慶應大学 看護医療学部 | 2019年大学入試数学

      2022/10/03

●2019年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は慶応大学(看護医療学部)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2019年 大学入試数学の評価を書いていきます。

入試シーズン中は、コメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。


2019年大学入試(私大)シリーズ。

慶応大学(看護医療学部)です。





問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。




慶応大学(看護医療学部)
(試験時間80分、5問、ハイブリッド型)

1.全体総評~相変わらず忙しいセット~

計算量は昨年比で微減ですが、それでも忙しいセットです。第2問あたりからところどころに時間のかかる厄介な問題も含まれており、第3問~第5問も時間のかかりやすい問題です。


試験時間80分に対し、
標準回答時間は132分【90分】(←穴埋め考慮)

2018年は144分【100分】(←穴埋め考慮)

2017年は119分【85分】(←穴埋め考慮)

2016年は135分【101分】(←穴埋め考慮)

2.合格ライン

第1問はいつも通り穴埋め8個。(5)は少し時間がかかりそうだが、確保したい。
第2問は10個。第1問に比べると時間のかかりやすい問題。6~7個がライン。
第3問は(2)(3)で差がつきそう。他はミスなく押さえたい。
第4問は全体的にキー問題。始点をO→Bに変えるところがポイント。
第5問は(1)までは押さえたい。(2)はただの係数決定で時間との勝負。厳しいかも。

時間的に全ては厳しいが、最初の第1問と第2問で8割、第3問、第4問、第5問の後半で計6割の合計70%弱ぐらいがボーダーでしょう。

3.各問の難易度

第1問(1)・・・【整数+数列】条件を満たす自然数、等差数列(A,4分【2分】、Lv.1)

教科書レベルの問題です。11x+6=6y+3などとおいて解を出すのがまともなやり方ですが、穴埋めであれば探すほうが早いです。11と6の最小公倍数までに1個あるはずです。6,17,28,39、・・・ と探し、あとは66おきです。a_0から始まっていることに注意してください。出すのは31個目です。

てか、昨年も6と11でしたけど^^;

 

第1問(2)・・・【複素数と方程式】2次式で割った余り(A、4分【2分】、Lv.1)

こちらも教科書にも載っているタイプの問題。1次+1次→2次の形です。

余りの問題なので、因数定理の活用がいいでしょう。P(x)=Q(x+2)(x+3)+ax+b  と表現しましょう。(Principle Piece II-22,23 数学II 複素数と方程式 p27-29) 

第1問(3)・・・【複素数と方程式】実数条件(A、2【1分】、Lv.1)

連続で複素数と方程式からの出題です。√ー3×√ー2=-√6 です。√6だと思った人は、教科書数IIを至急見直してください!!

実数となるので、=kとおいて分母を払うのがいいでしょう。共役複素数を書ける必要はありません。

第1問(4)・・・【対数関数】対数方程式(A、3分【2分】、Lv.1)

教科書レベルが続きます。対数の足し引きなので、掛け算や割り算でまとめられます。(Principle Piece II-88 数学II 指数関数・対数関数 p20-22) 

底が異なる場合は、まず底を合わせましょう。(Principle Piece II-84 数学II 指数関数・対数関数 p15) 

☆第1問(5)・・・【複素数と方程式+整数】3次方程式の整数解(AB、8分【5分】、Lv.1)

5問中3問が複素数と方程式ですね。

解の情報があるので、解と係数の関係を使うことになります。整数なので、掛け算の形の式が使いやすいでしょう。かけて「7」となる組み合わせを探し、bが正になるものを見つければOKですね。

※KATSUYAは計6分で解いています。

第2問(1)・・・【図形と式】不等式領域の包含関係(AB、10分【7分】、Lv.1)

不等式の条件式なので、領域図示の問題です。(Principle Piece II-58 数学II 図形と式 p57-59) 

