共通テスト 数学I・A【2024年】の難易度、傾向は?対策法も
2025/01/11
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このエントリーでは、2024年に行われた共通テストの数学I・AをKATSUYAが解き、その感想や難易度などをアップしていきます。
【評価指標のみかた】
1.難易度 A(易)~E(難)
2.解答するまでの標準的な時間
の2点を中心に、各問題ごとにコメントしていきたいと思います。
※あくまで、KATSUYA個人の見解に基づく評価ですので、ご了承ください。
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2024年共通テスト数学Ⅰ・A(70分)
1.全体評価~トータルで昨年並み~
昨年並みです。批判殺到の2022年から2023年は落ち着きましたが、2024年も同じ感じです。
ただし、2次関数で点の移動の問題が出たり、場合の数も後半は流れをきちんとつかめていないとチンプンカンプンになるなど、随所で一定数の受験生を苦戦させる部分があったかと思います。よく言えば、差が出る問題なので、試験としては個人的には悪くないと思っています。
また、前半で誘導を与えて、後半で「よろしく」という丸投げタイプも健在でした(場合の数がまさにこれ)。共通テストはやはりこの流れを意識していることがうかがえます。
第1問は、[1]数の計算、[2]三角比、の構成でした。数と式が普段よりちょっとメンドウかな?三角比は最後は見た目で捨ててもよかったかも。それ以外は取りたい。
第2問は[1]2次関数、[2]データ です。2次関数が点の移動のタイプで、式も自分でイチから作るので、苦手だとキツイ。データは普段より処理がラクかと。
第3問は場合の数と確率。個人的にはいい問題。前半は書いてあることに素直に従うだけで行けるが、後半に行くにつれ意味が分かっていないと出来なくなっていきます。差が出そう。
第4問の整数は昨年に引き続き、中学受験でも出そうな問題です。昨年よりはちょっと難しい?
第5問の平面幾何は、星型が題材。使う定理は頻出のものばかりでしたので、落ち着いて計算すれば最後までいけるかと。
こちらもぜひ!!
> 共通テスト(2024年度数I・A)に関するYoutube動画も上げていますので、参考にしてみてください。(←下に動画が出ない場合ばここをクリック)
2.各大問の難易度
※緑色の表記は、数学を解き進める上でかかせない原則を表しています。
※青色の表記は、数学における超基本的な心構えを表しています。
難易度は、「8割難易度」と「満点難易度」を記載しています。途中までなら簡単だが、最後だけが非常に時間がかかったりするものや、後半ぐらいから結構メンドウなものなど、いろいろなタイプがあります。自分の目標点と照らし合わせて、参考にしてみてください。
☆第1問 [1](数と式:根号計算、AB、9分【6分】)
8割難易度・・・易 満点難易度・・・普通
√13の値を少し詳しく求めるための計算を行う問題。
前半は有理化などの根号計算をするだけです。ここはしっかり押さえつつ、適度に暗算しながらサボって、脳みその準備運動って感じです。
後半は分は少し長いですが落ち着いて書いてあることに従うだけでmの値も出せますし、そこからaの値の評価を詳しく行ったということも分かります。あとは3/15と3/14の小数計算をすればOK。
KATSUYAの解答時間3:14 やっぱり少しかかっている。
第1問[2] (三角比:影の長さと電柱の高さ、B、14分【9分】)
8割難易度・・・やや易 満点難易度・・・普通
坂道に出来た電柱の影の長さなどから、電柱の高さなどを調べようという問題。三角比で学習する最初の公式だけで解けますね。正弦も余弦も相互関係も不要。
前半には文章やら立体図やらありますが、チェックするのは7%という数字です。あとは後半の平面図を見れば全然OK。記号も書いてくれています。
7%の意味も書いてありますので、tanの表で0.07になるところを見に行きましょう。
次の電柱の長さについても、与えられた条件を書き込めば、BEもDEもすぐわかります。わざわざEを用意してくれているので、分かりやすいかなと。ただの直角三角形の比を使うだけです。
