大阪公立大学 理系数学 講評| 2022年度大学入試数学

      2024/03/30

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●2022年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は大阪公立大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2022年 大学入試数学の評価を書いていきます。

2022年大学入試(国公立)シリーズ。
大阪公立大学(理系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。


解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

※お知らせ

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大阪公立大学 理系
(全4問、120分、記述式)

1.全体総評~超難関大に近い難易度のセット~

大阪公立大学としての試験は今年からですが、難易度としては超難関大レベルに近いセットと言え、一筋縄ではいかない問題ばかりです。小問によって刻まれてはいますが、どこの結果がどこのために使われるのかが見えにくい問題も多いので、解決の糸口をつかむまでに時間を費やすことになります。解説や答案量から想像するよりも時間はかかるセットだと思います。

分野的には数III(C)から3問、あとは確率と数列です。難関大の出題構成ですね。

試験時間120分に対し、標準回答時間は150分。すべてに解答するのはかなりキツいと思います。

 

2.合格ライン

第1問は(1)はおさえる。(2)は意外とキー問題。(3)は気づかない人の方が多いかも。
第2問は断トツでマシなので、他で振るわないならここをおさえるしかない。
第3問もキー問題。複素数平面と整数問題の融合。論証がメンドウなので、演習量次第で差がでそう。
第4問は有名事実の証明で、刻まれてはいるが、最後までたどり着くにはかなり時間が必要。制限時間でどこまで取れたか。

第2問は確実におさえ、第3問が取れれば少し安心。あとは第1問の(2)で取るか、第4問を出来るところまで解くか。60%強ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

☆第1問【微積分総合(数式)+極限】定積分と不等式の証明、極限(C,40分、Lv.3)

The・数IIIの総合問題という感じです。微積分、極限をがっつり行う問題です。(1)は基本ですが、(2)は意外と難しく、(3)も答えを見ればあっけないですが、演習経験がないと思いつくのは難しいでしょう。

(1)は差を取って微分です。だいたいこの手の不等式は、「微分を繰り返すと符号が一定の式が出る→単調性から元の関数も符号が確定する」の繰り返し証明できることが多いです。

 ULTIMATE Principle Piece 

 不等式の証明は差を取って微分

(詳細は拙著シリーズ 数学II 微分法 p.48 参照)

 Principle Piece 

 微分と単調性の証明を繰り返す

(詳細は拙著シリーズ 数学III 微分法2 p.30 参照)

中辺ー左辺、右辺ー中辺をも、1回微分するだけで単調増加であることが言えます。

(2)は形的に、e絡みの極限を思いだして変形したくなりますね。

 Principle Piece 

 e絡みの極限の基本4パターンをおさえる

(4パターンの具体的な式は割愛。詳細は拙著シリーズ 数学III 微分法1 p.47 参照)

しかし、これにあてはめても、結局1の∞乗という式になります。不定形のパターンです。

今回は直前の(1)の結果を用います。対数を取ると\log(1+●)の形が現れるので、(1)が使えるわけですね。あとはハサミうちによって求めることが出来ます。

(3)は(2)の関数を利用します。(2)のために(1)は使っていることや、関数の種類から見ても、(3)で(1)は使わないはずなので、(3)は単独の問題になります。

まず、f(t)は積分できる関数ではないことは知っている(知らなくても気づくことが望ましい)と思いますので、うまく評価する必要があります。定積分絡みの不等式では、次の原則を意識します。

 Principle Piece 

 積分可能な関数の見つけ方

 [1] 積分区間と積分結果の式を見比べる [2] 大小関係が(すぐに)分かる

(詳細は拙著シリーズ 数学III 積分法(数式編) p.68 参照)

 

これをもとに、右辺の関数は0~100まで何を積分すれば出てくるのかを考えます。分母に50があること、指数部分が1次式なら容易に積分可能であることから、e^{50t}の積分だろうと思いつければ勝ちですが、相当な演習量がないと厳しいでしょう。

実際、50t-t^2/2=t/2(100-t)となるので、0~100の範囲では0以上になり、ばっちりですね。

※KATSUYAの解答時間は22:12です。(2)も(3)も結構と考えた。(3)で(1)も(2)も使うと思ったので、(2)を単独で考えていたが、途中で気づいた。結構誘導が飛んでいる。(3)も指数に50tを持ってくるのは割と難しいのでは?

