千葉大学 全学部 | 2019年度大学入試数学
●2019年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は千葉大学です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^
2019年前期の大学入試数学の評価になります。
2019年大学入試(国公立)シリーズ。
千葉大学です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
千葉大学
(全13問、試験時間・解答問題は学部による)
時間、解答問題が学部によりますので、総評および合格ラインについては、なしとします。ご了承ください。各学部および、指定された問題は下記のとおりです。
【数学IA】・・・1、2、3、4 で90分
【数学IAIIB】・・・3、4、5、6で90分または2、3、5、6、7,9で150分
【数学IAIIBIII(上記2つ以外)】・・・7~11で120分
【数学IAIIBIII(理学部数学科)】・・・7,8,10、11,12,13で180分
【数学IAIIBIII(医学部)】・・・7、8、11、12、13で120分
1.各問の難易度
☆第1問(IA型) 【三角比】内接四角形、外接円の半径の比、対角線の長さ(AB,12分、Lv.1)
内接四角形に関する問題で、傍用問題集にもある対角線の長さなどを聞いてきます。
(1)は比を聞かれていますので、何が意図があると気づきたいです。ACが∠Aの2等分線であると気づけば、BP:PD=5:2になります。正弦定理を考えれば、そのまま外接円の半径の比です。
Rの比を聞かれた場合は、sinの比か、辺の比が簡単に分かる可能性があると疑いたいですね。
(2)は4辺から対角線を出すパターンです。2つの三角形で余弦定理を用いて連立しましょう。(Principle Piece I-51 数学I 三角比 p.35)
※KATSUYAの解答時間8分。典型パターンなので特に詰まるところはなし。
☆第2問(IA,IIB型)・・・【2次関数】絶対値付きグラフとx軸の共有点(AB、15分、Lv.2)
定数入り絶対値付き2次関数のグラフとx軸の共有点を調べる問題です。
y=|x^2-2mx|とy=mに分けると、グラフは両方とも書きやすいかと。書きやすくなるように定数分離するのが根本的な原則です。(Principle Piece I-34 数学I 2次関数 p.48) 絶対値が全体に付いている場合は、x軸より下をひっくり返すだけですしね。(Principle Piece I-33 数学I 2次関数 p.46)
(1)は具体的な値を入れて書けばいいでしょう。これが場合分けのヒントになっていることにも気づきたいです。
(2)は両方のグラフの変化を調べます。m<0の場合に0個になることは意外と見落としやすいか。あとは(1)のおかげで大丈夫でしょう。0<m<1の場合は、ひっくり返った放物線の頂点よりも上にy=mが来ますね。
※KATSUYAの解答時間10分。場合分けが思ったより多いのね^^: 千葉大の2次関数は相変わらずうまいなぁ。
☆第3問(IA,IIB型) 【整数】約数の個数が5個、15個となる自然数(B、20分、Lv.2)
3番は3年連続整数ですが、本問は演習量に大きく影響しそうなレベルです。
整数から約数の個数を求めるときには素因数分解をしますが、約数の個数を指定された場合も、その数字を素因数分解してみましょう。(Principle Piece A-51 数学A 整数 p.12-13)
(1)はラクです。個数も素数なので、素数「p^4」の形しかありません。4乗を知っていればほぼ計算不要ですね。
(2)は15=1×15または3×5です。前者なら「p^14」の形、後者なら2つの素数で「p^2×q^4」の形に素因数分解できます。
前者は2のときに余裕で1900を超えます。後者は結構調べないと分かりませんが、本問は差がつきますので、ここまで気づいたら調べたいです。q=2,3,5・・・・と、qを基準にして調べると比較的早く調べ終わります。
※KATSUYAの解答時間10分。約数の個数パターンね。(2)は結構調べさせるのね^^;
第4問(IA,IIB型) 【確率】反復試行、サイコロと箱(A、10分、Lv.1)
