千葉大学 全学部 | 2016年代学入試数学
2017/03/09
●2016年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は千葉大学です。前期最後になります。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^ 2016年前期の大学入試数学の、最後の評価になります。
2016年大学入試(国公立)シリーズ。
千葉大学です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
千葉大学
(全12問、試験時間・解答問題は学部による)
時間、解答問題が学部によりますので、総評および合格ラインについては、なしとします。ご了承ください。各学部および、指定された問題は下記のとおりです。
【数学IA】・・・1、2、3、4 で90分
【数学IAIIB】・・・1、3、5、6で90分または2、3、4、5、6、7で150分
【数学IAIIBIII(医学部)】・・・5、7、9、11、12で120分
【数学IAIIBIII(理学部数学科)】・・・5、7、9、10、11、12で180分
【数学IAIIBIII(上記2つ以外)】・・・5、7、8、9、10で120分
1.各問の難易度
第1問・・・【確率+2次関数】解の存在範囲、サイコロ2個(AB,15分、Lv1)
最初の問題は基本的な数学IAの問題です。サイコロ2個なので、多少ルールが複雑でも、書き出してしまえばいいでしょう。
(1)は、解の存在範囲の問題です。こちらの原則ですね。D>0の元で、軸>0、x=0で正であればOK。
(拙著シリーズ(白) 数学I 2次関数 p.44)
数学IIの知識を使えば、解と係数の関係でもOKです。
(2)、(3)はまとめて、36通り書き出してしまってもいいと思います。
(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 pp.17-20)
※KATSUYAの解いた感想
(1)は解と係数の関係で和、積ともに正として処理。(2)、(3)はサイコロ2個なので、全調査のほうが見落としもないし、確実^^解答時間5分。
第2問・・・【整数】格子点の数(B、30分、Lv.2)
格子点の数に関する問題で、ひたすら数えていくだけとなります。
不定方程式の解として捉えますが、数値も中途半端に小さいので、全調査する方がいいでしょう。
(1)は、x>0、y>0、x/5+y/11<1 となる(x、y)の個数です。一般的に行わずとも、x=1、2、3、4 で調べればOKでしょう。
(2)も、m=1、2、3、4、5で調べるしかありません。m=1、2のときは、n=11だとしても半分の10個ありませんので、それに気づけば少しサボれますが、残りは地道に調べるしかありません。mを固定すれば、個数はnについて広義単調増加(等しいことはあっても、減ることはない)なので、ピンポイントで調べて、その前後も調べて個数が10個にならなければ、それだけでOKです。
千葉大はこのように、地道に全調査する問題がちょいちょい出題されます。特に格子点絡みは要注意ですね。
※KATSUYAの解いた感想
うわー千葉大お得意の全調査問題。格子点数えさせるの好きやなー。(1)は地道に数えて終了。(2)は、、、地道にするにしても55通りはきついぞ。m=1、2はn=11でもありえないとして却下。33通りまでは減ったけど、、、。悩んでてもしょうがないのでm=3へ。n=11、10を調べて終了。m=4のときは、n=6ぐらいから入れてみる。結局n=7,8だけでいいと分かり、答案にはこれだけ書く。m=5のときは、n=5だと、、辺上がないからダメから。じゃあn=6は?OKやな^^あとはn=7で超えることを確認して終了。2番にしては難しくないか?解答時間15分。
第3問・・・【平面図形or図形と式】反射、折れ線の長さの最大値(B、20分、Lv.2)
ルールは遠まわしですが、反射の問題です。数学IAのみの人も対象なので、平面図形の問題として解かせたいのでしょうが、直線の式を立式したほうが早そうです。
平面図形の問題としていくなら、算数的に相似な三角形をどんどん作り、座標を特定していきましょう。図形と式として行く場合は、直線の式とx=1、y=1などとの交点として捉えればOK。
(3)折れ線の長さについては、折り返して伸ばしましょう。
(拙著シリーズ 数学II 図形と式 p.21)
平面図形で行く場合は、折り返して伸ばしたときのx方向の長さとy方向の長さを求めて3平方で、図形と式で行く場合は、x方向の長さと傾き(の絶対値)を利用して出せます。sの範囲に注意。
※KATSUYAの解いた感想