2つの領域の包含関係に関する問題です。片方は円、片方は正方形です。|x|+|y|=r の形を見たら、正方形だとすぐに分かりたいですね。

前半は円の方が正方形にすっぽり入ればいいです。第1象限の辺が円に接するときですね。本問は中心同士を結んだ線が辺と垂直になるので、これに気づけばほぼ計算不要です。

後半は正方形が円にすっぽり入る条件です。ぎりぎりは、下と右の頂点が円周上に来るときになります。こっちの方が簡単な気がします。

☆第2問(2)・・・【三角比 or 三角関数】正五角形、18°系の三角比(AB、10分【7分】、Lv.1)

正五角形の対角線や、それらを利用してcos36°を出す問題です。

18°系の三角比の出し方は、親子の三角形の相似の利用や2θと3θの関係などから導けます。(Principle Piece II-68 数学II 三角関数 p38)  体系的に習得しておきましょう。

本問は誘導の仕方が雑ですが、親子の三角形利用です。これで対角線「サ」は出ます。「シ」ですが、cosCAD=cos36°です。ACDで第2余弦定理(勝手に命名しています)を使ってほしいのでしょうが、∠BACも36°ですので、BからACに垂線を引いて直角三角形を作れば、対角線の半分だとすぐに分かりますね。

YZは対角線から両端(対角線-1です)を引けばOK。

 

第2問(3)・・・【数列】等差×等比の和(AB、10分【7分】、Lv.2)

文字ばかりでちょっと嫌な感じですが、等差×等比の和で、題材的には教科書レベルです。

等差×等比なら、等比側の公比を利用し、S-(公比)Sを考えましょう。(Principle Piece B-7 数学B 数列 p23-24)  

最後のS10まで含めて、本問は計算問題です。

☆第2問(4)・・・【三角関数】最大・最小、加法定理など(AB、12分【7分】、Lv.2)

(2)に引き続き三角から。偏ってますね^^;

Σで大げさに書いてありますが、加法定理で展開してsin+cosの1次式に直すだけです。種類が全てcos、係数も全て1なので、和積も有用です。(Principle Piece II-74 数学II 三角関数 p47-50)

例えば前半は、cosθ+cos(θ+45°)+cos(θ+90°)です。角度が等差で並んでますので、両端で和積を用いるとうまくいきそうですね^^

※KATSUYAは計12分で解いています。

☆第3問・・・【ベクトル+確率】サイコロの目(AB、20分【13分】、Lv.2)

ちょっと無理やりな感じがありますが、ベクトルと確率の融合です。サイコロの目に従ってベクトルの成分を決めます。サイコロ系の問題を練習するのにはちょうどいいです。試験としてはちょっと多い気がします。KO看護はサイコロ好きですね。

(1)は楽勝。x成分は(5,5,5,5)しかありません。y成分は1つだけ4なので合計1・4=4通りです。

(2)からまあまあメンドウです。重心が格子点なので、x1+x2やy1+y2が3の倍数(0、3,6,9)になればOK。ただし、OA1A2が一直線に並ぶとアウトなので、それを除く必要があります。この作業が意外とかかります。

片方が(0,0)になるものや一致するものはともかくとして、(1,2)と(2,4)とかでもダメですので、慎重に数える必要があります。除く前が12×12=144通りですので、表で数えるというのも手です。144通りを多いと思うか、少ないと思うか。

(3)の方がラクです。条件付き確率の分子、分母の確率を出しましょう。(Principle Piece A-39 数学A 確率 p.32) 分母は1/6です。分子はさらにy1≠0で、x2とy2については、x2≠0さえ成り立てばOKです。(y2はなんでもいい)

(4)もラク。成分にマイナスがない以上、「x1x2の片方が0」かつ「y1y2の片方が0」になるしかありません。ここら辺は余裕の書き出しでしょう。(Principle Piece A-7 数学A 集合と場合の数 p.20) 

(5)も書き出しでしょう。x1=x2+x3となる場合を数えれば、y成分も同じです。x1=0,1,2,3,4,5のときにそれぞれ(x2、x3)組み合わせが1,2,3,4,5,6通りありますね。

※KATSUYAは8分で解いています。(2)で5分以上取られています。あとは6×6の表でほぼ解決。

☆第4問・・・【空間ベクトル】内積、なす角、垂線ベクトル(B、20分【13分】、Lv.2)