第2問【確率+数列】確率、数列の和の計算(B、25分、Lv.1)

確率と数列の融合ですが、確率はおまけに近くほとんど数列の問題です。等差×等比の和がメインですね。

(1)は最初は何でもOK、2~n-1回目は直前以外、n回目は直前の目です。

ただし、確率でn絡みの時はnが小さいときに意味が不成立になることがあるので、要注意。2~n-1と書いてあるので、nが3以上のときという断りが必要。最後にn=2のときも確認して、当てはまることを確認しましょう(だいたい当てはまります)。

(2)はただの等比数列の和です。2~nなので注意。シグマの公式として覚えるのではなく、等比数列の和の公式は言葉で覚えておくことを強くおススメします。シグマの式を見て初項、公比、項数を書き出し、等比数列の公式にあてはめましょう。

(3)は(2)が出ればただの算数。累乗の値はある程度は覚えておくとラクですね。

(4)は等差×等比の和。これはさすがに大丈夫ですね。教科書レベルの原則。

 Principle Piece 

 等差×等比の和は、S-(公比)S を計算して等比数列

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 数列 p.25 参照)

 

ここでも、計算していくとnが3以上でないと成り立たないところが出てきますので、それが分かった時点で、どこか空いているところに「n≧3のとき」と書けばOK。

最初から見越して「n≧3のとき」などと書くのは、神様でもない限りムリです。完成された答案からはこういった部分が見えないわけですね。

最後に出た式にn=2を代入して、成り立つことを確認して終わりです(検算の代わりにもなります)不安ならn=3ぐらいまで入れるといいでしょう。

※KATSUYAの解答時間は11:21です。第1問に比べると急に簡単になったな。

☆第3問【整数+複素数平面】1次不定方程式とド・モアブルの定理(BC、30分、Lv.2)

整数と複素数平面が融合された論証問題です。超難関大を志望者であれば演習経験があるような、比較的に有名な題材かと思われますが、典型パターンとしてはレベル高めで、初見だと説明の仕方に時間を使うでしょう。

(1)は頑張って1組見つけるだけ。yの方に1~6まで入れれば、必ず見つかります。(拙著シリーズ『Principle Piece~数学A~整数』p.42,p.80を参照)

(2)も、左辺が3の倍数になることからすぐにわかります。

(3)はpx+qy=1となる(x,y)があるなら(p,qは互いに素ですが、そのこと自体は使いません)、その解(x,y)をk倍すればpx+qy=kとなるので、いかなるkに対しても整数解(x,y)は存在します。

それを利用し、指数のkの部分をp(kx)+q(ky)とすれば、ドモアブルの定理により、Xpの要素とXqの要素の積になることがすぐに示せますね。

(4)は(2)を一般化して利用します。背理法がラクでしょう。互いに素でなく、かつ積で表されるとすると、1=●p+▲q+■pqと表せます(偏角は2kπずれでもOKなことに注意)

 Principle Piece 

 極形式での「=」→偏角は+2kπ を忘れずに

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 複素数平面 p.22 参照)

仮定のもとでp、qは2以上の公約数gをもつので、右辺がgの倍数になって矛盾が導かれますね。

※KATSUYAの解答時間は15:35です。知識問題に近いので、コツコツ記述するだけ。

 

☆第4問【微分法の応用】媒介変数表示、等式の証明、接線の傾きなど(C、55分、Lv.2)

媒介変数表示された曲線に関する特殊な性質を考察する問題です。事実としては有名で、曲線は内サイクロイド(ハイポサイクロイド)の一種、デルトイドと呼ばれるものになります。内サイクロイドの代表例はアステロイドだと思います(f(t)とg(t)の2の部分を3に変えると得られます)が、こちらもまあまあ有名。

ただ、この事実の計算を入試問題にしてくるとは、という感じです。過去にも出題されたような気がしますが(どこか忘れました)、結構計算はメンドウなので、制限時間との勝負になります。問題の難易度は、誘導のおかげで下がっています。