問題文を読み、ただの折り返しと判断。なんでこんな文章に。図形と式で解くことにし、(1)はL2の式が(1、0)と通るとする、(2)はL3とy=0の交点として終了。(3)は、伸ばしてx方向の長さを出し、傾きを利用して長さを出す。意外にもきれいになり、最大・最小は瞬殺で終了。途中で伸ばしたときのx方向の長さを間違え、結果が変な4次関数になっていたので、ロスあり。解答時間17分。
第4問・・・【2次関数+図形と式】2動点の距離の最大値(BC、25分、Lv.2)
x軸対称な放物線上を動く2点の距離に関する問題です。明らかに距離公式を使っているので、数学IAではないような気がしますが^^;
(1)は、2つの曲線を合わせた図形が原点対称であることを断ってから、OP×2とすればOKです。原点対称に関する記述がないと、答案もシンプルになりすぎて、あまりにも感覚的すぎると思います^^;
(2)はおそらく4なのでしょうが、意外と説明が難しいかもしれません。PQがOを通らないときはOP+OQより短く、そのOP+OQは(1)の結果から、4で最大です。従って、PQ=OP+OQのときで、かつそれが最大のときの4だと言えばいいのでしょう。
※KATSUYAの解いた感想
(1)は原点対称を断って距離公式に当てはめるだけか。(2)は、2動転なら2文字おいて1文字固定かな。計算式がかなり複雑なので、一度断念する。(1)に意味はないとは思いにくいから、PQがOと通るときか通らないときを比べることにする。通らないときはOP+OQ未満になるけど、OP+OQは4になれるから、4が最大ってことか。これ、意外と難しいのでは?解答時間17分。
☆第5問・・・【ベクトル】点の存在範囲(C、35分、Lv.3)
点の存在範囲の問題ですが、医学部や理学部数学科にも課されている問題で、本セットではかなり難しいです。
4点で置かれていますが、係数の和が1ということなので、基点を変更すれば3点に減らせるはずです。このように認知していると解きやすいですが、難しいテクニックですね。
OP=(1-s)OA+sOB のとき、基点をAにすれば AP=sAB となり、Oが不要となります。この感覚です。
これを用いれば、先にE(k)を一般的に式で表しておいて、(1)、(2)、(3)の途中まではまとめて解くことができます。存在範囲を出すときには、係数の和が1になるように無理矢理調整するんでしたね。
(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.40-41)
(3)では、k=1/3のときとk=1/2のときを比べて、ちょっとでもかぶっているところが存在すれば、そこに点Pが存在するということです。あとは、長さの比の条件のみですね。
※KATSUYAの解いた感想
4点型か。係数の和が1やから3点に減らして、、、周び内部になるってことやな。でもこれはなかなかやらないパターンやから、結構難しいのでは?さきにE(k)を出せるように変形して、(3)の途中まで一気に解く。点を説明するのが面倒。k=1/3とk=1/2のときを比べて、空集合じゃなければいいってことやな。あとはACを基準に長さの比を出す。解答時間21分。
☆第6問・・・【微分法】図形の面積の最小値、定数入り3次関数(BC,30分、Lv2)
定数入り3次関数の最小値の問題で、場合分けを必要とします。面積を出すのはそんなにややこしくはないと思いますが、極値をとる「t」の値がきれいにならない上に、それが0≦t≦1の範囲に入っていないこともあるので、場合分けを迫られます。難易度は割と高め。
最大・最小は極値か端っこです。S'(t)=0の解が定義域に入っていれば極値、入っていければt=0、1のどちらかです。これを踏まえて場合分けの基準を決めましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学II 微分(1冊目) p.32-36)
※KATSUYAの解いた感想
とりあえず面積を出そう。たぶん3次関数やな。微分して=0にすると、、、きれいに因数分解できなくて、少しいやな予感。片方が負やから、もう片方が問題か。存在範囲的に、t=1のときにS'(t)が負かどうかで分ければいいかな。3次関数で定数入ると、やっぱ難易度あがるな。解答時間16分。
☆第7問・・・【確率+数列】確率と漸化式(BC,35分、Lv2)
n絡みの、点の移動に関する確率の問題です。
(1)のっけから全パターンの場合分けを強いられる計算です。{1}、{2、3}、{4、5、6}のグループをX,Y,Zなどで置いておき、27通り全部書いたほうが早いと思います。なお、確率はみな違うので注意。
(2)以降はn絡みの確率なので、遷移図を書いて漸化式を立てるといいでしょう。
(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)
