順天堂大学医学部 | 2016年度大学入試数学
2017/01/21
●2016年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は順天堂大学(医学部)です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。KATSUYAです^^
いよいよやってまいりましたね。この季節。今年もやっていきます。
2016年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2016大学入試シリーズ第1弾。
私大シリーズ、第1弾。
順天堂大学(医学部)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、
典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また、☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
難易度の指標は、こんな感じです。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。
順天堂大学 医学部
(試験時間70分(穴埋め+記述)、3問)
1.全体総評
昨年と同程度の難易度です。新課程の複素数平面は出ず。第1問の小問は4問のままです。2次曲線も姿を消しました。(4)は本大学らしい。
第2問は正20面体と少し仰々しいですが、昨年よりも誘導には乗りやすいのではないか。
第3問は昨年より(1)の証明は簡単だが、平面図形で演習量が少なく、難しいかも。
試験時間70分に対し、
目標解答時間合計は123分【90分】←穴埋め部分考慮
昨年
目標解答時間合計は115分【84分】
穴埋めを考慮しても、時間オーバー。方針を立てて素早く解く必要があります。今年も、の三角比の値は18°、36°系統あり、昨年も75°系統が出ています。特にあとちょっとで出来そうだと、思わず考え込んでしまうので、要注意です。
KATSUYAは、64分で解いています(昨年54分)。
2.合格ライン
第1問の小問で(1)、(2)、(3)は確保したい。(4)はキー問題。a,bが出せればOKか。
第2問もキー問題。に順序よく出来れば、8割取れますが、差が出来るでしょう。
第3問は、(2)までをしっかり完答。時間的にも、(3)、(4)は部分点狙いがいいとこでしょう。
65%弱ぐらいでしょうか。
3.各問の難易度
☆第1問(1)(場合の数、立方体の塗り分け、B、10分【7分】、Lv.2)
2色または3色を用いて立方体の面を塗り分ける問題です。回転に気をつけながら、地道に数えていく問題です。
ひな型は円順列の問題ですから、円順列の原則に従いましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学A 場合の数 pp.11~12)(新版、旧版で記載ページ、番号が異なる可能性があります。)
立方体の場合では、上面か底面を1つ固定することができます。底面を固定すれば、側面の4つは対称ですので、「上面かそれ以外」のような場合わけの方針が立ちます。
第1問(2)・・・数列と極限、図形(AB、12分【8分】、Lv.1)
本大学にしてはめずらしく、かなり穏やかな問題です。算数でも出てきそうな、糸を解く問題。(1)以上に落とせません。
72°進むごとに、半径が辺の長さ分ずつ大きくなります。これさえ見抜けば、どうってことはないでしょう。
n角形の場合は、数列の和を用いることになりますが、書いてみればわかります。極限も至って普通で、計算量もそこまで膨らみません。
☆第1問(3)・・・微分法、3次方程式、絶対値付き定積分、微分係数の値(B、16分【10分】、Lv.3)
3次関数と3点で交わる横線(y=●)で囲まれる2つの部分の面積について、どのような関数になるかを考察する問題です。最初の極値、解と係数の関係はいいですね。 G(t)の微分ですが、まともにやるならq(t)を境目に絶対値を外して、区間を分けてから微分しますが、図があるので、おそらくその操作を要求していないと思われます。
「t」が微小変化したときに、どこが減ってどこが増えるかを、「長方形近似で出せ」ということですね^^
「ケ」が出来れば、あとはただのおまけですね。
☆第1問(4)・・・4次関数の定数入り最大・最小(C、30分【20分】、Lv.3)
本大学らしい難易度の問題です。定数a,b,cの入った4次関数のを「t」だけ平行移動し、最大・最小を場合分けしたときの結果を見て、a,b,cおよび場合分けの境目を出す問題です。
場合分けの結果を見て判断させる問題とはかなりひねっており、どこから手をつければよいか、なかなか迷います。また、もとの関数はx^4,x^2しかありませんので、y軸対称であることも利用します。これを利用して、極値の場所(2次関数でいう、軸の場所)と場合分けの境目から、値を決めていけばいいでしょう。
3次関数でも場合分けは結構難しいので、かなり場合分けをやり慣れてないと本問は難しいでしょう。
(拙著シリーズ(白) 数学II 微分 pp.32~36)(新版、旧版で記載ページ、番号が異なる可能性があります。)
※KATSUYAの解いた感想
