東京理科大学 理工学部 数学 講評 | 2021年大学入試数学

   

●理科大の数学シリーズです。今回は理工学部(2021年)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。今年度は理科大シリーズを追加していこうと思います。

理科大の大学入試は入試基礎演習および入試標準演習として非常に適切ですので、取り上げてみたいと思います。


理科大シリーズ

東京理科大学(理工学部(数学科など))です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





知らなかった場合は、言葉を覚えるだけでなく、必ず教科書や問題集等で該当する類題を数題見つけ、演習することで定着させてください。自分で探して自分で解く。これが一番身に付きます。

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東京理科大学(理工学部(数学科など))
(100分、3問、ハイブリッド型)

※ハイブリッド型=穴埋め+記述式

1.全体傾向~ここ数年では穏やかな方。~

大問3問構成で、第1問は3つの小問で構成されていますが、小問というほどの軽さはありません。第2問、第3問は例年通り小問数の多い記述式の大問ですが、問題のレベル普段よりは穏やかな印象で、2021年は入試基礎~入試標準レベルです。

制限時間も100分あり、この難易度なら100分あればかなりゆっくり取り組めると思われます。

 

解答時間は85分【62分】(←穴埋め考慮)

 

2.各問の難易度

本文にある緑字(この色)は、大学入試数学を解く上で必要な原則を表しています。

第1問(1)…【空間ベクトル】内積、三角形の面積(AB、7分【4分】、Lv.1)

空間ベクトルからで、空間上の3点から成る三角形の面積です。基本問題。

 

最初のLMNの座標を間違えると全滅ですが、さすがに理科大受験者であれば大丈夫かと。xy平面ならz座標を0に、あとはそのままですね。

また、空間上でcosθを聞かれたら内積で攻めるのがいいですね。成分も出てますし、内積も長さも簡単に出せます。

最後の三角形の面積はベクトルにおける三角形の面積公式でもいいですし、cosθが出てるのでsinθを出して三角比の面積公式でもOK。

 

 

これは押さえないと差をつけられそう。

 

第1問(2)…【2次関数】絶対値付き2次関数の最大・最小、共有点の個数(AB、8分【5分】、Lv.2)

2次関数からで、絶対値付き2次関数です。最大・最小と共有点の個数などを聞いていますが、どちらにしてもグラフさえかければ終わりなのでこちらも基本的。

基本的に定義域に制限のある最大・最小はグラフです。グラフを書けば最大・最小も出せます。

また、共有点の個数も分かります。=kのように定数分離してグラフで視覚化するんでしたね。

範囲が数Iのみである上に、原則をそのまま使うだけでサクサク解けてしまう問題で、理工学部の問題にしてはカンタンな気がします。

これも押さえたいですね。

2次関数の単元における原則は拙著Principle Pieceに惜しみなく収録されています。

 

☆第1問(3)…【集合+整数】条件を満たす自然数、複素数の個数(B、20分【13分】、Lv.1)

集合の要素の個数を題材にした問題です。互いに素なものの個数を求める問題で、少し整数が絡みます。

前半は超頻出パターンです。互いに素なものの個数を求める問題は集合(ベン図)で解決できます。f(100)の場合は、100の素因数が2か5なので、2でも5でも割り切れないものを求めればOK。「…も…も~ない」の表現は全体から和集合を引く方針が原則です。

なお、f(100)については100×1/2×4/5=40と出すテクニックもあります。かなりの時間短縮ですね^^

 

後半は少しひねられており、差がついたかもしれません。前半と同じように素因数から計算するだけです。最後のg(100)で説明します。

100は2と5しか素因数がないので、「x、yがともにの倍数の場合」または「x、yがともにの倍数の場合」を全体から引けばOKでした。和集合なので、被った部分の「x、yがともに10の倍数の場合」は重複しています。

数値が小さいものについては、もし方針が立たなければ全部書き出すつもりでやりましょう。おそらく、g(100)を求めるまでは実際に書き出してもらって規則を見つけてほしいのだと思います。