(3)を見越して、x=1のときも別の文字でおいておいたほうがいいでしょう。
(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)
x≧2以上も別の文字でおきますが、確率は足すと1になることを利用すると、x=0に関する漸化式はすぐに解けます^^
(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)
(2)でpnが出ると、(3)でqnが出せます。5型漸化式もどきなので、6のn+1乗をかけましょう。すると、階差型の漸化式が使えることがわかります。形が、「全く同じではないけど似ている」ときは、そのやり方でやってみましょう。一発ではいけなくても、ゴールに近づくはずです。
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.39-43 ※詳細な数式は割愛)
※KATSUYAの解いた感想
再び確率。てか1番と7番は同時に解かないから、いいのか^^; こっちの確率は漸化式絡みか。(2)は遷移図をかいて漸化式を作る。一応全部作ってみるが、pnは単独で解ける。(3)はpnが出れば解けるけど、割と係数とか複雑なので、慎重に計算。解答時間22分。
☆第8問・・・【微分法の応用+積分法】不等式の証明、定積分関数(B,30分、Lv2)
ここからは数学IIIです。おもに不等式の証明ですが。(3)に定積分関数がちょろっと顔を出しています。
(1)は引いて微分です。これはさすがに・・・って感じですね。
(拙著シリーズ(白) 数学III 微分法の応用 p.44-47)
しかし、(2)はまた別の特徴のある式で、こちらの形が見抜けたかどうか。同じことを何回もさせているわけではないのは、さすが千葉大、って感じですね。
(拙著シリーズ(白) 数学III 微分法の応用 p.11-12)
1<a<bという条件や、1/log(a)-1/log(b)という形から見抜けそうですが、どうでしょうか。
なお、平均値の定理を用いて不等式を証明する場合は、「aとbの間にある」ということが不等式のもととなります。
(拙著シリーズ(白) 数学III 微分法の応用 p.11-12)
(3)も、引いて微分するだけです。定積分関数は計算せずとも、微分した式ならすぐに分かります。ここで(2)を使って評価すると(1)の式も現れ、さらに(1)も使うことで単調増加が言えます。うまく設定されているようですね。
※KATSUYAの解いた感想
不等式の連チャン。(1)は瞬殺。(2)は(1)とは関係なしに、平均値の定理やな。(3)も全然式違うけど、独立か?とりあえず特徴的な形はないので、引いて微分そのまま通分してlog(x+1)がネックとなり、増減が全く分からず断念。これどうにかできないかな。微分した式をよく見て、(2)の形を発見。評価すると(1)が現れる。そういうことか。(2)、(1)をうまく使えたので正答と確信して終了。解答時間21分。
☆第9問・・・【複素数平面】1の7乗根(B,25分、Lv2)
7乗根関連の、複素数平面の応用問題ですが、拙著にほぼ同じ問題があります。
(拙著シリーズ(白) 数学III 複素数平面 p.32の例題24参照)
(1)は、z^7=1を因数分解すればOK。
(2)は、こちらの原則を[2]を用いて、α、αバーがzの何乗の和なのかを出せばOKです。解と係数の関係を利用し、方程式を作って解きましょう。虚部が正か負かは、きちんと議論します。
(拙著シリーズ(白) 数学III 複素数平面 p.27)
(3)も上記原則の[3]を用いれば一瞬で解けます。拙著で勉強した人にとっては、本問は点取り問題ですね^^
※KATSUYAの解いた感想
お、これはサービス問題。適度に差もつくけど、原則しっていれば余裕。問題作成経験があるため、作業レベルでつらつら答案書いて終了。解答時間9分。
第10問・・・【図形と式+積分法の応用+極限】軌跡、回転体の体積、極限(B,25分、Lv2)
条件を満たす軌跡の方程式を求め、そのグラフで囲まれる部分の体積を出す問題。体積の計算よりも、軌跡を出すほうがメインです。
(1)軌跡を求めるので、P(X、Y)とおいてQの座標をそれで表し、Qが円周上にあることを式にすれば、そのままX,Yの式になります。逆手流というやつですね^^
(2)はただの積分です。tanにおきかえるパターンですが、これは見抜けますね^^ a→∞のとき、置き換えたときの角度はπ/2となります。
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.32-33)
※KATSUYAの解いた感想
軌跡が出ないと体積でないから、軌跡がメインかな。(1)は(s、t)でおいて、逆手流で終了。(2)も、関数は分数関数で積分はtanに置換するだけ。計算は慎重に行って終了。解答時間13分。