(1)は塗り分けか。計算では無理。地道に調べよう。(2)はちょっと簡単すぎないやしないか?伸開曲線の長さをだしたいのね。(3)も図があるおかげで微分をまともにやらずに済んだ。結構簡単^^(4)これは重そう(><)えーと・・・極大・極小はあるな。その条件のもとで微分。図を大量に書いて場合分けの境目がどこか見極める。なんで極小値は2つあるのに場合分けが2つしかないんだ?もっとあるやろ??ちょうど極小~極小が3~6ってことか!なるほど^^ ここから先は順調に進む。
解答時間、4+7+5+13=29分。(4)で時間とられた^^;
☆第2問・・・三角比、三角関数、空間図形の計量、正20面体の体積(BC、30分【20分】、Lv.3)
今年はなんと、ほぼ数学Iの三角比から出題の第2問。しかし題材は正20面体の体積。興味はあるけど出来れば逃げたかった話題、という人もいそうですね^^;
幸い、誘導が丁寧なので最後までたどり着けそうですが、長さがはっきりしておらず、ABの何倍?とかAHの何倍?とか、気まぐれ(??)で基準が変わるので、混乱したかもしれません。
正五角形の対角線は、本学受験者であれば出せるでしょう。親子の三角形の相似を見つけましょう。これにより、18°や36°系統の三角比が出ます。
(拙著シリーズ(白) 数学II 三角関数 pp.38)(新版、旧版で記載ページ、番号が異なる可能性があります。)
三角関数のほうに載せていますが、三角比と相似の知識で充分できます^^ これにより、AC、(AB基準で何倍か)、cos36°が出ます。さらに倍角でcos72°を出し、AHBで余弦定理を行えば、ABとAHの比も出ます。
次の作業は、正20面体の頂点を作りに行っています。が、それが分からずとも、三平方だけで解けます^^;
次の「O」は、正20面体に外接(内接)する円の中心を取りに行っています。が、これも、そんなことは知らなくても三平方で解けます(笑)
作り方から、FABは正三角形ですので、重心までの長さはすぐに出ます^^
最後は、割と空間的に図を書かないとわかりにくいでしょうか。O-FABの高さがGOとなります。OA=OB=OFとなるようにOをとっていますので、O-FABは等稜四面体です。従って、垂線は外心、すなわち重心となります。
この四面体を20個足せば体積になりますが、底面にあたる部分を先に20倍し(これが表面積です)、最後に高さを掛けるという順番ですね^^
※KATSUYAの解いた感想
正20面体か~。うーん、あまり新鮮味がない。第2問の新鮮味に期待していた身としては、少し残念。(←受験生であればそんなことは言ってられないですね。すみません)
どっちの方法でやるのかな・・・?内接球の半径を出すのね。あとはコツコツ計算するだけ。メンドいので途中からAB=1と仮定。 とおもいきやAHが基準になる。タイミングわる・・・^^; いいや、ちゃんとやろう。解答時間15分。
第3問・・・式と証明、平面図形、三角不等式(C、25分、Lv.2)
順天堂医学部名物の第3問とも言える、難しくないけど難しい証明問題(笑)
今年の(1)は教科書レベルで、明確にかけそうですね^^ どこまで書けばいいのか迷うものが割と多い中で、はっきりしていました。
(拙著シリーズ(白) 数学II 式と証明 p.20)(新版、旧版で記載ページ、番号が異なる可能性があります。)
(2)からは(1)を利用するというよりは、「三角形の2辺の和は他の1辺のより長い」という事実をひたすら使うだけです。
それでも(3)は、A,B,C,Dの位置関係が全くわからず、場合分けが必要でしょう。ABCDのどこが対角線になるのかで分けると、比較的すっきり行きそうです。なお凸四角形でなくてもいいので、注意。
(4)は、おそらく一直線上ですが、勘でも当たりそうなので、どんな順番なのかを明記しておいたほうがいいでしょう。
※KATSUYAの解いた感想
お、今年の(1)は答えやすいな^^ (2)からは平面図形か。数Aの平面図形、結構苦手^^; (2)は瞬殺。(3)・・・場合分けするしかいよな、これは。やってみると意外と(2)が使えることが判明。(4)は、、、一直線上はすぐ言えるけど、順番には制限がありそう。24通り書き出す!→終了。 解答時間16分。
4.対策~頻出分野を中心に・独特の形式になれる~
【本大学が好きな分野】
3次関数・4次関数、空間座標、2次曲線が多いです。IIIの微積は、比較的少なめ。行列が好きだったので、新課程の複素数も侮れません。
なによりもまず、計算力が必要です。70分という短い時間で、すばやく計算する練習をしましょう。また、穴埋め形式独特のサボり方も覚えていくといいでしょう。
量をこなす演習は、青チャートレベルでOKでしょう。意味を考えながら、解法ごと頭に入れてしまってください。
質を高める場合は、過去問、あるいは河合塾の「やさしい理系」「ハイレベル理系」などで行うといいでしょう。このときは、分からない問題に2時間は考えること。
また、本大学は非常に形式が独特なので、過去問はなるべくさかのぼって15年分ぐらい欲しいところ。センター対策に入る前の10月頃には過去問に手を付けばじめましょう。学校にあるならコピーしましょう。3学期になってからでは登校日が少ないです。やはり早めに。
以上です^^
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■関連する拙著シリーズ■
★ 数学A 場合の数
★ 数学Ⅲ 積分法
★ 数学Ⅱ 微分
★ 数学I 三角比 (以上、第1問、第2問)
★ 計算0.9 (計算練習帳です^^)