千葉大学 全学部 | 2020年度大学入試数学

   

●2020年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は千葉大学です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^ 

2020年前期の大学入試数学の評価になります。

2020年大学入試(国公立)シリーズ。
千葉大学です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。



また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





千葉大学
(全11問、試験時間・解答問題は学部による)



時間、解答問題が学部によりますので、総評および合格ラインについては、なしとします。ご了承ください。

1.各問の難易度

☆第1問 【確率】4ケタの整数の大小と確率(B,20分、Lv.2)

違った4枚を並べたときに、その大小等について確率を求めます。最初とはいえ、書き出しに近い作業が必要なので、試験としては適切です。

(1)はいいでしょう。4の倍数であるなら、下2桁が4の倍数であればOK。

(2)は結局書き出しに近いと思います。Xについては12通り、Yについては6通りありますので、全部で12・6=72通りです。しかし、X=1●●●(3通り)のときはYはなんでも当てはまりますし、X=4●●●(通り)のときは不適です。従って、残りはXの6通り、Yの6通りで36通りです。サイコロ2個と同じなので、36通りぐらいなら書き出しですね^^

 

※KATSUYAの解答時間6分。(1)は下2ケタで解決。(2)は、、、、高々72個、書き出しも視野に入る。千の位1と4は書き出し不要か。残りは36通り。なら迷わず書き出し。全部数えて終了。

☆第2問 【微分法(II)】3次関数と2点を共有する直線(B、20分、Lv.2)

3次関数上の点と、もう一点を共有する直線に付いて、その方程式と残りの点の座標を求める問題。定文字kが入っているのでちょっとメンドウですが、やることは典型的です。

問題文を一気に要約すると、点Pが接線になる場合と、点P以外での接線が点Pを通る場合を出せということです。いずれの場合も、y=x^3-kx と直線y=px+q が1点で接し、1点で交わる場合です。接点以外の交点は、解と係数の関係でさぼれることは基本テクです^^

具体的に、yを消去した式x^3-(k+p)x-q=0の重解を「t」とおき、残りの解をsとすると、解はt、t、sとみなせます。解と係数の関係で2t+s=0ですから、s=-2tです。重解t=aの場合はsを消去してp、qを、点Pが残りの場合はs=aなので、tを消去してp、qを出せば接線も出ますね^^

※KATSUYAの解答時間11分。ただの3次関数の接点と交点の関係聞いてるだけ。解と係数の関係でサボることを知らないと因数定理とか必要なので、これも差がつくんやろなと思いながら終了。

第3問 【図形と式など】座標平面上における図形(C、40分、Lv.2)

台形を規則的に並べたときの、特定の頂点の座標を求めます。8番の類題と思われますが、こっちの方が図形も台形ですし、複素数平面も使わないことが前提なので、結構難しいと思います。

昨年までIAが範囲だった学部でのみ3番は課されていますが、他の学部で出しても十分試験になります。対象者の中では完答率は相当低いと思います。

 

まず、台形がどのように並んで書かれるのかの規則を見つけるのが意外と難しいと思います。n=1を入れて、落ち着いて図形を書いてみましょう。相似比は、共有辺P1Q1は、大きい台形ではP0Q0に相当しますので、これで相似比は出せます。

台形が45°ずつ方向を変えながら回りながら小さくなっていく様子が分かれば(1)、(2)ぐらいまではなんとかなるでしょう。

(3)を求めるだめには、P8mの計算式が必要です。ベクトルがいいでしょう。P(n)P(n+1)はP(n-1)p(n)ベクトルを45°回転させ、さらに1/√2倍したものであることを説明し、一般的に三角関数などでベクトルを表示します。

また、P(8k)P(8(k+1))ベクトルは、P(8k)P(8K+1)ベクトル+・・・+P(8k+7)P(8(k+1))ベクトル と、8つのベクトルの和なので、これを計算します。8個とも書き出すしかないでしょう。y成分が0になることが分かると思いますので、P8mのy座標は0です。x座標は、得られた結果を0~m-1までシグマ計算しましょう。等比数列になりますね。

図形の問題にベクトルと数列を織り込んできており、かなり手ごわい融合問題ですね。

 

 

※KATSUYAの解答時間23分。図形を把握するのに結構かかるんですけど^^;なんとか台形が回る様子がつかめた。(1)は書いて終了。(2)の前に説明をして(2)から式で。複素数平面つかえないんよな。とりあえずベクトル的にやるしかないのね。記号がP('8k)P(8k+1)ベクトルとか、結構書いててMP(やる気)を消費する。複素数平面使いたいわぁ・・・・