☆第11問・・・【微分法の応用】接線、y座標の最大値(B,25分、Lv2)
接線の先にある点のy座標の最大値を求める問題。(1)は、長さが「r」であることと、接線の傾きを利用して、x方向とy方向の進み具合を判定しましょう。
(2)は、そのy座標の最大値です「r」が入っているので、計算は少々複雑ですが、ただの計算なので、ここは慎重に行きましょう。x=π/4で0になる必要がありますが、必要条件に過ぎません。 分子が単調減少であり、x=0で正、x=π/2で負になることを確認しましょう。
こまかい議論まで含めると、答案量が膨らむ問題ですが、医学部、理学部用なので、これぐらいは普通だと思っておいたほうがいいでしょう。
※KATSUYAの解いた感想
最後になるとだんだんめんどくさくなるんよなー^^; (1)のQの座標はさくっと終了。(2)は、y座標を微分か。やっぱまあまあメンドウな計算になりそう。分子はかなり複雑やけど、cosは単調減少やし、sinは単調増加やから、分子自体が単調減少。じゃあπ/4で0になればいいかな。ん?x=0とx=π/2で正と負になることの確認は必要か。やっぱ結構かかるな。解答時間18分。
第12問・・・【整数】ペル方程式の解の性質(C,35分、Lv3)
ペル方程式関連の問題です。ペル方程式は、解の連鎖(ある解から、次の解をどんどん作れる)などの問題が主流ですが、本問はちょっと違うようで、最後の問題にふさわしい難問です。千葉大は最後に整数問題の難問を持ってくるのが好きみたいです。
(1)は、x、yをm、nの式で表すと、比がpn:m-1(あるいは、m+1:n)と分かります。これの最大公約数をdとして、与式左辺がが実際に右辺になることを言えばOKです。
※比が一定であれば条件を満たすので、互いに素である組も存在する、といってもいいような気もします。
(2)は、(1)の比が利用できます。xがpで割り切れないなら、m-1がpの倍数にならないと、比がpで割れませんので、m-1はpの倍数です。逆に、m-1がpの倍数のとき、xもpの倍数であるとすると、m+1もpの倍数になります。pは2でない素数なので、これも矛盾ですね。
ペル方程式として用いているのは、pn:m-1=m+1:n となるという部分ですが、この比をうまく乗り換えていくことで、矛盾を導いています。発想寄りの問題で、結構難しいですね。
※KATSUYAの解いた感想
整数問題か。見た目はちょっとごつそうやけど、(1)はとりあえずx、yの連立やろ。連立というか、ペル方程式を用いたら、実質式は1つだけになる。比が一定ってことか。じゃあ互いに素な組はあるやろ。(2)は、その比を利用するも、pn:m-1しか出しておらず、前半しか出来ない。後半は何を言えばいいんだ?(10分ほどウロウロするが、成果なし)てかさっき、なんで(1)は式1つになったんやっけ?m+1:nとも表せるはずやけど、ペル方程式からpn:m-1だけにしたのか。m+1:nを使えばどうなる?xもpの倍数やとしたら2がpの倍数になるからアウトか!見えた見えた^^解答時間25分。
2.対策
千葉大の問題は標準的な問題が多いですが、後半になると癖が強く、対策してきても数学的センスがないと、効果が出せないようなタイプの問題が出ます。また、定数が入ってもいつもどおりの解法が遂行出来ることが必須となります。
青チャートなどで手法を身につけたら早めに入試演習に入りましょう。表現をひねってくる問題も多いので、国立系の入試問題集(Canpassなど)がいいです。その際、複数の解き方を試みて、いろんな視点から問題を眺められるようにしておくといいです。(式で見るのか、図形で見るのかなど)過去問はなるべく多く確保しておきましょう。
量をこなす演習:じっくり演習=8:2でOK。 医学部や理学部志望の方は、夏あたりから7:3、6:4に切り替えていきましょう。
以上です^^
■他年度の、本大学の入試数学■
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>> 2012年度
>> 2013年度
>> 2014年度
>> 2015年度
■関連する拙著シリーズ■
★ 数学A 確率 (第1問、第7問)
★ 数学A 整数 (第2問、第12問)
★ 数学A 平面図形 (第3問)
★ 数学II 図形と式 (第3、4問)
★ 数学II 三角関数 (第1問)
★ 数学II 微分 (第6問)
★ 数学B ベクトル (第5問)
★ 数学B 数列 (第7問)
★ 数学III 極限 (第10問)
★ 数学III 微分法の応用 (第8問、第11問)
★ 数学III 積分法 (第8問)
★ 数学III 積分法の応用 (第10問)
★ 数学III 複素数平面 (第9問)
★ 数学III 式と曲線 (第10問)
(軌跡なので、ここに入れました)