 

これg(100)は規則がつかめないとキツイ。それ以外は数えてでも正解したい。

 

 

 

☆第2問…【微積総合(グラフ)】変曲点における接線、面積など(B、25、Lv.1)

微積総合問題で、接線絡みの面積の問題。細かく刻んだ小問がありますが、詰まるようなところはないハズ。

(1)は微分して傾きを出すだけ。(2)はその式を微分して増減を調べればOK。最初の式から見れば2階微分なので、変曲点のx座標ということになります。

(3)は法線なので接線の公式で傾きだけ変えれば交点もすぐ出ます。

計算がちょっとメンドウなのは最後の(4)ぐらい。面積なのでf(x)の大まかな概形と、直線との上下関係は把握しましょう。面積を求める際に必要なのは交点と上下関係で、詳細な形は不要です。

f(x)は部分積分です。変形する優先順位の原則に従い、指数から先に変形しましょう。面積は先に0~1まで積分して、三角形を引くのがラクだと思います。

 

かなり親切に刻まれており、時間も余裕があるので、(4)まで出来れば合わせたい。

 

 

第3問…【2次関数+積分】グラフの平行移動、対称移動、面積など(B、25分、Lv.2)

最後は第1問(2)に引き続き、2次関数からの出題。後元のグラフを平行移動したり対称移動したりしますが、こちらも小問で刻んでいるだけです。

(1)はさすがにいいでしょう。平行移動の公式にあてはめるだけです。

(2)は細かいところで減点されなようにしたいですね。2ax-a^2+b と出ます。まずa≠0だとかならず解が存在しますので、a=0です。すると0=b となりますが、「だからb=0」 と書かないように。a,bというのは方程式を解く前から決まっている数字なので、式変形した結果得られるものではありません。

0=bからさらに場合分けし、b=0なら解はすべての実数で不適、b≠0のとき解なし となります。

結果だけならグラフを考えても納得は行くかと思います。上下移動だけした放物線なら交点はありません。ここでいったん検算しておきましょう。

 

(3)は差がついたかもしれません。ここで詰まるとこの大問が(2)どまりになります。点(s,t)に関する対称点は意外と公式になっていないので、戸惑った人もいるのではないかと。

平行移動のときの公式を証明するときと同じ考え方で出来ます。移動後の点を(x、y)を(s、t)に関して対称移動させた点を求めますが、それはy=x^2上にありますので、それを利用すればx、yの条件は出せますね。

基本的に移動後のグラフの式は、点を逆操作で元のグラフに戻し、元のグラフの式に代入するのが原則です。公式はやはり証明(というか証明の考え方)も理解したうえで覚えておかないと足元をすくわれるいい例ですね。

 

(4)は連立して判別式Dです。こちらも出た条件をグラフで確認すれば分かります。対称点が放物線の上にあれば、たしかに交点はありますね。

(5)はコツコツ交点を出して面積を求めるだけです。放物線同士なので6分の公式にあてはめましょう。x^2の係数が1ではないので注意。

 

(3)が出来ないと(1)(2)どまり。その他で満点近くとらないと数学では厳しいかも。

拙著Principle Piece「2次関数」では、一般の点における対称移動や考え方の原則についてもきちんと触れています。

ppサンプル

(現在販売中のPrinciple Piece 2次関数より)

 

3.対策~入試基礎レベルを素早く解く訓練~

今年は第2問のみでしたが、例年小問も含めて数IIIが比較的多い印象ですので、数IIIの演習量は出来る限り確保しましょう。チャート式(青)のような網羅的問題集をこなしておき、入試標準レベル演習までやっていろんなパターンに触れておき、さらに解説をしっかり読んで、「穴埋め形式なら使えそう」と思ったテクニックはなるべく吸収していきましょう。

理科大は過去問が良問で非常に優秀ですので、古いものも含めて出来る限りしておきましょう。

 

量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいでOKです。うまく融合されている問題が多いので、過去問演習が大事。

以上です^^

 

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