☆第4問 【図形と式+微積分(II,III)】回転体の体積の最大値(B、25分、Lv.2)

円の一部をx軸のまわrに回転出せた時の体積の最大値を求める問題です。x軸回転体は数IIIの体積で習うはずですが、4番にあることからも、千葉大的には数IIのつもりでの出題と思われます。

まずは領域を書きます。原点で内接するような2円の間の部分になります。因数分解型の領域で表されているときは、境界をまずはさっさと書いて、1つおきに塗り絵すると得られます^^

x軸回転体なので、2つの円の式をy=±√・・・ の形に直します。断面積(被積分関数)はπy^2なので、ルートもなくなって、数IIの積分になりますね。大きい円はt~t+1まで、小さい円はt~2まで積分すればOK。

あとはコツコツ計算していくだけです。tの3次関数になりますので、微分して増減調べて終了です。

※KATSUYAの解答時間12分。回転体?4番で数III?まあいいや、とりあえず領域を書く。ああ、この回転体なら積分自体は数IIやから、4番にいれてんのかな。 まいっか。計算は意外とミスりやすそうな予感がしたので、あまり飛ばさず慎重に。微分してルート2で最大か。図形的にもあってそうなので終了。

第5問 【空間ベクトル】なす角、長さの比(B、20分、Lv.2)

いくつかの条件を満たす四面体について、そのときのなす角や長さの式の値を求める問題。医学部以外のIII型は5番が課されていますが、5番はIII型の中であれば楽です。これは落としたくない。

まず、空間ベクトルでは、基本のベクトルを3つ設定します。AB、AC、ADベクトルなどがいいでしょう。

今回は角度も絡んでいるので、基本ベクトル「3つの長さ」+「内積3つ」の計6種について、条件式を使って出来る限り整理していきます。文字6つで条件式は実質3つですので、3文字まで減るハズです。

式を整理すると、内積3種はすべてAD^2になることが分かります。これで(1)も(2)も出来ます。(2)は、AB,DD,DGを全てA始点に直し、基本ベクトルで表しましょう。分子・分母の両方に√|AB|^2+|AC|^2-|AD|^2 が表れることが見えるはずです。

※KATSUYAの解答時間9分。とりあえず基本ベクトル決めて6種。てか、これをいじくる以外にやることないはずなので、コツコツ計算。(1)cosの式でやろうとしたが、分子0を見て内積だけ取って終了。(2)も上記のとおりA始点にして長さをコツコツ計算するだけ。これは簡単かな。

☆第6問 【確率】和が初めて3の倍数になる確率、条件付き確率(BC,30分、Lv.2)

n絡みの確率で、簡単な漸化式が絡みますが、その漸化式を作る方が難しいかもです。後半は条件付き確率で、まあまあメンドウ。

(1)のp2は書き出せばいいかと思いますが、p3はうまく書き出さないとメンドウなので、ここで一般化してしまってもいいと思います。

ただし、今回はpnがn回目に「初めて」3の倍数になる確率なので、pnに関する漸化式を作ろうとすると詰まると思います。今回は、S1,S2,・・・Snが全部3の倍数でない確率Anと、さらに1つ増やしてS1,S2,・・・Sn、S(n+1)が全部3の倍数でない確率A(n+1)との関係を調べます。n回目とn+1回目を見るのは、確率と漸化式の基本です。

Snが3の倍数でないとき、3で割った余りは1か2です。余り1のときは1,3,4なら次も3の倍数でなく、余りが2のときは2,3,5なら次も3の倍数ではありません。いずれにしても3/5の確率で次の3の倍数でないので、A(n+1)=3/5Anとなります。

等比型なので、一般項はすぐに出せます。

これで(1)のp3も、(2)のpnも出せます。1個前まではずっと3の倍数ではないのでA(n-1)の確率。次に3の倍数になるのは(ならない確率が3/5だから)2/5で、pn=2/5×A(n-1)となりますね。

(3)は条件付き確率ですが、かなり巧妙に設定されていると思います。条件付き確率は、分母が「とき」の手前の確率、分子が「とき」の前後の確率として求めるのが原則です。

本問もこれに従ってもいいのですが、分母の確率が結構メンドウな設定です。しかし、S1~S3が3の倍数でない状態(かつa3=5)なら、そのあとS4~Sn-1が3の倍数にならないためには、3/5をかけ続け、最後に2/5をかければOKです。a3=5かどうかすら関係ないわけですが、これが入っていることで難易度は上がっています。

