【後期】神戸大学 理系| 2016年度大学入試数学

      2017/03/14

●2016年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は神戸大学(理系)【後期】です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2016年 大学入試数学の評価を書いていきます。


2016年大学入試(国公立)シリーズ。
神戸大学(理系)【後期】です。

 

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。



また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





神戸大学(理系)【後期】
(試験時間120分、5問、記述式)

 

1.全体総評

昨年と変化なしです。昨年は前期、後期ともに難しかったですが、今年は前期が穏やかでした。後期は変わらずなので、前期よりは難しいです。

前期同様に数学IIIが2問でした。また、全体的に論証が多いので、答案を書く時間が長くなるセット。



試験時間120分に対し、
標準回答時間は130分。


2015年:135分

 

 

2.合格ライン

第1問は絶対おさえたい。かなり簡単。
第2問はキー問題。接点と端点のギロンをきちんと出来たか。
第3問は原則ががっつり使えます。しっかりおさえる。
第4問はキー問題。ユークリッドの証明という、教科書的なことがらで差がつきそう。
第5問は計算を確実に合わせられたかどうかがカギ。


第1、3は抑え、第5問も慎重に。時間にも余裕があるので、第2、4問も片方は確実に8割以上とりたいです。今年は70%ぐらい取れそうですね。

 

3.各問の難易度

☆第1問・・・【極限+微分法+積分法】絶対値付き積分、定積分と数列、極限(B,25分、Lv2)

定積分で表された数列anの極限標準的な空間ベクトルの問題です。(1)は、nがいろんなところに入っていますが、nx=tとでも置き換えると割と見やすかったかもしれません。f(x)、e^|x| はともにy軸対称なので、それを利用するとさらにすっきりしそうです。部分積分の計算は慎重に。

(2)は、問題文に書いてある不等式を利用します。(1)の答えは何と何の間にはさまれるかを調べます。不等式と(1)の答えをじっと見比べて、「x」に何を代入すればいいかを判断するのが、本問の全てです。指数の部分を見ると、-1/nとわかりますね^^

※KATSUYAの解いた感想
関数は折れ線。パルス波的な感じね。(1)は、、、nxを置換したほうがf(x)そのまま使えるな。nも消えるし。部分積分は慎重に計算して終了。(2)は、問題文にもあるし、不等式ではさんではさみうち。多項式部分は後でいくらでも辺々をかけ算して調整できるので、指数を見て判断。ー1/nだな。あとは各辺に2n^2をかけて終了。解答時間12分。

☆第2問・・・【図形と式+式と証明】2円の関係、共有点をもつことの証明(B、25分、Lv.2)

2円が題材となっていますが、実質的には不等式の証明です。(1)では、2円の半径と中心間の距離を持ち出しましょう。

Principle Piece II-41

2円の関係 → 5パターンをマスター

(拙著シリーズ(白) 数学II 図形と式 p.37-38)

 

(2)では、その不等式が使えます。つまり、(1)の条件に加えて、m,n,i,jの大小関係の条件があれば、(1)と同じ不等式が(2)i,jでも成り立つことを示せ。ということです。

不等式の証明ですから、当然差をとります^^

Principle Piece II-5

不等式の基本は両辺の差

(拙著シリーズ(白) 数学II 式と証明 p.20)

結局、niとmjの大小が問題になるということがわかりますが、条件からしてほぼ自明ですね。

※KATSUYAの解いた感想
2円やからd、r1、r2を出せば関係は出せるので、(1)はさくっと終了。(2)は(1)同様に、図形の条件を式に直してみる。結局、かなり単純な不等式になることが分かり、分母はらって引いて終了。割と明らかやな。図形的にも割と明らかな気もするけどな^^; 解答時間9分。

☆第3問・・・【数列+三角関数】抽象的数列と三角関数の和(BC、30分、Lv.2)

一般項が分からない数列ですが、両端が0であることで、Σ計算は始まりや終わりを1ずらせる、というところをポイントにした問題です。

「Σ{k=0~n}k+1」とあれば、「Σ{k=1~n+1}k」と書いても同じという、極めて教科書的な内容をきちんと応用できれば済みますので、良問です^^

(1)は上記の通りです。例えば式変形の例として、初項のa_1b_0=0は、あってもなくても同じですので、k=1~99→k=2~99とできます。

(2)は、まず左辺から右辺を引いておくといいでしょう。すると、(1)の数列の左辺、右辺と、それを入れ替えたような式が出てきますので、(1)とほぼ同じです。

(3)は独立した三角関数の問題です。左辺を和積で変形すればOK。和積は係数があってないとできませんので、k+1とk-1の部分を変形します。

 

Principle Piece II-68

「種類」「係数」が統一 → 和積が有効

(拙著シリーズ(白) 数学II 三角関数 p.47-50)

