慶應大学 理工学部 | 2013年大学入試数学
2017/02/11
●2013年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は慶応大学(理工)です。
2013年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2013大学入試シリーズ第15弾。
私大シリーズ、第15弾。
慶応大学(理工)です。私大の王者の出番です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。
慶応大学 理工学部(試験時間120分、5問)
全体総評・合格ライン
昨年から難化しています。さすがは私大の王者といったところで、手をつけられる問題もありますが、全体的に完答しにくい問題がずらっと並んでいるセットでした。ただ、これも私大の特徴でしょうか、良問というよりは、計算量の異常に多い難問という印象で難しいです。
昨年は最後だけ難しかったですが、今年は全体的に嫌な感じのセットでした。
試験時間120分に対し、目標解答時間合計は180分。
計算量が異常に多く、第2問さえ飛ばせばなんとか手がつくかもしれません。相当な計算力とともに、あまりにも厳しいと早めに見切りをつけ、飛ばす勇気も必要。
私は、97分で解き終えています。理工はやはり王者の格がある。しんどいですね^^;
■合格ライン
第1問はただの計算なので、是が非でも確保したいが、最初がでないと・・・
第2問は前半は絶対確保。ただし、後半は絶対捨てる(笑)
第3問はどちらも考えにくい問題です。(1)の最初だけ書くのもありでしょう。
第4問は斜め回転体の典型なので、これは多少時間かけても取りたい。
第5問は意味が分かっていればこれも計算だけ。(1)の証明と、答えさえ書けばすむ(3)を抑える。
何せ時間がないので、(第2問を完全に飛ばしても時間オーバー)半分もいかなくても、OKかもしれません。50%としておきましょう。
第1問・・・2次曲線、回転(B、25分、Lv.2)
題材自体2次形式という単元のものです。大学初年の「線形代数」という科目の最後で習うものです。
とはいえ、本問は誘導にさえ従えばそんなことは知らなくてもきちんと解けます。ただし、計算はうまく文字を消去しないとθもαもβもとまらず、アウト。
なお、2次形式を知っていると、s、tに関する式は、αとβの答えを使い、2s^2+4t^2=12
であるとわかります。
標準形になれば、距離の最大値は長軸だとわかりますので、簡単ですね^^
※KATSUYAの解いた感想
2次形式か。早慶はこの形好きな印象がある。回転して2次曲線の標準系に戻すパターン。解答時間11分。
第2問・・・図形と式、微分、最小値(CD、50分、Lv.2)
扱っている図形自体はそこまで難しいものではありませんが、文字定数kが入ってしまったおかげで、一気に計算が複雑化しています。
前半のS_1はただの分数関数ですから、こちらは慎重に計算して、答えておきたいところ。
なお、S_1は実は文系の人でも、相加相乗で解けます。この形になっていますので^^
(Principle Piece 数学B ベクトルpp.27~28)
(ベクトルの原則ではありませんが、ベクトルでよく見かけるためです)
ただし、後半のS_2は、円に接する直線の方程式を求めるだけでもメンドクサイですし、面積の式も複雑。見た瞬間に、微分する気をなくすような式が出ます。
なお、極値候補のkは3つ出てきますが、2つは同じ値になりますので、穴埋めの形から、こちらを最小と決め付けるのが正解でしょう。(評価するのも一苦労です)
しかしはっきりいって、S_2の最小値を正解出来た人は皆無に近いと思います。途中で「時間がかかる」といかに早く判断できるかが勝負な気がします。
※KATSUYAの解いた感想
後半はまったくやる気にならず、いったん飛ばす。全部終了後に戻ってきて、慎重に計算。微分=0になるときのkが綺麗になる気がまったくしない。途中で何度諦めようと思ったか。解答時間29分。
第3問(1)・・・場合の数、経路(C、25分、Lv.3)
最短で行く必要のない経路に関する問題です。最短という制限を除くと、一気に場合の数が増えますね。というか、一気に難しくなりますね。
本問の場合は、いつ「y座標を増加させるか」で場合分けすれば良かったと思います。様子がわからないときは、かならず試してください!
※KATSUYAの解いた感想
これ、結構メンドクサイパターンちゃうか。地道に数えてみるも、規則よく分からず。(-3,0)、(-2,0)などで上に上がる瞬間を数えてみて、ようやく発見。そこから先はスムーズ。解答時間15分。
第3問(2)・・・絶対値関数、最小値(C、20分、Lv.2)
絶対値が2重に付き、さらに定数が入ったもので、受験生は絶対値が苦手なので、この問題はかなり正答率が低かったと思われます。
今回のように、1次式だと分かっている場合は、以下の方法が有効です。(原則にするには難しすぎますので参考までに)
これで大まかな概形が理解できます。最初の折れ目で最小になることがわかれば、全部答えは出ると思います。
※KATSUYAの解いた感想
折れ線パターンならグラフは適当にかけるな。最小になるのは最初の折れ目か。じゃあ最小じゃない極小は最後の折れ目。大きさも矛盾なし。解答時間12分。
第4問・・・積分、斜め回転体(B、25分、Lv.2)
y=xを軸とした回転体の面積を求める問題です。こちらは(難しいですが)典型的で、全体内容から考えると、ここは確実に確保したいですね。(普通の大学であればそんなレベルではありません)
傘型積分など、いろいろやり方を知っているかもしれませんが、本問の誘導に従ってきちんと行いましょう。PQ^2の式は割とややこしく、それこそ傘型積分とか、せこい方法だけ覚えているとこういう計算できなくなります。
※KATSUYAの解いた感想
斜め回転か。典型。ここらでやっと休憩できる・・・というようなレベルでもないか(汗) 計算はやはり多く、解答時間14分。
第5問・・・複素数、極限(BC、35分、Lv.2)
こちらは記述式なので、きちんと解答する必要があります。最後は穴埋めなのがまだ救いですが(きちんと書くとなるとかなり時間がかかる)、それでも計算は無駄にややこしいです。
(1)は、新課程で復活する複素数平面であればただの公式です。ですので、これを使ってもらうために、まず証明ですね。
(2)は、x_n^2+y_n^2 という発想にたどり着くでしょうか。これでr^2n になります。これも複素数平面であれば距離の概念があるので、簡単なのでしょうが。。。
(3)は、(1)の意味がわかれば、本学部受験者であれば逃げられません。公比がたとえめっちゃ変な数字でも、逃げられません。
※KATSUYAの解いた感想
題材は複素数平面か。新課程なので、フライイング気味な気がする。公比が15625分の1。もう少しなんとかならんかったかなぁ。解答時間16分。
対策
まずは頻出パターンを、なるべく早い段階で全て経験しておくことが重要。高3の夏までには、ⅢCも最低限一通り終わっておかないと、ⅢCの演習の時間が取れません。
慶応理工志望で、学校でまだⅢCに入っていない高2の方がもしいれば、今すぐ自分で自習をしてください。教科書ガイドとチャート(青)があればすすめられます。
ここを受験するような人たちは、高2の間にⅢCが終わるところも多いです。
本大学のような癖のある試験は、過去問をやるのも効果的。ある程度実力がついたら、50年分ある本が売っていますので、それをすすめてもOK.全然手がつかないようなら、また普通の入試問題集に戻ればいいです。
以上です^^
■他年度、他の大学の入試数学■
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>> 2012年度
■関連するPrinciple Piece■
★ 数学Ⅲ 式と曲線 (第1問)
★ 数学Ⅲ 微分法の応用 (第2問)
★ 数学B ベクトル (第2問)
★ 数学III 積分法の応用 (第3問)
★ 数学III 極限 (第4問)
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