探究と演習 数学(Z会)の難易度・レベルは?使い方は?
2016/09/24
Z会の数学参考書である「探究と演習」は、IAIIBの分野をベースに、テーマ別にその分野を深く掘り下げて行くための、比較的レベルの高い参考書です。
本エントリーでは、「探究と演習」について、難易度(掲載問題のレベル)や勉強法などについて紹介します。
1.探究と演習 はどんな参考書?
Z会の「探究と演習」は、以下のような参考書です。上巻、下巻に分かれており、上巻が主にIAの分野で、下巻が主にIIBの分野です。非常にシンプルなデザインです。
上巻は2007年と出版が比較的古いですが、課程が変化しても色あせることがないテーマを選んでいるため、内容の変更が必要ないと言えます。
数学IIIの内容についての発刊がないところが、残念なところですが、上巻・下巻という名前からすると、予定はなさそうですね。。。
2.問題数、レベル、解説の詳しさなど
Z会の「探究と演習」がどのような参考書であるのかを知るために、基本的なデータを見てみましょう。本書のタイプは、入試標準演習タイプです。
→ 正しい参考書選びのために、参考書のタイプも把握しましょう。
2.(1) 探究と演習 の問題数
探究と演習 数学の問題数は以下のようになっています。
- 探究と演習 上巻の問題数・・・例題:89題、問:155題、演習:25題
- 探究と演習 下巻の問題数・・・例題:110題、問:185題、演習:24題
上下巻合わせると、全部で588題ありますので、入試標準練習タイプとしてはかなり多めです。例題だけでもいいのですが、問まで演習することでかなり力がつくような配置なので、取り組める人は早めに取り組んだほうがいいでしょう。
2.(2) 探究と演習 数学のレベル
本書のレベルは、難関大レベルが7割、超難関大レベルが3割程度です。(ただし、分野によってはばらつきがみられます)
先ほども書いたように問題数は充実していることと、IA、IIBという分かれ方をしているので、高1や高2の段階でも習得した段階で購入して少しづつ手をつけていくタイプのものでしょう。
高3の段階では、数学の勉強に時間をかなり割けるという自信がある人に限るかと思います。同じタイプの問題集で、問題数が200問前後のものと比較して検討です。(入試数学の核心(標準)、CanPass数学、プラチカ数学など)
2.(3) 探究と演習 数学の解説
「探究と演習 数学」の解説ですが、探究というだけあって、非常に詳しいです。例題はそのテーマの代表的な問題が選ばれています。
その内容は高度ですが、解答の他にその題材の背景、別解などが豊富に掲載されており、その問題を丸裸にしていってくれます。その直後に、同じ背景を題材にした類題(問)を演習して、高度な問題も解けるという流れを実現しています。
なお、問の解答はあまり詳しくありませんので、例題部分の熟読が必須です。
3.探究と演習 数学の使い方(勉強法)など
Z会の参考書「探究と演習」の使い方の前に、どのような人が使うと効果が上がるのか、オススメ対象を見ていきましょう。
3.(1) オススメ対象
探究と演習 数学のオススメ対象については、下記にあてはまる方です。上に書いてあるほうが優先です。
- 数学を2次試験使う+数学が好きである。
- 難関大以上の大学志望である。
- 数学1A(または数学2B)の学習を終了し、チャート式などで原則を8割以上習得済みである。
- 過去の数学の模試の偏差値が60(弱)以上である。
一番上に「数学が好きである」を持ってきましたが、数学に対して苦手意識のある人には不向きだと思います。背景や別解を見ることに対して好奇心旺盛でないと、挫折する可能性が高いです。別解等を聞いたときに「なるほど!すごい!」と思えるような人が向いています。
また、一部ですが高校数学を逸脱している内容の問題+類題があります(その背景を利用した入試は出ます)。
例えば、3次方程式の解の公式としてカルダノの解法というものがあります。それを背景とした問題の紹介もちろんありますが、実際にカルダノの公式を使う問題などもあったりします。そう言った意味でも、「高校数学を多少超えてでも数学を学びたい」と考えている人が向いています。
また、掲載問題されている問題のレベルを考えると、ある程度多くの問題にあたり、原則を習得していないと、別解等を見ても自分の頭の中でつがっていかないと思います。
先ほども書いたように、IAとIIBという分かれ方をしているため、高1生や高2生でも、意欲的な人は本書に取り組むことが可能です。原則を習得し終わった段階で購入し、少しづつ取り組み始めるといいでしょう。
3.(2) 探究と演習 数学の使い方(勉強法)、購入時期
本書は入試演習書ですが、参考書的な使い方も可能です。
- 難関大以上を目指す受験生
入試標準演習として最適なレベルです(数学3は別で演習するしかないのが玉にキズ)。例題に書かれている背景や別解等を効率よく吸収することができれば、本書を最後に、そのまま過去問に接続してもいいでしょう。問題数が多いため、夏休み~11月に終了させるとしても、588÷(4ヶ月)=1日約5題 となります。
例題の解説でほぼ完璧に理解できた、あるいは最初から背景を知っていて解けた場合には、類題を飛ばすといった使い方をして減らしていくことも考えられます。
それでも時間が怪しい場合は、「読み進める」という使い方もありです。ただし、計算力がある人に限ります。
- 意欲的な高1生、高2生
1Aを習得後に上巻に、2Bを習得後に下巻に取り組みましょう。問題のレベルが高いので難しく感じるかもしれません。時間が取れるときに(不定期でOK)、1日2題ぐらいのペースでじっくり取り組む+解説をよく読むことで、早めに1A2Bを固めることが出来ます。
あくまでも意欲的な人に限ります。そうでないと、途中で読まなくなります。意欲的な人は、本書は楽しいと感じて自分でどんどん進めていくでしょうから、特別計画を立てる必要はないと思います。
4.まとめ~問題数に注意して計画的にやれば最高品質~
Z会の「探究と演習」 数学について、まとめます。
- 入試標準演習タイプの問題集兼参考書で、問題数はかなり多めである。
- 例題の解説は非常に詳しい。解答、別解はもちろん、背景や歴史まで掲載。
- 直後に同レベルの類題があるため、ハイレベルな定番問題の定着が可能。
- 問題数がかなり多いため、受験生が使う場合は計画的に。