対角線で正方形を折り曲げた立体を用いた空間ベクトルで、うまく考えられていると思います。

(1)から意外と迷うところです。(2)までの流れを見ると、Bを始点にして、基本ベクトルはBA、BC、BDの3つにしていくのでしょう。(Principle Piece B-50 数学B ベクトル p.62-63) 

ただし、内積BA・BCを出すためには、一度始点をOに直す必要があります。そのためのOA・OCが誘導としてあります。ここに気づけば(1)はもちろん、(2)までお決まりのパターンとして解決可能です。

垂線ベクトルは、平面上にあることと(すでにs、tの係数で置かれています)、平面を含む2ベクトルに垂直であることを式にしましょう。(Principle Piece B-56 数学B ベクトル p.75) 

始点はすべてBに合わせて計算し、内積BA・BDも用意しておけば万全です。(Principle Piece B-51 数学B ベクトル p.63) 

※KATSUYAは10分で解いています。原則に従って、B始点。垂線もすべて途中誘導があるのでわかりやすい。

第5問・・・【2次関数+微積分】放物線と2接線、面積(B、30分【24分】、Lv.2)

また放物線と2接線です。3年連続で5番に、放物線と接線の題材が出ました。かなり味をしめている?今回は前半が穴埋め、後半から記述です。

(1)の最初はただの2次関数です。これはいいでしょう。

(1)の真ん中は2接線の問題です。2接線の接点のx座標の真ん中が、接線の交点のx座標(今回はy軸上の点)になることを知っていると、「ヤ」はほぼ計算不要です。先に接点を設定します。本問に限らず、円などでも幅広く使える、非常に重要な原則です。

知らなくても、まずは接点を置いて接線を作ればOKです。今年もこの原則が使えるようですので、そのまま残します。

 ULTIMATE Principle Piece

 接する問題ではまず接点をおく

 

 Principle Piece II-121

 放物線と接線の特徴

(拙著シリーズ(白) 数学II 積分法 p.34-37 図は割愛)

 

(1)の(iii)は、こちらの原則です。こちらも同じだったので、使いまわします(苦笑)

 Principle Piece II-120

 放物線と接線絡みの面積

[1] 放物線ー接線=a(x-接点)^2 となる

[2] それを積分して a/3(x-接点)^3 

(拙著シリーズ(白) 数学II 積分法 p.34-37)

使う原則が昨年とほとんど変わらないですね^^; 逆に、これらの原則を知らないとかなりの計算を強いられて苦しいでしょう。なお、D1、D2は当然同じ面積となります。

(2)は条件式にあてはめるだけです。最大値・最小値の情報がありますので、一般形よりも標準形でおくといいでしょう。(Principle Piece I-24 数学I 2次関数 p.23) 

4.対策

小問が多いこともあり、分野的にはまんべんなく出ます。特に数II、Bはほぼ全分野から出題されるといっていいでしょう。確率も忘れずに。

決して難しいわけではありませんが、スピードがないと時間内には解き切ることができませんので、典型問題を見たら直ぐに手を動かせるレベルまで、原則の習得が必要です。数値が汚い問題も結構ありますので、普段から計算はひるまずに行うようにしましょう。チャートは、青ならお釣りきますね^^

量をこなす演習:じっくり演習=9:1ぐらいですね。

以上です^^

■他年度の、本大学の入試数学■

>> 2010年度

>> 2016年度

>> 2017年度

>> 2018年度



■関連する拙著シリーズ■ 
見ての通り、かなりまんべんなく出ます。

★ 数学Ⅰ 三角比 (第2問(2))

★ 数学A 集合と場合の数 (第3問)

★ 数学A 確率 (第3問)

★ 数学A 整数 (第1問(1))

★ 数学II 複素数と方程式 (第1問(2)(3)(5))

★ 数学II 図形と式 (第2問(1))

★ 数学II 三角関数 (第2問(2)(4))

★ 数学II 指数関数・対数関数 (第1問(4))

★ 数学II 微分 (第5問)

★ 数学II 積分 (第5問)

★ 数学B ベクトル (第3問、第4問)

★ 数学B 数列 (第2問(3))

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