【後期】神戸大学 理系| 2020年度大学入試数学

      2020/03/23

●2020年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は神戸大学(理系)【後期】です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^

2020年 大学入試数学の評価を書いていきます。今回から後期になります。 

2020年大学入試(国公立)シリーズ。
神戸大学(理系)【後期】です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。



また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





神戸大学(理系)【後期】
(試験時間120分、5問、記述式)

1.全体総評~数III中心に戻るも手はつけやすいか~

難易度は昨年より少し易化です。今年は数IIIからの出題が4題と2018年の割合に戻りましたが、昨年よりも途中までは手がつけやすい問題が多く、点数には結び付きやすいセットだと思います。どの大問も最後の難易度は少し高めで、完答は難しいかもしれません。試験としても適切で、題材的にも良問が多いですね。



試験時間120分に対し、
標準回答時間は135分。

2019年:145分。

2018年:150分

2017年:145分

2016年:130分
2015年:135分

2.合格ライン

1番は誘導もあり、そこまで計算も多くないのでおさえたい。

2番はキー問題。ただの絶対値付き定積分の場合分けの計算だが、気づけないと全滅になる。

3番は(1)(2)はそのまま従うだけなので押さえたい。(3)は結果は分かるかもだが、意外とキツイか。

4番はキー問題。複素数平面としての計算、図形的なアプローチのバランスを保てたか。

5番は確率。数IIIが絡まない唯一の問題だが、地道な調査が必要で、(2)までで十分かと。

1番は完答し、2番か4番で出来れば1完分。3番と5番で1完強ぐらいあればいいかと。60~65%ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

☆第1問 【微分法】方程式がただ1つの解をもつことの証明(B,20分、Lv2)

数IIIの微分法からで、関数の増減から方程式が実数解を1つだけ持つことを示す問題です。誘導もありますし、難関大であれば見かけるパターンですので、これは押さえたいところです。

(1)は微分してうまくくくれば、各因数が全て正だと分かります。これは簡単^^

(2)も微分してcos^2xで通分すると、分子に4f(x)-1が登場します。(1)からこれは単調増加であることが分かっているので、定義域内で=0となるxがただ1つ存在することが分かります。

求めることは出来ませんが、これをcとでも置いて増減表を書くと、g(x)は範囲内で1度だけ符号が変化することが分かりますね。

 

※KATSUYAの感想:解答時間9分。最初の問題としては適切な難易度かな。神戸大らしい誘導と題材な気がする。

☆第2問 【微積分総合】不等式領域の面積の最大値(B、25分、Lv.2)

不等式で表される領域について、その最大値を求める問題です。不等式領域にしてあるところが遠まわしですが、ただの絶対値付きの定積分の問題だと気づけるかどうか。

(1)まずは後半の不等式の領域を図示ことになると思いますが、ここで絶対値付き定積分と同じであると気づきたい。下側のときは下の面積、上側のときは上の面積を求めることになります。

結局S(a)は、f(x)=log(x+1)ーa であるとして、区間:0~e-1の∫ |f(x)| dxということです。絶対値付き定積分は、中身=0と区間の大小で場合分けするんでしたね。

中身=0となるx=e^a-1です。0以上ではあるので、上端のe-1と比べますので、a=1が場合分けの境目になります。これさえ分かればあとはコツコツ計算するだけです。

この手の積分は数IIの関数でも計算をミスしやすいです。私も本問でミスしてます。必ず場合分けの境目の値を代入し、連続になることを確認しましょう。これだけでも間違いには気づける確率が大幅にUPします。

(2)は出たS(a)を微分します。a≧1のときは単調増加なので、それだけ述べておいて0≦a≦1のときだけ調べればOKです。

 

※KATSUYAの解答時間14分。結局絶対値付き定積分ってことね。説明は領域図示になるのか。原則通りa=1で場合分けし、領域を書いて計算。途中で計算ミスり、a=1で連続にならない。a≧1の時に単調増加になってないのは図的にもおかしいので見直し。符号ミスを修正して(2)も終了。

☆第3問 【微分法+極限】不等式の証明、極限(B、25分、Lv.2)

極限がeになる式について、極限を求めるための証明問題が並びます。階乗の逆数の級数にeが絡むことは知っているかとは思いますが、誘導方法は様々なので、この手のタイプはその誘導にうまく乗れるかどうかです。

(1)は帰納法を使いたくなりますが、そのまま微分すればすぐに証明できます。シグマが入っていても、中のx^kの部分を微分すればOKです。-1は一旦なくなりますが、うしろのシグマから出てくるはずです。中カッコ内の符号が入れ替わることと、頭の(-1)のn乗、n+1乗での符号違いに気づければ出来ますね。

(2)は確実に帰納法です。(1)があるおかげで、n=kからk+1への証明はほぼ一瞬です。n=1のときを調べる方が長いです。

(3)は結構難しいと思います。(2)の証明に(1)は使っていますから、(3)は(2)をメインに考えるのが自然です。a(2n)は、f_2n(1)の値と見比べて(2)の結果を使うと、1/e<a(2n)と分かります。nを1つ増やしてa(2n+1)については、(2)の結果から中カッコ内の符号は正になりますから、1/e>a(2n+1)となります。