太陽高度が45度のときはDE=AEとなることもあり、計算はやさしくなっています。
最後は、電柱が分かったところで今度は影の長さを計算する問題ですが、これは差が付きそう。逆算の問題ですが、先ほどと同じように影の長さCDから電柱を求める式を立てて、そこからCDについて解けばOKと気づけば勝ち確。ただ、45度ではなく42度になっているため、DEがただちにAEにならないことに注意です。そこら辺に気づかないと、穴埋めの複雑さもあって、少し戸惑うかもしれませんね。
KATSUYAの解答時間6:11 昨年と同じぐらいですね。
☆第2問[1] (2次関数:点の移動と三角形の面積、AB、18分【12分】)
8割難易度・・・普通 満点難易度・・・やや難
今年はまた最初が2次関数に戻りました。昨年のバスケのゴールの問題に比べればという感じですが、今年は点の移動です。ページ数は2ページとすっきりしていますが、こちらの方がむしろ差がついたと思います。点の移動が苦手な人はホントに多いです。センター時代にも出ているので、常に警戒しておきましょう。
設定としては、PはO→Aと片道で終わり、QはPの倍で動くけどC→O→Cと往復することをまずサクッと把握しましょう。よって、Qが折り返すタイミングで場合分けが必要となります。
場合分けが必要なことは問題文で「匂わせ」がありますが、式は完全に自分で作ります。係数の穴埋めすらなく、直で最大値や最小値を聞いてきます。苦手な人はここでゴソっと落としてもおかしくないと思います。
0~3秒後と3~6秒後で、CQとQOの長さの表し方だけが変わります。底に気を付けて、台形から端っこにある3つの三角形を引けば式が作れます。カリカリやるしかないですね。
「オ」は引っかかった人いるのではないでしょうか。「0秒後~6秒後通しての最小値」なので、「イ」と同じ8が入ります。3~6の範囲だと最小値9になるので、これは悪意を感じましたね。
最後の10以下になる範囲は落ち着いて計算すれば出せると思います。計算ミスしたら多分形にあわなくなるような形をしているので、ちょっとメンドウですが、式が作れているならやったほうがよかったでしょう。
場合分けして式を作るときは、境目の3秒後で両方に代入して値が一致したり、分かりやすいタイミングで計算してみたりして、検算をしましょう。1分もかからないはずなので、必ずやってください。緊張している本番ほど検算は大事。安心感につながります。
KATSUYAの解答時間10:08 動画ではしゃべってますが、計算ミスしてあせってました。これはかかりすぎ。
第2問 [2] (データの分析:ヒストグラム、箱ひげ、z値の計算、散布図、B、14分【9分】)
8割難易度・・・やや易 満点難易度・・・やや易
データ分析の問題ですが、比較的処理は楽だったと思います。若干数Bの統計チックな問題がありましたが、数Bの内容は数Bで出せばいいのでは^^;
最初のページは50人のデータだということが分かればOK。最頻値と中央値はさすがに大丈夫かと。次の「ス」「セ」も分かるかと。13人目というのが、第1四分位数に当たる人のことだと分かればOK。
四分位範囲は箱の幅です。四分位偏差(÷2する)と間違えないように。
後半はなんか新たな式を与えて、そのzの値で優れているかどうか判断しようという問題ですが、完全に数Bの統計の範囲の内容です。知っている人は式を見た瞬間にスルー出来ますし、知らなくても言われた通りに計算するだけ。数学的国語力があれば解けます。
A、Bのベストタイムのz値を計算し、Bの方が小さいので、タイム自体もz値もBの方がいいということです。zは偏差値みたいなもんだと思ってください。
平均点80のテストで90点を取る人と、平均30点のテストで60点を取る人に対して、点数だけでは比べられないよねってことです。
最後は散布図を2つ見て正誤判定する問題。こちらも2021年の外れ値のような奇問ではなかったので、分かりやすかったと思います。
KATSUYAの解答時間6:33 意外と去年よりもかかっている。去年も処理ラクやったんかな。
☆第3問 (場合の数と確率:カードがそろう確率、B、18分【12分】)
8割難易度・・・普通 満点難易度・・・やや難