非復元抽出のときのように、その後の確率だけを求めればそれが条件付き確率になりますね^^


※KATSUYAの解答時間17分。漸化式作るっぽいな。いや、でも初めて3の倍数になる、やからずっと3の倍数にならない方を漸化式にするか。これに気づけば解くのはラク^^(3)は最初分母を出そうとした。なんか無駄にメンドウ。出しかけて、分子の確率を考えながら、、、「いやまて、これ非復元抽出みたいにするだけでいいのでは?」と確信する分母いらんやん。だいぶロスしたわ。a3=5の条件はなかなか意地悪。

☆第7問 【微分法】共通接線の本数(B,25分、Lv.2)

y軸、x軸が軸の2つの放物線に接する直線が3本ある条件を求める問題です。x軸が軸の放物線の表記は数IIIっぽいですが、実質は数IIの微分法です。

2つとも放物線なので、片方で接点を作り、もう片方とは判別式D=0で求めるのがいいと思います。

y=x^2で作った接線y=2tx-t^2 を、もう一方の方程式に入れます。ただし、もう片方はyの定義域が全実数なので、yについての2次方程式にしておきましょう。

これの重解条件を求めると、tについての3次方程式が出来ます。これが3つの解をもつ条件です。a=・・・にして定数分離の原則を使うと、数IIIの微分法で解くことが出来ます。あるいは、本問は簡単に極値が出せるので、極値の積<0で攻めるのも有効ですね。

 

※KATSUYAの解答時間10分。共通接線の本数か。解の個数帰着かな。計算すると3次関数になる。1次の係数ないし、極値出るから極値の積で解いて終了。

第8問 【複素数平面】回転点列(C,30分、Lv.2)

1:2:√3の直角三角形を規則的に描いていき、その頂点の表す複素数を求める問題。3番の類題かと思われますが、こっちの方がラクですし、複素数平面も使えます。

まずは(1)あたりで落ち着いて直角三角形がどんな風に描かれていくのかを調べながら、座標を求めます。

(2)からは一般化した方がいいでしょう。AnAn+1ベクトルを「30°回転し、1/√3倍する(★)」とA(n+1)A(n+2)ベクトルとなりますので、★を表す複素数を用いれば、z(n+2)-z(n+1)=α(z(n+1)ーz(n))という関係式が得られます。

3項間漸化式とみなせば、解が1とαということなので、もうひとつz(n+2)-αz(n+1)=z(n+1)ーαz(n)) (解の場所を入れ替える) を作って、いつも通りの3項間のやり方(特性方程式の解から等比型を2つ作る)で一般項を出します。

一般項znさえ出ていれば、(2)(3)一気に解決しますね^^

※KATSUYAの解答時間15分。3番やった後なので、これが簡単に思えるが、数値的には結構汚い。(1)はベクトル的に辿って計算。(2)以降は一般項を出して攻めることにする。上記のとおり3項間漸化式の一般項を出すやり方で終了。実部と虚部に分けるん?じゃあ展開しろってっことね。分数がまあまあメンドウ。

 

☆第9問 【場合の数+数列+極限】2項係数とシグマ、極限(C、40分、Lv.3)

二項係数のシグマの問題で、最後に極限です。経験のある人は解き方も含めて止まることはないでしょうが、知らない人はcn,dnあたりではかなり苦戦するのではないでしょうか。

(1)は(1+1)^nの展開式です。

(2)ですが、シグマの中に整式「k」があると計算できませんので、二項係数の性質k・nCk=n・n-1Ck-1 を利用することになります。知らないとキツイかもです。この変形で、nはシグマの前に出せます。k=0のときだけはこの変形は使えないですが、どうせ項は0ですので、実質k=1~nです。

(3)は結構前に早稲田の人科で出題されたような記憶がありますが、こちらも実は(2)と一緒です。(2)で使った式で、n,kを1つ上げれば、(k+1)・n+1Ck+1=(n+1)・nCkとなります。これを利用すれば、シグマの中の式からk+1を消せます。

コツとしては、二項係数にある「k」以外の「k」を、上記の公式を用いて消すことが原則です。

(4)は、k^2=k(k-1)+kとおきます。k・nCkは(2)の通りです。k(k-1)・nCkは、(2)の公式を2回使うことで、n(n-2)・n-2Ck-2まで持ってこれます。k=0,1のときだけ計算しておいて、あとはこの公式にあてはめればOK。