サイコロの目に応じてコインをA,B,Cの箱に入れる問題です。ただの反復試行です。反復試行では、1回あたりに確率を整理しておくといいでしょう。(Aに入る確率、Bに入る確率、Cに入る確率) (Principle Piece A-33 数学A 集合と場合の数 p.18-19)
(1)は5回中{1}が2回、{2,3}が2回、{4,5,6}が1回出ればOKです。
(2)は1枚以上=少なくとも1枚なので、余事象がやりやすいでしょう。(Principle Piece A-9 数学A 集合と場合の数 p.24)「Aに1枚もない」または「Bに1枚もない」ですので、かぶった部分を引くことに注意しましょう。
※KATSUYAの解答時間5分。この確率はさすがちょっと簡単すぎるような^^; IA選択のみの問題?(←違いました)
第5問(IIB型) 【ベクトル】垂線ベクトル(B、20分、Lv.1)
三角形の垂線ベクトルを求める問題です。長さがが与えられていませんが、三角形の形は決まっていますので、長さはkなどを使えば3辺とも表せます。また、今回は45°や60°などの角度も与えられていますので、ベクトルをがちがちに使わない方がやりやすいかもです。
ベクトルとして解くなら、(1)では1-s、sの係数設定をしつつ、CE⊥ABから内積ゼロでsを求めます。(2)ではCH→=tCA→+uCB→ などと文字設定し、CH⊥ABと、AH⊥CBで連立です。(Principle Piece B-40 数学B ベクトル p.38)
しかし、本問は△ACEと△BCEが三角定規の形をしていますので、AE:EB=√3:1であることは簡単に分かりますので、(1)は楽勝です。
(2)も、BE=xなどとくと、CE=√3xになりますし、AHの延長とCBの交点KについてBK=ABcos60°などから、CKも出ます。さらにCKからCHの長さにも出来るので、(1)のベクトルを何倍するかも分かります。
※KATSUYAの解答時間10分。垂心ベクトルを出すから内積はいるな。3辺は分からんから、比でおくことになりそう。てか、45°と60°か。三角定規型やから、中学の考え方で長さの比を出すほうが全然いいと判断し、ほぼベクトルで解かず。
☆第6問(IIB型) 【微積分】グラフが3点で交わる条件、面積の和(B,20分、Lv.2)
微積分総合です。3次関数のグラフとその導関数のグラフが3点で交わる条件と、そのときに囲まれる2つの部分の面積の和を求める問題。
(1)は取りあえず連立してみましょう。定数分離は無理そうですが、x=0が確実に解なので、残りの2次方程式が2解をもてばOK。x^2=6a-3/aなので、aと6a-3が同符号であれば右辺は正になり、2解があります。単純に判別式でもOKです。
(2)は面積ですが、a<0かa>0で上下関係が変わるので、面積の式は変わります。ここの場合分けの抜けおちは少し差がつきそうですね。
積分計算自体はそこまでしんどくはないかと。0以外の交点は汚いので、最後まで代入しないのがコツ。
※KATSUYAの解答時間10分。(1)は定数分離のパターン?xでくくれるからもっと簡単だわ。(2)は面積か。aが正か負からで上下関係が真逆になるのか。じゃあ場合分けして計算しないとな。千葉大の微積ってうまく場合分けさせてくる印象があるよなぁ。2次関数と3次関数に良問の印象あり。
☆第7問(IIB,III型) 【数列】漸化式(特殊型)、証明(B,20分、Lv.1)
数列の問題は微積分に比べると比較的簡単な問題が多い気がします。
(1)は証明です。nに関する証明ですので、帰納法が思いつきたいところです。(Principle Piece B-23 数学B 数列 p.50-57)
(2)は(1)を利用します。an^2=a_n+1ーa_nー1なので、真ん中ごっそり消える形に出来ます。(1)の式はn≧2から成り立つことだけ注意すれば、こちらも計算はほとんどいらないでしょう。
※KATSUYAの解答時間6分。(1)は帰納法。(2)は漸化式を変形すれば真ん中消えるけど、a1は別でやらんとアカンところがひっかけかな。微積分に比べると練られている気がしないな。
☆第8問(III型)・・・【三角比+三角関数】角二等分線、内接円の半径など(B,20分、Lv.2)
ふた捻りぐらいある三角形に関する問題で、適度に条件が複雑なため、差がつくのではないでしょうか。
角の二等分線の情報に加えて内接円の半径があるので、面積を2通りに表す方法は思いつくかとは思います。(Principle Piece I-50 数学I 三角比 p.32)
