名古屋大学 理系 数学 | 2013年

      2017/02/15

●2013年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は名古屋大学(理系)です。

2013年 大学入試数学の評価を書いていきます。

 

名古屋大学(理系)です。

 

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

 

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

 

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。

同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。

 

名古屋大学 理系数学(試験時間150分、4問)

1.全体総評~昨年と変化なし。数列と数IIIばかり~

昨年と変化はありません。1問1問はどの問題もボリュームがあり、4問で150分という制限時間に似合うセットでした。内容はにはかなり偏りがあり、4題中2題が数学Bの数列、2題が数学Ⅲでした。

試験時間150分に対し、目標解答時間合計は135分。

4問なので、試験時間に対してはまだ間に合うとは思います。しかし、第4問も時慣れていないと時間がかかりますし、第3問の論証などは考え込む可能生もありますので、量としては適切。

私は、48分で終了しています。第2問に思考時間がまったくないため、早めです。

 

2.合格ライン~6割強ぐらいか~

第1問は典型的なパターンの問題と言えますので、こちらはできれば最後まで確保したいですね。

 第2問(1)の不等式の証明も気づきにくいか。(2)は(1)があるとは言え、経験がないと難しい。

第3問は論証。(1)のおかげで、(2)までは出来るはずなので、確保したい。

第4問はサイクロイドもどきです。本学受験者であれば、時間さえかければ解けるはずなので、第2,3問の出来がいまいちなら、最後まで解ききりたい。

全体として、2完強~2完半ぐらいであればOK。65%ぐらいでしょうか。

 

3.各大問の難易度

☆第1問・・・確率、漸化式、ジャンケン(B、25分、Lv.2)

本セットの中で、最も典型的な確率と漸化式の問題です。問題文で、文字で設定すべき確率は全て書かれているので、方針も立てやすかったのではないかと思います。

ジャンケンですが、こちらの考え方はいいですよね^^

Principle Piece A-26

 じゃんけんでは、「誰が」「どの手で」を考える

(Principle Piece 数学A 確率 p.8)

 

誘導がなくても、以下の原則で解けるようになっておきましょう^^

Principle Piece A-40

 n回目とn+1回目を詳しく見る

(Principle Piece 数学A 確率 pp.39-43)

 

Principle Piece A-41

 必要のない部分もq_nなどと置く

(Principle Piece 数学A 確率 p.39-43)


また、漸化式の解き方は、本学受験者であれば問題ないですね^^ p_nは割と特殊な形しています。(Principle Piece 数学B 数列 pp.34のPP B-12 参照)

なお、最後を 1-p_n-q_n とした人、いませんか?これだと、1回で勝負がついてしまう場合も入ってしまいます。

なので、n-1回目の状態を用いて計算します。問題の流れ的にも、1-p_n-q_n であれば(3)は出題される可能性が低いです。

 

※KATSUYAの解いた感想

割と典型的。p_n、q_nは与えられているので、かなりラク。最後は・・・・おっと、1からひいちゃダメか。n-1回目からちゃんとやらないと。解答時間8分。

 

☆第2問・・・微分、不等式、整数の個数(C、35分、Lv.2)

とある関数を題材にした、不等式と、それをうまく使って整数の個数を求める問題。(2)の問題は、ネタがほぼ同じ問題(関数が違うだけ)が東京大学でかなり昔に出題されています。

(1)ですが、形から「平均値の定理」に気づいたでしょうか。f(x+1)-f(x)の場合は、分母に(x+1)-x を加えてもOKです。よって、平均値の定理が使える形となります。

Principle Piece III-32

 f(x)-f(y)/x-y  →  平均値の定理を活用

(Principle Piece 数学III 微分法の応用 p.11-12)

お、平均値の定理で不等式を証明するとき、その不等式がどこから来るかを理解しておく必要があります。

Principle Piece III-31

 平均値の定理は、「間にある」が不等式のみなもと

(Principle Piece 数学III 微分法の応用 p.11-12)

(2)は難しいです。(1)を利用しますが、差が1以上なら、整数部分は飛ぶ可能性がありますが、ダブりはなくすべて異なります。1以下なら、ダブる可能性があっても、整数部分は飛ばないので、f(100)~f(1000)の間の整数は、かならずすべて入ります。

これに「気づけ」というのは、試験場では無理でしょう。経験の差が出た問題ですね。

※KATSUYAの解いた感想

お、これは昔の東大のネタ。(1)は平均値の定理だな。(2)は東大ネタを知っているので、さくっと書いて終了。解答時間9分。

 

第3問・・・論証、整数(CD、40分、Lv.2)

本セット最難問と言えます。しかも、これが文系と共通です(途中まで)。Sk(n)でk乗の和を定め、さらにそれを用いた和をTm(n)で定める問題です。

(1)は、とりあえずn=1を当てはめてみましょう。2項定理が見えましたか?これが見えないと、本問は全滅です。

n=2では、n=1のときからどう増えたかだけを括ってみると、さらに2項定理が見えます。

(2)は、(1)でうまく変形していると、推測 ⇒ 帰納法の流れに持って行けます。ここまでが文系と共通。しかし、これでも十分厳しいですね。

(3)は難問。帰納法をまずは思いつくかどうか。そして、帰納法の中でも、それまでを全部仮定するパターンだと気づくかどうかです。和に関する式があるときは、すべて仮定する帰納法のことが多いです。(Principle Piece 数学B 数列 pp.55~56)

 

 

☆第4問・・・積分、媒介変数、サイクロイドもどき(BC、35分、Lv.2)

サクロイドに似た、媒介変数表示と面積に関する問題です。普通のサイクロイドであれば概形や変数表示を覚えている人もいたでしょうが、その導出は?本問は、導出過程さえきちんと頭に入っていれば、どうってことはありません。

「結果だけ覚えている」人に対する「警告」問題ともとれますね。

媒介変数が出れば、増減や概形は時間をかければ出来るはずです。なお、媒介変数表示で面積を出す場合、x(t)が減少するときは要注意。x軸の負の方向に積分するので、面積符号としてはひっくり返す必要があります。

Principle Piece III-71

 媒介変数表示の面積は「y」「dx」の符号を変えて計算する

(Principle Piece 数学III 積分法の応用 p.12)

※KATSUYAの解いた感想

サイクロイドもどき。創作問題として良問。ちょっと計算量おおいけど^^; 解答時間20分。

 

4.対策~じっくり考える問題演習を~

名大の対策のポイントは、じっくり思考パターンです。典型パターンは確実に得点するための量をこなした演習に加え、みたことのない創作問題に対して、適切に原則を引っ張り出してくるための、じっくり思考練習もしておく必要がありますね。^^

過去の名大の評価も参考にしてください。

>> 2010年度の名大 理系 数学

>> 2011年度の名大 理系 数学 

>> 2012年度の名大 理系 数学

 

以上です^^ 

>> 他の大学も見てみる

 

 

■関連するPrinciple Piece■

★ 数学A 確率 (第1問)

★ 数学B 数列 (第1、3問)

★ 数学III 微分法の応用 (第2問) 

★ 数学III 積分法の応用 (第3問)

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