 

(5)は全部出せればただの極限です。分子・分母を最も影響力のある項で割りましょう。

※KATSUYAの解答時間11分。あ、これは知ってるやつやわ。こんなに全部聞くん?ここまで聞くとさすがに差が大きそうな気がするけど。どれぐらいが知っているか。

第10問 【整数】複素数の実部と虚部が整数であることの証明(C,35分、Lv.2)

理数・医学部用の問題。2乗した複素数の実部と虚部が整数なら、もとの複素数の実部と虚部も整数であることを示す問題。簡単そうに見えますが、なかなか原則にあてはめられる部分もなく、文字のままの議論が続くために、結構きつかったのでは。

※他学部との時間配分を見てると、60分かけていいってこと?

 

a,bは有理数なので、分数で置くのがいいでしょう。その際、互いに素であることを断わっておかないと泥沼です。

その上で2乗し、実部、虚部ともに整数であることを式にします。実部の条件から、a,bの分母の一方が他方の倍数であると分かります。(互いに素であることを断わってないと、ここで詰まる)

変形の仕方を変えれば、もう片方も言えます(他方が一方の倍数であること)ので、結局分母は同じであることが分かります。ここまでこれば8割型終了です。この分母は、ともに分子とは互いに素ですから、虚部が整数であるには、その分母=1である以外はありませんね。

 

※KATSUYAの解答時間21分。極形式がいいのかな?と思っていろいろいじくるが、ダメそうだったので、有理数であることを素直に置いてやってみる。実部は通分が必要やからこっちの方が条件きつそう。分母が同じになることは言えるな。あとは虚部か。分子に2があるのがジャマやけど、分母=2^2でもダメなので、1しかないな。やっぱり10番以降は難易度が高い。

第11問 【積分法+極限】定積分と漸化式、極限(D,15分、Lv.2)

医学部専用問題。定積分の漸化式について、不等式を証明していき、最後に極限を聞いてきます。11番の漸化式は2年連続ですが、今年は医学部専用とあってレベルは昨年の比ではありません。抽象度も高く、(3)までたどり着くのはかなり難しいと思われます。

(1)、(2)は帰納法でしょう。結果が分かっていて、nに関する証明は帰納法をまず思いついてほしいですね。(2)については、左辺ー右辺=gn(x)とでもおいて、0以上であることを示します。不等式は差をとって0以上と言い変えることも基本。難しい問題の中でも、基本に忠実に従えるかどうかも見ていますね。

(3)は捨て問レベルでしょう。ここでも説明するのはかなり難しいので、KさんかSさんの解答を見てみてください。KATSUYAはKさんの方法で解いています。

fn(x)が、n→∞ のときにf(x)になるということなのですが、それを示すのがなかなか難しいですね。(2)の結果をうまく使わないとダメなので、思いつくのは相当きついと思います。

※KATSUYAの解答時間32分。今年は11番まで。ということはいつもの感じやとこれが最難確定か。(1)(2)は帰納法やろな。(2)は式変形などまあま巧妙で、(1)の結果もここで使うあたりがさすがと言った感じ。ということは、(3)は(2)の結果がメインのはず。使い方が全く分からず。差は減るハズなので、なんらかの不等式が欲しい。g(n+1)とg(n)の関係が欲しいな。いや(2)の途中であったぞ。これを使うか。しかしそれ以降の不等式が思いつかず。ようやく評価を思いつく。でもここも帰納法か。長いけどここさえ乗り切ればはさみうち出来るところまで見えているので、なんとか証明して終了。

 

2.対策~癖のある表現、全調査タイプ、定数入りの計算に対する耐性を~

千葉大の問題は標準的な問題が多いですが、後半になると癖が強く、対策してきても数学的センスがないと、効果が出せないようなタイプの問題が出ます。また、全調査をすることを厭わない忍耐や、定数が入ってもいつもどおりの解法が遂行出来ることが必須となります。

青チャートなどで手法を身につけたら早めに入試演習に入りましょう。表現をひねってくる問題も多いので、国立系の入試問題集(Canpassなど)がいいです。その際、複数の解き方を試みて、いろんな視点から問題を眺められるようにしておくといいです。(式で見るのか、図形で見るのかなど)過去問はなるべく多く確保しておきましょう。

量をこなす演習:じっくり演習=8:2でOK。 医学部や理学部志望の方は、夏あたりから7:3、6:4に切り替えていきましょう。


 

以上です^^

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