことである」と説明する程度で大丈夫だろうと判断。

4.対策

広島大は、やることは典型的ですが、融合問題が多い印象です。問題にあたっていく中で、「これを使えばいい」と判断できる力が必要です。頻出分野は微積、複素数平面、確率です。数列はやや複雑な漸化式が好きな印象があります。これらの対策は重点的に。

手法自体は、青チャートで十分網羅できていますので、まずは手法を一通りマスターし、次の入試基礎演習の段階まで終えたら、融合問題を多く解く演習をしましょう。数学IIIの計算はもう少し複雑なことが多いので、微積で計算練習を怠らずに。

なお、拙著『Principle Piece』シリーズであれば「原則習得」「入試基礎演習」の両方の段階を兼ねていますので、この後にもう入試標準演習の問題集に接続可能です^^

量をこなす演習:じっくり演習=7:3でOK。

 

以上です^^

 

■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)

数学A Chapter1~集合と場合の数~ (第1問)

数学A Chapter2~確率~ (第1問)

数学II Chapter3~図形と方程式~ (第2問)

数学B・C Chapter1~数列~ (第4問)

数学B・C Chapter3B~空間ベクトル~ (第3問)

数学III Chapter2~極限~ (第4問)

数学III Chapter4~微分法2~ (第5問)

数学III Chapter6~積分法(グラフ編)~ (第5問)

すでに原則系の参考書を持っている方にはこちらがおススメ!!

数学I・A ~原則のみ~

数学II~原則のみ~

数学B・C~原則のみ~

数学III~原則のみ~

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