△ABD+△CBD=△ABCとするところで、ABCの方は内接円の半径rの絡む式1/2r(a+b+c)で出すことに気づければ、最初の辺の条件と合わせることで(1)は見えます。普段はSがわかった上でrを出す時に使う公式ですが、rが分かっているならSを出す式として機能します。
(2)は、その面積公式を普段の三角比の公式1/2AB・AC・sinAにあてはめると、AB、ACとBCの関係が出ます。和と積が出ましたので、余弦定理によってBCはAB、ACに関する対称式になりますので、出ますね。(Principle Piece I-17 数学I 数と方程式 p.31)
※KATSUYAの解答時間11分。条件が普段より分かりにくいけど、とりあえず式にする。二等分線やから面積媒介。全体は・・・あ、r=4やからS出せるわ。辺の条件もうまく絡んで、AB+ACで割れるのね。(2)は普通の面積公式にあてはめれば積は出る。和と積あるし、cosAも出てるからからあとは余弦やな。普段といじる式とか順番が違うから、意外と差がつきそう。
第9問(IIB,III型) 【確率】反復試行、サイコロと箱(AB、15分、Lv.1)
4番の難化バージョンですが、今年は4番からそこまで難しくなっている印象がありません。
(1)は4番と同じです。(2)は箱がCも増えましたので、余事象の計算がややこしくなっているだけですが、3つのベン図を書けばわかるでしょう。なお、A,B,C全部に入っていないことはあり得ません。
(3)はただの条件付き確率です。分母が「箱Aに2枚」、分子は「箱Aに2枚かつ箱Bに2枚」です。(Principle Piece A-39 数学A 確率 p.32) 分子は(1)で計算済みですし、全然簡単ですね。
※KATSUYAの解答時間15分。今年の9番はかなりラクやな。昨年はやっぱり難しすぎたかな。今年はラクになりすぎやけど。
☆第10問(III型)・・・【微分法】双曲線と接する円の決定(B,25分、Lv.2)
原点を通り、かつ双曲線xy=1に接する円を求める問題で、微分は一応絡みますが、計算の方がメンドウです。
円が絡む場合は、法線が円の中心を通りますので、法線を持ち出すのがいいでしょう。もちろん、接点を置くことはお決まりのパターンです。(ULTIMATE Principle Piece)
双曲線上の接点Pをおき、法線を出します。それとx+y=0の交点Cが中心になります。あとは原点を通るので、CP=OPで「t」は出せます。tは2重根号になりますが、外せますよね。(Principle Piece I-9 数学I 数と方程式 p.19)
流れを言ってしまうと短く済みますが、解法によってはかなりの計算量を強いられますので、本問もまあまあ差がつくと思われます。
※KATSUYAの解答時間15分。円が絡むから法線出すかな。交点を接点の文字で出せば中心は文字で置く必要なしか。
☆第11問(III型) 【積分法】定積分と漸化式、tan^7θの積分(B,15分、Lv.2)
定積分の漸化式を利用してやや次数の高い三角関数の次数を求める問題です。tanθのn乗の積分なので、頻出といえば頻出。
(1)は積分区間が同じなのでまとめて、tan^nθで括れば見えますね。
(2)は(1)を利用するだけです。tanθの積分だけは自分出計算しましょう。(1)が出来るかどうかと、その漸化式から正確に辿って計算できるかどうかです。
※KATSUYAの解答時間5分。(1)はさくっと。(2)はこれを辿るだけね。7乗やから1乗まで辿って、1乗は自分で出すと。普段より圧倒的にラクな気がするけど^^;
☆第12問(III型) 【確率】点Pのx座標の条件と確率(D,45分、Lv.3)
本セットダントツで最難問の確率の問題。医学部と理学部数学科用の問題です。さすがと言った感じです。
「どこかで移動したら、それ以降の移動距離の総和はそれを超えない」ことに気づき、かつそれを証明しないと、本問は最初からお手上げ状態になるかと思われます。
(1)はそれを利用します。初めて移動する方向が正でさえあればいいということです。k回目に初めて正に移動するとして、Σを取るもよしです。
上記の事実から、0にいる場合は「n回とも全く移動しない」場合だけで、正か負かは対称なはずなので、それを利用する方法もあります。
(2)あたりから難しいですが、上記の事実から、1回目に正に移動しなければ、2回目以降にどんな目が出ても条件には合いません。従って、「1回目に正に移動」かつ「残りのn-1回で正の移動」なので、後半には(1)の式が使えます。