今年は確率も場合の数も聞いてきました。カードの文字に関する問題です。
「そろう」の意味が丁寧に書かれすぎてて、それそのまま解法に直結やろって感じでした。「少なくとも・・・」を見たらこれですよね。
(拙著シリーズ 数学A 集合と場合の数 p.13)
(1)はA、Bの2枚だけの時です。
2回でそろうにはABかBAの2通り。3回でそろう場合はなんか下につらつら書いてますが、明らかに上の原則でやった方が早いです。AAAかBBBを引けばOK。6通りあります。そしてこの考え方なら、4回のときも14通りとすぐにわかります。なぜあんな誘導を^^;
(2)はA,B,Cの3枚になります。3回でそろう場合はABCの並べ替えだけあります。
4回で初めてそろう場合が出来の別れ目になるかと。誘導の意味を吟味しましょう。3回まででABだけが出る方法は6通りと出ています。BCだけ、CAだけも同様です。なので3×6ということです。
意味わからなくても次までは答えられますが、意味が分からないとその後から脱落してしまいます。ここで意味が分かっていると、5回目も、先ほどの4回目まででABだけが出る14通り×3=42と出せます。
最後はさらにカードが増えて4枚になります。そして、いきなり6回目で初めてそろう場合になります。ある程度誘導がありますが、それまでのどの答えを使えばいいかの判断が難しめですね。
ABCが3回目で初めてそろう場合は(2)の最初で出しました。4回目、5回目はDさえ出なければOK。
ABCが4回目で初めてそろう場合も(2)で18通りと書いてあります。5回目はDさえ出なければOK。
ABCが5回目で初めてそろう場合は書かれていませんが、同様に(2)の最後で計算しました。42通り。
あとは全部足し、最後に×4するのを忘れず。最後がA,B,C,Dの場合はすべて対等です。
分母は4の6乗になります。累乗はある程度覚えておくと、最後の確率はほぼ暗算です。時短テクの1つですね。
KATSUYAの解答時間6:30 いい問題だと思います。後に行くに従い、だんだん差がつく感じですね。
第4問 (整数:n進法1次不定方程式、AB、18分【12分】)
8割難易度・・・普通 満点難易度・・・普通
今年の整数問題は、n進法からでした。
※余談ですが、「n進法出るかも・・・」って言ってて当たったとかXでアピールしてるどこぞやの予備校講師がいました。あまりにもざっくり過ぎるやろって感じですし、中学受験にも出るような問題でしたけど^^;
設定は単純で、3,4,6進法で刻むタイマーがあり、限界が3桁表示ということです。従って、それぞれ3^3=27秒、4^3=64秒、6^3=216秒たつと000に戻るということです。それさえ理解していれば、算数です。
(1)は記数法の計算問題。n進法の変換が分かっていれば楽勝ですね。これは落とせない。2進法から4進法や、2進法から8進法などは桁をいくつかまとめて区切ると簡単に出来ますので、ぜひ覚えておきましょう(解説動画参照)。
(2)は最初に書いた通りです。64秒おき、216秒おきの最小公倍数を求めるだけです。
(3)次の問題もそのまま算数に出そうな感じですが、T4タイマーが012になるのは、64秒が何セットかあり、あと6秒進めばOK。T3タイマーは27秒が何セットあり、あと5秒ですね。
これで1次不定方程式を作ります。27x-64y=1ですが、見つかるなら見つければOK。係数が大きくて見つかりにくい場合は互除法で。
(拙著シリーズ 数学A 整数 p.37)
ユークリッドの互除法を使うやり方は動画か、拙著『Principle Piece 数A~整数~』をご覧ください。途中で何回かで1になることを確かめておけば安心です。そこで1になってなければミス確定です。
でもよく考えたら、27x=64y+1なので、yは少なくとも8か17か26ですね(理由は考えてみましょう)。それで1発目の8で見つかりますね。なお、答えとしては518と書きます。ミスしないように。
最後はもう一回全部やらせるのかよ、と思いましたが、「幽霊の正体見たり・・・」といったところ。不定方程式を同じように作ると、解がないことがすぐにわかりますね。慣れていないと時間かかるかもですが、決して難しくはないです。