(4)は、(3)の結果と(2)の結果を組み合わせます。a_kやb_kは、もちろん(1)や(2)を満たす性質を持つ数列ですので、そのまま代入してみます。すると、(3)が使える部分が見えますので、そこも変形します。使えるのはここまで。まだ左辺と右辺が等しい、ということしか言えていませんが、実はこれを移項することで、与式は0でないと困るということがわかりますので、0です。

本問の難しさは、答案の流れ的に「0になることを証明せよ」という問題の流れですが、「求めよ」となっているので、直接出るのではないかと考えてしまうところにあります。しかし、この手の論証は神戸大の大好きなパターンです。

※KATSUYAの解いた感想
抽象数列やから論証やな。なんか途中三角関数も見えるけど。まいいや、まずは(1)kずらしたり減らしたりすればOKかな。途中・・・で和を書き並べてもいいような気もするが^^; (2)は、ほとんど同じやん。(1)と同様にじゃダメ・・・か。もう一度同じようなことを書いて終了。(3)は和積でさくっと終了。(4)はとりあえず素直にak、bkを(2)の式にいれ、(3)を利用。で?これはなんだ?等しいことが分かっても値が、、、とりあえず移項してみると因数分解で見えた。「証明せよ」て書かれてないからちょっと戸惑ったな。解答時間22分。

☆第4問・・・【数列+微分法の応用】不等式の証明、数列の和(BC、30分、Lv.2)

再度、論証問題。不等式の証明と、それを利用してさらに複雑な不等式を証明する問題。(1)と(2)を組み合わせて、(3)に利用できるかどうかがポイントですが、(2)の微分もまあまあ複雑で、計算量は多めです。

微分法で出てくる不等式の証明の基本は、差をとって微分です。

 

Principle Piece III-40

不等式は差をとって微分

(拙著シリーズ(白) 数学III 微分法の応用 p.44-47)

(1)はいいでしょう、微分すれば単調増加がわかります。(2)も微分すれば単調減少になるとわかりますが、慎重に計算を行わないとミスをしやすい微分です。

(3)は(1)、(2)をじっと見て、利用方法を考えます。Σ記号が見えますので、和をとるのは間違いないでしょう。しかし他の部分にはΣがありません。Σの計算が完了していると見なせます。公式以外でΣの計算ができるのは、望遠鏡型の場合のみです。

 

Principle Piece B-6

Σ計算の仕方
[1] k,k^2,k^3 は公式利用
[2] (等差)×(等比) はS-公比Sで
[3] それ以外は望遠鏡型

(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.23-24)


※望遠鏡型とは、真ん中をシュッと短くしてコンパクトサイズにするイメージと、部分分数分解のときのように、真ん中が一気にキャンセルされる様子を対応させた、私の造語です。

要するに、真ん中が次次と消える形になるような数列の和だということです。対数関数の真数条件や、題意の不等式のΣの部分から見て、1/2kが妥当でしょう。実際これにより、他の部分は次々にキャンセルされていきます。

 

※KATSUYAの解いた感想
(1)、(2)は微分するだけやろ。(2)は思ったよりメンドウ。マクローリン展開でも背景にあるんだろうか。とりあえず単調減少にはなったし、一応さらっと見直して終了。(3)は、f(x)やg(x)のどの部分が不等式に対応しているのかを考える。logのところはlogだよな。まあ1個飛ばしの数値なら何入れても、望遠鏡型で消えそう。Σが残っているところは?「1/k」??2xのところがこれってことかな?じゃあ1/2k入れるしかないけど。でも真数条件的にも、自然数系はダメやし、あってるな。他も計算すると題意の不等式になったので、終了。解答時間21分。


☆第5問・・・【場合の数+整数】格子点の中点、鳩の巣原理(B、20分、Lv.1)

最後は昨年同様、場合の数ですが、今年は有名題材なので、知っている人は儲けもんの問題でした。格子点は{奇数、奇数}{奇数、偶数}{偶数、奇数}、{偶数、偶数}の4グループに分かれることを利用すればOK。

どの2つの中点も格子点とならないように選ぶ方法ですが、5点以上ある場合は、鳩の巣原理により格子点はかならず存在します。2点、3点、4点の場合だけ考えればOK。

これは差がつきそうですね。

 

※KATSUYAの解いた感想
鳩の巣原理か。これは知ってるから作業やな。m=2,3,4のときだけ調べればOKだな。解答時間9分。

 

4.対策

前期とほぼ同様と考えてOKです。前期のエントリーをご覧下さい。

■他年度の、本大学の入試数学■

>> 2014年度
>> 2015年度



■関連する拙著シリーズ■

★ 数学A 集合と場合の数 (第2問)

★ 数学A 整数 (第5問)

★ 数学II 図形と式 (第2問)

★ 数学II 三角関数 (第3問)

★ 数学B 数列 (第3問)

★ 数学III 微分法の応用 (第4問)

★ 数学III 積分法の応用 (第1問)

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