(3)は難問です。(1/2)のl乗にいるとしたら、初めて到達するのはL回目のはずです。それを説明しつつ、L回目に到達する確率Aを出します。(K塾さんのように漸化式で出すのが最も明快ですが、気づけるか)残りのn-l回で正であればOKです。
また、l回目ですでに(1/2)のl乗を超えていれば、一番最初の事実から、それ以降は何が出ても問題ありません。この確率は、l回目までで正の確率((1)利用)から、確率Aを引くと得られます。これ気づくのも難しい。
一番最初の事実に気づかないと全滅に近く、その事実に気づいても(2)止まりでかと思われます。
※KATSUYAの解答時間27分。最初の事実にはすぐに気付き、明らかに必要そうなので最初に説明。それ以降の移動距離はMAXでも(等比の和の利用)それを超えないと。(1)(2)はそれでさくっとクリア可能。(3)は、、、どうやって考えよう^^; l回目でちょうどそこにいる場合は、残りで正だから(1)が使える。それより手前にいたら1/2のl乗以上手前だから、その後の移動距離で超えることはないと。l回目ですでに超えていれば、逆に何が出ても問題なし。問題は、l回目でちょうどそこにいる場合をどうやって出すか。私は漸化式を使わずに出方を考えました。(あっていればひかれることはないでしょう)これが出れば、l回目に超える確率も(1)を使えるし^^ てか、思ったより(1)を使うのね。
☆第13問(III型) 【図形と式】領域内の格子点の個数(C,30分、Lv.3)
領域内の格子点の個数に関する問題です。題材は単純ですが、(2)の証明は説明しづら勝ったと思われます。こちらも医学部、理学部数学科専用問題。このタイプの2問はいつもムズイ。
(1)は整数nを突っ込めばOKです。交点がx=n,n+3と出ますので、n~n+3で条件を満たす整数yの値を数えるだけです。
(2)はなんとなく当たり前な気がしますが、意外と難しいと思われます。xが整数のとき、放物線側の境界は格子点になること、およびそのときの直線と放物線のy座標の差が、D(a)のときとD(a+1)のときで等しいところが1対1で存在することを言えれば、格子点の数は等しくなります。
※KATSUYAの解答時間17分。(1)はさくっと。(2)は結構考えるが、放物線側は境界が格子点で、1ずれたところは領域に縦線を引いたときの距離が等しいはずやから、格子点の数も等しいはず。あとはこれをどうやって説明するか。難か拙くなったけど、これでいいかなと思って終了。解答を確認。K塾さんの書き方は明快ですね。S台さんの説明も最初考えたが、個人的には「それを証明してほしいのでは?」と思っています^^; 医学部や数学科専用ですし、採点基準は厳しそう。
2.対策~癖のある表現、全調査タイプ、定数入りの計算に対する耐性を~
千葉大の問題は標準的な問題が多いですが、後半になると癖が強く、対策してきても数学的センスがないと、効果が出せないようなタイプの問題が出ます。また、全調査をすることを厭わない忍耐や、定数が入ってもいつもどおりの解法が遂行出来ることが必須となります。
青チャートなどで手法を身につけたら早めに入試演習に入りましょう。表現をひねってくる問題も多いので、国立系の入試問題集(Canpassなど)がいいです。その際、複数の解き方を試みて、いろんな視点から問題を眺められるようにしておくといいです。(式で見るのか、図形で見るのかなど)過去問はなるべく多く確保しておきましょう。
量をこなす演習:じっくり演習=8:2でOK。 医学部や理学部志望の方は、夏あたりから7:3、6:4に切り替えていきましょう。
以上です^^
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★ 数学I 三角比 (第1問)
★ 数学A 確率 (第4問、第9問、第12問)
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★ 数学II 図形と式 (第13問)
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★ 数学B ベクトル (第5問)
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★ 数学III 微分法の応用 (第10問)
★ 数学III 積分法 (第11問)