KATSUYAの解答時間6:34 去年よりちょっとかかったかな 整数は去年も中学受験みたいな感じやったけど^^;
☆第5問 (平面図形:作図と証明、長さ、B、22分【15分】)
8割難易度・・・普通 満点難易度・・・やや難
今年の平面図形は星型を題材にした問題でした。だんだん難しくなるので、うまく設定されていると思います。
(1)は式の形からもメネラウスが見えますね。メネラウスの定理の式のつくり方は正確に出来るように。頂点から頂点への直行はNG。QR:RD,QB:BDともにメネラウスの定理を使って出しましょう。三角形と直線も書いてあるので親切ですね。
(2)は設定が追加されます。円が絡んできます。
「カ」は少し気づきにくいですが、円が絡んで長さを求める問題なら、やはり方べき(または方べきの証明のための相似)思いついてほしいですね。
方べきの定理から、AT・AS=AP・AQが成り立ちます。全部交点から伸ばすことに注意。
続いては、ABCの外接円とDの位置関係についてですが、こちらは方べきの定理の逆を用いる方針です。
とりあえずDが円周上にあるとすれば、AQ・CQ=BQ・DQになる「はず」です。ところがBQ・DQの方が値が大きいので、同じになるような点Xはもっと手前にあることになります。よって外部ということです。こちらも、図があるのでイメージはしやすいと思います。
同じように考えてA,BがCDEの外部にあるかどうかも考えます。自分で、どこに方べきを用いるか考えましょう。
例えば、Aの場合は、時計回りにA,E,D,Cと並んいるので、対角線ADとCEで見ると方べきが見えます。AもBも全部外部が答えです。ちょっと疑いたくなりますね。
KATSUYAの解答時間 9:02 場合の数と同様、だんだんメンドウになるので悪くない問題かなと思いました。最後は外部ばっかりでちょっと不安^^;
関連リンク
こちらもぜひ!!
> 共通テスト(2024年度数I・A)に関するYoutube動画も上げていますので、参考にしてみてください。(←下に動画が出ない場合ばここをクリック)
3.対策
2023年、2024年で難易度がある程度安定してきたので、これぐらいが例年並みになっていくのかなぁと。(昨年の予想のままです)
センター試験に比べると、テクニックを駆使するタイプの問題ではなく、比較的目新しい題材を見て内容を把握し、自分の知識と合わせて数学的に考察させるタイプに変わりつつあるのは昨年の感想と同じです。
「あ、これ軸分けの問題ね、はいはい!」のようなタイプは今後減っていくのかな、という感じがします。(2次ではもちろん必要なテクニックですよ!!)
また、数値を具体的に計算しない代わりに、一般化した場合にどのようになると思われるかを考察する問題も今後出てくるようになるでしょう。(2次関数の最後など)
「丸投げ」タイプにも要注意。さっと問題を見渡して、「丸投げされるな」と思ったら、少し丁寧に読みましょう。満点狙いでないなら、最後はスルーするのもあり。
2次試験の傾向がこれに追随するとは考えにくいので、2次でばりばり数学がいる人でも、共通テストのような傾向の問題に触れておく必要があると思います。センターよりもあなどれなくなってしまいましたね。
■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)■
数学I Chapter1~数と式~ (第1問[1])
数学I Chapter3~2次関数~ (第2問[1])
数学I Chapter4~三角比~ (第1問[2])
数学A Chapter1~集合と場合の数~ (第3問)
数学A Chapter2~確率~ (第3問)
数学A Chapter3~整数~ (第4問)
※平面図形も新年度明け、4月末~5月頭ぐらいには発売予定です。(遅れる可能性はありますが、どんなに遅くても夏前には販売開始すると思います)
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※数ⅠAについてはAmazon Kindleでも販売中しています。(リンクは数学Ⅰ全巻一覧)
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