(1)は等式の証明。私は右辺を展開して整理し、左辺に持っていきました。全部展開して、両辺ともに同じになることが言えればOK。

(2)は(1)の結果も使い、さらに(1)でt=αとしたものも使います。t=αのとき、(1)の右辺の角度はともに3/2αになり、同類項になります。整理した式は2sinA-sinB-sinCという形をしています。ここからどう式変形するか。

結果の式を見るに、Aの角度はこれ以上いじりたくない。B,Cは望んでいる形とは違う。B,Cは種類と係数が同じで1次。ということは和積変形が有力候補です。

 Principle Piece 

 和→積のサイン:「角度が大きい」「種類が同じ」「1次」

(詳細は拙著シリーズ 数学II 三角関数  p.65 参照)

無事、2sinAでくくれます。残りの式と見比べると、倍角を使えばいいということが分かります。1-cos●=2sin^2(●/2)の式変形は数IIIだとよく見るので、反射的に出てくるようにしたい。

(3)は(1)(2)とは別です。媒介変数表示の微分係数を求める公式に従うだけ。分子、分母ともに上と同じ和→積の原則が使える形をしていますね。

(4)はまず、(3)を用いつつ、接線の方程式を作ります。tanをsin/cosに変えて分母を払い、(x,y)に曲線上の点(f(t)、g(t))を入れると、(2)の左辺=0が出てきます。ここまでが第1関門。tanを無くそうと思えるかどうか。

(2)を利用して右辺=0になるものを探しますが、C1上とC2上のt、およびC0のαの範囲では2乗の部分はゼロにならないので、残りの部分がゼロになるときです。あとはt、αの範囲に注意してt=π-α/2、2π-α/2を求めます。これが交点P1、P2のときのtの値です。これが第2関門。

最後は、P1の座標とP2の座標を代入して表し、素直に距離公式に代入すればOKです。相互関係により、一定値4を取ると分かります。

この事実から、長さ4の線分は、このデルトイド曲線内でギリギリ動かせることが分かりますね。(デルトイドで検索すると出てくると思いますが、あまり深入りしないように。時間は大切にネ!)

※KATSUYAの解答時間は29:51です。(2)で意外と戸惑った。t=αのときに角度が同じに(同類項に)なることが見えなく、係数が共通なものを先にくくって和積変形をしたので、かなり長い式変形になってしまった。(3)は(1)(2)ともに使わないのか。じゃあ(4)で(3)(4)を使うってことね。全体的に、小問どうしでどれがつながっているかを見にくい問題が多いかな。

4.対策

レベル的には7帝大レベルに近く。同じ大阪の阪大理系と比べても大きく劣らないと思います(年によっては阪大の方が簡単なことも)。分野は数IIIの割合がかなり多いので、ボリュームも多め。小問で刻まれてはいるものの、つながりが飛んでいたり、見えにくいものもあります。式変形をしながら、前問とは独立しているのか、どこかで使えそうな式が見えるか、常に意識する必要があります。完成された答案だけ見ると大したことなく見えますが、見かけほど易しくはないので注意しましょう。

原則習得タイプの問題集で早めに手法を一通りマスターし、次の入試基礎演習の段階まで終えたら、融合問題を多く解く演習をしましょう。医学部なら、仕上げレベルまでやったほうがいいかもしれません。

なお、拙著『Principle Piece』シリーズであれば「原則習得」「入試基礎演習」の両方の段階を兼ねていますので、この後にもう入試標準演習の問題集に接続可能です^^

 

量をこなす演習:じっくり演習=7:3でOK。

以上です^^

■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)

数学A Chapter2~確率~ (第2問)

数学A Chapter3~整数~ (第3問)

数学II Chapter4~三角関数~ (第4問)

数学B・C Chapter1~数列~ (第2問)

数学B・C Chapter4~複素数平面~ (第3問)

数学III Chapter4~微分法2~ (第4問)

数学III Chapter5~積分法(数式編)~ (第1問)

 

すでに原則系の参考書を持っている方にはこちらがおススメ!!

数学I・A ~原則のみ~

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■過年度の本大学の入試数学■

2022年からなので、まだありません。

 

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