ここで、a(n)がシグマの式になっていることから、a(2n+1)はa(2n)で表すことが出来ます。ここまで気づければはさみうちですね^^

※KATSUYAの解答時間14分。(1)は帰納法?いや違うな、直接微分だわ。中カッコの中身は符号がまるまる入れ替わるハズなので、そこを意識しながら変形。(2)は(1)もあるし、間違いなく帰納法やな。(3)は(2)を使うはずだが、どうつかうか。a(2n)をとりあえず式にすると1/eが見る。nを1個ずらすと不等号の向き違うから、ハサミウチが何となく見える。a(2n+1)で書いてみる。あ、シグマやから最後の項分だけしか差がないんか。当然こんなの0に収束。ハサミウチが見えたので答案にして終了。

☆第4問 【複素数平面】18乗根と図形(B、25分、Lv.2)

複素数平面からです。18乗根の式でいくつか点を4つ用意し、図形的性質を聞いてきます。複素数平面の式も使いますが、図形的にもアプローチが必要なので、差がつきやすい問題です。

(1)は3辺とも1になることでもOK。複素数平面を活用するなら、z^4-0/z-0=z^3であることから、AC=AD=1かつ∠CAD=60°が一気に言えますので、正三角形確定です。

教科書にもあるγーα/βーαの式は、偏角と絶対値によって2辺の比とその間の角が確定します。相似条件に該当するものが確定するということは、形状であればこの式の値で決まるということと同値です。相似条件の証明として例題に載っている教科書もあります。

(2)は一直線の証明です。これは複素数平面の式でも、図形的にアプローチしてもいいと思います。前者なら、B-C/E-Cが実数になることを示すといいでしょう。(式は、その点で略記しています)

分母がz^5なので、式はz^(-5)+z^4となりますが、zzバー=1なので、z^(-5)=z^4のバーになります。共役複素数との和なので、実数とするのが一番すっきりすると思います。

図形的には、F(z^5)を導入すると、AF//CEになりますので、CEとx軸の正の向きとのなす角は100°です。一方、ABCは二等辺三角形で20°なので、底角は80°です。従って、BCとx軸の正の向きのなす角も100°ですので、これで言えます。

(3)は図形的にアプローチした方がいいでしょう。先のFを用いると、AF=CE=1も言えますので、結局AB=AC=AD=CD=CE=1です。二等辺三角形であることを存分に活用すれば、ほぼどこでも出せますね。

※KATSUYAの解答時間14分。(1)(2)は複素数平面利用で、(3)は上記のとおり図形的にやりました。(3)は算数見たい。答案を書く方がツライ。図形にばばっと全部書きこんで終了では、やっぱりダメなんかな。


第5問 【確率】サイコロの目と漸化式(BC、35分、Lv.2)

サイコロの目に従って、数列x1~x4を定め、その数値に関する確率です。問題文では漸化式的に書かれていますが、数列の公式などはほぼ用いないので、タイトルは確率のみとしました。数IIIの絡まない唯一の問題ですが、地道な調査が必要なので、本問がもっとも不安になる問題だと思います。

(1)はx1=1/4a1ですので。x2=0となるには、1-x1=0となるしかありません。a1=4だけです。また、x2>0となる場合は0<x1<1なのでa1=1,2,3までOK。

(2)から結構メンドウです。x3にa3は絡みますが、符号は正なので、x3の符号ははa1,a2の目にかかっています。高々36通りですから、全て調べることも視野に入れたいところです。ただ、x3まで来ると式がまあまあ煩雑なので、時間はかかりますが、たとえばa1=4だとx3=0になるとか、a1=5,6だと負になるから調べる必要はないなど、途中で規則も発見できますので、実質半分ですみます。

(3)は、x3=0または1となる確率です。前者はp3、後者についても、q3を(2)で全通り調べていれば、あとはa3の値次第で1をとれるかどうかだけす。結局(2,2,4)のときのみであることが分かります。

本問は式も煩雑なので、書き出す決意をするのに多くのMP(気合い)を消費することになりますが。36通りぐらい書き出せばなんとかなる、という意識を本問を通して身につけておきましょう。レベルUPして、MPも上げておきたいところです。

※KATSUYAの解答時間23分。(2)以降は書き出しを決意。変に式でやってもミスりそうやし、時間もあるし、ここはゆっくり全部書き出すことに。おかげで(3)でx3=1になるかどうかの判定もすぐに出来ました。本セットで最も時間はかかりましたが、23分という解答時間を長いと思うか短いと思うかですね。

4.対策

前期とほぼ同様と考えてOKですが、後期は「数IIIの割合」と、「場合の数や確率の難易度」が高めですので、過去問で難易度を体感しておく必要があります。傾向などについては、前期のエントリーもご覧下さい。

■他年度の、本大学の入試数学■

>> 2014年度

>> 2015年度

>> 2016年度

>> 2017年度

>> 2018年度

>> 2019年度

 

 - 2020年度大学入試数学 , , , , , , , , ,